医療デバイス用コーティング材料資料

バイオインスパイヤ
生体適合性コーティング剤
バイオインスパイヤシリーズの特長
バイオインスパイヤシリーズは、既存の医療用材料にコートするだけで、優れた生体適
合性を付与できる新しいタイプのコーティング剤です。これまでの医療用材料が、全く新
しい機能性材料として生まれ変わります。ディップコートで簡単に表面を処理できますの
で、どのような形状の材料にもお使いいただけます。表面に形成されるポリマー被膜が高
い耐水性と優れた生体適合性を発揮します。
MPC ポリマー
バイオインスパイヤシリーズの成分は、リン脂
質極性基を側鎖にもつメタクリル系ポリマーで
す1。私たちは、世界で初めて MPC モノマーと
ポリマーの工業化に成功して以来、高品質な
MPC ポリマーを全世界のユーザーに向けて安
定に供給し続けています。
Fig.1 MPC ポリマーの構造式
生体膜は、リン脂質を主成分とする脂質
二重層に、タンパク質等がモザイク状に組
み込まれた構造をしています2 。リン脂質
は、極性部位と非極性部位からなり、膜表
面は極性部位で覆われています。代表的な
リン脂質のホスファチジルコリンは、極性
部位がホスホリルコリン基であるため、生
体膜表面には多くのホスホリルコリン基が
Fig.2 生体膜の構造
存在します。
バイオインスパイヤシリーズでコートした表面は、適度に配向したホスホリルコリン基
の働きにより、生体から疑似生体膜表面として認識されるため、優れた生体適合性を発揮
できるのです。
バイオインスパイヤシリーズの機能
バイオインスパイヤシリーズの特長は、親水性と疎水性のバランスを制御した特殊な
MPC ポリマーにあります。こうした親水性 / 疎水性のバランスは、緻密に計算された分子
設計によって初めて実現しました。ポリマー分子中の疎水性部分が、材料表面と強く相互
作用することで安定した被膜形成を促進し、高い耐水性を実現します。また、親水性部分
1
を構成するホスホリルコリン基が生体類似構造を形成し、優れた生体適合性を発揮します。
コーティング可能な医療用基材
バイオインスパイヤシリーズは、医療用材料のために開発されたコーティング剤です。
独自に分子設計した MPC ポリマーによって、一般に使用されている多くの医療用基材に使
用できます。弊社で性能を確認している材料の一部を以下に示します。
Table 1 コーティング可能な医療用基材
分
類
基 材
名
称
セルロース,ポリアクリロニトリル,ポリアミド,ポリイミド,ポリウレタン,
高分子材料
ポリエステル,ポリ塩化ビニル,ポリスチレン,ポリスルホン,ポリビニルアルコ
ール,ポリメチルメタクリレート
無機材料
※
他
チタンおよびチタンを含む一部の合金,ガラス,アパタイト,カーボン 他
表面の処理状態によってはコーティングできないものもあります。上記以外にもコーティング可能な材料があります。
詳しくは弊社までお問い合わせください。
生体適合性
バイオインスパイヤシリーズは以下に示す項目の安全性データを取得しています。
安全性評価項目
復帰突然変異試験
コロニー形成阻害試験
発熱性物質試験
皮内反応試験
急性毒性試験
溶血性試験
皮膚感作性試験
バイオインスパイヤシリーズでコートした表面は優れた生体適合性を発揮します。MPC ポ
リマーの生体適合性は、東京医科歯科大学
中林宣男名誉教授、東京大学
石原一彦教授
らの研究によってすでに証明されています 3-9。バイオインスパイヤシリーズでコートした
表面は、種々のタンパク質吸着や各種細胞の接着を制御します。
(a)
未コート
(b)
®
バイオインスパイヤ コート
Fig.3 バイオインスパイヤコート前後のポリウレタン表面の抗血栓性
(抗血液凝固材なしのウサギ血液と2時間接触)
2
バ イ オ イン ス パ イ ヤ Y A 0 1
製
品
名
バイオインスパイヤYA01
化学名
組
成
含有量(wt%)
日本薬局方 無水エタノール
99.5
CH3
CH2
CH3
C
C
CH2
O
-
O
CH3
OCH2CH2OPOCH2CH2N CH3
O
項目
m
n
準 値
外観
適合
色調
適合
動粘度(25℃)
(mm2/S)
1.7~2.0
(参考
O
OCH2CH2CH2CH3
CH3
標
C
C
+
物性表
0.5
(2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン/n-ブチルメタクリレート)共重合体
cSt)
蒸発残留物(%)
0.4~0.6
共重合組成(MPC、mol%)
25~35
〔素原料値〕
物理架橋型のコーティング液です。コーティングしたい基材を液にそのまま浸漬し、乾燥
させるだけでMPCポリマーコートすることができます。
3
バ イ オ イン ス パ イ ヤ Z A 0 1
製
品
名
バイオインスパイヤZA01
化学名
組
成
含有量(wt%)
(2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン/アリルアミン塩酸塩)共重合体
水
5
95
CH3
CH2
C
C
CH2
O-
O
CH3
CH2
+
OCH2CH2OPOCH2CH2N CH3
O
物性表
項目
n
値
粘性液体
色調
無色又はほとんど無色
2
動粘度(20℃)
(mm /S)
(参考
NH2
m
CH3
標 準
性状/外観
CH
50-100
cSt)
蒸発残留物(%)
4-6
架橋反応型のコーティング液です。基材表面のカルボキシル基やグリシジル基を活性化し
て表面反応してMPCポリマーコートすることができます。
4
[参考文献]
1)
Y. Kadoma, N. Nakabayashi, E. Masuhara, and J. Yamauchi, “Synthesis and Hemolysis Test of the Polymer
Containing Phosphorylcholine Groups” , Koubunshi Ronbunshu, 35, 423-427 (1978).
2)
S. J. Singer and G. L. Nicolson, “The Fluid Mosaic Model of the Structure of Cell Membrane” , Science, 175,
720-731 (1972).
3)
K. Ishihara, R. Aragaki, T. Ueda, A. Watanabe, and N. Nakabayasi, “Reduced Thrombogenicity of Polymers
Having Phospholipid Polar Groups” , J. Biomed. Mater. Res. , 24, 1069-1077 (1990).
4)
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K. Ishihara, H. Oshida, Y. Endo, A. Watanabe, T. Ueda, and N. Nakabayashi, “Effects of Phospholipid
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9)
K. Ishihara and Y. Iwasaki, “Reduced Protein Adsorption on Novel Phospholipid Polymers” , J. Biomaterials
Applications, 13, 111-127 (1998).
[サンプルのご提供に際して]
バイオインスパイヤのサンプル提供に関しまして、製品開発の権利関係を整理させてい
ただくために以下のようなステップでサンプルをご提供させていただいております。
ご不明な点につきましては、お気軽にお問い合わせ下さい。
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日油株式会社
ライフサイエンス事業部
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5
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