KISHIDAIA, No.92, Aug. 2007 島根県は我々を待っていた 貞 元 己 良 はじめに 話は,今年の 5 月中旬に遡る.新聞を見ていると広告欄に「日本航空ワールド・ バケーションツワー申し込みの特典」というのがあった.航空券を 2 ヶ月前の一定 期間にワールド・バケーションと言って申し込むと,早割りより更に 3 千円値引く という夏休み特別企画だった. 今年の東京クモ談話会の合宿は,島根県の温泉津温泉で行われると談話会通信 に書いてあったので,私は早速参加の申し込みを返信するとともに 5 月 19 日に行 われた談話会の観察会に,この新聞広告を持って行った. 役員の谷川さんに新聞広告を見せると,「貞元さん,これはネ.マイレージ会 員になっていれば発売の一週間前にインターネットで取得できるのです.」と目が 点になるような回答. 私はすかさず「じゃあ,私の分も往復でお願いします.」と懇願するも,隣に いた役員の新海明さんが「私も谷川さんに頼んだのですが,会員以外はダメだそう ですヨ.」という悲しい回答.更に谷川さんは済まなそうな顔で「この特別企画は 発売前の一週間で会員により満席となり,一般売出し日には席がないので普通の早 割り料金の席かキャンセル待ちぐらいしか期待できません.」と,追い討ちをかけ るような発言であった. 私は意気消沈し自宅に帰り妻に相談したところ,妻は「私,マイレージ会員だか ら明日,旅行代理店に行って交渉してくるワ.」という頼もしい発言で救われた. そして,3 日後旅行代理店から「ご希望の航空券が取れました.」と,嬉しい連絡 が入った. 長引く梅雨 今年の梅雨は例年になく長雨で,特に日本海側の地方には河川の増水と土砂災 害に見舞われ,我々の行く島根県を含む山陰地方も死者をも出す大災害になってい た.また採集旅行前日から当日にかけての天気予報でも降雨が予想され,散々たる 合宿になるのは目に見えて明らかだった. 実は私は昨年の佐賀県合宿には参加していなかったが,伝え聞いたところによ れば昨年も 3 日間の合宿期間中すべて雨で,面白いクモが採れなかったそうである. 1 今年もその二の舞かと懸念されていたと後日,新海明さんが述べていた. 1 日目 7 月 21 日金曜日,例年であるならば 7 月最後の土,日,月が談話会の合宿と決 まっていたが,今年は一週間前倒しで日取りも金,土,日と変更され,これが吉と 出るか凶と出るか「神のみぞ知る」という挑戦的日程であった. 朝 4 時半に目覚めた私は自室から外を眺めた.降ってない,曇っているけど雨 は降っていないと確認すると,心もウキウキ晴れやかに,ひとり朝食の準備をしな がらテレビをつけた.テレビの天気予報では山陰地方「曇りのち雨」,私のいる千 葉県は・・・「曇りのち雨」.但し雨の降り始めは午前 9 時以降とある.とりあえ ず空港まで止んでいてくれれば OK と思いつつ洗面所で顔を洗っていると,起きて きた妻が「駅まで車で送るワ」と言う.「大丈夫,大丈夫」と返す私の言葉に,妻 は怪訝そうな顔で「だって雨・・・降っているワヨ」.「えっ!」あわてて外を見る 私.いつの間にか外は土砂降りの雨に変わっていた.「天気予報の嘘つきー.」 午前 6 時丁度,土砂降りの雨のなか JR 津田沼駅前から羽田空港行きのリムジ ンバスに乗り込み約 1 時間後の午前 7 時に空港へ到着.搭乗手続きを済ませ,出 発ロビーでゲートが開くのを約 1 時間待つ.その間,土砂降りの外を尻目にロビー 内の大画面テレビの天気予報を眺めていると島根県松山市で土砂災害により 1 名 死亡との報道を聴き,「ここに行くんだー.大丈夫かなー.」と不安な気持ちにな った. 午前 8 時 20 分,定刻で飛行機は出発したが滑走路が混雑していて,実際に飛び 立ったのは午前 9 時を回っていた.約 1 時間後の午前 10 時 5 分飛行機は無事「出 雲空港」へ着陸した.出雲市は,雲の切れ間から若干の薄日が差し,曇りながらま ずまずの天気であった.空港でレンタカーの予約を入れていたので係員とともに約 1 キロ離れたマツダ・レンタリースへ行き,今回の旅行の足となるマツダ・アクセ ラ 1500 ㏄を借りた. レンタカー屋の係員に島根県の天気について尋ねたところ,午前 9 時ごろまで 雨が降っていたそうだ.係員に何処まで行くのか,質問されたので「温泉津温泉」 へ行く旨を説明したところ,「カーナビは国道 9 号線を走るよう指示するが,地元 の者が近道として使用する舗装された農道があるから教えましょう.」と親切に走 りやすい道を案内され,これに従い大型トラックもすれ違えるほどの広い農道をカ ーナビの音声指示を無視しながら,ひたすら走り続けた.約 20 キロ近く走ったと ころで急に道が狭くなり人家の多い小道に枝分かれし始めたので,これ以上は限界 と感じカーナビの音声指示に従い国道 9 号線に入り温泉津温泉方向へ走ったが,暫 らくして停止灯を振る数名の作業員に停止を求められた.「これ以上先は,土砂崩 れで通行できません.迂回路は少し戻り,シンジ?交差点を右折し国道 54 号線を 広島方向へ行き,何とか?を右に曲がって,オオダイ?方向へ行って下さい.」と 2 殆んど意味が分からぬ説明を聞く.とりあえず,54 号線まで戻れば良いのかと合 点し車を転回させ,絶叫に近いカーナビの音声指示を無視しながら国道 9 号線を出 雲空港方向へひたすら走った. そして気がついた.「何が,少し戻れば・・・だ!」.結局,レンタカー屋を 過ぎ,出雲空港も通り過ぎた先に国道 54 号線はあったのだ. 54 号線に入って少し走ったところで尿意をもようし,コンビニを見つけ小休止. 時計を見たら午後 0 時 45 分だった.そういえば,と思い出し「次の東京からの飛 行機が昼丁度ころに到着する」と記憶していたので,携帯電話で谷川さんへ架けて みた.電話に出た谷川さんは「空港のレストランで食事中です.」との回答だった ので道路が通行止めになっている事と迂回路を伝え電話を切り,コンビニの駐車場 で簡単な昼食を済ませてカーナビの地図メーターを拡大し,温泉津温泉方向へ最も 近い道を自分の勘で走って行った. 午後 3 時 15 分,走行距離 163 キロメートルをかけて温泉津温泉「輝雲荘」に 到着し,駐車場へ車を入れた.当初の予定は空港から旅館まで約 50 キロ,時間に して約 1 時間半.旅館到着は午後 5 時を目指しつつ途中数箇所で採集を行ってい く予定であったが,車の運転だけでクタクタであった.駐車場の車の中でボケーッ としていると間もなく,初芝一家と同乗者 2 名を乗せた車が駐車場に入ってきた. 初芝さんの下の娘アイちゃんは,車から降りて私の顔を見るになり「あっ,熊田さ んだ!」と叫んだのでさらに疲れが増幅した.アイちゃんは谷川さんと新海明さん は間違えないが,この二人以外の人には取りあえず「くまださん」と声を掛けるク セがあるようで,私以外にも被害者は沢山いると思う. 旅館の部屋に荷物を置き,夕食は 6 時からとの仲居さんの説明を聞いたので衣 服を着替え時間まで温泉街の散歩に出掛けた.しかし自然と脚は緑の濃い方へ濃い 方へと進み,気が付くとクモを採っていた. 午後 5 時半ころ旅館に戻ると,部屋には同室になったサラグモ研究の安藤さん と最近キシノウエトタテグモの分布を調べている八幡さん,正確には八幡さんの荷 物が到着していた.間もなく八幡さん本人も現れ,6 時少し前に呼びに来た仲居さ んに案内され食事の席に着いた. たまたま隣に座ったのは,「池田君」という大阪から来た小学校 6 年生だった. 実は,彼と逢うのは初めてながら,彼のスゴイうわさは聞いていた.新海明氏の子 供のころを彷彿させ谷川明男氏と対等にクモ談義をしてしまうという将来有望な スーパー少年である.今回,彼の父親とも話しをしたが彼のクモ好きは幼少 3 歳の ころに始まり普通,絵本を読んで成長するところ彼はクモの図鑑と文献で生活して 来たそうである.まさに神童というのは彼のような人物を指すのであろう. 午後 8 時 0 分,夜間観察出発.今回の合宿参加者約 20 名は 5 台の車に分乗し, 夜間観察の場所である島根県江津市浅利海岸の宝殿ヶ鼻という浜辺に日本クモ学 会会長に就任された鶴崎さんの先頭案内の元,イソコモリグモを探しに出掛けた. 3 従来イソコモリグモの日本海側の南限は鳥取県までで,昨年のクモ学会兵庫県大会 に出席した際,鳥取空港でレンタカーを借り記録のあった鳥取砂丘より南側でイソ コモリグモを探した経緯があり,その時は巣穴だけは見つけたものの本体の発見は 出来なかったので,その場所より遙か南側に位置する今回の場所で,果たして居る ものかと半信半疑であった.しかし,居たのである.私の左斜め前方を歩いていた 新海明さんが,「巣穴を出てエサを取っている.」と声を上げ発見した.私も間近 で見せてもらったが確かにカッコイイ,イソコモリグモであった.新海明さんは「皆 を呼ばなければ」と言いつつ大声を上げたものの,「こっちにもいまーす.」・「こ っちの方が大きいでーす.」と言う喜びの声にかき消されていた. 午後 10 時,終了.もう 1 時間は延長したいと思いつつ世話役さんたちの言葉に は逆らわず,素直に車に乗って旅館へ帰った.午後 10 時 45 分ころ部屋で荷物の 片づけを行い明日の準備を整え,温泉と称する風呂場へ向かった.入浴中,多分 11 時ころと思うが旅館の男性従業員が風呂場を覗き「お客さん,11 時から女性専 用になります.」と告げてきた.入浴者は私一人だったので,慌てて着替えて出た. その後は,恒例の飲み会クモ談義に加わり,就寝は午前 1 時半を回っていた. 2 日目 午前中の観察会 自分の計画では,朝 5 時に起きてクモの採集に出掛けるつもりであったが,つ い昨夜は池田君のお父さんに付き合って「日本酒」を飲んでしまい,目が覚めたの は 7 時半を回っていた.窓から空を眺めると薄雲は出ているものの天気は上々であ った.洗面所で顔を洗っていると仲居さんが「朝食の用意が出来ました.」と呼び に来たので,これに従い朝食の席に着いた. 午前 9 時 0 分,観察会出発.乗車区分は昨夜と一緒で,私の車には横浜の主婦 佐藤幸子さんと千葉の主婦工藤泰江さん,泉宏子さんが乗車した.車は,先頭案内 役で谷川車が 1 号車,広島県でナミハグモの研究をする井原さんが 2 号車,3 号車 は私,4 号車クモ談話会事務局担当の初芝さん一家,後抑えは昨日のイソコモリグ モ発見功労の鶴崎さんがしんがりで並び,本日最初の場所である島根県大田市五十 猛(いそたけ)へ向かった.約 20 分後,国道 9 号線から脇道に逸れて入り組んだ 水田地帯を進み,車 5 台が駐車できる空き地に入り車を止めた.車を降りた谷川さ んが一言「道,間違えました.ここは五十猛ではなく,最後の日に来ようと思って いた仁摩町宅野という場所です.どうしましょう.」と.しかし全員車から降り, 採集の準備態勢も整っていたことから「クモが居れば何処でやっても同じです.」 と言う言葉で救われ,ここで本日最初の採集観察会が実施される事となった.空は 太陽を覆う雲が無くなり,夏の日差しがサンサンと輝く絶好の日和だった. 最初私はビーティングを試みていたが,太陽の光が強く一気に気力・体力が消 耗し日陰を求めハンド,ソーティングに切り替え,葉の下ばかり探っていた.見渡 4 す限りの水田地帯の強い日差しの中で元気に歩き回っているのは,池田君親子と新 海明さんだけだった.付け加えるならば八幡さんは私の視界からはいつもいないの で,集合時間で現れるまで何処に行っているのか見当もつかないが,多分ケモノ道 を辿って奥へ奥へと入っていると思われる. 時間にして約 2 時間,皆それぞれの場所で採集観察を行っていたが,いつの間 にかほぼ全員が日陰の小道に座り込み自分の採ったクモを見せ合い同定を確認し, 和気あいあいとしたムードで午前の観察会を終了した.車を止めた場所でクモあわ せを行い昼食場所に移動することとなった. 採られたクモの中で珍しいものとしては,初芝さん一家が採取したオオクマア メイロハエトリや工藤泰江さんが採集したサヤヒメグモ,池田君が採集したアカイ ロトリノフンダマシなどが挙げられる. 昼食 昼食は,車で約 10 分走った場所にある「サンド・ミュージアム」という施設の 敷地内で摂る事となっていた.この施設の駐車場に車を入れ全員が車から降車した ところで,1 台の京都ナンバーが同駐車場に入って来て我々が止めた車の横に同じ く駐車した.車の形が特徴的な国産のオフ・ロード車で全員がこの車の動きを目で 追っていたが,降りてきたのは懐かしい顔であった.金野君,畑守さん夫婦と二人 のお子さんたちである. 食事場所は,当初の予定では施設内のグランド脇のベンチに座って食べること になっていたが地元の野球少年たちに占拠されて居たので,仕方なく屋根の付いた 洗面所前の広間の床にドカッと座り,配られた旅館特製弁当を広げて食べた. 午後の観察会 食後,駐車場に移動した我々一行は新たに金野一家を加え 6 台の車に分乗し, 車で約 20 分走った大田市湯里矢滝(ユノサト,ヤタキ)という,若干山間部に入 った渓流沿いで午後の観察会を行った.しかし山間部は連日の長雨の影響で,渓流 は増水し地表面も土壌に染み込んだ雨水があっちこっちで噴出し路面を濡らし,一 歩踏み込め無い難しさがあった.また,造網性のクモの成長も遅れているようで, ヤマジドヨウグモやオニグモ系のクモが軒並み幼体しか見られないのは残念であ った.私自身の収穫としては,ナガエヤミサラグモに酷似したヒゴヤミサラグモ(伊 原氏の同定による)や現地で新種と騒がれた紅いヤマジグモなどを採集した. ここでのエピソードとして,観察会が終了しほぼ全員でクモあわせをしている 時,私が何気なく目をやった崖地にユウレイグモの姿を発見.すかさず,左手に空 のビンを持ち右手にピンセットを持ってクモを採集していたら,この様子を間近で 見ていた工藤泰江さんがイキナリ私の右手を掴んで押さえ「今,手の甲で触れてい る蔓はツタウルシよ.」「えっ?」「すぐに,水で流しなさい.石鹸で洗ったりし 5 たらダメよ,かぶれが全体に広がってしまうから.」と,親切に教えてくれた.以 前,北海道へ熊田さんとクモを採集に行った時,山の中で邪魔な草を根堀で払って いたら,近くに居た熊田さんが「貞元,いま手に持っているのはツタウルシだ!早 く捨てろ,かぶれるぞ.」と叫んでいたが,熊田さんのいつもの悪ふざけと早合点 した私はそのまま無視していた.暫らくして小川の水で顔を洗いツタウルシに触れ たと思われるタオルで顔を拭いていた熊田さんが「何か,顔がヒリヒリする.」と 言い,その日旅館へ帰って風呂に入った熊田さんの顔は真っ赤だった.翌日それは 顔が変形するほど赤く腫れあがり,病院へ直行したら漆かぶれと診断されたことが あった.その日の内に,当時東京都内に住んでいた熊田さんの奥さんの理恵さんに 電話を入れたところ「また! もう 5 回目よ.ツタウルシの側に寄らない様に言っ て.」と,大笑いされたのを覚えている.その時,私はというと,手の甲に若干の 炎症の様なものが出たが翌日には消えていた.つまり,私は特異体質の様でウルシ に触れてもかぶれないのです.工藤さんには「ハイ・ハイ,分かりました.」と一 応返事だけはして置きましたが,説明不足でした.申し訳ありません. オプション・ツアー 午後 3 時に午後の観察会は終了した.しかし,これで納得する私ではない.何 処かへ行きたい,という気持ちを目で訴えていたら谷川さんが察したのか,「もう 少し,採集に行きたい方はいますか.」と質問した.手を上げたのは私と池田君だ けだったが,池田君は保護者のお父さん付きだったので私と池田君親子の 3 人と案 内役の谷川さんの 4 人がオプション・ツワーに参加することとなり,新海明さんが ほぼ全員を配車し直して旅館に引率し帰宅することになった. 先ほどから,「ほぼ全員」と表現しているのには訳がある.集合時間に必ず 1 人足りない状況が毎度の事ながら発生しており,誰であるかは全員が分かっている ものの彼のクモ採集に掛ける情熱と執念はマネが出来ないと,東京クモ談話会の会 員であるならば理解しているので,彼の保護者でもある谷川さんが責任を持って連 れ帰るという言葉を信じ,ほぼ全員がその場を後にしたのである. 池田君親子には強い日差しを避けて私の車に乗って頂き,「もう 1 人,帰って 来ないので待ちます.」と説明したが,池田君は合点がいったらしく「八幡先生で すね.あの方,渓流の上の方の支流に登って行かれるのを見ました.自分たちも近 くまで行ったのですがマムシが居たので危険を感じ行きませんでしたが,八幡先生 は更に奥へ入って行かれました.凄いですね.」と,大阪弁で驚いていた.更に私 は池田君に「何か,面白いクモいましたか.」と質問すると「ハイ,トゲグモがた くさん居ました.」と答えるので「是非,見たい.」と請願すると,池田君は快く 「近いですから,見に行きましょう.」と引き受けてくれた.谷川さんに一言告げ て行こうと思ったものの,谷川さんは山の方へ入った八幡さんを探しに行ったらし く姿が見えなかった.私たちは車を離れ,車道沿いに山を少し下ったところで「こ 6 の先に見える杉林にトゲグモがたくさん居ました.」と説明を受け,もう一歩,足 を踏み出そうとしたところで,後方から谷川さんの呼ぶ声が響き一言断って行けば 良かったと後悔しつつ,車のところへ戻ってきた.山を降りてきた八幡さんは「ず ぶ濡れなので,旅館に帰りたい.」と泣きながら懇願するも谷川さんがこれを許さ ず,谷川さんの車に乗せて次の採集場所に移動した. 移動時間は約 20 分で,今回の島根合宿で役員さんたちの一番の「お勧め地」で ある大田市五十猛に着いた.この場所は開けた海岸脇に若干の集落があり,その裏 側に単線ながら鉄道が走り線路を越えると水田地帯があって,この水田地帯の周囲 が雑木林になっているという環境でイセキグモやツキジグモ,ツケオグモなどが出 てもおかしくない状況であり,「お勧め場所」であることが納得できた. すっかり,この場所の虜になりヤル気満々の八幡さんと池田君の闘志を目の当 たりにした私は,とてもこの二人には敵わないと感じて集合時間を確認し,ひとり 線路沿いの道を集落方向に向け「勘の働く場所」を探しに歩いて行った. 約 1 キロ歩いたところで集落も通り過ぎ,線路はトンネルに入り,道は小高い 丘か山へ入る雰囲気であった.道路脇の草は極最近刈り取られた様で,目の届く位 置に見えるススキの葉裏にシロオビトリノフンダマシのシロオビ型やクロ型が多 数見え,谷川さんが「研究用にトリフンがたくさん欲しい.」と言っていたのを思 い出し,手の届く限り採れるだけ採集した.途中,草むらの中に石段を見つけ登っ て行くと「お墓」だった.お墓の中を隈なく見て回ったところ,生えていた植物の 先端でヒメグモ系のオスを採集,オダカグモのオスと判断していたが,自宅で顕微 鏡の下で見たところヒシガタヒメグモのオスであった.このお墓では,アズチグモ のメスオス成体,コガネグモのメス成体などを採集した. 午後 5 時 30 分, 時間通り集合した私たち 4 名は自分の採った成果に大満足し, 旅館への帰宅の徒に着き,到着即,夕食だった. 夜間観察会 午後 8 時 0 分,旅館の前に集合し徒歩にて山側に向け出発.立ち並ぶ旅館の明 かりに誘われて来た無数の昆虫が,イエオニグモやズグロオニグモの網に鈴なりで 絡む姿を観察し,旅館の壁や塀を太くてでかい無数のヤモリが闊歩している姿も観 察した.私たちが宿泊していた旅館から 50 メートル程度山側へ進むと温泉街がは ずれ,道路の下をくぐるトンネルを越えると街路灯も無い真っ暗な闇が支配する世 界が広がっていた.山へ通じる道の両側は杉林で左手に川が流れ,右側は急な斜面 であった.川側の斜面は,連日の雨で増水していたらしく上流から流れて来たと思 われる無数の材木片と土砂のような堆積物で足場が悪く,懐中電灯の明かりだけで 歩くには非常に危険であったので山側を中心に採集を行った.後で聞いた話では, 若干 1 名がこの川辺を歩いていて足を踏み抜き,腰の辺りまでズブズブと沼のよう なところに引き込まれたそうで,ずぶ濡れになって脱出してきたそうである.誰で 7 あるかは,敢えて言わないが. 私自身は,途中で皆を追い抜いてひとり山の奥へ奥へと入って行ったが,暫ら く行くと杉林が無くなりススキの茂った台地の様な所に出たので,約 3 メートルの 高さの壁のような斜面に助走をつけて駆け上がり一面にススキの生えた野球場ほ どの原っぱに佇み,目の高さを低くして懐中電灯を水平方向に向けた.するとシロ オビトリノフンダマシがそこら一面に網を張っている姿が浮かんできた.私も一度 にこんな沢山のシロオビトリノフンダマシを見たことが無く,一種の感動を覚える 光景だった.何頭かを谷川さんへのお土産に採集し,はるか遠くに見える雑木林と の接地点を目指し,開けた歩き易そうなところを選びつつトリフンの網を避けつつ, ひたすら歩いた.約 10 分後,目的の場所まで後 20 メートルほどに近づいた時, ライトの光の先端に動物の二つの目が,私を睨んでいるのが分かった.二つの目は 雑木林の中から見ているようで,光に体が映らないものの目の高さからしてキツネ 若しくはイヌと思われたが,万が一クマだったらという考えが頭をよぎったところ で恐怖心が先に立ち,ライトを胸の前で固定し動物の視線を照らしながら来た道を 少しずつ後退りして行った.実は,昨年の兵庫県のクモ学会の後で立ち寄った鳥取 県との県境付近で,山の休耕田のような場所でクモを採集している時に誰かが先に 歩いているらしく草が倒され踏み固められた状況があって,何気なくその踏み後を 辿って行ったところデッカイ糞が転がっており人間じゃない!と直感し,あわてて 逃げてきたことを思い出し,クマを連想してしまった.実際には,何であったのか 分からないが,知らない土地ゆえ関東の山と同じ感覚では,いけないと反省しつつ 時計を見たら集合時間だったので,下山する事にした.下山途中,先ほど 3 メート ルの斜面を駆け上った所で足を踏み外し 2 メートルほど転げ周り,大事な標本ビン と生きたクモの入ったガラス瓶は拾い上げたものの採集用ピンセットを失くして きたようで,残念なことをした. 急いで山を降りて行くと,トンネルの手前で既に皆さんが集合しており,新海 明さんが私の姿を見るなり「最後の一人が来ました.帰りましょう.」と告げ,観 察会は終了となった. 旅館に到着後,旅館が用意した広間に集合した私たちは,ここでクモあわせを 行い,更に恒例の宴会へと突入していくのであった. 入浴と就寝 午後 11 時少し前,私は風呂に入りに行こうと思い立ち,風呂道具を抱え風呂場 へ直行した.風呂場は女性用ののれんが懸っており,入れぬままウロウロしている と女性従業員が「入りますか?」と尋ねてきたので「汗と土でドロドロです.早く 入りたいデース.」と冗談っぽく言うと,従業員は「まだ,入ってらっしゃる方が 居ますので,お待ち下さい.」と言われたので,風呂道具一式を抱え宴会場に戻り 雑談をして時間を潰した.しかし後で聞いた話では,この時,風呂に入っていたの 8 は工藤泰江さんで,女性従業員から早く出るよう促されたそうで,入ったばかりで 満足に体を洗う暇なく湯船にも浸からぬまま出てきたらのれんが男性用に代わっ ていたそうだ.今だから申し上げたい.全部,私のわがままでした.申し訳ありま せん.当時はそんな事情も分からぬまま,風呂に入りさっぱりした体と気分で午前 1 時ころまで宴会に興じ,おおいにクモ談義をして時を過ごしてから寝た. 3 日目 午前中の採集会 前日の有志の方々の採集報告により,関東では殆んど見ることの出来ない割と 珍しいクモが発見されていたので,三日目の午前中は谷川さん,新海明さん方役員 の「お勧めの場所」である大田市五十猛に全員がやって来た. 私は,特にへそ曲がりではないが何と無く足が向かず,案内された場所とは違 う方向に歩いて行った.実は,観察会はここが最後で午後には飛行機に乗って東京 へ帰る予定であったので,観察会用の作業服から普段着に着替えて旅館を出発して いたことから服を汚すことは避けたかった.車を駐車した場所から 10 分ほど歩い た所に「五十猛」という無人の駅があり,この駅舎を中心に採集を行った.私たち が島根に来るまで,この地は長雨にたたられており雨を避けるために人工の構造物 にクモが入り込んでいた可能性が高いと判断したのも理由の一つである.思ったと おり,コガネグモやオニグモ,ヤホシサヤヒメグモ,セスジアカムネグモなどが採 れた.コガネグモは初芝さんの息子タクちゃんが「欲しい.」というので,差し上 げた. 移動と出雲大社 採集時間は約 1 時間.飛行機の時間は 16 時 20 分だが,来る時もそうであった が大雨で道路が寸断されており,通行止めの場合迂回路を探し時間にロスが出るた め早目の行動が必要であった.しかし,三日間雨が降らなかったということで道路 も復旧しており,国道 9 号線は快適な道のりであった.途中,雲行きが怪しくなり 僅かな時間だか雨にも降られはしたが晴れ間も覗くなど変わりやすい天候であっ た.道の駅で休憩を取ったとき鶴崎さんや井原さん,電車で帰る方々らとは再会を 約束しつつ別れ,時間的にも余裕があったことから谷川車ら 4 台は出雲大社へ寄っ て,昼食を食べた後に解散することとなった. 出雲大社では新海明さんの説明で,名物は「おそば」とのこと.駐車場の入り 口に「蕎麦屋」が 3 軒並んでおり,車を止めて新海明さんに「どの店がお勧めです か.」と質問すると「向かって一番左側の店が人気で,前回下見に来た時も長い列 が出来ていました.」と言うので,この言葉を信じ私たちはお勧めの店に入った. しかし,当の新海明さんと谷川明男さんらは我々を尻目に隣の蕎麦屋へニコニコし ながら入っていった.担がれたのか騙されたのか分からないが,私たちの入った店 9 の蕎麦はコシガ強くツユが辛く,関東の人の口に合う代物ではなかった.大阪の池 田少年は独り温かいキツネうどんを頼んでおり,「それが正解!」という感じであ った. 昼食後,私と工藤泰江さんと佐藤幸子さんの 3 名は連れ立って出雲大社の中を 散策し,大社の裏側で若干のクモを採集し集合時間の午後 2 時に間に合うように駐 車場に帰ってきた.その後,空港に寄りレンタカーを返して飛行機に乗り,私たち の合宿は終了した. おわりに 普段,私たちが合宿で利用する宿泊施設は中,若しくはそれ以下と相場は決ま っていた.部屋も必ずたこ部屋で 4∼6 名は当たり前,食事も期待を裏切らない程 度のものが多かった. しかし,今回の宿泊施設は豪華であった.温泉津温泉は,日本海に面した漁港 から山側に少し入った閑静な佇まいの温泉街で二階建て以上の家屋が無く,どの旅 館も歴史を感じさせる古風な造りを保っていた.一泊目の夕食はタイの姿焼きをメ インに,前菜,お造り,煮物,揚げ物,吸い物,香物,ご飯,デザートの順で整然 と出され,我々が夜間観察の出発を控え,ご飯を先に出して欲しいと所望し料理人 を慌てさせた事は誠に申し訳ない.本来ならば食事前に入浴も済ませ,食事も目で 楽しみながらタップリ時間を掛けて酒を飲み,歓談するのが王道であろうが,我々 はそのような人種ではなかったのが残念であった.特に二泊目の夕食に出たフカヒ レをホタテのスープで煮た茶碗蒸し風の煮物は絶品で,生まれて初めて食べる味に 感激した. 旅館の中の温泉も明るく広々としており,疲れを癒すには十分な演出が施され ていた.ただ,日によって夜 11 時を境に男用が女用に入れ替わるシステムで,今 回欠席の風呂人永井亜紀氏が居たならば,どんな騒ぎが起きていたやらハラハラす る一幕でもあった. 私にとって島根県は初めて行く土地であったが,当日の朝まで降り続いた記録 的な大雨の影響で道路が寸断され,迂回路もいたる所で陥没,電柱の倒れ等で片側 通行を余儀なくされ難儀な旅であった.クモも長雨の影響で成長が遅れているよう で,思ったほどの収穫には及ばなかったのは心残りであるが,イソコモリグモの生 息確認や新種のヤマジグモの発見など明るい話題もあって有意義な合宿になった と思う.ひとえに,谷川明男氏と新海明氏の献身的な尽力と感謝している.おかげ で 3 日間,雨に降られること無く充実した毎日であった. 合宿最後の日,空港から飛行機に乗車し窓から外を眺めたら,外は土砂降りの 雨になっていた.正に,島根県は我々を待っていたのである. 10 KISHIDAIA, No.92, Aug. 2007 ヤマドリのそ嚢から発見されたワカバグモついて 教 生* 西 はじめに ヤマドリ Phasianus soemmerringii は日本列島の特産種で,北海道を除き本州 および四国,九州に留鳥として生息し,普通に繁殖する(中村・中村 1995).筆 者が山梨県都留市で行なっている鳥類調査でも周年観察され,幼鳥が確認されたこ とから繁殖している可能性が高いと思われた. 2007 年 2 月 1 日の早朝,都留市鹿留の鹿留川(標高 670m)で一柳英隆氏に よってヤマドリ(1 羽)の死体が拾得された.同日午後,筆者はその死体を譲り受 けた.同年 2 月 20 日,ヤマドリの仮剥製作製時にそ嚢から植物の種子とともにワ カバグモ Oxytate striatipes(写真 1)の幼体 1 が確認されたので,その発見状況 を報告する. 発見状況および考察 拾得されたヤマドリには外傷がなく,死因は特定できなかった.この個体は羽 色からメスの成鳥と思われた.仮剥製作製時に生殖器官を確認したところ,卵巣が 観察された.筆者は 2006 年 9 月,都留市田原で本種の幼鳥を拾得したことがある. その幼鳥と比較すると,今回の個体は背や尾羽の羽が鮮やかなことから,成鳥と推 定された.ヤマドリの外部測定値は以下の表に示した.測定方法は山階鳥類研究所 標識研究室(1991)による. ヤマドリ(メス・成鳥)の外部測定値(mm,体重は g) 自然翼長 210 尾 最大翼長 223 全嘴峰長 長 185 全 頭 長 64.6 全 長 470 33.4 ふ 蹠 長 55.3 翼 開 長 628 体 重 950 ワカバグモが発見されたのはヤマドリのそ嚢の内部からである(写真 2).そ嚢 は鳥類の食道の後端にある袋状の部分で,種子食の鳥類ではよく発達している.そ 嚢にはワカバグモのほかに,ヤマフジ Wisteria brachybotrys およびミズナラ Quercus crispula,アブラチャン Parabenzoin praecox などの種子が入っていた. ──────────── * 都留文科大学大学院(動物学研究室) 11 写真 2.ヤマドリのそ嚢 写真 1.ヤマドリのそ嚢内から発見された ワカバグモ ヤマドリは高い木の枝にとまって木の実や新芽を食べることもあるが (高野 1988) , 交互歩行をしながら地上の植物の芽や葉,種子や昆虫,クモ類,多足類および軟体 動物などを食べる(中村・中村 1995).今回,そ嚢から発見されたヤマフジおよ びコナラ,アブラチャンの種子は,ヤマドリの拾得時期から考えて地上に落ちたも のを採餌したと思われ,これらの種子とともにワカバグモを採餌したものと考えら れた.ワカバグモは都市部から山地まで広く生息し,庭園や公園,草地,樹林地や 林道沿いなどの樹木や草の枝葉間に潜む(新海 2006).ヤマドリが拾得されたの は 鹿 留 川 の 林 縁 部 で , 周 囲 に は ス ギ Cryptomeria japonica や ヒ ノ キ Chamaecyparis obtusa が植林されている.また,その周辺にはヤマフジおよび コナラ,アブラチャンが普通に生えている. そ嚢から発見されたワカバグモには外傷はみられなかった.先述のように,ヤ マドリの死体は早朝に拾得された.その時はまだ体温が残っており,前日の夕方は 同所に死体が落ちていなかった(一柳氏 私信)ことから 2 月 1 日の早朝に死亡し たと考えられ,死亡直前にワカバグモを採餌したと思われた. 謝 辞 甲野涼氏にはワカバグモを同定していただき,今回の報告の機会を与えていた だいた.一柳英隆氏には拾得されたヤマドリの死体を提供していただき,坂田有紀 子氏には種子の同定をしていただいた.高瀬裕美氏,肥沼健一氏,伊藤希氏には仮 剥製の作製にご協力いただいた.ここに記して謝意を表したい. 引用文献 中村登流・中村雅彦 1995.原色日本野鳥生態図鑑<陸鳥編>.保育社.大阪. 新海栄一 2006.日本のクモ.文一総合出版.東京. 高野伸二 1998.山渓カラー名鑑 日本の野鳥.山と渓谷社.東京. 山階鳥類研究所標識研究室 1991.鳥類標識マニュアル(第 10 版).山階鳥類研究所.我孫子. 12 KISHIDAIA, No.92, Aug. 2007 「Wanted !! このクモを探せ」 平 松 毅 久・初 芝 伸 吾 近年希少野生生物の保全の必要性が議論されるようになり,都道府県単位でレッ ドデータブックの刊行やそれに伴う調査が行われつつある.まだまだ少ないがクモ もレッドデータの対象分類群としてリストアップされている都道府県もありそれ はそれで喜ばしいことである.ただ問題がないわけではない.平松は埼玉県のレッ ドデータブックでクモ類を担当しているが,調査結果をまとめる際に感じたことは, これは何もクモに限った話ではないかもしれないが,レッドデータ種として保護を 必要とされる種の中で生息環境を具体的に表現することが困難なものがあり,生息 地の条件についてきわめて曖昧な表現を使わざるをえない場合が少なくない―と いうことである. たとえば埼玉県ではアシナガカニグモがレッドデータ種となっているが,このク モの生息環境に関するデータはあまりない.平松はやむなく図鑑も含めた文献の中 からの類推で「生息地の条件」や「生存に対する脅威」といった項目を埋めざるを えなかった.これは何もレッドデータ種になるような種ばかりでなく,記載された ばかりのクモや珍種とはいえないまでもあまり認知されていない目立たないクモ の場合も同様である. 以上の経験と目立たないクモを認知させたいという個人的趣味をもとに,誰にで もわかるようにクモの生息環境を表現できないかと思っていたが,初芝と話をする うち氏が比較的珍種とされるクモについて生息環境のデータをお持ちであること がわかり,メールのやり取りをした結果,ある程度統一したフォーマットを作って 種ごとのデータを冒頭のタイトルで Kishidaia 等に投稿しシリーズ化できればと いうことになった.フォーマットは以下に示す通りであるが,(4)生息環境内の 地帯区分,に関しては埼玉県の「さいたまレッドデータブック」(1996)の区分 に倣った. この試みは最初から完全なものを目指しているわけではなく,あくまで今後保全 が必要になった場合や,研究,採集のためのデータの蓄積として役立てればよいと 考えている.そういう意味では八幡明彦氏が提唱するようにより正確な確認地点の データを残すために将来的には GIS を用いることも視野に入れていきたい. なお, 「このクモを探せ」は筆者が現地で確認した情報のみを採用している.また,フォ ーマットの不備や現実にそぐわないなどの問題点があると思うが,諸兄のご批判, 13 ご叱正などによりよいものとなることを願っている. 「このクモを探せ」フォーマット (1)種名 (2)所属科 (3)特徴 (4)生息環境 (5)生息環境の写真と説 明 (6)採集時の注意点 (7)コメント (8)備考 このクモを探せ No.1 オオクマヒメドヨウグモ 平 松 毅 久 (1)種名 Diphya okumae Tanikawa 1995 オオクマヒメドヨウグモ (2)所属科 Tetragnatidae アシナガグモ科 (3)特徴 体長は 3∼4mm.体色はオレンジ,地表付近に開こしき円網(垂直>水平)を張 る.成熟期 5∼6 月. (4)生息環境 林床(針葉樹≧広葉樹).表面がやや湿って適度に落葉や小枝が積った場所.平地 ∼低山,標高 500m 以下.本種が多く見られる環境はスギ植林の林床である. (5)生息環境の写真と説明 写真 a:スギ林の林床.スギの枯葉や小枝が堆積し,キヅタが生えている.ような 場所に多い.写真 b:生息地のスギ林.適度に枝打ちされ,木漏れ日が林内に差し 込むくらいの明るさの林.写真 c:林冠は鬱閉しない.暗い林内には生息しない. 写真 a 写真 b 写真 c (6)採集時の注意点 地表付近に生息するので視線を低くすること.オレンジの体色が目印.振動ですぐ 地面に落ちるので採集時は下からクモの網ごと掬い取るのが確実. (7)コメント 比較的自然度の高い山林だけでなく,住宅地に残る雑木林にも生息する. 14 (8)備考 確認されていない都道府県も少なくないが,筆者の在住する埼玉県では複数地点で 確認(日高市,北本市,東松山市,皆野町各 1,小川町 3 地点)されていることか ら考えて,おそらく本州や四国,九州に分布する普通種と考えられる. 参考までに新海・安藤・谷川の県別クモ類分布図 Ver.2006 における本種の分布 図を添付する(図 1). このクモを探せ No.2 ヒゲナガツヤグモ 初 芝 伸 吾 (1)種名 Micaria dives (Lucas 1846) ヒゲナガツヤグモ (2)所属科 Gnaphosidae ワシグモ科 (3)特徴 体長は 2.5∼3mm,体色は虹色に光り非常に美しい,地表を徘徊している.成熟 期 4∼6 月. (4)生息環境 河川敷の乾燥した砂地の地表.草本の生育する地表や石の下,砂地.平地∼低山, 標高 650m 以下.本種が多く見られる環境は河川敷中流域(河原が広い地域)の 草地の枯葉下である. (5)生息環境の写真と説明 写真 a:河川敷の高水敷の草地.枯草が堆積した場所に多い.写真 b:河川敷の低 水敷の砂地. 写真 a 河川敷の高水敷の草地 写真 b 河川敷の低水敷の砂地 (6)採集時の注意点 草本があまり生えていない 4 月や 5 月が採集しやすい.草地の落葉をかき分けて 地表をじっと見る.比較的素速く歩き回るので,吸虫管やコップ等で採集すると確 15 実である.4 月あたりだと,歩き回らず石の窪みに薄い膜状の住居を作って,その 中に居ることが多い. (7)コメント 筆者は河川敷でのみ採集しているが,草地環境が保たれている公園や牧場などにも 生息している可能性もある. (8)備考 確認されていない都道府県が多いが,著者の在住する東京都国立市の多摩川の河川 敷(標高 55m 程度)に多く確認できること,山梨県の富士川の中流域(標高 650m) で確認できたことから考えて,おそらく本州全域に分布する普通種と考えられる. 参考までに新海・安藤・谷川の県別クモ類分布図 Ver.2006 における本種の分布図 を添付する(図 1). 図 1.オオクマヒメドヨウグモ(左)とヒゲナガツヤグモ(右)の分布図 (新海ら 2006 より) 16 KISHIDAIA, No.92, Aug. 2007 クモの網から餌を盗む「生きもの」たち 新 海 明 クモの網に放置された餌を盗むものとしては,同じクモ類のヒメグモ科に属する イソウロウグモ類がよく知られている.しかし,すべてのイソウロウグモ類が餌盗 み(盗食寄生)するわけではなく,オナガグモやヤリグモは「クモ食い」である. また,ホストの網に侵入して餌盗みを重ねる一方で,時と場合によりホストそのも のを襲うといった両方の捕食習性をもつイソウロウグモも存在する(新海 1998) . これに対して,クモの網から餌を盗む昆虫を中心とした「生きもの」(昆虫ばか りでなくハチドリでも知られている)に関しては,外国の文献では散見されるが, 日本では大串(1982),川田(1985),新海(1988),笹岡(1989),吉田(1989, 1990)らによって断片的に報告されているだけである.このうち,大串(1982) はスマトラ島での観察,川田(1985)はコラム記事である.クモの網から餌を盗 む「生きもの」たちに関しては吉田(1989,1990)がもっとも詳しく,外国での 報告も含めて網羅的に述べているが,日本での観察は吉田自身による 2 例だけであ った. ここでは,外国での先行研究を整理し,その後現在まで日本で観察された,クモ の網から餌を盗む昆虫やその他の生物についてまとめたものを報告する. (1)外国での記録 クモの網から餌盗みする昆虫としてもっとも著名なものはシリアゲムシである. Thornhill(1975)は米国のミシガン州でシリアゲムシ Panorpa 属の 9 種類を調 べ , こ れら の シリ ア ゲム シ が Mangora, Micrathena, シ ロ カ ネ グ モの 一 種 Leucauge などのクモ類の網に侵入し,ホストのクモに体当たりをしてその餌を強 奪するのを目撃している.そして,この多くは小形の劣位なオスだという.また, シリアゲムシがクモの網糸の上を歩行することや,バッタ類が捕らえられたときに 口から吐き出す黒褐色のタバコジュースと同様の腸内液を吐き出すことも観察し ている.そして,クモの網にこの液体がかかるとなんと網が溶けてしまうのだとい う.さらに,シリアゲムシはホストのクモによって捕らえられることがしばしばあ るという.それに対して,ホストのクモによって捕獲されるのはごくまれで,クモ の網上で餌を盗むシリアゲムシがより小さく劣位であることはないという報告も ある(Bockwinkel & Sauer 1993). 17 Robinson & Robinson(1977)は Phyllomyza 属のハエがアメリカジョロウグ モの網で示す興味深い行動を記録している.このハエはクモの背中に複数個体が静 止していた.止まっているクモの体の上で体液を吸ったり産卵したりするなどの行 動はせず,グルーミングや排便するだけであったという.しかし,ホストの網に餌 がかかり,クモがこの餌を捕獲して消化液をかけて食べはじめると,ハエはクモの 体から離れて餌の表面に群がり消化された液体をすすった.そして,食事後にハエ たちは再びクモの頭胸部へと戻ったのだ.この間にクモはハエたちに対して反応す ることはなかったという. この他にも,未知のハエ(採集できなかったので不明とのこと)がコガネグモの 一種の網で餌盗みしているのをロビンソン夫妻は観察している.このハエはいかな るときにもクモの体にとまることはなかった.どこからともなく現われたハエはク モと共に消化された餌を食べていたという.また,クモの卵に寄生することが知ら れている Conioscinella sp. や Neophyllomyza sp. といったハエも同様の餌盗み をしていたと述べている(Robinson & Robinson 1977). ハエの仲間がクモが捕獲した食事中の餌をなめに飛来するという記録は多く,タ マ バ エ 科 の Didactylomyia longimana は ア メ リ カ ジ ョ ロ ウ グ モ や Argiope aurantia,ナゲナワグモの一種 Mastophora bisaccata,Eriophora ravilla などの クモ類で観察され,ショウジョウバエ科の Paramyia nitens,Phylomyza sp., Neophylomyza spp.はアメリカジョロウグモの網で同様な行動をしていたという. また,彼らはこれらのハエがクモの消化液に誘引されている可能性が高いことを実 験的に示唆している(Sivinski & Stowe 1980). 鱗翅目の幼虫がクモの網上でそこに放置された餌を食べていたという記録もあ る.1903 年にポコック氏は集合性のイワガネグモの一種 Stegodyphus sp. と蛾 の一種 Batrachedra stegodyphobius との共生について述べている.この蛾は幼 虫はおろか成虫までこのイワガネグモの梳糸でできた網を歩きまわり,クモの餌を 食べているのだという.ヤガ科の Neopalthis madates は社会性のムレアシブトヒ メグモ Anelosimus exmius の網で同様な行動を示す(Robinson 1978).ロビン ソン氏はこの他にも世界各地で種不明の蛾の幼虫が社会性のヒメグモ類やスズミ グモの一種 Cyrtophora nympha やジョウゴグモの一種の網内などから採集され ていることから,鱗翅目とクモ類との間にこのような関係が広く存在しているので はないかと予想している. 半翅目のメクラカメムシの仲間は,ムレアシブトヒメグモの網内を自由に歩きま わり,網にかかった餌や死んだクモに口吻を差し込んで体液を吸うという(吉田 1989,1990).ハチ類のホソアシナガバチは,ヨコ糸をはしごを昇るように駆け 上がることさえして,クモの網にかかった餌を団子状にして持ち去るという (Jeanne 1972).スマトラ島のヒメハラホソバチなどでも同様な行動が報告さ れている(大串 1982).この他にも,昆虫類ではトンボの仲間がクモの網から餌 18 を盗みだすことも知られている(吉田 1989,1990). さらに,鳥類のハチドリも同様な行動を示すという. (Young 1971,ウォレス, 谷田・新妻訳 1987). (2)日本での記録 日本でも,クモの網にかかった餌を盗む昆虫などについて断片的な報告が数例あ る.川田(1985)はコラム記事として,フタスジチョウがクモの網にかかった同 種のチョウに対して口吻をのばしているのを写真撮影し紹介している. 吉田(1989,1990)はクロコバエの一種のオスが,タニマノドヨウグモの網に 侵入して,そこかかった餌の体液を吸っているのを観察している.笹岡(1989) はアオオニグモが捕らえた餌をラッピンしているときに,ハエの一種がその糸を巻 きつけたところにとまったのを観察しており,盗食寄生の可能性を示唆している. また,ヤマトシリアゲムシがシロカネグモの一種が捕らえた餌をホストに体当た りして強奪したり(新海 1988),シリアゲムシがシロカネグモの一種から餌とな っていたザトウムシを奪ったりすることも観察されている(新海 1989).さらに, シリアゲアリの一種がクサグモの棚網に侵入してそこに残された餌を盗んだり(宮 下 1995),アシナガバチがオオシロカネグモの捕らえた餌を団子状にして持ち去 った例(吉田 1989)や,ホソアシナガバチがオオシロカネグモの網にかかったヤ マトアブを肉団子にしていた例(新海 1988)などが目撃されている. 昆虫などの節足動物以外の生物がクモの網に侵入して,そこに放置された餌を盗 むことも報告されている.新海・梅林(1997)はコウガイビルの一種がクスミサ ラグモの皿網の中で餌を食べることや,糸上を歩行(移動)することを観察してい る.日本での先行研究は以上のようなものが知られているが,その後に筆者が確認 した例を加えて表 1 にまとめた. 外国産でも日本産でも,クモの網から餌盗みをする昆虫類はいずれもシリアゲム シ類,ハチ類,ハエ類が多く共通していた.しかし,鱗翅類の幼虫での例は日本で は知られていない.我が国での観察例が少ないのは,昆虫などによる盗食寄生の存 在例そのものが,クモ研究者などにまだよく知られていないことに多く原因があり そうだ.筆者一人でも 1986 年から 1996 年までの間に 11 例余り観察しているこ とから,より多くの目があれば今後まだ次々と同様の例が発見されるだろう.その ためには,造網性クモ類の網を観察するときに,その内外でクモ以外の生きものが 存在していないか,とくに餌を捕食中のクモに出会った場合には,網内やその周辺 で活動する昆虫がいないかを気にして観察することが肝要である.そして,もしも そのような昆虫を見つけた場合には,少なくとも 10 分間程度はクモとその昆虫の 示す行動を注意深く観察し,ここで報告したような事例と思われる行動に出会った 場合には,一連の行動を記録にとどめ,クモと昆虫の双方を採集しておくことをお 薦めする.とくに,双翅類の分類は難しく標本を残すことは種類の確定のためにき 19 わめて重要である. 引用文献 Bockwinkel G. & K.P.Sauer 1993. Panorpa scorpionflies foraging in spider webs Kleptoparasitism at low risk. Bull. Br. arachnol. Soc., 9:110-112. Jeanne R. L. 1972. Social biology of the neotropical wasp Mishocyttarus drewseni. Bull. Mus. comp. zool., 144:63. 川田光政 1985.死体に口吻を伸ばすフタスジチョウ.いんせくとぽすと, 22:175. 直 1995.クサグモの網上の餌を横取りするアリ.Kishidaia, 69:37. 宮下 大串龍一 1982.ハラボソバチの生態 スマトラの自然と虫と−2.インセクタリウム, 19:14-19. Robinson M. H. 1978. Symbioses between insects and spiders: an association between lepidopteran larvae and the social spider Anelosimus eximius. Psyche, 84:225-232. Robinson M. H. & B. Robinson 1977. Associations between flies spiders: Bibiocomensalism and dipsoparasitism ?. Psyche, :150-157. 笹岡文雄 1989.最近見たこと,気づいたこと 2 題.Kishidaia, 59:19. 新海 明 1988.シリアゲムシおよびアシナガバチによるクモの餌の強奪.清澄, 12:7-9. 新海 明 1989.シリアゲムシによるクモの餌の強奪.Kishidaia, 59:21. 新海 明 1998.クモの糸と生態.Acta Arachnol., 47:191-195. 新海 明・梅林力 1997.クモの糸上のコウガイビルの観察 2 例.Kishidaia, 72:52. Sivinski J. & M. Stowe 1980. A kleptoparasitic cecidomyiid and other flies associated with spiders. Psyche, 87:337-348. Thornhill R. 1975. Scorpionflies as kleptoparasites of web-building spiders. Nature, 258:709-711. 真 1989.クモの餌を横取りする虫たち.クモの話(梅谷・加藤編).239p.技報堂出版. 吉田 東京. 吉田真 1990.スパイダーウォーズ.207p.新草出版.東京. Young A. M. 1971. Foraging for insects by a tropical hummingbird. Condor, 73:36-45. ウォレス(谷田・新妻訳)1987.熱帯の自然.298p.平河出版社.東京. 表 1.クモの網から餌を盗む「生きもの」一覧(日本での観察例). 餌盗みした生きもの ホストのクモの種類とそのときの様子など 文献など 円網にかかった餌(フタスジチョウ)に口吻を伸ばす 川田 1985 タニマノドヨウグモの餌の体液を吸う 吉田 1989 鱗翅類 フタスジチョウ 双翅類 クロコバエの一種♂ 1990 20 クロコバエの一種 メガネドヨウグモの餌の体液を吸う 新海 未発表 クロコバエの一種 カラフトオニグモの餌の体液を吸う 新海 未発表 キムグリバエの一種 クサグモの網内を徘徊 新海 未発表 ハエの一種 アオオニグモの餌にとまっていた 笹岡 1989 ヤマトシリアゲムシ シロカネグモの一種に体当たりして餌を強奪 新海 1988 シリアゲムシ シロカネグモの一種の餌を強奪 新海 1988 アシナガバチ オオシロカネグモの餌を肉団子にして盗む 吉田 1989 ホソアシナガバチ オオシロカネグモの餌を肉団子にして盗む 新海 1988 ホソアシナガバチ オニグモの餌(ガ)を肉団子にして盗む 新海 未発表 コガタスズメバチ ナガコガネグモの餌を盗む 新海 未発表 シリアゲアリの一種 クサグモの網から餌を盗む 宮下 1995 クスミサラグモの網上で餌を食べる 新海・梅林 長翅類 膜翅類 1990 扁形動物 コウガイビルの一種 1997 21 KISHIDAIA, No.92, Aug. 2007 野外における産卵後のジョロウグモ 西 野 真 由 子 1.はじめに ジョロウグモ Nephila clavata は 2 回あるいは 3 回産卵の潜在能力を指摘(徳本 1992,近藤 1991)されているが,本州では原則的に 1 回産卵であり,多くは産 卵後力尽きて死亡すると考えられている.しかし,室内飼育における産卵後のジョ ロウグモの行動については報告がある(近藤 1987,1988)が,野外における実証 的な研究はほとんどない.私はジョロウグモの野外観察の結果,産卵後に造網する のは約半数で,10%のクモは死亡,残り 40%のクモは行方不明で死亡している可 能性が高いと報告した(西野 2006).今回は野外における産卵後のジョロウグモ の行動をコガネグモ Argiope amoena,ナガコガネグモ Argiope bruennichi と比 較することで,複数回産卵が難しい要因を検討する. 2.方 法 野外(大阪府堺市)で産卵したのべ 654 頭のジョロウグモについて,産卵後のク モの行動,卵のうの高さ,卵のうから産卵前後の網の中心までの直線距離,網を離 れてから産卵までの日数,産卵後卵のうを離れるまでの日数(残留日数)を記録し た.コガネグモのべ 67 頭,ナガコガネグモのべ 282 頭も同様に野外観察し,記録 した.一部のクモに給餌した以外,観察したクモに実験操作は行わなかった.有意 差検定は 2 群間は t 検定,多群間は ANOVA で有意差があれば Dunnet 法を用い た. 3.結 果 ジョロウグモの産卵後の行動別の測定値(平均±標準偏差)を表 1 に示す.産卵 後造網率(産卵後造網数/総産卵数)は 48.2%だった.造網したクモでは元網(産 卵前の網へ戻る)より新網(新しい網を張る)の方が多かった.卵のうの高さは 6 群間で有意差はなかったが,産卵前の網までの距離は元網が有意に小さかった.ま た空網(空いていた網に入る)・他網(他のクモの網を乗っ取る)では産卵前後の 網までの距離に有意差があったが,新網では有意差はなかった.産卵までの日数, 残留日数は死亡が有意に長かった. 22 表 1.ジョロウグモの行動別の比較 元網 新網 空網 他網 死亡 不明・徘徊 クモ数 90 122 63 40 66 273 高さ 1) 135.2 ±62.3 136.2 ±65.3 136.8 ±57.8 144.6 ±54.1 146.1 ±77.3 130.4 ±74.7 前網まで 2) 114.9 ±48.5 175.3 ±106.2 161.3 ±118.8 184.6 ±117.8 161.7 ±98.7 173.6 ±124.8 後網まで 3) 前網と同じ 163.8 ±125.1 131.9 ±116.8 120.3 ±82.9 産卵まで 4) 0.27 ±0.54 0.32 ±0.60 0.61 ±1.14 0.28 ±0.51 1.55 ±2.16 0.71 ±1.25 残留日数 5) 3.28 ±3.75 2.95 ±1.97 4.16 ±3.15 3.70 ±3.26 7.20 ±6.52 4.15 ±4.34 注)元網:産卵前の網に戻る 新網:新しい網を張る 空網:空いていた網に入る 他網:他のクモの網を乗っ取る 1) 6 群間:ANOVA 2) 元網と他の 5 群間で Dunnet 法 3) 前網・後網間でt検定 4) 5) F 値 0.750 p=0.586 新網・他網・不明徘徊:p<0.01 空網・死亡:p<0.05 新網:p=0.421 死亡と他の 5 群間で Dunnet 法 空網:p<0.05 他網:p<0.01 全ての群で p<0.01 グラフ 1 に月別の内訳を示す.産卵のピークは 11 月上旬で中央値は 11 月 10 日だった.10 月や 11 月上旬は新網が多かった.産卵後造網率は 11 月,12 月と 次第に低下したが,元網率(元網数/総産卵数)はあまり低下しなかった. ク モ 数 200 100 160 80 産 卵 後 60 造 網 率 ・ 40 元 網 率 20 % 120 80 40 0 0 10月 元網 死亡 11/111/11新網 不明・徘徊 11/21空網 産卵後造網率 12月 他網 元網率 グラフ 1.産卵後のジョロウグモの月別比較 注)産卵後造網率:産卵後造網数/総産卵数 元網率:元網数/総産卵数 23 3 種のクモの産卵行動の比較を表 2 に示す(数値は平均±標準偏差).ジョロウ グモは産卵までの日数・残留日数とも長く,産卵後造網率・元網率が低かった.造 網後次回産卵率(次回産卵数/初回産卵後造網数)が低いため複数回産卵率(複数 回産卵クモ数/クモ実数)は 4.5%で,産卵間隔は長かった.なお複数回産卵した ジョロウグモは初回産卵がすべて 10 月中で,10 月に産卵したクモ(n=164)で は複数回産卵率は 17.1%だった. 表 2.3 種のクモの産卵行動の比較 ジョロウグモ コガネグモ ナガコガネグモ 626 頭 654 個 22 頭 67 個 136 頭 282 個 産卵前網までの距離 164.1±111.6cm 195.9±137.8cm 101.0±91.1cm 産卵までの日数 0.64±1.22 日 0.02±0.12 日 0.06±0.25 日 卵のう残留日数 4.09±4.20 日 1.15±0.56 日 1.30±0.86 日 複数回産卵率 a 4.5%(10 月 17.1%) 54.5% 52.2% 48.2%(10 月 70.3%) 77.6% 76.6% 49.4%(10 月 70.7%) 77.3% 76.5% 13.8%(10 月 20.6%) 56.7% 49.3% 9.1%(10 月 24.3%) 70.6% 68.3% 32.9±9.77 日 9.78±2.95 日 11.4±4.45 日 クモ実数・総産卵数 *1 *3 産卵後造網率 初回産卵後造網率 b *4 元網率 造網後次回産卵率 c 産卵間隔 *5 *2 *1 最多産卵回数はジョロウグモ 2 回,コガネグモ 7 回,ナガコガネグモ 6 回 *2 産卵後造網したクモ(n=315)では 3.38±3.00 日 *3 複数回産卵率 a:複数回産卵クモ数/クモ実数 *4 初回産卵後造網率 b:初回産卵後造網数/クモ実数 *5 造網後次回産卵率 c:次回産卵数/初回産卵後造網数 a=b×c 4.考 察 (1)産卵後のジョロウグモ ケージ内では,産卵後網に戻ったジョロウグモは 57 例中 19 例(近藤 1987), あるいは 12 例すべてが網に戻った(近藤 1988)と報告がある.今回の野外観察 では産卵後造網したジョロウグモは 48.2%で,新しい網を張ったクモが多かった. しかし元網では卵のうまでの距離が近かったこと,他網・空網では産卵前の網より 近くの網を選択していたが,新網では産卵前後の網までの距離に有意差はなかった こと(表 1)から,造網したジョロウグモの行動は 1)元網が近い時は元網,2) 遠い時は近くの空網や他網を探したが適当な網がない時は新網と推測でき,積極的 に新網を選択したとは考えにくい.産卵後造網率は 12 月にかけて次第に低下した が,新しく網を張ることはエネルギーを消耗するため気温の影響が大きく,新網が 特に減少した(グラフ 1).したがってジョロウグモの産卵後造網率の低下には, 24 気温の低下に加え,元網が少なく新網が多かったことも影響している. 産卵までの日数や残留日数は死亡群で有意に長かった(表 1)ので,死亡例の多 くが産卵前から弱っていて力尽きて死亡したと推測する.ただし,余力があり造網 できたクモでも残留日数は 3.38±3.00 日とコガネグモ・ナガコガネグモに比べ長 く,一方,元網率は遠くに産卵したコガネグモよりも低かった(表 2).産卵前に 複雑に歩き回ったうえに残留日数が長かったため,ジョロウグモの元網率は低かっ たのだろう. 今回は市街地の庭における観察であり,クモの生息密度が比較的高い環境であっ た.多彩な環境に生息するジョロウグモについて一般化して考えることは難しいが, 元網率が低かったことから,産卵後に造網するのは難しいことは予想できる. (2)なぜ複数回産卵できないのか 飼育下では,産卵した 12 例のジョロウグモがすべて 2 回産卵した(Kondo 1987) が,初回産卵までに充分給餌しておかないと次の産卵は行われなかった(近藤 1991).しかし今回の野外観察で複数回産卵率が 4.5%と低かった要因としてま ず挙げられるのは,これまでも指摘がある(Kondo 1987,徳本 1992)ように気 温の低下と餌不足である.気温の低下は産卵後造網率の低下(グラフ 1)を,餌不 足は低い造網後次回産卵率(表 2)をもたらした.今回の産卵のピークは 11 月上 旬だったが,複数回産卵したクモは全てピーク前の 10 月中に初回産卵しており, 近藤(1991)が指摘しているように産卵前にも良好な餌条件に恵まれていた.た だしコガネグモやナガコガネグモの結果(表 2)をみても,産卵後造網率,造網後 次回産卵率は 70−80%が妥当だろう.ところが 10 月に限っても,産卵後造網率 は 70.3%だったが,造網後次回産卵率は 24.3%と低かった. 本州では原則的に 1 回産卵のジョロウグモであるが,沖縄では産卵時期が 12 月 中旬−3 月中旬で 3.2%−17.7%が 2 回産卵した(下謝名 1971).今回のコガネ グモ・ナガコガネグモの複数回産卵率は 50%以上あったが,一部のクモに給餌し たことを割り引いても,沖縄においてもジョロウグモの複数回産卵率は低い.その 原因について下謝名(1971)は,2 月以降の個体数の激減が 2 回目産卵個体数の 減少をもたらしているが,2 月以降は気温が上昇し飛翔昆虫も出現してくることか ら,気温や餌等の外的要因ではなく内的要因ではないかと指摘している.沖縄にお ける産卵時期の気温は大阪の 10 月中旬−11 月上旬に相当するが,日長条件は異 なる.また,ジョロウグモは気温の低い地域では小さくとも早く成熟,産卵するこ とで寒さに適応した(栗原 1980)が,気温が高い沖縄では成熟が遅れた.したが って成熟の遅い沖縄のジョロウグモを,大阪において 11 月以降も気温が下がらな かったモデルにするのは無理があるが,内的要因は否定できない. コガネグモ・ナガコガネグモが短期間で網に戻り産卵回数を重ねたのに対し,ジ ョロウグモの日数がかかり産卵前の網に戻りにくい産卵行動は複数回産卵には不 25 利で,産卵間隔は長かった(表 2).飼育下でも,約 10 回の給餌で卵が成熟した が産卵間隔は 3−4 週間(近藤 1991)と長く,産卵時期が遅いための餌不足だけ ではなく,多数回産卵を抑制する内的要因の可能性もある. 5.結 論 ジョロウグモの複数回産卵が難しい要因として,産卵時期の気温の低下や餌不足 などの外的要因のほか,産卵行動の影響や多数回産卵を抑制する内的要因の可能性 もある. 6.謝 辞 谷川明男先生に沖縄のジョロウグモの生態や文献について,池田博明先生に文献 についてご教示いただきました.深く感謝します. 7.引用文献 徳本洋 1992.金沢市街地のジョロウグモ雌個体の秋・冬季における消失状況と産卵ならびに気 象との関係.Kishidaia, 64:15-22 近藤昭夫 1991.ジョロウグモの反復産卵(講演要旨).Atypus, 98/99:70 近藤昭夫 1987.ジョロウグモの産卵後の占座位置(講演要旨).Atypus, 89:38 近藤昭夫 1988.産卵後のジョロウグモの活動と二度目の産卵(講演要旨).Atypus, 91:15 西野真由子 2006.ジョロウグモの産卵行動に及ぼす気温の影響.Kishidaia, 90:1-7 Kondo, A. 1987.Effects of incubation temperature on the embryonic development and the oviposition in the silk spider, Nephila clavata L.Koch.Proc. Arthropod. Embryol. Soc. Jan., 23:21-22 下謝名松栄 1971.沖縄島のジョロウグモ属の研究.〔Ⅰ〕ジョロウグモの生活史.Biol. Mag. Okinawa., 7:1-18 栗原輝代子 1980.ジョロウグモの地理的変異(講演要旨).Atypus, 77:48-49 26 KISHIDAIA, No.92, Aug. 2007 絡新婦はジョロウグモなのか ─ 江戸時代のクモ,その新たな見方 ─ 新 海 明 クモの方言などの民俗学的な研究で著名な,千葉県在住の川名興氏と共同で,江 戸時代後期に著わされた栗本瑞見による「千蟲譜」の中でとりあげられていたクモ について,その同定を試みたことがある.千蟲譜の原本はすでになく,写本がいく つか存在する.このときに私たちが同定に用いたものは,曲直瀬愛(まなせめぐむ) 旧蔵の「栗氏千蟲譜」を底本として昭和 57 年(1982)に恒和出版から復刻され た江戸科学古典叢書 41「千蟲譜(小西正泰解説)」であった.私たちはここに描 かれていたクモのほとんどすべての同定に挑んだ.図や添え書きのどちらからも全 く同定不能なものもいくつかあったが,かなりのクモについて判別することができ た.結果的に,ほぼ種名が確定できたものが 14 例,おおよその所属が判明したも のが 17 例,まったく不明だったものは 3 例だけであった(新海・川名 2002). これらの江戸時代のクモをまとめていた際に,いくつかの疑問点が沸き上がって きた.ひとつはジョロウグモについてのものである.私には「昔は,ジョロウグモ とコガネグモは混同されていたらしい」とか「コガネグモのことをジョロウグモと 呼んでいる地方もあるらしい」という程度の認識しかなかった.今回,千蟲譜のな かに「絡新婦」あるいは「落新婦」として描かれていた図が何枚かあった.ところ が,そのすべてが現代でいうところのコガネグモ類のものだったのだ(図 1-a). 一方,松森胤保による「両羽博物図譜」では,「シマグモ」と記名されたページ の上にジョロウグモが,下にナガコガネグモが描かれている(図 1-b). 「蟲品(二)」 では絡新婦ジヨロウグモと記名されて,まさにまごうことなきジョロウグモの図が 描かれている(図 1-c).さらに,増山雪斎による「虫豸帖」には,描かれた図か ら明らかにナガコガネグモと断定できるものに「絡新婦」と書かれ,図から明らか にジョロウグモと確定できるものには「未詳漢名」と記されていた(図 1-d).「蟲 譜図説」では絡新婦ジヤウログモとあり,図をみるとコガネグモ類ともジョロウグ モとも見えるものだった(図 1-e).しかし,その説明文には「網の中央に出てそ の四面にふとく白き糸ありて手と足とその網のふとく白き糸の本(元)に指す」と の記述がなされているので,記述をとればコガネグモ類であることがわかる.この ように,江戸から明治初期の時代は絡新婦をめぐって,本草学者や一般民衆にあっ ても,さまざまな認識が存在していたようである. 27 a b 図 1.古典にみられるさまざまな「絡新婦」.a.千蟲譜(上) 28 b.両羽博物図譜(下) c d e 図 1(続き). c.蟲品(二)(上) d.虫豸帖(中) e.蟲譜図説(下). 29 ところが,「クモの学名と和名(八木沼他 1990)」の中に「ジョロウグモの正体」 という挿入記事がある(p97).少し長くなるが,その全文を引用しよう.「古来 方言や誤用でジョロウグモとされてきたクモにコガネグモ Argiope amoena,ナガ コガネグモ Argiope bruennichii,ジョロウグモ Nephila clavata,ときにコガタ コガネグモ Argiope minuta や,チュウガタコガネグモ Argiope boesenbergi など があった.これを最初に考証した山鳥吉五郎(1916)は Argiope bruennichii を 主張した.その後今日まで岸田説に従い,ジョロウグモは Nephila clavata が当て られて来た.山鳥氏は Nephila をテラヤグモとしている(筆者注:岸田久吉氏がジ ョロウグモ説を提唱した). 和漢三才図会に当ってみると,その解説記事からは現在の Nephila clavata を思 わせるし,同書に「ぢょらうぐも」として漢名「絡新婦」が示されている.絡新婦 は中国では Nephila を指しており,Nephila clavata を棒絡新婦と称している.こ の点からもジョロウグモは Nephila clavata であることが成立する.(Y)」と述 べている.最後の(Y)は執筆者の八木沼健夫氏のイニシャルである.このコラム を読むかぎり,絡新婦ジョロウグモの正体はすでに解決済みであるとの印象を受け る.ちなみに,棒絡新婦の「棒」は「clavata=棒状の」というラテン語に由来す るという. 確かにあらためて和漢三才図会(寺島良安編)にあたってみると,そこにある記 述は私にもジョロウグモのものと読める.「絡新婦」を「ぢょろうぐも」とも読ま せている.けれども,この記述を書いた著者個人の認識が「ジョロウグモ」であっ ただけ,とも考えられるのではなかろうか.既述のように,この時代はさまざまな 著者が,それぞれ個人の認識に基づき「絡新婦」の図を,自分の思うように描いて いることと同様である. つまり,江戸時代の人の認識では「絡新婦」はジョロウグモおよびコガネグモ類 一般をなんとなく指していたとは考えられないだろうか.すなわち,彼らは比較的 大きくてよく目立つ「腹部が黒と黄色,そして赤などに彩られたクモ」たちを「絡 新婦」として漠然と認識していただけなのではなかろうか.「現在の我々が認識し ているような種類ごとの厳密な分類など,当時はできてはいなかったのだ」と考え れば,さまざまな図譜にある「絡新婦」の名称と図の混乱がすっきりと理解できる ではないか. その傍証となるものに,「壁銭(壁鏡と記されることもあるという)」がある. これは「ヒラタグモ」のこととされている(「クモの学名と和名」を参照).しか し,千蟲譜には壁銭や壁銭の一種,ヒラクモの一種とか記されて合計 4 例以上が描 かれているし,蟲譜図説にも「壁鏡類十二種」としてさまざまなヒラタグモ様のク モが描かれている.そのため,新海・川名(2002)では「要するに,体がうすく, はりつくように占座しているものは壁銭と呼ばれていたようだ」と考察している. このようなことは,他に滓掛グモ(ゴミグモ類),蝿取グモ(ハエトリグモ類)な 30 ど枚挙にいとまなく,千蟲譜や蟲譜図説など江戸時代の図譜全体を通して,ごく普 通にみられる現象である.なぜ,絡新婦だけジョロウグモ「一種類」と決めつける 必要があるのだろうか. つぎに,「絡新婦」という言葉の由来についても言及したい.前述の虫豸帖には 「此蜘蛛結網在中央自集八脚而為如四脚之皃其脚頭別結潔白之絲宛如絡蓋絡新婦 之名取干此為名乎」とある.読み下すと「このクモ,網を結び,中央にありて,自 ら八脚を集めて,四脚の如きの姿をなす.その脚頭(きゃくとう)はことに潔白(真 っ白な)の糸を結ぶことあたかも絡めるが如し.けだし絡新婦の名はこれにとりて 名をなすかと」となるという.ここに書かれた内容からみれば,この糸は隠れ帯と 考えられるので,絡新婦と呼ばれるクモは本来その網に隠れ帯が存在しなければな らない.すなわち,ジョロウグモではなくコガネグモ類であったはずである.しか し,その大きさや目立つ体色から,いつしか本来の隠れ帯の存在は忘れ去られてコ ガネグモとジョロウグモは混同されていったのではないだろうか.この混同は,平 成の今になってもクモを見る一般の人々に共通する認識でもある.ただし,虫豸帖 の上記内容は,古来中国で伝承された語源の忠実な引用であるのか,または著者で ある増山雪斎の独自の古典の解釈であるのかは不明である.絡新婦の謂れを記した 文献や中国での語源に関してご存じの方がいたら教えていただければ幸いである (追記参照のこと).蛇足ながら,現在の中国でのクモの名称は最近の日本の研究 からの逆輸入によるものや単に英名の漢訳である場合も多いようなので,ここから 「絡新婦」を推察する場合には注意が必要であろう. 浜田・吉倉(1990)によれば,「千虫譜には,コガネグモの図に落新婦,シヤ ウログモ,あるいは絡新婦,ジョロウグモと記してあるが,いずれも誤りである」 と断定している.しかし,その根拠の記述はない.これは先に引用した八木沼ら (1990)の見解をただ単に踏襲しただけではないだろうか. というわけで,私の結論はこうなる.古来「絡新婦」と呼ばれていたクモは,虫 豸帖などの記述を信じる限り,「隠れ帯」の存在から考えると,本来はコガネグモ 類であった可能性が高い.しかし,その色合や大きさが似ているジョロウグモとの 区別がつかないまま,いつしかこれらをまとめて絡新婦と呼びならわされていった のであろう. 私はかつて古文書中に描かれた動植物をみる機会が何度かあった.とくに,慶応 大学の元教授の磯野直秀先生には過去の動物雑誌に掲載されたクモに関する文献 照会でお世話になったことがある.その折りに,たびたび松森胤保によって描かれ た図をみせていただいた.ここに,確かにクモが描かれていたのだ.しかし,この 時点で私の興味はまったくそこにはなかった.残念でならない.そして今,古文書 中に描かれたクモに興味を惹かれている.なぜなら,これらの古文書を詳細に分析 すれば,これらの書物がまさに「タイムマシン」となるではないか.江戸時代のク モの分布や生態,当時の人々がクモをどのように認識していたかなどを知ることが 31 できるはずだ.ただの懐古的な趣味としてこれらを眺めるのも一興であろう.けれ ども一方で,きわめて写実的に描かれた図や添え書きを詳しくみると,今はなき古 き江戸の昔のクモの存在を,また別の角度から蘇らせることもできるのではないだ ろうか.ここに,私の興味とこれからの期待がある. 謝 辞 本稿をまとめるにあたり,故高橋登氏および八幡明彦氏と斎藤洋一氏,家股幸子 氏には文献紹介でお世話になった.県立千葉高校の木村修氏には漢文の読み下しを していただいた.また川名興氏には木村先生のご紹介や「絡新婦」にまつわるさま ざまな文献紹介でご協力をいただいた.これらの諸氏のお力添えがなければ,この 草稿は完成しなかった.東京クモゼミのメンバーにはいつもながら貴重なコメント をいただいた.記して感謝申し上げる. 引用文献 浜田善利・吉倉真 1992.クモ類の民俗薬物学的研究(第 2 報)日本の薬用クモ類の種類.薬史 学雑誌.27:13-19. 小西正泰 1982.千蟲譜,江戸科学古典叢書 41.534p+25p.恒和出版,東京. 新海明・川名興 2002.栗本瑞見「千蟲譜」の中の「蜘蛛」について.Kishidia, 83:11-25. 八木沼健夫・平嶋義宏・大熊千代子 1990.クモの学名と和名.287p.九州大学出版会,福岡. 追記:「潔白(真っ白な)の糸を結ぶことあたかも絡めるが如し.けだし絡新婦 の名はこれにとりて名をなす」との文言について,木村氏と川名氏から以下のよう なタイでの結婚に関する風習があるとの情報をいただいた.参考までに記しておく. タイの事典(石井米雄監修,同朋舎出版 1993)の「結婚」の項目の中には「・・ 略・・.夕刻は僧侶が用意した一本の聖糸(モンコン・チャック,モンコン・フェ ート=祥輪)をちょうど夫婦岩のしめ縄のように夫婦の頭に結び合わせ,その糸端 を聖糸鉢につなぐ.一方僧侶はその聖糸鉢から延びる聖糸(モンコン・スート)を 握って読経をする.・・略・・」と述べられている. また,日本大百科全書 9(相賀徹夫編,小学館 1986)の「婚礼」の項目の写真 集(p787)に「タイ(チェンライ県メーチャン郡)シャン族の婚礼.男性が茶と 塩の進物を持って女性の家を訪問し,求婚する.両親の承諾が得られれば仲人をた てて正式に結婚する.このとき司祭者となるシャーマンが七つの糸で新郎・新婦の 手首を結ぶ.これは魂を互いに結びつける意味をもつ」とある. 東南アジアのこのような風習が,古来中国の絡新婦の謂れと繋がるのであれば問 題は氷解することになろう. 32 KISHIDAIA, No.92, Aug. 2007 イソコモリグモ探蛛行(新潟編) 新 海 明 イソコモリ探しは 5∼6 月が最適だという.出のう分散した子グモの巣が加わり, 調査の対象となる浜での存否が判定しやすくなるのだ. 新潟はこれまで数度訪れてはいるが,海岸線に出たのは今回が初めてだ.遠い昔 に五十嵐浜の傍らに建つ新潟大学を訪れたとき,キャンパスコートの向こうに磯の 香を感じたことがあった. 初日 5 月 18 日は新潟駅でレンタカーを借りるや,一路村上市へと高速道路をた どった.この道路は今のところ北蒲原郡の中条町までしか開通していなかった.あ とは一般道を通り調査の第一目標地点の荒井浜へと入った.あらかじめ八幡さんが GPS に目的地を設定してくれていたので,カーナビ情報と組み合わせて実に容易 に到着できた.海岸へ出られそうな場 所を探して浜に出たが,そこには驚く べき光景が広がっていた.なんと,左 右の砂浜が「ざっくり」とえぐられ, 砂防林の松の根が剥出しになっている. 冬の日本海の波の猛威を実感した.右 の浜には護岸堤がずっと伸びていたが, 左の浜は松の根剥出しの崖下にわずか に砂浜があった(図 1).とにかくイ ソコモリを探すことにしたが,モチベ ーションはあがらない.こんな崖には いるわけがないと思い,ふと上方の崖 上にへばりつく草地に目をやった. 「あ の上はどうかな」と思いよじのぼった. 足を一歩すすめると砂がザッーと崩れ る.手足を駆使してやっとのことで草 地に上った.前方にいた谷川さんも同 じ考えのようで,砂地をよじのぼって いた.のぼりきった草地の幅はわずか 2mほど.その後方は防風林の松の密 図 1.荒井浜 33 生地だ.やはり駄目かと思ったその矢先に,ふと見た砂地にあいた小さな穴.そこ からのぞいていた物体がスッと引っ込んだのだ.イソコモリの幼体だった.その周 辺を目を懲らして見ると,もう少し大きめの穴から頭がわずかにのぞいている個体 を見つけた.谷川さんに声をかけようと振り向くと,すでに穴を掘っていた.谷川 さんも見つけていたのだ.俄然やる気がわいてきた.目を皿にして砂浜にあいた穴 を探すと,ポツポツとイソコモリがいた.狭い砂浜をたどりながら目をあげてみれ ば,そこから先には広大な砂浜と海浜植生がつづいていたのだ.イソコモリも次々 と見つけられた.1km以上つづく砂浜そして連続的にイソコモリが生息する.こ れは徳本先生の研究によればレベル 3 の生息地だ.ちなみに,ここと反対側の護岸 堤のある海岸も調べたがイソコモリは 1 頭も見られなかった.幸先の良いスタート となった. 次に,大阪の金野さんが生息を確認している桃崎浜へと向かった.ところが,こ こはヨットハーバーの建設地となり,なんと今春から工事が行なわれていたのだ. 付近にわずかに残った海浜植生を一応調べてみたが,イソコモリの巣穴は発見でき なかった. 初日の最後の調査地は,今夜の宿舎である瀬波温泉の近くの岩船浜(図 2)だ. 車を降りて浜に目をやれば海浜植生が見事に続く「絶好地!」と見えたのだが,そ こは崖上だった.荒井浜の波にえぐられた崖はよじのぼれたが,ここはそんな生易 しい崖ではなかった.高さは 5mはあるかと思われた.転落したらタダでは済みそ うにない.ここも日本海の荒波によって削られたものだ.延々と続く崖上の植生地 内を探したがイソコモリは発見できなかった.しかし,ここは地図や衛星写真で見 ても植生帯と砂浜との間にこのような崖が存在することは見分けられそうにない 場所である.やはり来てみなければわからない.実地調査の価値はこのようなとこ ろにあるのだろう. 宿舎の瀬波温泉は日本海に沈む夕陽の絶景地だという.ロビーの広大な窓に,夕 陽とそこから一直線にのびる黄金色に輝く海上ハイウェーが宿舎の窓の下まで続 いていた.この雲ひとつない夕暮の空にもかかわらず,天気予報は翌日の新潟地方 が雨となることを伝えていた. 調査二日目は朝方,瀬波温泉の海水 浴場の近くにある海浜植生を調べたが, 1 個体も生息を確認することはできな かった.この海水浴場は整備が行き届 き,また観光客もかなり訪れるような ので,イソコモリの生息地としてはむ かないように思えた. その後は,再び高速道にのり一気に 上越方面に下った.150km にも及ぶ 図 2.岩船浜 34 移動だ.目的地は信越本線の柿崎駅周辺だった.海岸のすぐそばに工場があり,見 るからに「いそうもない」ところだった.そして,漂着ゴミも多い(図 3).最近 のニュースは中国や韓国からのゴミの漂着を取り上げるものが多いが,ここのゴミ はほとんど日本「産」である.「日本」もかなりひどい! しかしながら,こんな 海岸でもイソコモリはいたのだ.空巣ながらかなり大形のものもあった.けれども, 海から次々に迫る黒雲と突然吹きはじめた強風に,釣り人は敏感に反応して避難を はじめた.一方の我々はというと,発見への期待感から調査に熱が入りはじめた. すると突然大粒の雨が風にあおられて体に突きささってきた.駆け足でレンタカー まで戻るが,砂地に足をとられて思うように進まない.あえぎながら車へ到着した がかなり濡れてしまった.しばらくすると雨は小止みとなったが,依然として雲は 厚く垂れ込めている.谷川さんと相談して,もうひとつのポイントへ移動すること にした.雨の降っている間に下見をしようというわけだ. その竹鼻海岸はすぐ近くだった.ここは海岸線にへばりつくように集落が点在し たが,ほとんどは国道と信越本線が平行して走るだけの浜であった(図 4).八幡 さんの指示ポイント付近へ到着したのだが,浜へ出る道がどこにもない.「線路を 渡れば」と思うかもしれないが,海岸 寄りに強風を避ける柵が延々と続い ていたのだ.この柵は乗り越えられそ うもなかった.さらに駐車スペースも なかった.あれこれ思案しながら走っ ていると,国道をそれて集落へと向か う脇道の海岸寄りの場所に,漁師小屋 が数軒たっているのを見かけた.ここ なら渡り道があるに違いない.幸い車 を置く場所もあった.列車が来ないの を確認して線路を突っ切り,浜へと出 た.するとそこは海浜植生の状態とい い,砂浜といい絶好の場とみえた.さ らに砂浜には人の踏み跡ひとつなか った.案の定,ここはイソコモリの大 豊作地だった.生息数の少ない浜では ジグザグに歩いて探す私も,ここでは ほぼ直線に歩けた.その直線上にかな らず巣穴が見つかるからだ.このイソ コモリ天国の砂浜は皮肉なことに信 越本線と国道がその存在を守ってく れていたのだ.レベル 3 の竹鼻の浜 図 3(上).柿崎駅近く 図 4(下).竹鼻海岸 35 は延々数 km も続いていた. 天気は相変わらず悪かったが,雨は落ちてこなかったので,もう一度柿崎の浜へ 戻ることにした.工場の川をはさんで対岸には柿崎海水浴場があった.ここから砂 浜に入ることにした.海水浴場の先に海浜植生が見えたので,そこまで進むとイソ コモリが生息していた.しかし,さすがに竹鼻海岸ほどではなかった.植生を上に たどり防風柵までのぼった.すると,その向こうには信越本線の柿崎の駅舎ホーム があった.ホームの先の浜にイソコモリ!だったわけだ. ここ柿崎から数 km のところにクモ愛好家なら知る人ぞ知る「蜘ケ池」がある. 私は中部蜘蛛懇談会の記事でかつて見たことがあった.せっかく近くまで来たのだ から,話の種にと訪れることにした.なんとレンタカーのナビの地図にも「蜘ケ池」 が掲載されていたのだ.ナビの命ずるままに移動すると,そこは田園地帯.少し離 れたところには「ほくほく線」の高架橋がつらなっていた.「蜘ケ池」は静かな池 だった(図 5).周辺にそれを示す標識があったと中部蜘蛛の記事の写真は教えて いたと記憶していたが,見当らなかった.本来の侵入経路を外したのかもしれない. しかし,周辺道路をめぐると,なんと「蜘ケ池集落」と書いた掲示板に出会ったの だ(図 5).蜘ケ池の由来について,私は知らない.けれども,その謎めいた神秘 性を帯びた響きは,やはりクモ愛好家にとっては心地よい言葉であった.私も「ヤ ワタ・ウイルス」にすでにかなり感染 してしまっているようだ. 二日目の宿舎は新潟市内だった. 柿崎 IC まで戻り,高速道にのると新 潟まで 102km の標識があった.新潟 県は広い. 八幡さんの「指令」に基づく調査 地は県内 6 箇所だったが,幸い 2 日 間で 5 箇所の調査を終了した.予想 通りが 3 箇所,予想外 2 箇所といっ たところか.想定外の場所の確認は これからのこのシステムの精度の向 上におおいに役立つはずだ. 谷川さんと新潟駅近くの郷土料理 店でノドグロの刺身やアケビ若芽の 和物をつまみに,ビールや地酒を飲 みながら明日以降の予定を打合せた. 明日も終日,調査に使えるので,調 査地の追加を八幡さんに求めること 図 5.蜘ケ池 36 にした.その結果,まだ調査が残っ ていた越前浜に加えて,中条町付近の村松浜と新潟東港の太夫浜の 2 箇所で実施す ることにした. 三日目もくもりだ.事前の予報では天気は回復するはずだったが,昨日よりも悪 かった.朝一番で向かったのは初日に調査した荒井浜近傍の胎内市の村松浜(図 6) だった.村松浜海水浴場から浜に入ると海浜植生といい砂浜といい,いかにも「い そう」な海岸だった.すぐに小さな穴がいくつも見つかり,これは大豊作かと思え たが,谷川さんの顔が浮かない.「何か違う」と言う.確かによく見ると穴の感じ に違和感があった.イソコモリの穴は,その入口がクッキリとしているのだ.その 見分け方は,入口をやわらかな葉先や枝で軽くなぞるとよい.糸でかがられた砂粒 があればイソコモリの住居だ.ここに多く見られた穴にはそれがなかった.たくさ ん生息しているかに見えた浜は,一転してほとんどイソコモリのいない浜となった. 砂浜を舐めるように見たが,それほどの個体数はなかった. 午前中にもう 1 箇所稼ごうと,再び高速道を新潟市へと戻った.新潟東港のすぐ そばにある太夫浜(図 7)に来た.海上から激しく吹き寄せる北からの風.雨は混 じらなかったが,一瞬たりと止むことはなかった.5 月中旬なので暑さ対策はして きたが,寒さ対策を怠った.その点,谷川さんはぬかりがなかった.セーターとウ インドブレーカーを持参していたの だ.谷川さんのブレーカーを借りて重 ね着をしたが,寒風はそれをも貫いた. 仕方なく,雨傘を開きこれを体にかざ して風よけとした.これは威力を発揮 した.でも同時に「帆」の役目もはた し,歩く方向がいつの間にか風上へと 流された.砂浜は漂着物でいっぱいで 汚れていたが,加えて重油痕までそこ かしこに残っていた.最悪だ.望みは あまりないと見えたが,ポツリポツリ とイソコモリは生息していた.ここは レベル 1 といったところか. 遅い昼食をガストでとることにし た.昨日は柿崎のコンビニでおにぎり とジュースを買って車内で食べた.今 日は寒風が身に染み,暖かい飲み物と 風のないくつろげる空間で食事をし たかったのだ.日本国内の至る所に展 開するチェーン店には時として閉口 するのだが,利点もある.メニューが 図 6(上).村松浜 図 7(下).太夫浜 37 予想できることだ.食べたい物があれば「ここにあります」と,その看板が示して いるのは大いに便利である. 一息入れて,最終調査地の越前浜(図 8)へと向かった.ここへは一般道路をた どった.新潟市内を東から西へ渡っていくだけだ.途上,沼垂(ぬったり)とか小 針とかいうなつかしい地名を過ぎた.大学時代の旧友の住んでいた町である. 越前浜は今回尋ねたさまざまな浜の中でももっとも大きなものだろう.季節はず れの浜は閑散としており人影もまばらだった.砂浜へは容易に出られたが,浜を見 てその異様さに驚いた.波打ち際に大きな砂山が 2 つ築かれていた.どうやら波に よる侵食の防止策のようだ.その浜へ砂を補う工事が進捗していたのだ.波除けの テトラポットも砂に埋もれていた.そして,そこを境にして海浜植生帯が二段に分 離していた.境目には車の轍が残りそこだけ窪んでいるため,雨水が流れまた削ら れる.砂丘はかなり大きく広がっていたが至る所がデコボコしていた.巨大な海神 がこの浜で砂遊びをした跡のように感じられた.イソコモリはいるにはいたが,多 くはなかった.上空から見れば越前浜は自然のままに見えることだろう.しかし, 実際に歩けばかなり人手の加わった荒れた浜となっていることが了解される.レベ ル 2 とした. 時刻は午後 5 時をすでに回ってい た.でも,ここから少し内陸に入った ところに「蜘手興野(くもでこうや)」 という場所があるという.ぜひ行って みたい.ナビで探すとこれも「あった」 のだ.ナビに従い,あれこれの町を過 ぎ到着したところは信濃川の堤防の 際にある開墾地だった.ただの畑地と 水田が広がる場所だ.「興野」とはこ のことかと思い当った.この周辺には 「○○興野」がたくさんあった.関東 地方の「新田(しんでん)」と語義は 同じようだ.ここの写真をとっても面 白くもなんともない.堤防を下り集落 の中に,それとわかるものがないかと 車をのろのろと走らせながら探した. すると「あった」.バス停の看板に書 いてあったのだ.「蜘手興野」と(図 9).そして,これを写真に収めたの 38 図 8(上).越前海岸 を最後に,新潟県でのイソコモリ探蛛 図 9(下).蜘手興野 行を終えた. KISHIDAIA, No.92, Aug. 2007 ワスレナグモの全国分布調査結果 新 海 明 ワスレナグモ Calommata signata の生息適地や絶滅率の推定のための基 礎資料を得るために,アンケートを中心とした全国分布調査を実施した. ここでは,2006 年 5 月から 10 月に行なったアンケート調査と,併せて寄 せられた各地の過去の分布状況についての結果を報告する. また,現在までに報告されていた文献に基づき,ワスレナグモの生息状況を 整理した結果も報告する. 方 法 調査はアンケートを中心に行なった.アンケート調査は東京蜘蛛談話会の会 員を主な対象として実施した.調査に用いたアンケート用紙を図 1 に示す. また,これと併わせて過去に報告された文献に基づき,現在までに確認され ているワスレナグモの生息地を詳しく整理した.文献上ではっきりとしない箇 所は,報告者などに問い合わせて出来得るかぎりの精確を期した.なお,アン ケートの返答ではなく,筆者の手元に寄せられた分布情報も私信という形で掲 載した. 結果と考察 2006 年のアンケートでの調査地域は秋田県から長崎県までの,1 都 1 府 1 3 県だった.ワスレナグモの分布が確認されたのは 17 地点,未確認は 34 地 点(秋田県は 1 地点とした)だった.10 個体以上が生息していたのは,千葉 県船橋市・鳥取県岩美町・島根県出雲市・長崎県諌早市の 4 地点だけだった(表 1).2006 年の調査結果だけでは調査例数も少ないので,2005 年以前の分布 記録をアンケート結果と私信(表 2)および文献(表 3)に基づいてまとめて みた.さらに,表 1∼3 をもとにしてワスレナグモの分布確認地点をまとめた ものを図 2 に示す. 新海ら(2006)による県別クモ類分布図と比較してみると,今回新たに分 布が確認された都道府県は,鳥取県・島根県・福岡県・埼玉県だった.このう ──────────── * 〒192-0352 八王子市大塚 274-29-603 39 ち,埼玉県はすでに報告されていた文献のチェック漏れであった.この結果を みると,ワスレナグモは北海道と南西諸島を除く日本全土に分布していること が判る.とくに,伊豆諸島の分布が数多く報告されていることは興味深い.ま た,いまだに発見されていない県は,青森県・岩手県・栃木県・山梨県・香川 県・愛媛県・佐賀県・鹿児島県の 8 県であるが,その多くは分布していないの でなく,調査が行き届いていなかったり,すでに発見されていても単に報告 されてないだけの可能性が高いと考えられる.今後の精査,報告がまたれる. キシノウエトタテグモの分布(畑守他 1997)と比較すると,興味深い点が いくつかみられた.キシノウエトタテグモの分布が主として,本州の太平洋岸 に集中しているのに対して,ワスレナグモは東北から九州にかけて日本海側や 太平洋側を問わず満遍なく分布していた.また,キシノウエトタテグモは群棲 することが多いが,ワスレナグモは 1∼数個体ずつ点在する印象があった.同 様な印象を笹岡(2005)も述べている. 今回の調査を通して知るかぎりでは,2000 年以降でワスレナグモが数十個 体以上群棲している場所は,新潟県の新潟大学構内(笹岡 2005)と千葉県船 橋市の日本大学構内(本報告)の 2 地点のみであった. 筆者としては,この調査結果をふまえてワスレナグモの生息適地の分析や分 布様式の特徴を把握できればと考えている.クモ類の保全などを考える上で, ワスレナグモに限らず種類ごとの分布様式や生息適地を調べる研究は,今後は 非常に重要なものとなるだろう. また,読者の中で本報告に示されていない場所でワスレナグモの確認情報を お持ちの方がいたら,ご連絡下されば幸いである. 謝 辞 本稿をまとめるにあたり,アンケート調査では表 1,2 の中に記した多くの クモ研究者のご協力を得た.特に,笹岡文雄さんと八幡明彦さんは多くの未発 表のデータを利用させていただいた.また,浅間茂・石野田辰夫・緒方清人・ 貝發憲治・金野晋・須賀瑛文・菅波洋平・谷川明男・徳本洋・永井均・野嶋宏 一・畑守有紀・藤沢庸助・増原啓一・水沢正明・山川守の各氏には文献に関し ての詳細な情報をお寄せいただいた.東京クモゼミの皆さんにはいつもながら 貴重なご意見を賜った.ここに感謝申し上げる. 引用文献 赤松史憲 2003a.採集散策日記∼大和高田市(神社編)∼.くものいと,33:24-35. 40 赤松史憲 2003b.採集散策日記∼奈良県當麻町(神社編)∼.くものいと,34:14-24. 浅間茂 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以上,幼:8mm 未満.+:存在だけ確認.調査者*は私信によるもの. 調査地 発見の有無 調査者 2006 − 福島彬人 新潟県長岡市成願寺町 2006.8 + 水沢正明* 埼玉県毛呂山町下川原学園台団地 2006.5.20 − 八幡明彦 埼玉県毛呂山町下川原星宮神社・延命寺 2006.5.20 − 八幡明彦 埼玉県毛呂山町市場神社 2006.5.20 − 八幡明彦 埼玉県坂戸市けやき台城西大学 2006.5.20 − 八幡明彦 埼玉県坂戸市多和目岩国神社・永源寺 2006.5.20 − 八幡明彦 埼玉県越生町越生法恩寺・越生神社 2006.5.20 − 八幡明彦 千葉県君津市折木沢東大千葉演習林 2006.6.24 − 新海 千葉県船橋市船橋日大構内 2006.9.16 多数 桑田隆生他 東京都板橋区桜川城北中央公園 2006.9.5 幼2 笹岡文雄 東京都板橋区小茂根稲荷神社 2006.9.5 − 笹岡文雄 東京都練馬区氷川台城北中央公園 2006.9.5 − 笹岡文雄 東京都世田谷区世田谷国士館大学 2006.9.2 − 笹岡文雄 東京都豊島区北大塚 3 丁目 2006.9.3 − 笹岡文雄 東京都杉並区和泉 2−36−22 2006.8. + 梅林 力* 東京都小平市小平霊園 2006.5.10 幼2 新海 明 東京都八王子市八王子城跡 2006.6.10 − 新海 明 東京都八王子市片倉城跡 2006.5.14 − 新海 明他 秋田県 年月日 県内 10 数ヶ所 明 43 東京都大島町元町火山噴火博物館 2006.8.21 − 笹岡文雄 東京都大島町元町吉谷神社前公園 2006.8.23 幼2 笹岡文雄 東京都大島町元町吉谷神社 2006.8.23 − 笹岡文雄 東京都大島町元町為朝神社 2006.8.2 − 笹岡文雄 東京都大島町元町潮音寺 006.8.23 − 笹岡文雄 東京都大島町元町 4 丁目庚申塚付近 2006.8.23 幼1 笹岡文雄 東京都大島町野増大島椿公園 2006.8.21 − 笹岡文雄 東京都大島町野増大宮神社 2006.8.21 − 笹岡文雄 東京都大島町野増玉の浜海岸入口 2006.8.21 幼2 笹岡文雄 神奈川県小田原市酒匂西湘高校 2006.9.29 ♀1 花井正美 愛知県名古屋市中区千代田 3 丁目 2006.9.3 幼5 小笠原幸恵 愛知県名古屋市中村区塩池町 2006.11. ♀1 村上 愛知県刈谷市西境町 2006.10.18 ♂1 緒方清人* 三重県鈴鹿市高塚町荒神山観音寺 2006.7.25 幼2 八幡明彦 三重県伊勢市朝熊町 1510 2006.7 出嚢 橋本理市* 大阪府堺市東区北野田 364 2006.5.14 − 西野真由子 大阪府富田林市藤沢台 7 丁目 2006.5.13 幼2 田中穂積 鳥取県岩美町牧谷山陰海岸学習館 2006.9.24 ♀3 幼 7 鶴崎展巨 島根県出雲市大社町出雲大社 2006.7.23 幼 10 八幡明彦他 島根県出雲市大社町杵築南新光寺 2006.7.23 幼9 八幡明彦 島根県大田市温泉津町 2006.7.22 − 新海 明他 島根県大田市五十猛 2006.7.22 − 新海 明他 高知県高知市高知城 2006.8.11 − 新海 明 福岡県福岡市太宰府天満宮 2006.7.31 − 八幡明彦 福岡県福岡市下月隈八幡宮 2006.7.31 − 八幡明彦 福岡県朝倉市菩提寺甘木公園 2006.8.1 幼6 八幡明彦 大分県中津市耶馬渓宮園雲八幡宮 2006.7.31 − 八幡明彦 大分県日田市田鳥町大原八幡宮 2006.7.31 − 八幡明彦 佐賀県鹿島市古枝祐徳稲荷神社 2006.8.2∼4 − 八幡明彦 佐賀県有明町辺田稲佐神社 2006.8.2∼4 − 八幡明彦 佐賀県江北町佐留志堤雄神社 2006.8.2∼4 − 八幡明彦 佐賀県小城市小城須賀神社 2006.8.2∼4 − 八幡明彦 佐賀県北茂安町千栗八幡宮 2006.8.2∼4 − 八幡明彦 佐賀県唐津市見借庚申神社 2006.8.2∼4 − 八幡明彦 44 勝* 長崎県諌早市小豆崎町本妙寺 2006.8.2 幼3 八幡明彦 長崎県諌早市高城町城山公園 2006.8.2 幼 10 八幡明彦 表 2.2005 年以前のワスレナグモの分布情報(アンケートと私信*から). 調査地 年月日 発見の有無 調査者 岩手県盛岡市上田岩手大学植物園 2003.8.19 − 笹岡文雄 岩手県盛岡市岩手公園 2003.8.19 − 笹岡文雄 秋田県秋田市千秋公園 2003.8.20 − 笹岡文雄 秋田県秋田市千秋明徳町県立美術館 2003.8.20 1 笹岡文雄 山形県新庄市堀場町最上公園 2002.9.3 − 笹岡文雄 山形県山形市霞城町霞城公園 2001.9.6 − 笹岡文雄 宮城県仙台市片平東北大学 2002.9.2 − 笹岡文雄 宮城県仙台市五輪榴ケ岡公園 2002.9.2 − 笹岡文雄 福島県双葉郡富岡町夜の森公園 1999.9.8 − 笹岡文雄 福島県原町市牛久野馬追祭場 1997.8.28 − 笹岡文雄 福島県いわき市平城址 1995.7.15 − 笹岡文雄 新潟県小千谷市 1980. + 水沢正明* 新潟県新潟市新潟大学 2004.9.3 多数 笹岡文雄 新潟県新潟市水道町新潟護国神社 1996.6.30 − 笹岡文雄 群馬県高崎市高松町城址公園 2004.9.28 2∼5 笹岡文雄 群馬県高崎市乗附町護国神社 2004.9.28 1 笹岡文雄 群馬県高崎市下横町ねむの木児童公園 2004.9.28 2∼5 笹岡文雄 群馬県前橋市大手町前橋公園 1997.8.13 − 笹岡文雄 栃木県宇都宮市睦町栃木中央公園 1996.8.16 − 笹岡文雄 栃木県宇都宮市本丸町御本丸公園 1996.8.16 − 笹岡文雄 茨城県東茨城郡大洗町大貫町 1995.6.17 − 笹岡文雄 茨城県水戸市常磐偕楽園 1995.6.16 − 笹岡文雄 茨城県稲敷市桜川阿波大杉神社 1987 頃 + 坂寄 茨城県稲敷市桜川阿波大杉神社 1999. 数個体 菅波洋平* 茨城県土浦市(新治村)東城寺境内 1987 頃 + 坂寄 茨城県土浦市(新治村)東城寺境内 1999 − 菅波洋平* 廣* 廣* (上記の坂寄・菅波の記録は菅波 1992 に基づく,菅波氏からの私信による) 東京都千代田区日比谷公園 1994.8.29 − 笹岡文雄 45 東京都台東区谷中霊園 1994.8.2 − 笹岡文雄 東京都港区南青山青山霊園 1994.8.15 1 笹岡文雄 東京都港区三田慶応義塾大学 2002.10.10 − 笹岡文雄 東京都渋谷区明治神宮南参道 1997.8.19 − 笹岡文雄 東京都目黒区駒場東京大学 1997.7.26 − 笹岡文雄 東京都豊島区目白学習院大学 1997.7.22 − 笹岡文雄 東京都北区王子飛鳥山公園 1994.7.11 − 笹岡文雄 東京都葛飾区東水元日枝神社 1992.9.20 2∼5 笹岡文雄 東京都練馬区石神井公園 2002.7.28 − 笹岡文雄 東京都世田谷区豪徳寺世田谷城址公園 1995.6.28 − 笹岡文雄 東京都中野区松が丘哲学堂公園 2001.2.21 − 笹岡文雄 東京都調布市若葉台 1 2002.8.3 − 笹岡文雄 東京都小金井市貫井北町東京学芸大学 1997.9.29 − 笹岡文雄 東京都国分寺市東元町 1965 頃 多数 新海 明 東京都小平市小平霊園 2005.5.8 2∼5 新海 明 東京都小平市上水南町 1965 頃 多数 新海 明 神奈川県川崎市高津区梶ケ谷 5 1995.5.20 − 笹岡文雄 山梨県甲府市古府中町武田神社 1997.8.21 − 笹岡文雄 山梨県甲府市丸の内舞鶴公園 1997.8.21 − 笹岡文雄 石川県宝達志水町大島町 1964.8.9 ♂1 徳本 石川県小松市梯川鍋谷川合流点 2003.10.7 ♂1 江口元章@1 石川県金沢市金石町日吉神社 1985 頃 ?1 石川野鳥の会@1 石川県輪島市舳倉島 1985 頃 ?1 石川野鳥の会@1 愛知県名古屋市昭和区城山八幡神社 1957∼1967 頃 多数 須賀瑛文* 愛知県名古屋市守山区小幡緑地 2001.9.30 ♀1 永井 愛知県名古屋市緑区大高町 2005.10.3 ♂3 緒方清人* 愛知県日進市米野本町神明社 2001.10.30 ♀1 山上将史@2 岐阜県山県市西深瀬 1640−2 1996.5.31 ♀1 永井 均* 岐阜県山県市西深瀬 1640−2 1996.8.24 ♂1 永井 均* 岐阜県山県市西深瀬 1640−2 1996.9.22 ♂1 永井 均* 岐阜県山県市西深瀬 1640−2 1997.8.17 幼体多数 永井 均* 岐阜県山県市西深瀬 1640−2 1997.10.11 ♂1 永井 均* 岐阜県山県市西深瀬 1640−2 1999.8.21 ♂2 永井 均* 岐阜県山県市西深瀬 1640−2 1999.9.4 ♂1 永井 均* 46 洋* 均* 岐阜県山県市西深瀬 1640−2 1999.10.3 ♂1 永井 均* 岐阜県山県市西深瀬 1640−2 2004.7.14 幼体数頭 永井 均* 滋賀県蒲生郡竜王町山面管芝神社 2001.9.9 ♀2 幼 30 金野 晋* 京都府左京区下賀茂京都府大農場 2002 秋 ♀1 金野 晋* 大阪府吹田市藤が丘町 15−4 2001∼2007 ♀3 幼 13 金野 晋* 大阪府堺市東区北野田 364 1970 頃 2∼5 西野佳秀 広島県広島市東区国前寺 1988.8.23 ♀1 井原 鳥取県岩美町牧谷山陰海岸学習館 2001.5.12,7.2 2∼5 鶴崎展巨 大分県杵築市 2005.8.2 2∼5 新海・谷川 宮崎県高鍋町道具小路南 1959.10.25 多数 石野田辰夫* 宮崎県西都市三宅県立妻高校 1967.10.26 ♂1 石野田辰夫* 庸 (宮崎県の記録は石野田 1989 に基づく私信による) @1 は徳本(私信),@2 は緒方(私信)による情報. 表 3.文献に基づくワスレナグモの分布一覧.+は存在のみ確認.?は不明. 生息地 調査年月日 調査者 文献 秋田県天王町二田 1990.9.4 ♂1 福島彬人 福島 1997 秋田県秋田市愛宕下 1992.12.10 ♂1 福島彬人 福島 1997 山形県酒田市御成町本間美術館 2001.9.6 住居 1 笹岡文雄 笹岡 2002 山形県酒田市南新町日和山公園 2001.9.6 住居 1 笹岡文雄 笹岡 2002 宮城県仙台市 1942. ♀1 幼 2 木村有香 斎藤 1943 福島県郡山市麓山町 1995.8.25 ♀1 笹岡文雄 笹岡 2002 福島県郡山市清水台善導寺 1995.8.27 住居 4 笹岡文雄 笹岡 2002 新潟県新潟市一番堀町白山公園 1996.6.29 ♀1 笹岡文雄 笹岡 2002 新潟県新潟市五十嵐新潟大学構内 2004.9.3 100 以上 笹岡文雄 笹岡 2005 新潟県長岡市悠久山 1976∼1981 頃 多数 水沢正明 水沢 1981 新潟県長岡市柿町 1977∼1982 頃 + 水沢正明 水沢 1981 ♀2 住居 10 笹岡文雄 笹岡 2002 群馬県前橋市石倉町石倉城二の丸公園 1997.8.13 群馬県前橋市大渡町王山公園 1997.8.13 住居 1 笹岡文雄 笹岡 2002 群馬県伊勢崎市上堀口 1980.8.8 + 林 林 1985 埼玉県上尾市 1957.6.16 ♀8 幼 3 関口晃一 埼玉県毛呂山町下川原 797 2001.11.3 ?1 千葉県習志野市泉町東邦大学構内 1967.10.13 ♀1 俊夫 関口 1957 本橋美鈴 新海・谷川 2006 松本誠治 松本 1973 47 千葉県習志野市新栄 1 丁目 1973. ?1 近藤昭夫 浅間 1999 千葉県柏市旭町東葛高校構内 1989.6 ♀1 浅間 浅間 1999 千葉県君津市宇藤原峰上 1997.7.20 ♀1 金野・畑守 新海他 2002 千葉県君津市広岡厳島神社 1997.10.26 ♀2 金野・畑守 新海他 2002 東京都品川区南品川 5 1938∼1939 + 東京都港区自然教育園 1972∼1974 頃 ♂♀多数トラップでの採集 茂 町田 1939 町田徳治 山川・久居 1975 東京都千代田区日比谷公園 1996.5.11, 7.17?2 東京都西東京市田無試験地 2005.9.24,26 東京都新島 2004.9.15 東京都三宅島 1936.4.15∼18 ?1 仲辻耕治 東京都御蔵島 1969.10.22 ♂♀ 相馬? 神奈川県横浜市多摩プラーザ 1966∼1970 + 国見裕久 神奈川県逗子市神武寺 1990.10.21 神奈川県平塚市諏訪町平塚江南高校 ? + ? 平塚クモの会 1986 神奈川県中郡大磯町高麗山 1985.5∼10 幼 池田博明他 池田 1986 神奈川県津久井郡藤野町 2001.8.9 幼 1,出嚢 新海 明 新海 2002 静岡県清水市秋葉神社 1994.4.25 ♀1 金野 晋 金野 1994 静岡県静岡市護国神社 1994.4.25 ♀1 金野 晋 金野 1994 長野県上伊那郡南向村 1910 頃 ♂1 片桐三樹 長野県下伊那郡上久堅 ? + 壬生克浩* 長野県東筑摩郡山形村今井 ? + 清沢晴親*東筑摩郡誌 1957 + 宮下義貫* 長野県上高井郡須坂・都住・小布施・川田 ? 新海 1998 新海栄一他 馬場友希 新海・谷川 2005 ♂2 坂野・桜井 仲條他 2005 ♂2 仲辻 1936 大河内 1969 国見 1970 幼 1 谷川・熊田他 谷川・熊田 1992 白 1938 下伊那誌 2001 上高井誌 1964 (長野県の分布情報*印は藤澤 2004 に基づき,藤澤氏からの私信によるもの) 岐阜県岐阜市金華山 1963∼1965 頃 ♂♀ 大江秀雄 大江 1966 岐阜県各務原市 1964∼1965 頃 多数 大江秀雄 大江 1966 岐阜県山県市(高富町)西深瀬 1996∼2004 愛知県名古屋市 1964∼1967 頃 多数 愛知県名古屋市名古屋城 1998.9.23 愛知県名古屋市熱田区五本松町 1996.10.10 ♂1 小笠原幸恵 緒方・小笠原 1994 愛知県名古屋市守山区小幡緑地公園 2001.9.30 ♀1 村上 勝 村上 2005 愛知県名古屋市中村区 2004.10∼11 ♀巣多数 村上 勝 村上 2005 愛知県安城市今村町 愛知県岡崎市 48 ♀♂ 永井 牛田清彦 牛田 1968 ♂1 緒方・須賀 緒方・須賀 2001 1995.10.13 ♀2,幼 2,住居 10 1960. 均 須賀・永井 2001 + 緒方清人 村上 勝 緒方 1997 野沢 1985 愛知県岡崎市伊賀町 1981.9.13 + 板倉泰弘 野沢 1985 愛知県豊田市小坂本町 1985.3.23 ♀1 緒方清人 緒方 2005 愛知県豊田市小坂町 2003.10.6 ♂1 間野隆裕 緒方 2005 愛知県豊田市猿投町猿投山 1985.6.9 ♀1 緒方清人 緒方 2005 愛知県豊田市花園町 1987.6.14 ♀1 緒方清人 緒方 2005 愛知県豊田市花園町 1999.9.22 ♂2 緒方清人 緒方 2005 愛知県豊明市西川町 2002.10.2 ♂2,住居 3 緒方清人 緒方 2003 愛知県豊橋市吉田城跡 1996.6.8 石川県金沢市兼六園 1994.8.19 滋賀県比叡山 1960 頃 + 小野武比古 小野 1966 京都府京都市左京区鹿ケ谷 1937.9.19 ♂1 白 京都府京都市北区深泥池 1982.9∼11 ♂6 加村隆英 加村 1991 京都府京都市北区深泥池 1984.8∼10 ♂24 加村隆英 加村 1991 京都府京都市南区北伏見稲荷御旅所 1994.1.2 京都府京都市南区北伏見稲荷御旅所 1994.7.3 京都府八幡市戸津八幡宮 1994.5.5 ♀1 金野 奈良県奈良市白毫寺町 2000.9.24 奈良県大和高田市野口 2002.10.12 奈良県北葛城郡當麻町大畑 2002.3.30,8.15 ♀2,幼 1 赤松史憲 赤松 2003b 三重県伊勢市伊勢神宮外宮 ? + 槌賀安平 槌賀 1938 三重県伊勢市本町(豊川町) 1942.8.23 + 孫福 正 孫福 1975 三重県松阪市大石町大石神社 1975.10.8 + 孫福 正 孫福 1975 三重県四日市市鵜の森神社 1994.7.25 幼多数 畑守有紀 畑守 1995a 三重県亀山市亀山城 1994.7.25 多数 金野 金野 1994 三重県上野市西町 1960.11.25 + 橋本理市 橋本他 2003 三重県多気郡勢和村丹生大師 1975.9.27 + 孫福 和歌山県 ? + ? 大阪府大阪市上汐公園 1994.11.25 幼1 畑守有紀 畑守 1995a 大阪府大阪市中央区北大江公園 1993.7.9 大阪府箕面市小野原春日神社 1978.5.27 幼1 加村隆英 加村 1978 大阪府箕面市新稲八幡太神社 1978.5.27 幼 25 加村隆英 加村 1978 大阪府茨木市宿久庄須久々神社 1977.10.27 ♀4,幼+ 加村隆英 加村 1978 大阪府藤井寺可津堂 2000.8.29 + 池田勇介 池田 2002 大阪府河内長野市天野山金剛寺 1993.7.3 ♀1 金野 金野 1994 + 巣1 幼1 金野 晋 畑守他 1997 畑守有紀他 畑守 1995c 甲庸 白 1938 畑守有紀 畑守 1995a ♀2,幼 10 金野 晋 金野 1994 晋 金野 1994 ♀1 田中穂積 坂口 2001 幼1 赤松史憲 赤松 2003a ♀1,幼 20 金野 晋 正 孫福 1975 植村 1936 晋 晋 畑守他 1997 49 大阪府富田林市藤沢台 7 2004∼2005 ♀1,幼 5 田中穂積 大阪府南松尾村 1934∼1937 頃 ?1 兵庫県神戸市北区福地八坂神社 1994.7.12 兵庫県豊岡市竹野鷹野神社 田中 2004 八木沼健夫 八木沼 1938 幼1 金野 晋 金野 1994 2005.8.26 ♀1 笹岡文雄 笹岡 2006 岡山県岡山市岡山城 1995.7.14 幼 15 金野 岡山県(南部) 1995.7.14 + 金野 晋 岡山県環境課 2003 晋 畑守他 1997 (野嶋宏一氏によると上記データは畑守他 1997 の引用とのこと) 広島県庄原市三日市町 1978.11.4 ♀1 藤谷 小川・寺西 1993 山口県山口市 ? + 村井工一? 増原 2006 山口県防府市 ? + 村井工一? 増原 2006 山口県小郡町下郷 1981.9.17 ♀1,♂1 増原啓一 徳島県石井町高川原 1985.7.29 多数 徳島県上板町 1985 以前 + ? 真鍋他 1986 徳島県市場町 1985 以前 + ? 真鍋他 1986 高知県高知市丸の内高知城 1995.8.6 ♀1 平松毅久他 平松 2000 長崎県大村市久原 1952.11.10 ♂1 山口鉄男 大分県臼杵市臼杵城 1995.7.8 大分県中津市中津城 1996.7.21 幼 10 畑守・金野 畑守他 1997 大分県大分市松栄神社 1995.7.13 幼 20 金野 畑守他 1997 熊本県三角町底江林道 1994.9.18 幼1 増原 2006 田村・坂東 真鍋他 1986 山口 1953 住居 6 新海・金野 新海・金野 1997 晋 畑守有紀 畑守 1995b (金野晋氏のデータに関しては,私信に基づき場所によっては文献に記されていなかった 情報も加味した) 50 ワスレナグモ全国一斉調査 2006 年度アンケート用紙 ワスレナグモの一斉調査を実施したいと思います.ご協力願えれば幸いです. 調査期間 2006 年 5 月 1 日∼10 月 31 日 調査地 日本全国.「見つけられなかった」という情報も重要です. 調査方法 アンケート用紙に記入して下記に郵送またはFaxして下さい(申 し訳ありませんが,郵送料はご負担ください).調査地が複数にまたがる場合 には,お手数ですがこの用紙をコピーして調査地別に記入して下さい. 192 ー 0352 送付先 Fax 八王子市大塚 274−29−603 新海 明 042−679−3728 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− *あなたの調査地付近に「いない」という情報も重要です.宜しくお願いしま す. 1.調査地を(わかる範囲で詳しく)お書き下さい. (例)千葉県市川市国府台 5 丁目 26 わかくさ公園内 記入欄 調査日時は, 2006 年 月 日 2.そこでワスレナグモの住居を,(ア.みつけたイ.みつけられなかった) 3.アと答えた方にお聞きします. ワスレナグモの住居の大きさ(直径)は, 8mm以上 ( 2∼5mm程度 A ( )個 )個 5∼8mm程度 2mm以下 ( )個 ( )個 過去の分布状況について 調査地を(わかる範囲で詳しく)お書き下さい(上記同所の場合は不要です). (例)千葉県市川市国府台 5 丁目 26 わかくさ公園内 記入欄 調査日時は, 年頃 Bそこでワスレナグモは,ア.かなり多数 Cなぜ消失したのですか 1.宅地化 イ.2∼5 個 ウ.1 個だけ確認. 2.公園整備 3.不明その他 **その他お気付きの点がありましたら裏面に記入して下さい. 調査者のお名前は ( −−−−− ) ご協力ありがとうございました. 51 図 1.ワスレナグモ分布調査のアンケート用紙. . 図 2.ワスレナグモの分布確認地点 52 KISHIDAIA, No.92, Aug. 2007 ワクドツキジグモの採集記録の一覧 新 海 明 昨年発行された中部蜘蛛懇談会の会報「まどい」No.41(2006 年 6 月 30 日発 行)に「ワクドツキジグモが・・・・」(杉山時雄)という報告が掲載されていた. 内容は「2006 年 6 月 21 日に大阪府茨木市竜王山でワクドツキジグモの♀が採 集された」 「本州では初めての記録である」というものだった.まさにその通りで, 本州からは初めて採集されたものである.しかし,それはワクドツキジグモの♀の 話である.読者のなかには訝しむ方もおられるかもしれない.本州産のワクドツキ ジグモの報告など他に見たことも聞いたこともない・・・と. 実は,ワクドツキジグモの幼体や♂がかつて本州で採集されていたのだ(以下の 表 1 内の*印).ただし,これらの標本が本当にワクドツキジグモの幼体や♂なの かどうかが問題であったのだ.なぜかといえば,ワクドツキジグモの幼体や♂と確 定された標本など採集した人など今まで存在しなかったからである.そこで,DN Aによる確認が谷川明男さんによってなされた.同氏は 2004 年に沖縄県で採集さ れたワクドツキジグモの♀を入手した.その個体を萱嶋先生の手元に保管されてい た九州産の標本と照らしあわせ同一であることを確認した上で,DNA 分析を♂の 標本とともにしたのだ.その結果,これら♂の標本がワクドツキジグモであること を確定した.本州でもかなり発見されていたのだ.なお,本種はいままで Pasilobus bufoninus とされていたが,タイプ標本との照合により P. hupingensis と同定し なおされている(AC55 参照). これまでの日本でのワクドツキジグモの採集記録を以下に記しておく.2000 年 以降に採集が激増していることがわかる.なんと,神奈川県まで分布を延ばしてい るのだ.ちなみに表 2 にワクドツキジの「採れ頃」を紹介しておく.会員のみなさ んの周囲でも発見される可能性はある.発見したら「いきなりアルコールへ」では なく,ぜひ卵のうの様子,網形や造網過程なども観察して報告していただけたら幸 いである. 谷川明男さんには情報の提供と校閲をしていただいた.御礼申し上げる. 53 表 1.ワクドツキジグモの採集記録.単に♂あるいは♀と記したものは「成体・幼体不明」個 体.*印は本文参照のこと. 宮崎県東臼杵郡角川町河内 成♀1 1959 年 10 月 9 日 築地満男 沖縄県石垣市石垣島 成♀1 1973 年 3 月 小倉直樹 沖縄県国頭郡本部町伊豆味 ♀1 1974 年 7 月 29 日 下謝名松栄 沖縄県名護市汀間三原志根垣川 ♀1 1976 年 6 月 千木良芳範 沖縄県国頭郡国頭村与那(琉大演習林) ♀1 1988 年 7 月 20 日頃 山本正英 沖縄県島尻郡久米島 ♀1 1991 年 千木良芳範 三重県安芸郡芸濃町宝並 *幼♀1 2001 年 4 月 熊田理恵 (上記個体についてはDNA鑑定はおこなわれなかった.K81 号の掲載図からの類推) 三重県松阪市嬉野井上町 *成♂1 2002 年 3 月 7 日 熊田憲一 (この個体についてDNA解析が行われた) 愛知県豊田市京ケ峰 *成♂1 2003 年 4 月 13 日 杉山時雄 沖縄県国頭郡金武町喜瀬武原 成♀1 2003 年 4 月 29 日 村山望 沖縄県国頭郡恩納村谷茶 成♀1 2004 年 2 月 杉本雅志 (この個体についてDNA解析が行われた) *幼体 1 2004 年 6 月 1 日 愛知県犬山市 須賀瑛文 (画像による外部形態での類推) 沖縄県国頭郡国頭村与那(琉大演習) 成♀1 2004 年 6 月 10 日 谷川明男 沖縄県国頭郡恩納村谷茶 成♀1 2004 年 6 月 14 日 杉本雅志 愛知県北設楽郡設楽町川向 *成♂1 2004 年 10 月 6 日 鈴木喜晴 滋賀県草津市龍谷の森 *成♂1 2005 年 3 月 21 日 社本吉正 大阪府茨木市竜王山 成♀1 2006 年 6 月 21 日 大西敏一 福岡県八女郡立花町 幼♀1 2006 年 9 月 20 日 山崎茂幸 沖縄県沖縄県名護市数久田川 成♀1 2007 年 6 月 6 日 杉本雅志 神奈川県厚木市荻野 ♀1 2007 年 6 月 8 日 石井英介 表 2.ワクドツキジグモの「採れ頃」はいつだろうか.採集月日不明 1 例を除く 18 例 の採集記録からのまとめ.内地:本州・四国・九州. 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10 月 11 月 12 月 沖縄 0 1 1 1 0 4 2 0 0 0 0 0 内地 0 0 2 2 0 3 0 0 1 2 0 0 合計 0 1 3 3 0 7 2 0 1 2 0 0 54 KISHIDAIA, No.92, Aug. 2007 山形県庄内砂丘のイソコモリグモ 吉 田 哉 山形県でイソコモリグモがはじめて記録されたのは,八木沼(1960)の「原色 日本蜘蛛類大図鑑」である.この記録は八木沼先生所蔵の標本に基づくもので,当 時山形県に在住していた興津伸二氏が採集したものであるということを手紙でお 知らせいただいた.採集地は羽黒町とのことであるが,羽黒町(現鶴岡市)は海岸 に面しておらず記録の間違いかもしれない.しかし,山形県の庄内地方で採集され たことは間違いないと思われる.この標本の採集は図鑑の発行前であり 50 年ほど 前のことになる.この記録により山形県のクモ相にイソコモリグモを加えた(吉田 1991).その後,金野(1993)では酒田市十里塚での記録がある. 私はイソコモリグモにこれまで関心がなく採集や観察したことはなかった. 2006 年 8 月の日本蜘蛛学会自然保護委員会でイソコモリグモ調査の話題が出た. この機会に山形県のイソコモリグモの生息状況について調査を実施することにし た.イソコモリグモは砂浜に生息するので,広い砂浜を持つ庄内砂丘を対象地域と した.この地域の状況を把握することは今後の保護対策の資料になると考えられる. この報告をするにあたり,イソコモリグモについてご教示いただいた徳本洋氏に対 して感謝の意を表する. 庄内砂丘と植林の歴史 山形県飽海郡遊佐町西浜から酒田市を経て鶴岡市湯野浜に至る長さ約 35km,面 積約 55km2 で,長さは日本一の砂丘として知られている.面積は日本第二位で, 鳥取砂丘,吹上浜砂丘とともに日本三大砂丘のひとつとされている. 砂丘はクロマツ林に覆われ,その間では果樹や野菜の生産が盛んである.クロマ ツ林は風と飛砂を防ぐために植えてきた人工林,いわゆる「防砂林」である.しか し,この砂丘は 1600 年代はじめまでカシワなどからなる広葉樹の森だったといわ れている.ところが,戦国時代の戦乱や,年貢としての「塩」をつくるための薪と して,あるいは,木材や燃料などの生活の糧として森は切られやがて不毛の砂漠と 化した.人々は飛砂と洪水という自然破壊の手痛いしっぺ返しに苦しむ時代を迎え た.安全な暮らしを取り戻すため,1700 年代中ごろからクロマツの植林が本格化 する.しかし,近年にいたるまで植林と荒廃が繰り返された.とくに第二次世界大 ──────────── * 〒990-2484 山形市篭田 2 丁目 7 番 16 号 55 図 1. 台地状の砂丘(手前)と防砂林(奥) (南より酒田市十里塚方面) 図 2. 砂に埋もれた砂丘垣(中央)と筋状に 植栽されたテンキグサ(酒田市宮野浦− 十里塚間) 戦時には大きく荒廃した.戦後の復興とともに植林が再開し,現在の姿の原形がつ くられたのは 1965 年過ぎである.海岸近くの前線はほとんどが 1950 年からの国 営海岸砂地造林事業によってつくられた. 防砂林,砂草および砂丘の保護や植栽は現在も行われている.部分的に壊れた砂 丘には夏に防砂垣を立て,クロマツや砂草の植栽は 2,3 月ころの作業となってい る.また,作業用の道路がつくられ,肥料の散布もおこなわれている. 海岸付近のつくり 1950 年からの植林は,まずは砂丘の構築から始まった.砂丘の構築には「砂丘 垣」または「堆砂垣」と呼ばれる簀垣を用い,風が運ぶ砂を堆積させ自然になだらか な台地状の砂丘を形成した.ここに,人工的に砂草を植栽し,裸砂地を減らして砂 地を固定した.この砂草にはテンキグサ(ハマニンニク)などが植えられている. こうした作業を経た後にクロマツが植栽された(図 1,2).最上川河口以南では クロマツ林の前線にはクロマツを保護するために高さ 1m ほどの丸太防風柵があ り,遊佐町ではクロマツ林の前線には砂防垣がおかれ砂により小さな山となってい る.海に近い前線に植えられたクロマツは,厳しい気象条件のため数十年前に植え られたものでも高さは 1−2m しか成長していないところもある.また,近年マツ クイムシなどで枯れたものは,新しく植栽されている. イソコモリグモ(図 3,4)はテンキグサなどの海浜植物の前線近くの植物がま ばらな場所から砂浜にかけて見られる.砂浜ではハマヒルガオなどの低い草がまば らにあるところに多い.台地状の砂丘が波により浸食され崖状になっている場所に はほとんど見られない.砂浜が広く波の影響が少ないと思われる場所に多いようで ある.酒田市宮野浦では波消しブロックが浜の近くに置かれ浜が広がる.飽海郡遊 佐町の海岸には多くの突堤があり,一部に波消しブロックが砂浜近くに置かれてい 56 図 3. イソコモリグモ(雌亜成体) 図 4. 住居から頭部と前脚を出したイソコモ リグモ る.酒田市宮野浦と宮海にはそれぞれ風力発電の装置が最近設置された.また,酒 田市と鶴岡市の境界の海岸近くに庄内空港が建設されたが,海岸には直接影響はな いようである.海岸線の中央部には大きな港湾があり約 6km を占める.港湾部分 は酒田港,酒田北港および工業団地からなり,国内の輸送のほか近年は国際貿易港 となった. 調査の概要 いずれも海岸へ出る道のある場所を起点とし,多くの場合北上しその後もとの場 所まで南下するというコースをとった.線的な調査になるが同じ海岸線を 2 回通る ことになる.山形市から鶴岡市湯野浜まで車で片道 2 時間,遊佐町西浜まで 3 時 間近くかかる.日帰りのため海岸での調査時間は 2 時間から 4 時間程度である. 今回の調査は 2007 年 5 月 14 日から 6 月 14 日にかけて実施したものである.こ こで取り上げたイソコモリグモの住居(穴)は 6 月 1 日までは大形(11mm 以上) または中形(5mm−10mm)のもので,微小(4mm 以下)のものは 6 月 4 日以 降に確認した. 5 月 14 日(月) 鶴岡市湯野浜(海水浴場)から約 2.5km 北上 イソコモリグモは発見できない.防砂林の前線から浜まで約 100m と距離が短 い.酒田市浜中より北の地域と比較して,このことによりイソコモリグモが生息で きない原因かもしれない.台地状の砂丘はテンキグサなどの植物で覆われその前線 からの砂浜は小さい.砂浜にはコウボウムギなどが見られる.台地状の砂丘のすぐ 下にタイヤの跡が一部に見られる.湯野浜には海水浴場があり,さらに温泉がある ことから大きな旅館が立ち並んでいる.山形県で最大の海水浴場である.砂丘に入 り込む人はほとんどいないと思われるが,自動車の入り込む可能性は大きい. 5 月 21 日(月) 酒田市八重浜(赤川河口北側)から酒田市十里塚(海水浴場) 57 酒田市八重浜の赤川河口北側から調査にはいる.十里塚の南 500m ほどの場所 ではじめてイソコモリグモを発見.イソコモリグモ 2 個体および住居数本.浜の環 境としては生息しやすい場所と思われるが,後日の調査場所と比較して少ない.赤 川河口近くに小さな突堤が 1 つある.突堤では釣りをする人が見られた.十里塚は 海水浴場になっている.この付近だけは護岸工事がなされている.その内側と駐車 場は舗装されている. 5 月 23 日(水) 酒田市十里塚(海水浴場)から酒田市宮野浦(最上川河口) 十里塚海水浴場のすぐ北からイソコモリグモが見られ,この区間ではほとんどの 場所でイソコモリグモの住居が確認された.イソコモリグモの住居(大形,中形の 穴)は 100 以上見たが,個体を確認したのはわずかである.穴の入口は糸で補強 されていること,穴が深いこと,穴の周りに穴を掘った砂が見られる場合があるこ とによりイソコモリグモの住居とわかる.十里塚−宮野浦の中間付近で砂丘垣の上 部が表れている場所一帯は海浜植物がまばらでイソコモリグモの住居が多く見ら れた.宮野浦近くには波消しブロックが置かれ所々に海浜植物が生える広い砂浜に なる.ここの北側部分で風力発電の装置が 3 基設置されている場所から少し離れた ところに多くの住居が見られた(図 5).風力発電装置付近から容易に浜に入れる ため生息地の破壊が心配される.しかし,この一帯を除き,車の入った跡はなく人 の足跡もほとんどない. 赤川河口から最上川河口までの一帯は,砂防林の前線から浜まで約 200m の距 離がある.また,台地状の砂丘の前に比較的広い砂浜が広がる.そのためイソコモ リグモの生息しやすい環境ができていると思われる. 5 月 28 日(月) 酒田市浜中(海水浴場)から赤川河口,浜中から約 1km 南下 および赤川河口北側一帯 浜中海水浴場北側から赤川河口南約 500m(突堤付近)までの間にイソコモリグ モの住居が 10 以上見られた.入口に蓋のあるものが 1 つあった.イソコモリグモ の個体は発見できない.住居は比較的広い砂浜に見られる.クロマツ林の前に広い 台地状の砂丘もある.車の入った跡はわずかに見られるが一部である.河口付近は 広い砂浜であるが,海浜植物はなく,台地状の砂丘の前線は崖状になっている.河 口付近にはイソコモリグモは発見できない. 浜中海水浴場および南側の調査地ではイソコモリグモの住居は発見できない.約 1km までに 3 つの防波堤がある.砂浜は狭く,海浜植物もほとんど見られない. 台地状の砂丘の前線は崖になっている.2 つ目の突堤まで自動車が入っている.海 水浴場は広い範囲で護岸工事がされている. 21 日は発見できなかった赤川河口北側でイソコモリグモの住居 1 つを見つける. 台地状の砂丘の前の砂浜で,まわりに小さな海浜植物がある. 58 図 5. 南より酒田市宮野浦方面 図 6. 南より遊佐町菅里字十里塚方面 5 月 29 日(火) 飽海郡遊佐町比子字白木(日向川河口)から遊佐町菅里字十里 塚(海水浴場) 日向川河口近くから十里塚海水浴場北側(図 6)まで突堤が 8 つある.日向川河 口付近を除き海岸の浸食が見られる地域である.河口近くに 2 つの突堤があり,そ の間の海岸に多数のイソコモリグモの住居が見られた.いくつかの穴からイソコモ リグモが見られた.2 番目の突堤から 3 番目までの青塚,服部興野の前には護岸が ある.海岸すぐの護岸を除き,この付近にもわずかだが住居がある.3 番目から 4 番目の突堤の間には波消しブロックが多数ある.内側の砂浜は狭いがイソコモリグ モの住居がある.5 番目から 6 番目の突堤の間にアスファルトが海岸近くまで張り 出しているところがある.その部分にはイソコモリグモは見られない.砂浜には一 部を除き全体的にイソコモリグモが分布しているようである. 車の通ることができる道が砂丘にあり,青塚,服部興野付近の道は海岸に近く, そこから台地状の砂丘の中央に十里塚まで車が通れる道がある.白木を除き砂浜に 自動車が入ることはほとんどないが,突堤付近では自動車が見られることがある. クロマツ林から海岸までは 200m 以上ある.クロマツ林の前線には砂丘垣があり 砂で覆われ小さな山になる.一部は新しい簀を張っている場所がある.砂草で覆わ れる台地状の砂丘は広く,テンキグサのほかにハマナシやハマエンドウなどの海浜 植物が見られる.砂浜は酒田市南部と比較して狭い. 6 月 1 日(金) 飽海郡遊佐町菅里字十里塚(海水浴場)から遊佐町菅里字西浜(海 水浴場) 前日からの雨が朝にはやむ.海岸に穴は多数見られるが,雨のためにイソコモリ グモの住居(穴)かはっきりしないものが多い.しかし,入口が糸で補強されてい るものもあり,これはイソコモリグモの住居と思われる.十里塚海水浴場のすぐ北 側から西浜海水浴場の南側まで比較的多くの穴が見られる.この地域全体にイソコ 59 図 7. 5m×10m 内のイソコモリグモ住居の分布(上:酒田市宮野浦,下:遊佐町比子 字白木;数字は直径 mm,点は 4 mm 以下) モリグモが分布すると思われるが,個体を確認することができなかった. 十里塚海水浴場北側の防波堤から西浜まで突堤はない.台地状の砂丘は比較的低 く,砂浜は広い.海水浴場付近を除き護岸はない.波による浸食は少なく,砂浜は イソコモリグモが生息しやすい環境と思われる.しかし,砂浜に車が入り込み走る のが見られる. 6 月 4 日(月) 酒田市宮海(海水浴場)から日向川河口 宮海海水浴場からすぐ北に 3 基の風力発電装置がある.南から 2 番目の風力発 電装置までは,波消しブロックや護岸で固められイソコモリグモは見られない.3 番目の風力発電装置の前面は砂浜となり,この付近からイソコモリグモの住居が見 られる.すぐ北に突堤が 1 つさらに離れて 1 つある.この 2 つの突堤の間は,砂 60 浜が広がりイソコモリグモの住居が多数見られる.この場所も多産の地域といって よいと思う.海からの漂着ゴミが多く,環境としては必ずしも良くは無い.2 つ目 の突堤から日向川までは護岸で固められイソコモリグモの住める環境にない. 風力発電装置の防砂林側に道があるが,砂浜となっている部分には自動車は入り 込めない.また,2 つの突堤の間の砂浜にも自動車は入れないようである.突堤に は釣りをする人が見られる. 6 月 11 日(月) 酒田市宮野浦および酒田市八重浜付近 宮野浦の風力発電装置まで自動車で入る.最上川河口部分までの狭い浜にイソコ モリグモの大形,中形,微小の住居を確認する.南側の波消しブロックの切れる部 分で生息密度の調査をおこなう.5m×10m 内の穴の位置および直径を確認する. 近い場所 2 か所で実施.穴は海浜植物が多い場所で 21 個(大 3,中 7,小 11)と 海浜植物が少ない場所で 43 個(大 2,中 6,小 35)(図 7 上)見つかる.この付 近の砂丘のつくりは,クロマツ林の前線には太丸太防風柵があり,その前に作業用 の自動車道がある.そこから前の約 20m にさらにクロマツなどの木が生え,そこ から約 110m は台地状の砂丘となる.砂丘のクロマツ林側にはブタナなどの帰化 植物が多く侵入し,浜側はほとんどがテンキグサでおおわれている.浜の部分は約 50m あり,砂丘側にはまばらにハマヒルガオ,ハマボウフウなどが生えている.5 月 23 日にはほとんど咲いていなかったハマヒルガオの花が多く見られる. 酒田市八重浜の赤川河口から北へ,少ないがイソコモリグモが見られる.微小な 穴もあり,浜が十里塚まで同じような状況からして,5 月 21 日に発見できなかっ た十里塚まで全域に分布すると考えて良いと思う. 宮野浦および八重浜では,前回はほとんどなかった自動車のタイヤ跡が多く見ら れる.生息環境が一部で破壊されている. 6 月 14 日(木) 飽海郡遊佐町比子字白木 白木海岸の 2 つの突堤の中間付近で生息密度の調査をおこなう.5 月 29 日には 気づかなかった微小の穴が多数見つかる.この付近一帯に自動車のタイヤ跡が多数 見られ,生息環境の破壊が進んでいることがわかる.前回にくらべタイヤ跡が極端 に増えているようだ. ここでも 2 か所で 5m×10m 内の穴の位置および直径を確認する.いずれも同 じような環境で,砂浜の海浜植物が少しあるところである.それぞれ 32 個(大 3, 中 2,小 27)と 45 個(大 4,中 5,小 36)(図 7 下)であった.しかし,場所 によってはイソコモリグモの穴がほとんど見られない部分もある.とくにタイヤ跡 が多くある部分ではイソコモリグモの生息が難しくなっているようだ.砂浜の部分 は大分荒らされているが,台地状の砂丘は荒らされていない. 61 図 8. 生息状況のまとめ(⇔は生息域.2 本は多産の地域.破線は護岸で分布困難) [国土地理院発行 25,000 分の 1 地形図(吹浦,酒田北部,酒田南部,湯野浜)使用] 生息状況のまとめ 庄内砂丘は中央に酒田港があり,その北側と南側に分けられる.北側の遊佐町菅 里字西浜から酒田市宮海までは,海水浴場および護岸工事がなされている部分を除 き,比較的多くのイソコモリグモの住居が確認された.南側の酒田市宮野浦から鶴 62 岡市湯野浜までのうち,イソコモリグモの住居が確認されたのは酒田市宮野浦から 酒田市浜中までで,浜中から鶴岡市湯野浜まではイソコモリグモは確認できなかた. 確認できた中でも,宮野浦から酒田市十里塚までは多数見られたが,十里塚から浜 中では多くはない(図 8). 庄内砂丘にはイソコモリグモが見られる部分が多い.酒田市宮野浦から十里塚の ように,砂浜が広くしかもあまり自動車の入り込まない場所もある.しかし,酒田 市宮海と宮野浦には 3 基ずつ風力発電装置がつくられ,その一帯ではイソコモリグ モの生息場所が破壊された.また,遊佐町菅里字十里塚から比子字白木のように突 堤が数多く建設され,護岸工事がされている部分もある.とくに,護岸の部分には イソコモリグモはほとんど見られない.酒田市浜中から鶴岡市湯野浜の部分では, 発見できた地域からは生息環境として劣るが,生息している可能性はあると思われ る. 他県の砂浜では宅地造成,護岸工事や自動車の進入などでイソコモリグモの生息 環境が破壊されている(徳本 2005, 2006).山形県でも一部で生息環境が失われ たが,人の手があまりはいらないまま残されている場所も多くある.そのような地 域の保護を進めなければならないと考えている. 参考文献 金野 晋 1993. イソコモリグモについて. くものいと, 12: 7-12. 徳本 洋 2005. 石川県で見たソコモリグモ Lycosa ishikariana (S. Saito 1934) 生き残りの条 件. Kishidaia, 87: 49-63. 徳本 洋 2006. イソコモリグモ残存率算定へのアプローチ. 遊絲, 19: 6-12. 八木沼健夫 1960. 原色日本蜘蛛類大図鑑. 保育社, 大阪. vi + 186 + 8 pp., 54 pls. 吉田 哉 1991. クモ目. 大津 高(編) 山形県陸産淡水産動物目録: 80-90. 山形県動物環境調 査会, 山形市. 358 pp. 63 KISHIDAIA, No.92, Aug. 2007 ─────────────────────────────────DRAGLINES── 埼玉県における珍しいクモの記録 平 松 毅 久 元埼玉県在住の佐藤幸子氏から下記 2 種の記録をご教示いただいた.ゲホウグモ の埼玉県内の記録は少なく,またダニグモは埼玉県新記録である.貴重な情報をお 寄せ下さった佐藤幸子氏に深く感謝申し上げる. ゲホウグモ♀成体 1983 年 10 月 10 日上尾市日の出水上公園 ダニグモ ♂成体 1979 年 7 月 18 日与野市大字大戸 埼玉県秩父市のワスレナグモの記録 平 松 毅 久 埼玉県でのワスレナグモの記録は関口(1957)が 1957 年 6 月 16 日上尾市で 記録して以来近年まで殆ど記録がなかった.21 世紀になり八幡が 2001 年 11 月 3 日入間郡毛呂山町の民家の庭における本種の記録を発表している(八幡 2006). 筆者は秩父市の浦山ダムの環境モニタリング調査で採集されたクモ類の標本を検 する機会を得たが,その中に本種が含まれていた.市街地のクモという印象が強い 本種であるが,採集地がダム付近であることからみても山の中であり,今まであま り知られていない環境での記録という点で貴重である.残念ながら採集時の詳細な 情報はないが,採集データを下記に示す.標本を検する機会を与えて下さった西山 明氏と採集地の情報をご教示いただいた牧林功氏に感謝申し上げる. ワスレナグモ♀幼体 2 頭 2003 年 05 月 30 日 秩父市久那 MC:5339-70-44 ワスレナグモ♀成体 1 頭 2003 年 10 月 15 日 秩父市浦山 MC:5339-70-24 注)MC は 3 次元メッシュコード(1997 年環境庁発行都道府県別メッシュマップ 11 埼玉県) 東京・湾岸で採集されたタイリクユウレイグモ 笹 岡 文 雄 東京都江東区の湾岸部,青海コンテナ埠頭においてタイリクユウレイグモ Pholcus opilionoides を採集したのでここに報告する. 64 KISHIDAIA, No.92, Aug. 2007 ──DRAGLINES───────────────────────────────── 青海コンテナ埠頭は東京湾へ長方形に突出したコンテナ専用の埠頭である.埠頭 以外は流通用道路と倉庫が占め,若干の緑地(公園)があるのみである. 1998 年 11 月 15 日,同地の青海流通センター入口にあった駐禁用パイロン 1 本の中より,タイリクユウレイグモ♀成体 2 頭を採集した.東京都において同種の 初記録である.北海道以外においては平地での採集はまれであり,ほとんどが標高 800m 以上での記録であるという(新海 2006). したがって同種が東京の平地,それも湾岸部で採集されたのは非常に特異な例で ある.採集場所が流通の拠点であるので,何らかの物流に乗って移動して来た可能 性もあろうが詳細は不明である. 謝辞 クモの同定に当たり,浅間茂氏には資料の紹介を受けた.また新海栄一氏には日 本おける採集地等の知見についてお教えをいただいた.お二方にはここにあらため てお礼申し上げたい. 引用文献 新海栄一 2006.日本のクモ.文一総合出版(東京),335pp <目録ドラッグラインズ> 竹富島で採集したクモ 仲 條 竜 太 著者は 2007 年 3 月 3 日に沖縄県八重山郡竹富町竹富島(24º19’N, 124º05’E) にてクモ類の採集を行った.著者の知る限り,これまで竹富島からのまとまった調 査報告はなく,断片的に報告された 7 種の記録があるのみである(新海ら 2006, 西野・西野 2006). 当日の天候は雨であったうえ,わずか半日の滞在であったため採集されたクモは わずかだが,竹富島新記録となる 5 種のクモを採集したのでここに報告する. Leucauge blanda (L. Koch 1878) チュウガタシロカネグモ FM Cyclosa confusa Bös. & Str. 1906 ミナミノシマゴミグモ F Cyclosa mulmeinensis (Thorell 1887) トゲゴミグモ FMe Neoscona theisi (Walckenaer 1841) ホシスジオニグモ F Pardosa takahashii (S. Saito 1936) スナハラコモリグモ Fe 引用文献 新海明・安藤昭久・谷川明男.2006.県別クモ類分布図 Ver.2006.著者自刊 CD. 西野佳秀・西野真由子.2006.採集情報.遊絲,19: 17. 65 KISHIDAIA, No.92, Aug. 2007 伊豆大島のトタテグモおよびその他のクモ 笹 岡 文 雄 伊豆大島(大島)は伊豆諸島に属しその中で最も大きく,最も北にあり本土に近 い島である(図 1).三原山を頂点とした火山島であり,河川,池等の大きな水系 はなく全島が基本的には照葉樹林帯である.行政区画は東京都で,全島で 1 町(大 島町)の自治体を構成する. 大島は伊豆諸島において最もクモ類の調査が行われている島(小野 2001)であ るが,トタテグモを初めとした地中性のクモ類はまったく確認されていない.ただ キノボリトタテグモと思われる住居が植村(1939)によって元村(現・大島町元 町)で採集された.また国立科学博物館地学研究部千葉とし子氏によってキシノウ エトタテグモと思われる住居が千波崎・地層断面地にて報告されている(小野 2001).いずれの報告もクモ本体は採集されていないが,大島において両種が分 布している可能性が考えられた.そこで筆者はその確認のため,2006 年 8 月 21 ∼23 日大島においてトタテグモ類を始めとした地中性のクモ類の調査を行った. また合わせてその他のクモ類若干の採集も行なっている. 調査は元町地区を中心にその街区およ び大島一周道路周辺の切通等の崖地,及び 元町と三原山を挟んだ反対側の都立大島 公園と周辺の林の 2 地区で行った.三原山, 岡田地区,波浮地区では調査を行っていな い. 目 録 (記号 F:♀成体,M:♂成体,y:雌雄 不明幼体) *調査地 大島町 元町①(一周道路火山博物館付近),元町 ②(吉谷神社前の公園),元町③(吉谷神 社境内),元町④(為朝神社境内),元町 ⑤(4 丁目庚申塚脇道路),元町⑥(潮音 図 1. 66 寺境内),野増①(一周道路王の浜海水浴 場入口周辺),野増②(一周道路溶岩導流堤施設付近),野増③(一周道路大宮神 社付近),都立大島公園 1.トタテグモ科 Ctenizidae 1.キシノウエトタテグモ Latouchia swinhoei typica 採集 2F1y 22-VIII-2006 野増② 確認 2F9y 22-VIII-2006 野増②,1F5y 23-VIII-2006 元町③, 9y 23-VIII-2006 元町⑥,17y 23-VIII-2006 元町②, 2F45y 23-VIII-2006 元町④ 2.キノボリトタテグモ Ummidia fragaria 採集 1F 22-VIII-2006 元町①,1F 22-VIII-2006 野増② 確認 5y 22-VIII-2006 野増②,3y 23-VIII-2006 元町③, 4y 23-VIII-2006 元町④,2y 23-VIII-2006 元町⑥ 2.ジグモ科 Atypidae 3.ジグモ Atypus karschi 確認 1y 23-VIII-2006 元町②,1y 23-VIII-2006 元町③ 4.ワスレナグモ Calommata signatum 採集 1F 21-VIII-2006 野増① 確認 1y 21-VIII-2006 野増①,1y 22-VIII-2006 元町①, 2y 23-VIII-2006 元町②,1y 23-VIII-2006 元町⑤ 3.センショウグモ科 Mimetidae 5.センショウグモ Ero japonica 採集 1F 22-VIII-2006 野増② 4.ヒメグモ科 Theridiidae 6.オオヒメグモ Achaearanea tepidariorum 採集 1M 22-VIII-2006 都立大島公園 7.シロカネイソウロウグモ Argyrodes bonadea 採集 1F1M 21-VIII-2006 元町① 8.クロマルイソウロウグモ Argyrodes melanosoma 採集 1F 22-VIII-2006 野増② 9.カレハヒメグモ Enoplognatha transversifoveata 採集 1y 22-VIII-2006 都立大島公園 10.ムラクモヒシガタグモ Episinus nubilus 採集 1M 22-VIII-2006 野増② 5.アシナガグモ科 Tetragnathidae 11.ウロコアシナガグモ Tetragnatha squamata 採集 1M 22-VIII-2006 都立大島公園 67 6.ナミハグモ科 Cybaeidae 12.ナミハグモの一種 Cybaeus sp. 採集 1F1y 21-VIII-2006 野増③,1F1y 22-VIII-2006 野増② 7.ハエトリグモ科 Salticidae 13.ミスジハエトリ Plexippus setipes 採集 1M 22-VIII-2006 都立大島公園 以上 7 科 13 種を確認した. キシノウエトタテグモ,キノボリトタテグモは採集した個体以外は住居内に個体 がいるか確認し,住居の蓋の大きさが 1cm 未満のものを幼体と判定しカウントし た.ジグモも同じく住居内に個体がいるか確認し,その直径がともに 4mm 弱であ ったため幼体と判定し採集していない.ワスレナグモは採集した成体の個体以外は 全て住居の穴の大きさが 3mm 未満のものであったため幼体と判定したが,クモ本 体は確認していない.その他ヒラタグモ,ジョロウグモ,オニグモ,サツマノミダ マシ,コガタコガネグモ,ナガコガネグモ,コシロカネグモ,ヒメグモを視認した が採集をしなかったため,あえてリストには掲げなかった.この内過去,大島にお いてはヒメグモの記録はない. 以上のことから大島における既知種数は(ヒメグモを含めず)70 種となり,伊 豆諸島において八丈島と並んで最多となった(小野 2001).キシノウエトタテグ モ,ジグモ,ワスレナグモ,シロカネイソウロウグモ,クロマルイソウロウグモ, ウロコアシナガグモの 6 種が大島初記録.さらにキシノウエトタテグモについては 伊豆諸島においても初記録である.ジグモは三宅島(仲辻 1936, 1942)に次,ワ スレナグモは三宅島(仲辻 1936, 1942),御蔵島(大河内 1969)に続き 3 島目 の記録である.キノボリトタテは植村(1939)によって住居が採集されている. また過去利島と三宅島に分布との報告(岸田 1961)があるがこれは詳細が明かで はないため,伊豆諸島において今回初めて個体が確認されたといってよいだろう. なお植村(1939)がキノボリトタテの住居を採集したとする「海岸付近の墓地」 は特定できなかった.また千葉とし子氏からキシノウエトタテの住居情報があった, 千波崎・地層断面地は土木工事のため詳細な調査ができず,クモを確認できなかっ たことを付記しておく. 地中性クモ類の分布についての考察 今回大島において確認された地中性のクモ 4 種(キシノウエトタテ,キノボリト タテ,ジグモ,ワスレナグモ)について考えてみたい. ジグモ科の 2 種ジグモ(新海 1997),ワスレナグモ(梅林 1998)は親の住居 から出てから,バルーニングによって分散する.両種とも大島より本土から遠い三 宅島(仲辻 1936,1942)で確認されている.したがって筆者は伊豆半島から最短 68 30km 程度の距離にある大島に両種が分布することに何ら疑問を感じない. それではトタテグモ科 2 種キシノウエトタテ,キノボリトタテについてはどうで あろうか.キシノウエトタテについては 8 月頃に住居内で産卵,孵化し翌年 4 月 頃,幼体は住居より出て歩行分散することがわかっている(牧私信), (鈴木私信), (笹岡未発表).このことから同種は大島のような離島にどのようにして分布を拡 げることができたのか.同種の大島における分布地域は,寺社地や道路添いの崖地 に集中していた.しかし都立大島公園と周辺の自然林では確認できなかった.今回 の調査密度が低いことから即断はできないが分布が一定地域に集中しかつその地 域内で小コロニーが点在する形態であり,それは東京を始めとして各地都市部の状 況と酷似している.筆者はキシノウエトタテが歩行分散するにもかかわらず,その 地域の生息場所が狭く連続性が見られない場合,それが人為的に移入されたもので はないかと考えている.したがって離島である伊豆大島で,また島内の生息場所に も偏りがあるという形態は,それが外部より人為的に移入された場合の状態ではな いかと推測している.もちろんこの点のみで人為分布を即断することはできない. しかし逆に離島のような隔離された環境で人為分布が証明できれば,その地域の分 布形態からパターンを導き出すことによって,他の地域におけるキシノウエトタテ の人為分布の有無も明らかにできるのではないか.この場合クモの個体採集だけで はなく土砂,草木等移入が行われたか,どのような人為が介在したかもかならず検 討する必要性があろう. では人為分布ではなく自然分布であるとするならどのような可能性が検討でき るだろうか.大島をはじめとした伊豆諸島は地質学的に氷期に本土と繋がり,間氷 期に分離するということを繰り返してきたとされる.しかしそれはどのように本土 と地続きになっていたかはよくわかっていない.第三紀,もしくは第四紀に“古伊 豆半島”という八丈島まで延びる半島あったとする説がある.あるいは伊豆半島と 大島周辺の島嶼を合わせた“伊豆島”があり,それが氷河期に海水面が下がり一時 的に地続きとなり,その後の地殻変動等によって伊豆半島と諸島に分離したとする 説もある.この本土と陸続きになった時期に,キシノウエトタテが分布を拡げたと 推測することは可能である.ただ仮に陸続きの時期に本土より移入したとしても, 有史以前より度々噴火を繰り返し,ほぼ全島にわたって溶岩流に被われた地表を持 つ大島において地中性のクモ類が残ることができたかどうか,その確率は決して高 いとはいえないだろう.これについては飛翔できない生物群,特に地上徘徊性の昆 虫類,ザトウムシ,多足類等の分布と比較検討する必要がある.また伊豆半島にお ける分布状況との対比も行わなくてはならないだろう. またキノボリトタテの分散については,その知見が示されたことはない.三宅島 の記録(岸田 1961)が正しいとするならジグモ科の 2 種と同じ分布であり,同種 がバルーニングを行うのか,あるいはキシノウエトタテと同様に歩行分散か解明の 一助となる可能性がある.