2光子吸収を用いた距離変位計測 および光ファイバ給電センサ 国立大学法人 東京農工大学 大学院共生科学技術研究院 先端電気電子部門 講師 教授 田中 洋介 黒川 隆志 1 内容 1) 2光子吸収を用いた距離変位計測 ------Si フォトダイオード1個で高精度計測 2) 光ファイバ給電センサ ------光センサの耐雑音性と電気センサの多様性を 融合、低電力で汎用性の高いセンサ網 2 1) 2光子吸収を用いた距離変位計測 研究背景 ☆研究分野 レーザ測距---光波の位相、パルスの伝搬時間から距 離、変位を計測する技術 ☆提案する距離変位計測の研究を手がける理由 簡素な構成で高精度な距離変位計測を実現する ため。具体的には、~100m遠方の距離変位をサブ mmの高精度で計測可能な変位計 3 技術内容 二光子吸収を利用した距離変位計測装置 強度変調光 測定ターゲット レーザ(近赤外) 反射点 ①二光子吸収応答 hν hν 赤外光 i ∝ P2 強度相関 ②変調周波数掃引 Si-APD ③反射点ΔLの算出(フーリエ変換) 光電流(強度相関) 変調信号νm c (ΔL = 距離) 2nΔL 変調周波数 νm 4 検証実験 レーザ λ1 λ2 10 km 光ファイバ ~6m 反射点 デジボル 光増幅器 Si-APD PC スペクトル強度 [a.u.] 光ファイバを用いた長距離反射点計測 2000 約6m 1000 0 10.15 10.20 10.25 ファイバ長差 [km] 10.30 10km遠方で6mの距離差を確認 5 空間距離計測 実験室内では、10m遠方の空間距離変位を10-5 オーダーの精度で検出 今までの実験から、100m遠方の距離変位でも計 測可能(実験施設が現在ない。) 6 従来技術と問題点 既に実用化されている距離変位測定装置として、 「トータルステーション」が各社で販売されている。 しかし、 光源となるパルスレーザのジッター 強度相関測定部が高価で複雑 等の問題から、高精度の製品は非常に高価なも のとなっている。 7 新技術の特徴・従来技術との比較 • 従来技術では、距離変位測定の心臓部とな る強度相関器に高価で複雑な高周波回路が 必要。パルスレーザのジッターも問題。 • 本技術では、強度相関器として受光素子の 二光子吸収を利用することで、測定精度を下 げることなく、システムの簡素化、小型化、コ ストの低減が可能。CW光を用いるのでジッ ターの問題もない。 8 想定される用途 変位測定装置 反射鏡 パイプラインや鉄道のレール 反射鏡 変位測定装置 パイプライン、レール等の歪み監視 トンネルの歪み検知 様々な構造物の歪み検知の他、地殻変動の監視 などの応用が考えられる 9 想定される業界 • 想定されるユーザー 計測機器メーカー 測量、計測専門会社 大型構造物を作製する建築業界 プラント関連 10 実用化に向けた課題 • 現在、GPIB制御系での自動測定まで完成。 更なる高精度化に向け、専用の制御系によ る測定の高速化が進行中であり、今後の課 題となっている。 • 現在10mの空間距離変位測定は実験室内で 検証しているが、100mの測定は施設の関係 で行っていない。今後、検証の必要あり。 11 企業への期待 • 高速データ処理のための回路技術を有し装 置化が行えるメーカーや、市場のニーズを把 握していると共に、長距離での評価実験が可 能なレーザ測距関連メーカーとの共同研究を 希望 12 本技術に関する知的財産 発明の名称 :距離計測装置 出願番号 :特願2006-026422、特願2007-205949 出願人 :国立大学法人東京農工大学 発明者 :黒川、田中、塩田 発明の名称 :距離測定システム 出願番号 :PCT/JP2007/054617 出願人 :国立大学法人東京農工大学 発明者 :黒川 13 2) 光ファイバ給電センサ 研究背景 ☆研究分野 センサネットワーク---無線、または有線を利用し、様々 な環境情報を取得するセンサ網 ☆ファイバ給電によるセンサ網の研究を手がける理由 ○バッテリ不要でメンテナンスフリー、 ○電波の届かない場所でも使用可能、 ○低電力、 ○広範囲にわたり多数のセンサ配置が可能、 なセンサ網を実現するため。 14 技術内容 光ファイバ給電 によるセンサ網 センサノード インタフェース 光分岐 DC電力 マイクロ プロセッサ 太陽電池 光信号 センサ多種 MEMS 反射鏡 光変調器 監視装置 レーザ 信号モニター 光ファイバ センサ ノード センサ 15 開発したセンサノード Sensor node 60mm m 80 m 50mm Temp. Sensor MEMS mod. Optical power 16 従来技術と問題点 既に実用化されている有線タイプのセンサ網は センサノードに信号発生用の光源を有し 消費電力が高く、センサ台数が制限される。 また、バッテリーのメンテナンス 等の問題がある。また、開発が進んでいる無線 タイプのセンサ網は設置が容易な反面、 バッテリーのメンテナンス 多数のセンサの広域配置 等に問題がある。 17 新技術の特徴・従来技術との比較 • 従来技術では、センサノードのメンテナンス、信 号発生光源の電力消費量の大きさ等が問題 • 本技術では、監視側からレーザ給電を行うため バッテリ交換等のメンテナンスは不要。MEMS等 の低電力光変調器の使用により、ノードでの電 力消費が大幅に低減。 1台のレーザで~100台 のセンサを駆動。 μプロセッサ制御のノードによ り汎用性拡大。 18 想定される用途 プラント内 の安全管理 ビル内の 防災監視 光信号 光ファイバ 大気監視 NOx 光ファイバ センサノード 監視側 給 電 光 ピピピ A地区で光化学 スモッグ発 生!! レーザ 下水増量による 都市洪水監視 水位センサ 水流センサ 19 想定される業界 • 想定されるユーザー センサー機器メーカー 計測機器メーカー 光製品関連企業 ビルディング、プラント、輸送システム、下水道等 の保守管理会社 20 実用化に向けた課題 • 現在、250μWで動作するセンサノード3台を利 用したセンシングの動作確認まで行っている。 • 今後、更なる低電力化やIC化、大規模センサ 網に適用するための最適設計とセンサ網実験 のデータ取得が課題。 • 無線ノードは現在開発中 信号モニタ レーザ 無線ノード (無線センサ信号受信) 光ファイバ 太陽電池 フィルタ 識別器 増幅器 光変調器 21 企業への期待 • センサノードのIC化により、更なる低電力、低 コスト化が可能となる。そのため、IC化を行え る回路メーカーとの共同研究を希望。 • また、低電力光変調器の高性能化に向け、 MEMS技術を持つ光メカトロニクス関連企業 との共同研究を希望。 • 更に、大規模システム実験を行える企業との 共同研究を期待。 22 本技術に関する知的財産 発明の名称 :センサ装置 出願番号 :特願2007-075683 発明者 :黒川、田中 出願人 :黒川 発明の名称 :センシングシステム 出願番号 :特願2008-121600 発明者 :黒川、田中 出願人 :黒川、田中 23 お問い合わせ先 国立大学法人 東京農工大学 産官学連携・知的財産センター 島村 太郎 TEL 042-388 - 7283 FAX 042-388 - 7173 e-mail t-shima@cc.tuat.ac.jp 24
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