粘着テープの残渣評価

分析事例C0197 2010/10/27 2016/08/10
粘着テープの残渣評価
TOF-SIMSにより表面付着物成分を同定します
測定法 :TOF-SIMS
製品分野 :日用品
分析目的 :組成評価・同定・化学結合状態評価・組成分布評価・安全性試験
概要
粘着テープの残渣は、製造工程において密着不良・剥離の原因となります。不良の原因として残渣が疑
われる場合、表面付着物の成分とその分布を調べることができるTOF-SIMSが有効です。
粘着テープをSiウエハ表面に張り、剥がした後のSiウエハ表面および粘着テープの表面をTOF-SIMSで
測定した事例をご紹介します。
データ
粘着テープAの表面に存在するBa(安定剤由来)が、Siウエハ表面に付着物として残っている様子が確
認されました(図1)。
貼り付けるテープの種類を変えたところ、粘着テープBではジオクチルフタル酸(可塑剤DOP由来)が、
粘着テープCではアセチルクエン酸トリブチル(可塑剤ATBC由来)がSi表面から検出されました(図2)。
<模式図>
粘着テープ
Siウエハ
391(C24H 39O4)
このように、TOF-SIMSでは有機材料の成分とその分布を評価することができるため、残渣がどの工程
で生じたものか、何に由来したのかを調べることが可能です。
3.0E3
2.5E3
<063534R003>
粘着テープBの転写物
粘着テープA
Intensity
2.0E3
粘着テープA
O
1.5E3
OC8H17
OC8H17
1000
O
500
粘着テープAの転写物
Intensity
2.5E3
H2C COOC4H9
CH3COO C COOC4H9
2.0E3
H2C COOC4H9
387( C19H 31O 8)
Baのイメージ
測定面
<063534R005>
粘着テープCの転写物
3.0E3
1.5E3
1000
粘着テープAに接触した
Siウエハ
403( C20H35O 8)
測定面
500
Baのイメージ
380
図1 正イオン 粘着テープとSiウエハから検出される
Ba(安定剤由来)
※測定面積 500μm角
385
390
395
400
m/z
405
410
415
420
図2 正イオン 粘着テープを接触させて検出される可塑剤
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