しかしながら現在のところ利島,新島,式根島等の大島 69 周辺島嶼におけるトタテグモ類の調査が不十分であり,筆者は他の伊豆諸島を含め さらなる調査を行う必要があると考えている. 謝 辞 大島を調査するにあたり東京国立科学博物館の小野展嗣博士には,トタテグモの 貴重な文献のご寄贈,また複写をしていただいた.さらに同博士を通じ同博物館地 学研究部千葉とき子氏よりキシノウエトタテの生息地情報をお教えいただいた.お 二方には厚くお礼申し上げたい.特に小野博士のご援助が無ければ,調査も拙稿を 書き上げることも困難だった.まことに感謝に堪えない.またキシノウエトタテに 関して,牧匡孝氏,鈴木成生両氏より貴重な知見をお教えいただいた,合わせてお 礼申し上げる. 参考文献 Kishida, K.,1931.On spiders from the island of Idzu-Ohshima, Tokyo-fu, Japan. Lansania, 3:59-61. 岸田久吉 1961.伊豆諸島の動物.どうぶつと動物園,13:16. 松下伝吾 1939.伊豆大島の蜘蛛.Acta Arachnologica,4:154-158. 仲辻耕次 1942.伊豆七島産蜘蛛類に就て.農学輯報,1:287-328. 岡田彌一郎 1921.大島近海採集旅行記.動物学雑誌,33:30-34. 小野展嗣 2001.伊豆諸島のクモ類.国立科学博物館専報,37:261-277. 新海 明 1972.ジグモの分散(バルーニング)の観察.Kishidaia,72:52-53. 新海栄一 1969.東京都産真正蜘蛛類.東亜蜘蛛学会,大阪. 高島春雄 1939.くもを掴む(1)伊豆大島(東京府下)の蜘蛛追加.Acta Arachnologica,4:33. 植村利夫 1939.伊豆大島にトタテグモ一種を産す.Acta Arachnologica,4:158. 梅林 力 1998.ワスレナグモのバルーニングから交接まで.東京蜘蛛談話会・多足類懇談会合 同例会,国分寺市,1998.12,[梅林力]. 八木沼健夫,1957.伊豆七島のクモ.Atypus,12:16. 70 KISHIDAIA, No.92, Aug. 2007 冬の伊豆大島から採集されたクモ 仲條竜太 1,2)・原口岳 1,3)・中西亜耶 1,2)・久保真司 1,4) Spiders of the Izu-Ohshima, the Izu Islands, Japan, collected in winter. Ryuta Nakajo1,2), Takashi Haraguchi1,3), Aya Nakanishi1,2), Masashi Kubo1,4) はじめに 伊豆大島(34º45’N, 139º21’E)は東京から南へ 120km の太平洋上に位置する 伊豆諸島最北の火山島である(図 1).島は東西 9km,南北 15km,面積 91.06km2 で伊豆諸島において最も大きい.最高峰 の三原山(764m)は現在も火山活動を 続けており,島の北西部の元町地区では, 1986 年の噴火の際の溶岩流による被 害が見られる. 伊豆大島は伊豆諸島の中では最も古 くからクモ類相の調査が行われ,岡田 (1921)により 6 種(幼体のみ採集さ れたヤチグモの一種を除く)が記録され て以降,Kishiida(1931),松下(1939), 仲辻(1942)らによって次第にクモ相 が明らかにされ,現在までに 23 科 73 種が知られる(新海ら 2006).しかし 仲辻(1942)以来 60 年以上もの間, 小野(2001)による総説を除きまとま ったクモ類相の報告はない. ─────────── 1) 伊豆諸島利島クモ相調査隊 2) 東邦大学理学部地理生態学研究室 3) 京都大学農学部森林科学科 4) 慶応義塾大学文学部 著者らは,伊豆諸島におけるクモ類 相を少しでも解明すべく,伊豆大島に おいて調査を行い,伊豆大島新記録と 71 なる 1 科 2 種のクモを採集した.これにより伊豆大島から知られるクモ類は 23 科 75 種となった.なお本調査の紀行文は原口(2007)を参照されたい. 方 法 調査は 2007 年 1 月 4 日に伊豆大島北部の岡田地区および北西部の元町地区に おいて行われた.クモ類の採集はルッキング,ビーティング,シフティングによっ た.得られたクモ類は原則として直ちに 80%エタノール液浸標本としたが,亜成 体と判断されたものは生かしたまま持ち帰り,飼育により成体とすることを試みた. 種の同定は実体顕微鏡下で成体をもとに行い,幼体については属レベルまでの同定 にとどめ,不確定なものについては掲載を見送った.なお論文中のすべての標本は 東邦大学理学部地理生態学研究室に保管される. 目 録 目録の作成にあたり,成体が採集されていないものは属レベルまでの同定にとど め,推定される種を括弧内に記した.伊豆大島新記録種については成体の採集され たもののみについて扱い,学名の頭に*をつけた.また現在まで伊豆大島から記録 はないが成体の採集されなかった種は未記録種とした. 目録中の記号は F: メス成体,M: オス成体,f: メス亜成体,m: オス亜成体, y: 幼体,を用いた.なお本目録中のクモ類の分類体系は谷川(2007)によった. Segestriidae エンマグモ科 Ariadna sp. (A. lateralis (Karsch 1881)ミヤグモ) 2y: 久保真司 leg. Mimetidae センショウグモ科 Ero sp. (E. japonica Bösenberg & Strand 1906 センショウグモ) y: 原口岳 leg. Oecobiidae チリグモ科 Uroctea sp. (U. compactilis L. Koch 1878 ヒラタグモ) y: 久保真司 leg. Theridiidae ヒメグモ科 Achaearanea tepidariorum (C. L. Koch 1841) オオヒメグモ Fy: 原口岳 leg./F: 中西亜耶 leg. Anelosimus sp. (A. crassipes Bösenberg & Strand 1906 アシブトヒメグモ) 2my: 原口岳 leg. Argyrodes sp. (A.bonadea (Krasch 1881) シロカネイソウロウグモ) [伊豆大島未記録]2y: 中西亜耶 leg. Dipoena sp. (D. punctisparsa Yaginuma 1967 シモフリミジングモ) 72 [伊豆大島未記録]y: 原口岳 leg. Enoplognatha abrupta (Krasch 1879) カレハヒメグモ F: 原口岳 leg./y: 中西亜耶 leg. *Episinus affinus Bösenberg & Strand 1906 ヒシガタグモ [伊豆大島新記録]Fm: 原口岳 leg. *Steatoda cingulata (Thorell 1890) ハンゲツオスナキグモ [伊豆大島新記録]F3f: 久保真司 leg./f: 中西亜耶 leg. Stemmopus sp. (Stemmopus nipponicus Yaginuma 1969 スネグロオチバヒ メグモ) y: 原口岳 leg. Linyphiidae サラグモ科 Neriene oidedicata (Helsdingen 1969) ヘリジロサラグモ 2mf: 仲條竜太 leg. (うち m1 個体は 2007 年 1 月 14 日に成体となった)/3m: 原 口岳 leg. Tetragnathidae アシナガグモ科 Laucauge sp. 6y: 原口岳 leg./y: 中西亜耶 leg. Lycosidae コモリグモ科 Paradosa astrigera L. Koch 1878 ウヅキコモリグモ M: 原口岳 leg./m: 中西亜耶 leg. Agelonidae タナグモ科 Agelena opulenta L. Koch 1878 コクサグモ F: 仲條竜太 leg. Amaurobiidae ガケジグモ科 Paracoelotes luctuosus (L. Koch 1878) メガネヤチグモ FM: 久保真司 leg./F: 原口岳 leg. Salticidae ハエトリグモ科 Plexippus sp. (P. paykulli (Audouin 1827) チャスジハエトリ) 2y: 中西亜耶 leg. 謝 辞 原稿を読んで下さった東邦大学理学部地理生態学研究室の長谷川雅美教授に深 くお礼申し上げる. 引用文献 原口岳.利島改め伊豆大島旅行顛末記.くものいと.印刷中 Kishida, K. 1931. On spiders from the island of Idzu-Ohshima, Tokyo-fu, Japan. 73 Lansania, 3: 59-61. 仲辻耕次.1942.伊豆七島産蜘蛛類に就て.農學輯報.1: 287-328. 岡田彌一郎.1921.大島近海採集旅行の記.動物學雑誌.33: 30-34. 小野展嗣.2001.伊豆諸島のクモ類.国立科学博物館専報.37: 261-277. 新海明・安藤昭久・谷川明男.2006.県別クモ類分布図 Ver. 2006. 著者自刊 CD. 谷川明男.2007.日本産クモ類目録 Ver. 2007R1. http://www.asahi-net.or.jp/ ~DP7A-TNKW/japan.pdf 74 KISHIDAIA, No.92, Aug. 2007 国立市のクモ類(第 1 報) 初 芝 伸 吾 はじめに 国立市では,2001 年度に緑の基本計画策定のために,クモ類をはじめ鳥類や昆 虫類等様々な分類群の生物調査を市民で行った.著者の知る限り,この調査が国立 市のクモ類相をまとめた最初の報告である.この調査は 2001 年 3 月 30 日から 2002 年 3 月 5 日の間に捕虫網等による採集や目視による確認,ピットホールトラ ップによって行った.2001 年度調査において採集されたのは,幼体等の理由によ り種の確定ができない種を除くと 109 種であった. 今回の「国立市のクモ類(第 1 報)」は,上述の 2001 年度の調査結果と 2006 年 5 月 21 日現在までに調査し同定できたクモ類の記録を合わせたものである. 国立市の概要 国立市は 4km 四方で,標高 55m から 80m 程度の平地で住宅地が多い市である. 国立市の南には多摩川が流れ,河川敷がある.多摩川沿いの青柳崖線には樹林が帯 状に続いている.崖線下は湧水が湧き,小川が流れており,その付近には畑地や水 田がみられる.崖線上は畑地や住宅地で,甲州街道の北はほとんどが住宅地である. 国立市の中でまとまった樹林地は滝乃川学園,谷保の城山,谷保天満宮,一橋大学 と数えるほどしかなく,一橋大学の樹林地の面積が最も大きい. 調査方法 調査地は国立市内でも樹林や草地のまとまった多摩川,滝乃川学園及びママ下湧 水,谷保の城山,お鷹の森,一橋大学等を中心に調査した. 捕虫網によるスウィーピングやビーティング,見つけ採り,シフティング,ベイ トトラップ等を行った.確認した個体はできるだけ採集し室内で同定した. 結 果 国立市のクモ類の記録は「町名:性別 日付」の順に記した.♂:オス,♀:メス, ♂y:オス幼体,♀y:メス幼体,y:幼体,脱皮し成体になった場合その日付を 示した.なお,性別等が不明な場合は不詳とした. また,国立市の町名には谷保,中,東,西,北,泉,富士見台,青柳があるが, 青柳は未調査である.谷保には多摩川,滝乃川学園及びママ下湧水,谷保の城山, お鷹の森,谷保天満宮等のまとまった草地や樹林地が多く含まれ,中には一橋大学 75 の西校舎や住宅地,東には一橋大学の東校舎や住宅地,グラウンド等,西には住宅 地,北には住宅地や小規模な樹林地,和泉には住宅地や工場,公園等,富士見台に は団地や団地前の芝地,住宅地等が含まれる. 本リストは基本的に谷川明男(2005)日本産クモ類目録に準じている.また, 現時点までに確認されているクモ類は 29 科 178 種である. なお,2001 年度調査結果おいて確認された種のうち,再同定した結果,誤同定 で訂正すべき種が含まれていたため,ここに訂正する. キヒメグモ→キヨヒメグモ カラフトコモリグモ→アライトコモリグモ フイリコタナグモ→コタナグモ 以上の 3 種である. 以下に国立市のクモ類を示す. ジグモ科 1.Atypus karschi Dönitz 1887 ジグモ 谷保:不詳 20010421・谷保:不詳 20010504・谷保:不詳 20010520・谷保:不詳 20010722・谷保:不詳 20010826・谷保:不詳 20010925・谷保:不詳 20011020・ 谷保:巣 20060413・中:y20010423・中:不詳 20010426・東:♂20010719・ 東:巣 20010813・東:巣 20010915・東:不詳 20010923・東:巣 20010929・東: 不詳 20011012・東:巣 20020301・東:巣 20060422・富士見台:巣 20010417・ 北:不詳 20010628・北:♀20010719 2.Calommata signata Karsch 1879 ワスレナグモ 谷保:巣 20060413 トタテグモ科 3.Latouchia typica (Kishida 1913) キシノウエトタテグモ 谷 保 : 不 詳 20010520 ・ 谷 保 :♀20010710 ・ 谷 保 : 巣 20060409 ・ 中 : y 20060415 ・ 東 : y 20010423 ・ 東 : y 20010505 ・ 東 : 巣 ・ y 20010826 ・ 東:♀20050512・東:y20060422 ユウレイグモ科 4.Pholcus crypticolens Bös. & Str. 1906 ユウレイグモ 谷 保 : y 20050211 ・ 谷 保 :♂ y 20060414 ・ 谷 保 :♀20060414 ・ 谷 保:♀20060430・中:♂20010330・中:♀20010330・中:y20010330・中:y 20010330 ・ 中 : y 20010602 ・ 中 :♀20050211 ・ 中 : y 20050211 ・ 中 : y 20060415・東:♂20060422 5.Spermophora senoculata (Duges 1836) シモングモ 東:♀20010825 タマゴグモ科 76 6.Ischnothyreus narutomii (Nakatsuji 1942) ナルトミダニグモ 谷保:♂20060430 7.Opopaea syarakui (Komatsu 1967) シャラクダニグモ 谷保:♂20060422・谷保:♀20060422・谷保:♂20060430・谷保:♀20060430・ 中:♀20060415・和泉:♂20011030 チリグモ科 8.Uroctea compactilis L. Koch 1878 ヒラタグモ 谷保:不詳 20010520・谷保:不詳 20011020・東:♀20060428 ウズグモ科 9.Miagrammopes orientalis Bös. & Str. 1906 マネキグモ 中:y20010330・中:y20010423・中:♂20010602・中:♀20010602・中:♀ y20010808・中:y20011003 ヒメグモ科 10.Achaearanea culicivola (Bös. & Str. 1906) カグヤヒメグモ 谷保:♂20060430・中:♀20010808 11.Achaearanea japonica (Bös. & Str. 1906) ニホンヒメグモ 谷保:不詳 20010520・中:♂20010808・中:♀20010808 12.Achaearanea oculiprominentis (S. Saito 1939)キヨヒメグモ 谷保:♀20010726・東:不詳 20010826・ 13.Achaearanea tabulata Levi 1980 オオツリガネヒメグモ 谷保:♀20010726・中:♂20010602 14.Achaearanea tepidariorum (C. L. Koch 1841) オオヒメグモ 谷保:不詳 20010826・谷保:♀20060430・中:♂20010808・中:♂20011003・ 東:♀20050625 15.Argyrodes bonadea (Karsch 1881) シロカネイソウロウグモ 谷保:y20060430 16.Argyrodes kumadai Chida & Tanikawa 1999 チリイソウロウグモ 中:♂20010808 17.Ariamnes cylindrogaster (Simon 1888) オナガグモ 谷保:♂y20060430・中:y20010330・中:y20060422 18.Chrosiothes sudabides (Bös. & Str. 1906) ヨツコブヒメグモ 谷保:♀20060512・谷保:y20060512 19.Coleosoma octomaculatum (Bös. & Str. 1906) ヤホシサヤヒメグモ 谷保:♀20010726・谷保:♀20010927・谷保:♂20060324・谷保:♀20060324・ 谷保:y20060324・谷保:y20060324・谷保:♂20060409・谷保:♀20060409 20.Dipoena punctisparsa Yaginuma 1967 シモフリミジングモ 中:y20010330・中:y20010423・中:♀20010602・中:y20011003・ 21.Enoplognatha caricis (Fickert 1876) ヤマトコノハグモ 77 谷保:♂20010726・谷保:♀20010726・谷保:♂20060324・谷保:♀20060324・ 谷保:y20060324・谷保:♀20060409 22.Episinus affinis Bos. & Str. 1906 ヒシガタグモ 中:y20010330・中:♀y20011003 23.Episinus nubilus Yaginuma 1960 ムラクモヒシガタグモ 中:♂y20010808・中:♀20010808 24.Keijia sterninotata (Bös. & Str. 1906) ムナボシヒメグモ 中:♀20010330・中:y20011003 25.Lasaeloa prona (Menge 1868) アイチミジングモ 谷保:♂20060409 26.Neospintharus fur (Bös. & Str. 1906) フタオイソウロウグモ 中:♀20010423 27.Paidiscura subpallens (Bos. & Str. 1906) ハイイロヒメグモ 谷保:♀20060409・谷保:y20060409・谷保:♂20060414・谷保:♂20060418・ 谷保:♂20060506・谷保:♀20060506・谷保:y20060506・谷保:♂20060512 28.Phoroncidia altiventris Yoshida 1985 ハラダカツクネグモ 中:♀20010602 29.Phycosoma flavomarginatum (Bös. & Str. 1906)キベリミジングモ 谷保:♀20030427 30.Steatoda cingulata (Thorell 1890) ハンゲツオスナキグモ 谷保:♂20010726 31.Steatoda erigoniformis (O. P.-Cambridge 1872)ナナホシヒメグモ 谷保:♀20060506 32.Stemmops nipponicus Yaginuma 1969 スネグロオチバヒメグモ 谷保:y20060413・谷保:♀20060430・中:♂y20060415・中:y20060415 33.Takayus chikunii (Yaginuma 1960) バラギヒメグモ 中 : y 20010330 ・ 中 : y 20010423 ・ 中 :♂20010602 ・ 中 :♀20010602 ・ 中:♀20010808・東:y20010417 34.Takayus lyricus (Walckenaer 1841) シモフリヒメグモ 谷 保 :♂20060409 ・ 谷 保 :♀20060409 ・ 谷 保 : y 20060409 ・ 谷 保 :♂ y 20060414・谷保:y20060414・谷保:y20060418 35.Yaginumena castrata (Bös. & Str. 1906) ボカシミジングモ 中:y20010423 36.Yaginumena mutilata (Bös. & Str. 1906) コアカクロミジングモ 谷保:♀20010719・谷保:♂20060414・谷保:♀20060414・谷保:y20060414・ 谷保:♀20060422・谷保:♀y20060422・谷保:♀20060430・中:y20060415・ 中:♀20060422 ヨリメグモ科 78 37.Conculus lyugadinus Komatsu 1940 ヨリメグモ 谷保:y20020224 サラグモ科 38.Baryphymula kamakuraensis (Oi 1960) カマクラヌカグモ 中:♂20010330 39.Bathyphantes tateyamaensis (Oi 1960) タテヤマテナガグモ 谷保:♂20050211・谷保:♀20050211・谷保:♀20050227・谷保:♀20060414・ 谷保:♂20060418・谷保:♀20060418・谷保:♀20060418・谷保:♂20060422・ 谷保:♀20060422・谷保:♀20060430・谷保:♂20060512・東:♂20060422 40.Diplocephaloides saganus (Bös. & Str. 1906) ハラジロムナキグモ 谷保:♂20060414・谷保:y20060414・谷保:y20060414・谷保:y20060414・ 谷保:♂20060418・谷保:♀20060418・谷保:♀20060422・谷保:♀20060506 41.Doenitzius peniculus Oi 1960 デーニッツサラグモ 谷保:♀20060414・谷保:♀20060418・中:♀20050211・中:♂20060415・ 中:♀20060415 42.Doenitzius pruvus Oi 1960 コデーニッツサラグモ 谷保:♀20060413・谷保:♂20060422・谷保:♀20060422・谷保:♂20060430・ 谷 保 :♀20060430 ・ 中 :♂20050211 ・ 中 :♀20050211 ・ 中 :♂20060415 ・ 中:♀20060415 東:♂20060422・東:♀20060422 43.Erigone edentata Saito & Ono 2001 マルムネヒザグモ 谷保:♂20060324 44.Erigone prominens Bös. & Str. 1906 ノコギリヒザグモ 谷保:♂20060409・東:♀20050625 45.Gnathonarium exsiccatum (Bös. & Str. 1906) ニセアカムネグモ 谷保:♂20060409・谷保:♀20060409 46.Mecopisthes tokumotoi Oi 1964 トクモトコサラグモ 谷保:♀20060430・中:♂20010330 47.Nematogmus sanguinolentus (Walckenaer 1837)チビアカサラグモ 谷保:♂20060506・谷保:♀20060506・谷保:♂20060512・谷保:♀20060512 48.Neriene brongersmai (Helsdingen 1969) チビサラグモ 谷保:♂20060414・谷保:♂20060418・谷保:♂20060430 49.Neriene oidedicata (Helsdingen 1969) ヘリジロサラグモ 谷保:♀20010719・谷保:♂20060409・谷保:♀20060418・谷保:♀20060422・ 谷保:♂20060430・谷保:♀20060430 50.Nippononeta kantonis Ono & H.Saito 2001 カントウケシグモ 谷保:♀20050211 51.Nippononeta obliqua (Oi 1960) ナナメケシグモ 谷保:♀20050227 52.Nippononeta ungulata (Oi 1960) ツメケシグモ 79 谷保:♂20060409・谷保:♀20060409・谷保:♀20060414 53.Oia imadatei (Oi 1964) イマダテテングヌカグモ 中:♀20010423・中:♀20060415・中:♀20060422・東:♀20060422 54.Orientopus yodoensis (Oi 1960) アバタムナキグモ 東:♀20010719 55.Paikiniana mira (Oi 1960) テングヌカグモ 谷保:♀20060422・中:♀20010330 56.Paikiniana vulgaris (Oi 1960) コテングヌカグモ 谷保:♀20060409 57.Tojinium japonicum Saito & Ono 2001 ヤマトトウジヌカグモ 中:♂20010423・中:♀20010423・中:♂20060415・中:♀20060415 58.Ummeliata feminea (Bös. & Str. 1906) アトグロアカムネグモ 谷 保 :♀20060414 ・ 中 :♂20050211 ・ 中 :♀20050211 ・ 中 :♂20060415 ・ 中:♀20060415・中:♀20060422・東:♂20010719 59.Ummeliata insecticeps (Bös. & Str. 1906) セスジアカムネグモ 谷保:♀20010726・谷保:♂20060409・谷保:♀20060409・中:♂20010602 60.Ummeliata osakaensis (Oi 1960) オオサカアカムネグモ 谷保:♂20060324 アシナガグモ科 61.Leucauge magnifica Yaginuma 1954 オオシロカネグモ 中:♂20010602・中:♀20011003 62.Metleucauge yunohamensis (Bos. & Str. 1906)メガネドヨウグモ 谷保:♀20030427・東:y20010330・東:不詳 20011002 63.Nephila clavata L. Koch 1878 ジョロウグモ 谷 保 : 不 詳 20010925 ・ 谷 保 : 不 詳 20011006 ・ 谷 保 : 不 詳 20011020 ・ 中:♂20011003・中:♀20011003・中:不詳 20011006・中:不詳 20011102・ 東:y20010718・東:y20010922・東:♂20011002・東:♀20011002 64.Pachygnatha quadrimaculata Bos. & Str. 1906 ヨツボシヒメアシナガグモ 谷保:♂20010726・谷保:♀20010726・谷保:♂20060409・谷保:♀20060409 中:♂20011003 65.Pachygnatha tenera (Karsch 1879) ヒメアシナガグモ 谷保:♀20010726・谷保:♂20060324・谷保:♀20060324・谷保:♀20060324・ 谷保:♂20060409・谷保:♀20060409 66.Tetragnatha caudicula (Karsch 1879) トガリアシナガグモ 谷 保 :♀20010520 ・ 谷 保 :♂20010726 ・ 谷 保 :♀ y 20010726 ・ 谷 保 : y 20010927・谷保:♂20030427・谷保:♀20030427・谷保:y20030427・谷保:♂ y20060324・谷保:y20060324・谷保:♂20060409・谷保:y20060414 67.Tetragnatha maxillosa Thorell 1895 ヤサガタアシナガグモ 谷保:♂20010726・谷保:♀20060409 80 68.Tetragnatha praedonia L. Koch 1878 アシナガグモ 谷保:♂20010520・谷保:♀20010520・谷保:♂20010726・谷保:♂20030427・ 谷保:♀20030427・谷保:♂20060506・谷保:♀20060506・谷保:♂20060512・ 東:♂20010602・東:不詳 20010604・東:不詳 20010826・東:不詳 20010915・ 東:不詳 20011012 69.Tetragnatha squamata Karsch 1879 ウロコアシナガグモ 谷保:♂20010520・谷保:♂20010726・谷保:♂20030427・谷保:♂20060430・ 谷保:y20060430・中:y20010330・中:y20010423・中:♂20010602・中: y20010808 70.Tetragnatha vermiformis Emerton 1884 シコクアシナガグモ 谷保:♂20010726・谷保:y20010726 コガネグモ科 71.Araneus acusisetus Zhu & Song 1994 オオクマヤミイロオニグモ 中:♂20010423 72.Araneus pentagrammicus (Karsch 1879) アオオニグモ 中:y20010423 73.Araneus tsurusakii Tanikawa 2001 カラオニグモ 中:y20010330・中:y20010423・中:♂20010602 74.Araneus ventricosus (L. Koch 1878) オニグモ 谷 保 :♀ y 20060413 ・ 東 : 不 詳 20011002 ・ 東 : y 20011005 ・ 東 : 不 詳 20011102・東:♀20011122 75.Araniella yaginumai Tanikawa 1995 ムツボシオニグモ 中:y20010330 76.Argiope bruennichii (Scopoli 1772) ナガコガネグモ 谷保:♂20010726 77.Argiope minuta Karsch 1879 コガタコガネグモ 中:♀20011006 78.Cyclosa argenteoalba Bös. & Str. 1906 ギンメッキゴミグモ 西:不詳 20010516・西:不詳 20010904・谷保:不詳 20010409・谷保:y 20010415・谷保:不詳 20010504・谷保:不詳 20020305・谷保:♀4/25 脱皮 20060422・谷保:♂20060430・谷保:♀20060430・中:♂20010423・中:y 20010423・中:不詳 20011006・東:♀20010808・東:y20010808・東:不詳 20011002・東:不詳 20020301・和泉:不詳 20010503 79.Cyclosa octotuberculata Karsch 1879 ゴミグモ 中:不詳 20010826・東:y20010602 80.Cyclosa onoi Tanikawa 1992 オノゴミグモ 谷保:y20060324・谷保:y20060506 81.Cyclosa sedeculata Karsch 1879 ヨツデゴミグモ 谷保:♀20030427・谷保:♀20060413・谷保:♀20060430・中:y20010330・ 81 中:y20010423・中:♂20010808・中:y20011003・中:不詳 20011006・中:♀ y20060415・東:y20010330 82.Eriophora astridae (Strand 1917) サガオニグモ 谷保:♀20060430 83.Gibbaranea abscissa (Karsch 1879) キザハシオニグモ 谷保:♂20060324・谷保:♀20060409 84.Hypsosinga sanguinea (C. L. Koch 1844) シロスジショウジョウグモ 中:y20010330・中:y20010423・中:♀20010808・中:y20011003 85.Larinia argiopiformis Bös. & Str. 1906 コガネグモダマシ 谷保:♀20010726・谷保:♂20060324・谷保:♂20060409・谷保:♂20060414・ 谷保:♂20060506・谷保:♂20060512 86.Neoscona adianta (Walckenaer 1802) ドヨウオニグモ 谷保:♂20010520・谷保:♀20010520・谷保:y20010520・谷保:♂20010726・ 谷保:♀20010726・谷保:♀20010726・谷保:♀20010726・谷保:y20010726 87.Neoscona melloteei (Simon 1895) ワキグロサツマノミダマシ 中:♂20010808 88.Neoscona nautica (L. Koch 1875) イエオニグモ 北:不詳 20011014 コモリグモ科 89.Arctosa ebicha Yaginuma 1960 エビチャコモリグモ 谷保:♂20060414 90.Arctosa fujiii Tanaka 1985 フジイコモリグモ 谷保:♂20060414・谷保:♀20060414・谷保:♀20060418・中:♂20010330・ 中 :♀20010330 ・ 中 :♀20010423 ・ 中 :♂20060415 ・ 中 :♀20060415 ・ 東:♂20060422・東:♀20060422 91.Arctosa ipsa (Karsch 1879) ヒノマルコモリグモ 谷保:♀20060414 92.Lycosa coelestis L. Koch 1878 ハラクロコモリグモ 谷保:♂20060506・谷保:♀20060506・谷保:♂5/13 脱皮 20060512・谷 保:♀20060512 93.Pardosa agraria Tanaka 1985 イナダハリゲコモリグモ 谷保:♂20060409・谷保:♂20060414・谷保:♂20060430 94.Pardosa astrigera L. Koch 1878 ウヅキコモリグモ 谷保:♂20050227・谷保:♀20050227・谷保:♂20060409・谷保:♀20060409 95.Pirata clercki (Bös. & Str. 1906) クラークコモリグモ 谷保:♀20030427 96.Pirata piratoides (Bös. & Str. 1906) イモコモリグモ 谷保:♂20060430・谷保:♀20060430 97.Pirata subpiraticus (Bös. & Str. 1906) キバラコモリグモ 82 谷保:♀20010719 98.Trochosa ruricola (De Geer 1778) アライトコモリグモ 富士見台:♀20010719 キシダグモ科 99.Dolomedes sulfureus L. Koch 1878 イオウイロハシリグモ 谷保:♂20010719・谷保:不詳 20010902・中:♀20011003 100.Pisaura lama Bös. & Str. 1906 アズマキシダグモ 谷 保 :♂ y 20060414 ・ 谷 保 : y 20060414 ・ 谷 保 :♂20060418 ・ 谷 保:♂20060506・谷保:♀20060506 ササグモ科 101.Oxyopes sertatus L. Koch 1878 ササグモ 谷保:y20010927・中:y20010330・中:y20010423・中:y20010602・中: y20011003・東:不詳 20011011 シボグモ科 102.Anahita fauna Karsch 1879 シボグモ 谷保:y20060414・谷保:y20060418・谷保:y20060512・中:y20060415・ 東:y20060422 タナグモ科 103.Agelena limbata Thorell 1879 クサグモ 中:y20010423・東:♂20010829 104.Agelena opulenta L. Koch 1878 コクサグモ 谷保:y20030427・中:y20010808・中:y20011003・東:y20010423・東: y20010604・東:y20010915・東:♂20010922・東:y20011012 ナミハグモ科 105.Cybaeus melloteei (Simon 1886) ナミハグモ 谷保:♂20050227・中:♀20060422 ハタケグモ科 106.Hahnia corticicola Bos. & Str. 1906 ハタケグモ 谷保:♀20060413・中:♀20010423 ハグモ科 107.Cicurina japonica (Simon 1886) コタナグモ 谷保:♂20050211・谷保:♀20050227・谷保:♀20051203・谷保:♂20060418・ 谷保:♀20060418・谷保:♂20060422・谷保:♀20060422・中:♂20010330・ 中:♂20050211・中:♀20050211・中:♀20060415 108.Dictyna felis Bös. & Str. 1906 ネコハグモ 谷保:♂20010927・谷保:♀20060409・谷保:♀20060430・東:不詳 20011002 109.Lathys annulata Bös. & Str. 1906 カレハグモ 谷保:♀20060430 ガケジグモ科 83 110.Asiacoelotes insidiosus (L. Koch 1878) シモフリヤチグモ 谷保:♀20050211・谷保:♀20050227・谷保:♂20051203・谷保:♀20051203・ 谷保:♂20060418・谷保:♀20060418・谷保:♂20060422・谷保:♀20060422・ 中:♀20050211・中:♀20060415・中:♀20060422・和泉:♂20011030 111.Coelotes musashiensis Nishikawa 1989 ムサシヤチグモ 中:♀20050211 112.Paracoelotes luctuosus (L. Koch 1878) メガネヤチグモ 谷保:♀20060409・中:♀20050211・東:♂20010406・東:♀20060520 ツチフクログモ科 113.Cheiracanthium unicum Bös. & Str. 1906 ヤサコマチグモ 谷保:♂20010415 ウエムラグモ科 114.Agroeca kamurai Hayashi 1992 カムラタンボグモ 中:♂20010423・中:♀20010423 115.Itatsina praticola (Bös. & Str. 1906) イタチグモ 谷 保 :♀20060418 ・ 谷 保 : y 20060418 ・ 谷 保 :♂ y 20060422 ・ 谷 保 :♂ y 20060430・中:♂y20060415・中:y20060415 フクログモ科 116.Clubiona japonicola Bös. & Str. 1906 ハマキフクログモ 谷保:♂20010726 117.Clubiona kurilensis Bös. & Str. 1906 ヒメフクログモ 谷保:♂20010726・谷保:♀20010726・谷保:♂20060324・谷保:♀20060324・ 谷保:♂20060409・谷保:♀20060409・谷保:♀20060414 118.Clubiona lena Bös. & Str. 1906 トビイロフクログモ 中:♀20010423 119.Clubiona pseudogermanica Schenkel 1936 カギフクログモ 谷保:♂20060409・谷保:♀20060413・谷保:♀20060414・谷保:♀20060418・ 谷保:♂20060422・谷保:♀20060506・東:♂20010923・東:♂20051019 120.Clubiona tsurusakii Hayashi 1987 ツルサキフクログモ 中:♀20010602 ネコグモ科 121.Castianeira shaxianensis Gong 1983 オビジガバチグモ 谷保:♂y20060506・谷保:♀5/9 脱皮 20060506・谷保:♂5/15 脱皮 20060512 122.Orthobula crucifera Bös. & Str. 1906 オトヒメグモ 谷保:♀20060413・谷保:♀20060414・谷保:♂20060418・谷保:♀20060418 123.Phrurolithus coreanus Paik 1991 キレオビウラシマグモ 谷保:♂5/10 脱皮 20060506 124.Phrurolithus labialis Paik 1991 ウスイロウラシマグモ 谷保:♀20060324 84 125.Phrurolithus nipponicus Kishida 1914 ウラシマグモ 谷保:♂20060413・谷保:♂20060422・谷保:♂20060430・中:♂20010423・ 中:♀20010423・東:♂20050511・東:♂20060422 126.Trachelas japonicus Bös. & Str. 1906 ネコグモ 谷保:♂20060413・谷保:♀20060413・谷保:y20060413・谷保:♀20060414・ 谷 保 :♂20060422 ・ 中 :♀20010602 ・ 中 :♀20060415 ・ 東 :♂20060405 ・ 東:♂20060422 ワシグモ科 127.Cladothela unciinsignita (Bös. & Str. 1906) ムナキワシグモ 谷保:♂4/24 脱皮 20060414 128.Drassodes serratidens Schenkel 1963 トラフワシグモ 谷保:♂20060414 129.Drassyllus sanmenensis Platnick & Song 1986 エビチャヨリメケムリグモ 谷保:♂20060418 130.Gnaphosa kompirensis Bös. & Str. 1906 メキリグモ 谷保:♀20010520・谷保:♀20010726・谷保:♂20060512 131.Kishidaia albimaculata (S.Saito 1934) ヨツボシワシグモ 谷保:♂4/21 脱皮 20060413・谷保:♀y20060413・谷保:♂y20060422 132.Micaria dives (Lucas 1846) ヒゲナガツヤグモ 谷保:♂20060414・谷保:♂20060418・谷保:♀20060418・谷保:♀20060512 133.Zelotes asiaticus (Bös. & Str. 1906) クロチャケムリグモ 谷保:♀20060418・谷保:♂20060422・谷保:♂20060422 134.Zelotes tortuosus Kamura 1987 クロケムリグモ 谷保:♀20060512 アシダカグモ科 135.Heteropoda venatoria (Linnaeus 1758) アシダカグモ 谷保:不詳 20010714・谷保:不詳 20010723 136.Sinopoda forcipata (Karsch 1881) コアシダカグモ 谷保:♀20010719・谷保:y20060430 エビグモ科 137.Philodromus auricomus L. Koch 1878 キンイロエビグモ 中:♀20010602 138.Philodromus spinitarsis Simon 1895 キハダエビグモ 中:♂4/24 脱皮 20060415・東:y20010512 139.Philodromus subaureolus Bös. & Str. 1906 アサヒエビグモ 中:♂20010602・中:♀20010808 140.Thanatus miniaceus Simon 1880 ヤドカリグモ 谷保:♂20060506・谷保:♂20060512 85 141.Tibellus tenellus (L. Koch 1876) シャコグモ 谷 保 : y 20050211 ・ 谷 保 :♂20060409 ・ 谷 保 :♂ y 20060430 ・ 谷 保 :♀ y 20060430 ・ 中 : y 20010423 ・ 中 :♀20010602 ・ 中 : y 20010602 ・ 中 : y 20010808・中:♀20060415 カニグモ科 142.Bassaniana decorata (Karsch 1879) キハダカニグモ 富士見台:♀20010719 143.Coriarachne fulvipes (Karsch 1879) コカニグモ 東:♂y20050611・東:♀y20050625 144.Diaea subdola O. P.-Cambridge 1885 コハナグモ 中:y20010330・中:y20010423・中:♀20010602 145.Mecaphesa kumadai (Ono 1985) クマダハナグモ 中:♀20010423・中:♂20040327 146.Misumenops tricuspidatus (Fabricius 1775) ハナグモ 谷保:♂20010520・谷保:♀20010520・谷保:y20010520・谷保:♂20010726・ 谷保:♀20010726・谷保:y20010927・谷保:♂20030427・谷保:y20030427・ 谷保:♂20060409・谷保:y20060413・谷保:y20060418・谷保:♀20060422・ 中:♂20011003・中:♀20011003 147.Oxytate striatipes L. Koch 1878 ワカバグモ 谷保:y20030427・谷保:♂y20060413・谷保:♂20060422・中:♂20010423・ 中:y20010423・中:♀20010602・中:y20010808・中:y20011003・中:♂ y20060415・東:y20010330・東:不詳 20011002 148.Ozyptila matsumotoi Ono 1988 マツモトオチバカニグモ 谷保:♂20010719 149.Ozyptila nipponica Ono 1985 ニッポンオチバカニグモ 谷保:♀20060430 150.Thomisus labefactus Karsch 1881 アズチグモ 中:y20010602・中:♂20010808 151.Tmarus rimosus Paik 1973 セマルトラフカニグモ 中 : y 20010423 ・ 中 : y 20010423 ・ 中 :♀20010602 ・ 中 : y 20010602 ・ 中:♀20010808・中:y20011003 152.Xysticus croceus Fox 1937 ヤミイロカニグモ 谷保:♀20060414・谷保:♂20060418・谷保:♂5/13 脱皮 20060418・谷 保 :♂20060422 ・ 谷 保 :♂20060506 ・ 中 :♀20010423 ・ 中 :♂20010505 ・ 中:♂20010602・中:♀20010602・中:♂20060415・中:♂4/23 脱皮 20060415 153.Xysticus transversomaculatus Bös. & Str. 1906 ヨコフカニグモ 谷保:♀20060409 ハエトリグモ科 154.Asianellus festivus (L. Koch 1834) ヤマジハエトリ 86 谷保:♂20060506 155.Carrhotus xanthogramma (Latreille 1819) ネコハエトリ 谷保:♀20010520・谷保:♂20030427・谷保:♂y20060418・谷保:♂20060430 156.Euophrys kataokai Ikeda 1996 カタオカハエトリ 谷保:♂20060506・谷保:♂20060512 157.Evarcha albaria (L. Koch 1878) マミジロハエトリ 谷保:♀20060414・谷保:♂20060418・谷保:♀20060418・谷保:♂20060512・ 谷 保 :♀20060512 ・ 中 :♂20010423 ・ 中 :♂20010602 ・ 中 :♀20010602 ・ 中:♂20011003・東:不詳 20011012 158.Harmochirus insulanus (Kishida 1914) ウデブトハエトリ 中:♂20010602・東:不詳 20020301 159.Hasarius adansoni (Audouin 1897) アダンソンハエトリ 谷保:♂y20060414・谷保:♂20060430・東:♀20050626 160.Helicius chikunii Logunov & Marusik 1999 チクニハエトリ 谷保:♀20010520・谷保:♀20010726・谷保:♀20010927・谷保:y20010927・ 谷保:♀20060324・谷保:♀20060409 161.Marpissa milleri (Peckham 1894) オオハエトリ 東:不詳 20010826 162.Marpissa pulla (Karsch 1879) ヨダンハエトリ 谷保:♂y20060414・谷保:♀4/30 脱皮 20060418・谷保:♂20060506・東:♂ y20060422 163.Mendoza elongata (Karsch 1879) ヤハズハエトリ 谷保:♂20010520・谷保:♀20010726・谷保:♀20010927・谷保:♂4/26 脱皮 20060414・谷保:♀20060414・谷保:♂20060506・谷保:♀20060506 164.Menemerus fulvus (L. Koch 1878) シラヒゲハエトリ 谷保:♂20060506 165.Myrmarachne formicaria (De Geer 1778) タイリクアリグモ 谷保:♂20010520・谷保:♂20010726・谷保:♂20060324・谷保:♂20060409・ 谷保:♂20060418・谷保:♀4/24 脱皮 20060418 166.Myrmarachne inermichelis Bös. & Str. 1906 ヤサアリグモ 中:♂20010602 167.Myrmarachne japonica (Karsch 1879) アリグモ 谷保:♂20010520・中:♂20010602 168.Myrmarachne kuwagata Yaginuma 1967 クワガタアリグモ 谷保:♂20060512 169.Phintella linea (Karsch 1879) メガネアサヒハエトリ 谷保:♀20010520・谷保:♂20010726・谷保:♀20010726・谷保:♂20010927・ 谷保:♂20030427・谷保:♂20060409・谷保:♂20060506・中:♀20010808 170.Phintella versicolor (C. L. Koch 1846) メスジロハエトリ 87 谷保:♀20030427 171.Plexippoides doenitzi (Karsch 1879) デーニッツハエトリ 谷 保 :♀20030427 ・ 中 :♀20010423 ・ 中 :♀20011003 ・ 中 : y 20011003 ・ 中:♂20060415・中:♂20060422 172.Plexippus setipes Karsch 1879 ミスジハエトリ 東:♀20010825 173.Pseudicius vulpes (Grube 1861) イナズマハエトリ 東:♀20050627 174.Rhene atrata (Karsch 1881) カラスハエトリ 谷保:♀20010526・中:♂20010330・中:♂20010808 175.Sibianor pullus (Bös. & Str. 1906) キレワハエトリ 谷保:♂20060430 176.Siler cupreus Simon 1888 アオオビハエトリ 谷保:♂y20060413・谷保:y20060418・谷保:♂5/5 脱皮 20060422・谷 保:♂20060506・谷保:♂y20060506・谷保:♂20060512・中:♀20010602・ 中:y20060415・東:♂20050625 177.Sitticus penicillatus (Simon 1875) シラホシコゲチャハエトリ 谷保:♀20010520・谷保:♂4/24 脱皮失敗 20060418・谷保:♀4/25 脱皮 20060418・谷保:♂20060512 178.Talavera trivittata Schenkel 1963 ヒメスジハエトリ 谷保:♂20060506・谷保:♂20060512 考察・課題 国立市の概要で述べたように国立市は小さな市で,大部分が住宅地であり樹林や 草地等の緑地は少なく標高差もほとんどないため,クモ類をはじめとして生物にと って,生息環境の多様性の低い地域であると思われる.こうした状況の中で 178 種が確認され,アイチミジングモ,トクモトコサラグモ,カムラタンボグモ,オビ ジガバチグモ,ウスイロウラシマグモ,ヒゲナガツヤグモ,ヒメスジハエトリ等の 東京都初記録種や稀な種も含まれていたことは,自然環境の変化に乏しい小さな地 域でも詳細に調査を行えば比較的多くの種が確認できることを意味していると思 われる.また,東京都初記録の種は主に地表で確認されているが,稀な種というよ り,採集方法や発生時期の短さ,やや特殊な採集場所等が起因して未確認な地域が 多いと思われる. 今後の課題としては,あまり調査を行っていない 7,8 月に集中して調査をする こと,幼体のみでの確認については,成体での確認をすること,目視のみの確認種 については標本を残すこと,未調査の地域である青柳で調査をすることである.ま た,追加記録については適宜発表していきたいと思っている.その際には,確認さ れた環境や採集方法等についても記述できればと考えている. また,標本は筆者が保管しているので,本目録に関して疑問に思われる種等につ 88 いては,筆者にご教授願えればと思っている. 謝 辞 最後になりましたが,2001 年度の国立市クモ類調査結果の発表を快諾してくだ さったみどりの調査会の皆さんに感謝いたします.国立市クモ類調査参加者は筆者 以外に以下の通りである.みどりの調査会の笠間信也さん,福成リエ子さん,山崎 敏彦さん,林さん,藤田さん,栗原茂さん,黒瀬総一郎さん,佐藤富美さん,坂口 貞夫さん,藤谷恭子さん,小野寺郁子さん,佐伯元行さん,神成カネさん,清水千 昭さん,大洞博正さん,山本佳子さん,渡辺敏雄さん,矢野きく子さん,鈴木泰さ んの皆さんに感謝致します. また,堀口剛さん,渡辺敏雄さん,甲野涼さん,初芝琢磨君,初芝秋沙ちゃんは 筆者の採集に度々付き合い,様々なクモ類を採集して頂きました.感謝しておりま す. ツルサキフクログモやオノゴミグモ等を同定して下さった谷川明男氏にお礼申し 上げます.また,カムラタンボグモやヒゲナガツヤグモ等を同定して下さった加村 隆英氏にお礼申し上げます.最後に 2001 年度の国立市クモ類目録を見ていただい た新海明氏にお礼申し上げます. 89 KISHIDAIA, No.92, Aug. 2007 北海道,留萌市のクモ 松 田 まゆみ・須 藤 昌 子 はじめに 北海道の特定の地域のクモ類相や目録は,近年になってある程度まとまったもの が報告されるようになった.このうち北海道の日本海側の地域を対象にしたもので は Ono et al. (1991)が利尻島・豊富町・稚内市・中頓別町から 168 種のクモを報 告し,保田(2002)は利尻礼文サロベツ国立公園から 261 種を報告している.ま た,松田ほか(2004)は江別市,北広島市,札幌市にまたがる野幌森林公園から 193 種のクモ類を記録している. 今回報告する留萌市は,利尻礼文サロベツ国立公園と野幌森林公園の中間に位置 し,この地域からはこれまでまとまったクモ類の報告はなかった.筆者の一人で留 萌市に在住の須藤は留萌市内でクモ類の採集・観察を行っている.ここでは須藤が 2001 年から 2006 年の 5 年間に採集し,松田が同定した留萌市のクモについて目 録を作成した.この結果,種名未決定種も含め,留萌市から 30 科 212 種のクモが 確認された. 採集地の概要 留萌市は留萌支庁南部の日本海沿岸に位置し,地形は山地,丘陵,段丘および低 地から構成されるが,大半は丘陵地で占められる.留萌市のほぼ中央には留萌川が 流れ,平地は川沿いに南東に延びている.留萌川は度重なる改修工事で直線化して いるが,支流のユードロ,バンゴベ,八線沢などは自然の状態が保たれている.な かでもユードロ川は砂岩,泥岩の中から貝の化石などが見つかるため,自然観察に も利用される.海岸部には粗粒玄武岩の岩脈がある. 年平均気温は 7.6℃,積雪 95cm で札幌とあまり変わらないが,風速は年平均毎 秒 4.9m と全道一である.特に冬季は毎秒 6m 以上になり波浪は 5m を超えるが, 夏は穏やかである.植物は外来種を除き 609 種が記録されているが,その 98%は 温帯性の植物である. クモの採集・観察は国道 233 号以北を対象としている.観察・採集の場所は狭 い谷間で小川があるようなところを中心としている.住ノ江町,神居岩,緑が丘, 東雲町の採集地は休耕田にヤナギ類やハンノキの林が成立したところで,ミズバシ 90 ョウやエゾノリュウキンカが生育し,水路があるような環境である.採集方法は見 つけ採りとビーティングを併用している. 留萌産クモ類目録 本目録では科名,学名および配列は「日本産クモ類目録(2005 年度版)」(谷 川 2005)に準じているが,一部の種は筆者の見解により変更している.目録中の 記号は,M 雄成体,m 雄幼体,F 雌成体,f 雌幼体,y 性別の判定できない幼体,e 卵のうとした. Antrodeaetidae カネコトタテグモ科 Antrodiaetus yesoensis (Uyemura 1942) エゾトタテグモ M Pholcidae ユウレイグモ科 Pholcus opilionoides ( Schrank 1781) タイリクユウレイグモ MF Mimetidae センショウグモ科 Ero furcata (Villers 1789) キタセンショウグモ MF E. japonica Bös. & Str. 1906 センショウグモ MF Oecobiidae チリグモ科 Uroctea compactilis L. Koch 1878 ヒラタグモ f Uloboridae ウズグモ科 Octonoba yesosnsis (S. Saito 1934) エゾウズグモ MF Nesticidae ホラヒメグモ科 Nesticella brevipes (Yaginuma 1970) コホラヒメグモ MFe Nesticus yesoensisi Yaginuma 1979 エゾホラヒメグモ MF Theridiidae ヒメグモ科 Achaearanea angulithorax (Bös. & Str. 1906) ツリガネヒメグモ MF A. asiatica (Bös. & Str. 1906) キヒメグモ F A. japonica (Bös. & Str. 1906) ニホンヒメグモ F A. oculiprominentis (S.Saito 1939) キヨヒメグモ MF A. riparia (Blackwall 1834) イワマヒメグモ M A. simulans (Thorell 1875) ハモンヒメグモ MF A. tabulata Levi 1980 オオツリガネヒメグモ MF A. tepidariorum (C. L. Koch 1841) オオヒメグモ MF Anelosimus crassipes (Bös. & Str. 1906) アシブトヒメグモ mf Chrysso albipes (S. Saito 1935) ギボシヒメグモ MF C. foliata (L. Koch 1878) ホシミドリヒメグモ Fmf Dipoena punctisparsa Yaginuma 1967 シモフリミジングモ F Enoplognatha caricis (Fickert 1876) ヤマトコノハグモ MF 91 Episinus affinis Bös. & Str. 1906 ヒシガタグモ E. kitazawai Yaginuma 1958 シモフリヒシガタグモ MF Keijia sterninotata (Bös. & Str. 1906) ムナボシヒメグモ F Lasaeloa yoshidai (Ono 1991) ヨシダミジングモ F Neottiura bimaculata (Linnaeus 1767) フタスジヒメグモ Fe Phoroncidia pilula (Karsch 1879) ツクネグモ F Phycosoma mustelinum (Simon 1888) カニミジングモ MF Rhomphaea sagana (Dönitz & Strand 1906) ヤリグモ MF Robertus sibiricus Eskov 1987 キタモリヒメグモ MF Rugathodes nigrolimbatus (Yaginuma 1972) タカネヒメグモ MF Stemmops nipponicus Yaginuma 1969 f スネグロオチバヒメグモ MF Takayus lyricus (Walckenaer 1841) シモフリヒメグモ MF T. subadultus (Bös. & Str. 1906) コケヒメグモ f T. takayensis (S. Saito 1939) タカユヒメグモ MFe Theridion pinastri L. Koch 1872 ムネグロヒメグモ MF Thymoites chikunii (Yoshida 1988) アカササヒメグモ F Yaginumena castrata (Bös. & Str. 1906) ボカシミジングモ MFm Y. mutilata (Bös. & Str. 1906) コアカクロミジングモ MF Theridiidae gen. sp. M Theridiosomatidae カラカラグモ科 Ogulnius pullus Bös. & Str. 1906 ヤマジグモ MFe Theridiosoma epeiroides Bös. & Str. 1906 カラカラグモ MF Anapidae ヨリメグモ科 Conculus lyugadinus Komatsu 1940 ヨリメグモ MF Linyphiidae サラグモ科 Allomengea dentisetis (Grube 1861) カナダサラグモ MF Arcuphantes sp. Asperthorax borealis Ono & H. Saito 2001 MF キタザラアカムネグモ MF Bathyphantes gracilis (Blackwall 1841) テナガグモ MF B. sp. Caviphantes pseudosaxetorum Wunderlich 1979 キタホラヌカグモ MF M Centromerus sylvaticus (Blackwall 1841) マルサラグモ MF Ceratinella sp. Collinsia ezoensis (H. Saito 1986) エゾヤマコサラグモ MF MF Dicymbium salaputium H. Saito 1986 シュジュコサラグモ MF Epibellowia septentrionalis (Oi 1960) キタヤミサラグモ MF Erigone atra (Blackwall 1841) クロヒザグモ MF 92 E. prominens Bös. & Str. 1906 ノコギリヒザグモ M Floronia exornata (L. Koch 1878) ハナサラグモ MF Gnathonarium exsiccatum (Bös. & Str. 1906) ニセアカムネグモ M Gongylidiellum murcidum Simon 1884 シッチヌカグモ M Labulla insularis (S. Saito 1935) エゾアシヨレグモ MF Lepthyphantes sp. Meioneta nigra Oi 1960 クロケシグモ M MF Neriene albolimbata (Karsch 1879) ヤガスリサラグモ MF N. angulifera (Schenkel 1953) ハンモックサラグモ MF N. clathrata (Sundevall 1830) コウシサラグモ MF N. emphana (Walckenaer 1842) タイリクサラグモ MF N. longipedella (Bös. & Str. 1906) アシナガサラグモ MF N. radiata (Walckenaer 1841) シロブチサラグモ MF N. sp. Neserigone basarukini Eskov 1992 ミヤマナンキングモ MF MF N. nigriterminorum (Oi 1960) ハシグロナンキングモ M Nippononeta ungulata (Oi 1960) ツメケシグモ MF Okhotigone sounkyoensis (H. Saito 1986) マルコブヌカグモ MF Savignia yasudai (H. Saito 1986) ヤスダコブガシラヌカグモ M Strandella quadrimaculata (Uyemura 1937) ヨツボシサラグモ MF Tapinopa guttatta Komatsu 1938 カナコキグモ F Thyreosthenius parasiticus (Westring 1851) ヤドリサラグモ MF Ummeliata angulituberis (Oi 1960) コトガリアカムネグモ MF U. osakaensis (Oi 1960) オオサカアカムネグモ F U. saitoi Matsuda & Ono 2001 サイトウアカムネグモ MF Walckenaeria golovachi Eskov & Marusik 1994 チョビヒゲヌカグモ W. mayumiae H.Saito 1986 MF マツダエボシヌカグモ M Linyphiidae gen. sp. A MF L. gen. sp. B F Tetragnathidae アシナガグモ科 Leucauge subblanda Bös. & Str. 1906 コシロカネグモ MF Menosira ornata Chikuni 1955 キンヨウグモ MF Meta japonica Tanikawa 1993 サンロウドヨウグモ MF Metleucauge yunohamensis (Bös. & Str. 1906) メガネドヨウグモ MF Pachygnatha clercki Sundevall 1823 アゴブトグモ MF P. quadrimaculata Bös. & Str. 1906 Tetragnatha extensa (Linnaeus 1758) ヨツボシヒメアシナガグモ Mf ハラビロアシナガグモ MF 93 T. pinicola L. Koch 1870 ミドリアシナガグモ M T. praedonia L. Koch 1878 アシナガグモ F T. yesoensis S. Saito 1934 エゾアシナガグモ MF Araneidae コガネグモ科 Araneus ishisawai Kishida 1928 イシサワオニグモ MF A. macacus Uyemura 1961 ヤエンオニグモ F A. marmoreus Clerck 1758 キバナオニグモ MF A. nojimai Tanikawa 2001 マメオニグモ MF A. pinguis (Karsch 1879) アカオニグモ MF A. rotundicornis Yaginuma 1972 マルコブオニグモ F A. stella (Karsch1879) ツノオニグモ Ff A. tsurusakii Tanikawa 2001 カラオニグモ MF A. uyemurai Yaginuma 1960 ヤマオニグモ MF A. variegatus Yaginuma 1960 ニシキオニグモ M A. ventricosus (L. Koch 1878) オニグモ F Araniella yaginumai Tanikawa 1995 ムツボシオニグモ MF Cyclosa hamulata Tanikawa 1992 カギヅメカラスゴミグモ MF C. kumadai Tanikawa 1992 クマダギンナガゴミグモ F Eriophora sachalinensis (S. Saito 1934) カラフトオニグモ MF Gibbaranea abscissa (Karsch 1879) キザハシオニグモ F Hypsosinga sanguinea (C.L. Koch 1844) シロスジショウジョウグモ MFy Larinia argiopiformis Bös. & Str. 1906 コガネグモダマシ f Larinioides cornutus Clerck 1758 ナカムラオニグモ MF Neoscona adianta (Walckenaer 1802) ドヨウオニグモ F N. scylla (Karsch 1879) ヤマシロオニグモ MF Pronous minutus (S. Satio 1939) コオニグモモドキ MF Yaginumia sia (Strand 1906) ズグロオニグモ f Lycosidae コモリグモ科 Alopecosa pulverulenta (Clerck 1758) チリコモリグモ F Arctosa kawabe Tanaka 1985 カワベコモリグモ F Pardosa astrigera L. Koch 1878 ウヅキコモリグモ MF P. hokkaido Tanaka & Suwa 1986 キタハリゲコモリグモ MF Pirata clerki (Bös. & Str. 1906) クラークコモリグモ F P. piratoides (Bös. & Str. 1906) イモコモリグモ Fe P. tanakai Brignoli 1983 コガタコモリグモ Fe P. yaginumai Tanaka 1974 ナミコモリグモ MF Trochosa ruricola (De Geer 1778) アライトコモリグモ MF 94 T. terricola Thorell 1856 カラフトコモリグモ M Xerolycosa nemoralis (Westring 1861) モリコモリグモ F Trechaleidae サシアシグモ科 Shinobius orientalis (Yaginuma 1967) シノビグモ Ff Pisauridae キシダグモ科 Dolomedes raptor Bös. & Str. 1906 アオグロハシリグモ Ffe D. saganus Bös. & Str. 1906 スジアカハシリグモ F D. sulfureus L. Koch 1878 イオウイロハシリグモ M Pisaura lama Bös. & Str. 1906 アズマキシダグモ F Zoridae ミヤマシボグモ科 Zora spinimana (Sundevall 1833) シボグモモドキ MF Ctenidae シボグモ科 Anahita fauna Karsch 1879 シボグモ MFmf Agelenidae タナグモ科 Agelena opulenta L.Koch 1878 コクサグモ MF Tegenaria domestica (Clerck 1758) イエタナグモ MF Cybaeidae ナミハグモ科 Cybaeus aokii Yaginuma 1972 エゾナミハグモ MF C. magnus Yaginuma 1958 オオナミハグモ MF C. petegarinus Yaginuma 1972 ペテガリナミハグモ MF C. sasakii Ihara 2004 ミチノクナミハグモ MF Hahniidae ハタケグモ科 Hahnia sp. MF Dictynidae ハグモ科 Cicurina japonica (Simon 1886) コタナグモ M Dictyna foliicola Bös. & Str. 1906 ヒナハグモ MF Amaurobiidae ガケジグモ科 Asiacoelotes interunus (Nishikawa 1977) ヒメシモフリヤチグモ MF Callobius hokkaido Leech 1971 エゾガケジグモ F Cybaeopsis typicus Strand 1907 ナミハガケジグモ MF Paracoelotes luctuosus (L.Koch 1878) メガネヤチグモ MF Tegecoelotes secundus (Paik 1977) アキタヤチグモ MF Miturgidae ツチフクログモ科 Cheiracanthium japonicum Bös. & Str. 1906 カバキコマチグモ MF Anyphaenidae イヅツグモ科 Anyphaena ayshides Yaginuma 1958 ナガイヅツグモ Ff A. pugil Karsch 1879 イヅツグモ MF 95 Clubionidae フクログモ科 Clubiona basarukini Mikhailov 1990 ダケカバフクログモ F C. japonica L. Koch 1878 ヤマトフクログモ MFf C. kunashirensis Mikhailov 1990 クナシリフクログモ MF C. kurilensis Bös. & Str. 1906 ヒメフクログモ MF C. riparia L. Koch 1866 クリイロフクログモ F C. sapporensis Hayashi 1986 サッポロフクログモ MF C. vigil Karsch 1879 ムナアカフクログモ MF C. zilla Dönitz & Strand 1906 ウコンフクログモ F Corinnidae ネコグモ科 Phrurolithus claripes (Dönitz & Strand 1906) イナズマウラシマグモ MF P. pennatus Yaginuma 1967 ヤバネウラシマグモ MF Gnaphosidae ワシグモ科 Callilepis nocturna (Linnaeus 1758) マユミテオノグモ F Drassyllus shaanxiensis Platnick & Song 1986 チクニヨリメケムリグモ MF Gnaphosa kamurai Ovtsharenko Platnick & Song 1992 カワラメキリグモ M G. kompirensis Bös. & Str. 1906 メキリグモ MF Kishidaia albimaculata (S.Saito 1934) ヨツボシワシグモ MFf Micaria japonica Hayashi 1985 ヤマトツヤグモ Zelotes asiaticus (Bös. & Str. 1906) クロチャケムリグモ MFmf M Philodromidae エビグモ科 Philodromus aureolus (Clerck 1758) コガネエビグモ MF P. emarginatus (Schrank 1803) キエビグモ y P. margaritatus (Clerck 1758) ブチエビグモ m P. rufus Walckenaer 1826 キタエビグモ F Tibellus oblongus (Walckenaer 1802) スジシャコグモ MF Thomisidae カニグモ科 Bassaniana decorata (Karsch 1879) キハダカニグモ F Diaea subdola O. P. –Cambridge 1885 コハナグモ F Lysiteles coronatus (Grube 1861) アマギエビスグモ MF Misumenops tricuspidatus (Fabricius 1775) ハナグ モ MF Oxytate striatipes L. Koch 1878 ワカバグモ MF Ozyptila atomaria (Panzer 1801) アトムオチバカニグモ M Pistius undulatus Karsch 1879 ガザミグモ Mf Synema globosum (Fabricius 1775) フノジグモ MFmy Tmarus piger (Walckenaer 1802) トラフカニグモ 96 MF T. rimosus Paik 1973 セマルトラフカニグモ F Xysticus ephippiatus Simon 1880 カラカニグモ MF Salticidae ハエトリグモ科 Aelurillus festivus (L. Koch 1834) Euophrys frontalis (Walckenaer 1802) ヤマジハエトリ M ウデグロカタオカハエトリ MF E. sp. Evarcha albaria (L. Koch 1878) マミジロハエトリ F MF E. sp. Hakka himeshimensis (Dönitz & Strand 1906) イソハエトリ M MF Hasarius adansoni (Audouin 1897) アダンソンハエトリ F Helicius yaginumai Bohd. & Prós. 1987 ジャバラハエトリ M Heliophanus ussuricus Kulczyński 1895 ウスリーハエトリ MF Marpissa milleri (Peckham 1894) オオハエトリ MF M. pulla (Karsch 1879) ヨダンハエトリ MF Mendosa elongata (Karsch 1879) ヤハズハエトリ MF Myrmarachne formicaria (De Geer 1778) タイリクアリグモ MF Neon reticulatus (Blackwall 1853) ネオンハエトリ M Phintella arenicolor (Grube 1861) マガネアサヒハエトリ MF P. linea (Karsch 1879) メガネアサヒハエトリ MF Plexippus setipes Karsch 1879 ミスジハエトリ F Pseudeuophrys erratica (Walckenaer 1825) ヤガタハエトリ M P. iwatensis (Bohd. & Prós. 1987) イワテハエトリ F Pseudicius vulpes (Grube 1861) イナズマハエトリ MF Sibianor pullus (Bös. & Str. 1906) キレワハエトリ MF Sitticus fasciger (Simon 1880) モンシロコゲチャハエトリ F S. penicillatus (Simon 1875) シラホシコゲチャハエトリ MF S. sp. A F S. sp. B Taravera trivittata Schenkel 1963 ヒメスジハエトリ MF F Yaginumaella striatipes (Grube 1861) ウススジハエトリ MF 注目される種について 東北地方以南に生息しているものの,北海道では記録のなかった種としてキヒメ グモ,ヨリメグモ,コタナグモ,アダンソンハエトリ,ヨダンハエトリ,ミスジハ エトリの 7 種が確認された.また,北海道では確実な記録が得られていなかったヒ ラタグモが確認された.このようにこれまでわが国では本州からしか記録されてい ない種が北海道南部を飛び越え複数確認されたことは,生物地理学的に興味深い. 97 これは留萌市が日本海側に位置し,暖流の影響を受ける地域であることと関係して いる可能性がある. なお,ヤドリサラグモはわが国では留萌市ではじめて記録された種である(松田 2007). 引用文献 松田まゆみ 2007.北海道産クモ類目録(2007 年版).上士幌町ひがし大雪博物館研究報告, 29:1−20. 松田まゆみ・堀 繁久・石田裕一 2004.野幌森林公園のクモ相.北海道開拓記念館調査報告, 43:11−32. Ono, H., K. Kumada, M. Sadamoto & E. Shinkai. 1991.Spider from the northernmost areas of Hokkaido, Japan. Mem. Natn. Sci. Mus., Tokyo, 24:81−103. 谷川明男 2005.日本産クモ類目録(2005 年度版). 保田信紀 2002.利尻礼文サロベツ国立公園のクモ類.利尻町立博物館年報,21:5−28. 98 KISHIDAIA, No.92, Aug. 2007 東京蜘蛛談話会 2006 年度観察採集会報告 片倉城跡公園のクモ類 木 村 知 之 2006 年度の東京蜘蛛談話会の観察採集会は,東京都八王子市の片倉城跡公園で 行った.面積が 4ha 弱の公園であり,一部アスファルト舗装されているものの, カタクリ,イチリンソウ,キツネノカミソリ,ウバユリ等が自生する雑木林的な斜 面が守られており,湧水,湿地,池,芝地,竹林も有する.また,同一敷地内に神 社もあり,変化に富んだ環境となっている.しかし,周辺はニュータウン開発等が 進んでおり孤立した緑地となりつつある. 観察採集会は 2006 年 5 月 14 日,7 月 9 日,10 月 15 日,2007 年 2 月 18 日 の計 4 回開催した.JR片倉駅に午前 10 時 30 分に集合し,徒歩で 5 分程移動し て公園に到着,園内および隣接する畑地付近を対象に 3∼4 時間程度行った. 確認された種数は 189 種.このうち成体を確認したものは 163 種である. 参加者 5 月 14 日(日)晴れ 赤羽尚夫,安藤昭久,植松いのり,及川照代,荻野康則,笠原喜久雄,木村知之, 甲野涼,小峰光弘,貞元己良,新海朗,高津素夢,田島良久,谷川明男,中島晴子, 仲條竜太,初芝秋沙,初芝伸吾,初芝琢磨,伴満,平松毅久,牧野泰三,八幡明彦, 吉田隆介,吉野光代(25 名) 7 月 9 日(日)曇り 安藤昭久,木村知之,甲野涼,新海栄一,高津素夢,田島良久,初芝秋沙,初芝伸 吾,初芝琢磨,牧野泰三,八幡明彦,吉野光代(12 名) 10 月 15 日(日)晴れ 赤羽尚夫,安藤昭久,泉宏子,梅木俊子,及川照代,木村聡子,木村知之,工藤泰 恵,甲野涼,酒巻朋子,佐竹郁子,佐竹一弘,佐竹春音,田島良久,谷川明男,土 屋昌利,永井亜紀,中嶋和之,仲條竜太,成田和子,新村誠,萩野康則,初芝秋沙, 初芝伸吾,初芝琢磨,浜岡史子,本間征,谷田光弘,八幡明彦,吉野光代(30 名) 2 月 18 日(日)雨のち曇り 木村聡子,木村知之,貞元己良,新海明,谷川明男,仲條竜太,萩野康則(7 名) (敬称略) 99 10 月 15 日参加者一同 目 録 この目録は,当日現地で観察したものに,参加者が標本を持ち帰り,同定を行っ た結果を加えてある.同定結果を送っていただいた安藤昭久氏,貞元己良氏,初芝 伸吾氏,八幡明彦氏,また種名及び分類を含め,目録の作成にご協力いただいた谷 川明男氏に感謝します. Atypidae ジグモ科 5 月 7 月 10 月 2 月 1.Atypus karschi ジグモ y住居 Fy y Fy 住居 Antrodiaetidae カネコトタテグモ科 2.Antrodiaetus roretzi カネコトタテグモ 住居 住居 Ctenizidae トタテグモ科 3.Latouchia typica キシノウエトタテグモ 住居 住居 FM クモタケ Pholcidae ユウレイグモ科 4.Pholcus crypticolens ユウレイグモ Oonopidae タマゴグモ科 100 FMf FMe Fy y 5.Opopaea syarakui F シャラクダニグモ Mimetidae センショウグモ科 6.Ero japonica y センショウグモ e y Oecobiidae チリグモ科 7.Uroctea compactilis f ヒラタグモ y 住居 F Fy Uloboridae ウズグモ科 8.Miagrammopes orientalis マネキグモ 9.Octonoba sybotides カタハリウズグモ y Fye y F Theridiidae ヒメグモ科 10.Achaearanea angulithorax ツリガネヒメグモ F F 11.Achaearanea culicivola カグヤヒメグモ F Fy 12.Achaearanea japonica ニホンヒメグモ 13.Achaearanea kompirensis コンピラヒメグモ FMye Fy F 14.Achaearanea oculiprominentis キヨヒメグモ 15.Achaearanea tabulata y y Fye オオツリガネヒメグモ Fy 16.Anelosimus iwawakiensis イワワキアシブトヒメグモ F y 17.Argyrodes bonadea シロカネイソウロウグモ 18.Argyrodes cylindratus トビジロイソウロウグモ 19.Argyrodes kumadai チリイソウロウグモ y FMy Fe 20.Ariamnes cylindrogaster オナガグモ m Fye 21.Chrysso albipes ギボシヒメグモ 22.Chrysso argyrodiformis オダカグモ 23.Chrysso foliata ホシミドリヒメグモ 24.Dipoena punctisparsa シモフリミジングモ 25.Enoplognatha caricis ヤマトコノハグモ F 26.Episinus affinis ヒシガタグモ F 27.Episinus nubilus ムラクモヒシガタグモ 28.Keijia mneon サトヒメグモ 29.Keijia sterninotata ムナボシヒメグモ 30.Neospintharus fur フタオイソウロウグモ y 31.Neospintharus nipponicus ツノナガイソウロウグモ y 32.Paidiscura subpallens ハイイロヒメグモ 33.Parasteatoda tepidariorum オオヒメグモ My y F My y y y y F y Fy y y my m Fy F FM fy FMye y 34.Phoroncidia altiventris ハラダカツクネグモ 35.Phoroncidia pilula ツクネグモ 36.Phycosoma mustelinum カニミジングモ FM F 37.Rhomphaea sagana ヤリグモ Fmy y y y M 101 38.Robertus nojimai ノジマモリヒメグモ FM Fe 39.Spheropistha melanosoma クロマルイソウロウグモ 40.Spheropistha miyashitai ミヤシタイソウロウグモ y 41.Stemmops nipponicus スネグロオチバヒメグモ Fy F 42.Takayus chikunii バラギヒメグモ FM Fe FM y Anapidae ヨリメグモ科 43.Comaroma maculosa ヨロイヒメグモ 44.Conculus lyugadinus ヨリメグモ FM FM F M Mysmenidae コツブグモ科 45.Mysmenella jobi ナンブコツブグモ M y Linyphiidae サラグモ科 46.Asperthorax communis ザラアカムネグモ F 47.Bathyphantes tateyamaensis タテヤマテナガグモ FM F F 48.Doenitzius peniculus デーニッツサラグモ 49.Doenitzius pruvus コデーニッツサラグモ F 50.Eperigone naniwaensis ナニワナンキングモ F 51.Erigone prominens ノコギリヒザグモ F 52.Gnathonarium exsiccatum ニセアカムネグモ 53.Hylyphantes graminicola クロナンキングモ 54.Lepthyphantes serratus ノコバヤセサラグモ 55.Meioneta nigra クロケシグモ 56.Nematogmus sanguinolentus チビアカサラグモ F M M F M F FM y F 57.Neriene brongersmai チビサラグモ 58.Neriene japonica ツリサラグモ 59.Neriene longipedella アシナガサラグモ Fy m 60.Neriene nigripectoris ムネグロサラグモ FM FM My 61.Neriene oidedicata ヘリジロサラグモ Fy 62.Neriene radiata シロブチサラグモ F 63.Nippononeta obliqua ナナメケシグモ 64.Nippononeta ungulata ツメケシグモ 65.Oia imadatei イマダテテングヌカグモ FM 66.Solenysa melloteei アリマネグモ 67.Syedra oii オオイオリヒメサラグモ M 68.Tojinium japonicum ヤマトトウジヌカグモ F 69.Turinyphia yunohamensis ユノハマサラグモ 70.Ummeliata feminea トウキョウアカムネグモ F FM 71.Ummeliata insecticeps セスジアカムネグモ FM FM 102 FM M F y FM F y F FM F F y Tetragnathidae アシナガグモ科 72.Diphya okumae オオクマヒメドