暑い夏の夜に欠かせないのがゾッとする怪談。日本の怪談は夏の風物詩

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HOME > 連載コラム > 港区☆ミステリー:第一回 日×米、怪談の旬
暑い夏の夜に欠かせないのがゾッとする怪談。日本の怪談は夏の風物詩ですが、ア
メリカで怖い話の旬といえば、実は晩秋。
ハロウィンの時期になると怖い話で盛り上がるそう。だから、アメリカのホラー映画は
秋冬公開が多いのです。
日本には昔からすべてのものに神霊が宿るという八百万信仰があり、霊や呪いなど、
目に見えないものへの精神的な恐怖があるのに対し、アメリカでは幽霊(ghost)のほ
かにゾンビやモンスターなど実在する(?)ものへの恐怖があるようです。
もうひとつ、怖い話を聞いて背筋がゾッとするというのも、アメリカ人にはない感覚なの
だとか。
昔からたくさんの怪談が残っているのは、夏を涼しく過ごすための日本人ならではの
知恵かもしれませんね。
それでは、港区が舞台となった怪談をひとつご紹介しましょう。
江戸時代、久保町(現在の港区西新橋)に住んでいた伊勢屋七郎右衛門の娘の乳母は、亡くなった後、妙信という戒
名を与えられた。
その後に雇った乳母は、重病を患ったが原因がわからず、加持祈祷を行ってもよくならない。
そこで、増上寺の和尚を迎えようとしたが、「法事の季節で忙しい。近辺の信者を集め念仏せよ」と言うので、急いで近
所の者たちを集めて回向(成仏を願って仏事供養すること)した。
すると病人が心地よさそうになったので容態をうかがうと、「皆が私ではない方に向けて回向しているので往生できぬ。
どうか私のために念仏を勤めてくだされ」と言う。
乳母の口を借りた妙信の霊が念仏を頼んだのだ。
そこで妙信の位牌をしかる場所に納め丁寧に供養すると、乳母の病気も次第によくなったそうな。
参考文献:『江戸の都市伝説 怪談奇談集』志村有弘編/河出文庫より
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