ヒトES/iPS細胞のハイスループット3D培養法

京都大学新技術説明会(2014.05.27)
ヒトES/iPS細胞のハイスループット3D培養法
亀井 謙一郎 (博士(工学)、特定拠点助教)
陳 勇 (Ph.D.、特定拠点教授)
京都大学
物質ー細胞統合システム拠点
1
ヒト多能性幹細胞とは?
Blastcyst
Somatic cells
Inner cell
mass
Reprogramming Factors
Oct-4, Sox-2, Klf-4 (c-Myc)
Propagation in culture
hESC
自己複製
hiPSC
Human Pluripotent Stem Cell
(hPSC)
Neuron
Pancreas
Muscle
Blood
分化
2
細胞外微小環境 :生体の細胞機能制御システム
不溶性因子
自己複製
幹細胞
分化
遊走
細胞間相互作用
可溶性因子
プログラム死
など…
3
マイクロ流体デバイスを細胞生物学に応用する利点
マイクロ流体技術は細胞外微小環境を人工的に作製するために、
必要な技術である。




細胞培養の3次元構造を創出: 不溶性因子
微小液滴(fL〜nL)を制御可能: 可溶性因子
MEMS技術と組み合わせることによって、細胞挙動解析が可能
実験のハイスループット化が可能
ヒトES/iPS培養デバイス
Kamei et al., Lab Chip, 2009
Kamei et al., Lab Chip, 2010
ヒドロゲルとマイクロ流体デバイスを組み合わせることによっ
て、3次元培養を可能にした。
ヒトES/iPS細胞をヒドロゲル+マイクロ流体デバイスの中で、培養する
ことができた。
熱応答相転移ヒドロゲル
ヒトiPS細胞
未分化状態
Sol
% of Max
100
Gel
80
95.1
60
40
20
Low (0〜15℃)
High (> 25˚C)
Cell: 253G1 hiPSC
Medium: mTeSR-1
Period: 10 days
0
100 101 102 103 104
SSEA4
ゲルの濃度を変えることで、3次元環境の「固さ」も変えること
が可能。
物質の拡散をコントロールしながら、細胞に与える影響を試験
できる
FITC-Dextran(モデル分子)のゲル中の拡散
0 min
3~5 kDa
45 min
90 min
40 kDa
0
2000
入口からの距離 (µm)
従来の細胞培養ディッシュでは、このような実験を行うことが出来なかった。
ハイスループット3D環境+薬剤スクリーニング
3次元細胞環境をスクリーニングすることができる。
+薬剤の細胞機能への効果をより正確に評価することができる。
ハイスループット
マイクロ流体デバイス
3次元環境+化学物質
 コンビナトリアル「環境」ライブラリ
 組織工学に応用可能
 96穴プレートと同じデザイン
自動化ピペッター
 スクリーニングの自動化が可能
新技術の特徴・従来技術との比較
• 従来技術と比較し、ヒトES/iPS細胞の3次元培養を可能
にした。
• 一つのプレート(デバイス)内で、物理的・化学的なパラ
メーターを試験することが可能。
• 可溶性物質の濃度勾配も作製することが可能。
• ヒトES/iPS細胞実験は、無血清・無フィーダー細胞で行
なっており、より実用化に近い状態で実験を行える。
想定される用途
• 本技術の特徴は3次元培養環境をスクリーニング・同定
することができることであり、ヒトES/iPS細胞からの分化
誘導・組織形成試験に使用することができる。
• 組織工学のさらなる発展に貢献することができる。
• 創薬スクリーニングにおいても、本来の細胞環境に近い
状態でスクリーニングでき、前臨床試験に適している。
• ヒトES/iPS細胞に限らず、様々な細胞に応用可能。
• がん幹細胞研究や、それを目的とする創薬開発にも貢
献することが規定できる。
実用化に向けた課題
• 現在、デバイスのプロトタイプは完成している。如何に、
大量生産するか、が鍵となる。
• 今後、未分化細胞だけでなく、分化細胞、分化誘導など
も検討していく。
• スクリーニングの際の、細胞応答の測定法も併せて検討
していく。
企業への期待
• マイクロ流体デバイスの量産化技術により、よりコスト削
減が可能
• 化合物スクリーニングの新規展開を考えている企業との
共同研究を希望
• 新規細胞アッセイ系の開発を行っている企業との共同研
究も可能
• 従来の細胞アッセイ系にも、本技術が応用可能であり、
キットとしての製品化が可能であると思われる。
本技術に関する知的財産権
• 発明の名称 :細胞培養足場基材、マイクロ流体デバイス及びそ
れを用いたハイスループットナノファイバースクリー
ニング方法
• 出願番号
:特願2013-263585
• 出願人
:京都大学
• 発明者
:亀井 謙一郎、眞下 泰正、劉 莉、陳 勇
• 発明の名称 :マイクロ流体デバイスを用いたヒト多能性幹細胞
の微小3次元培養法
• 出願番号
:特願2014-034166
• 出願人
:京都大学
• 発明者
:亀井 謙一郎、陳 勇
お問い合わせ先
関西TLO(株) 星安 紗希
【京大オフィス】
TEL : 075-753-9150 FAX : 075-753-9169
【京都駅前オフィス】
TEL:075-353-5890 FAX :075-353-5891
E-mail:hoshiyasu@kansai-tlo.co.jp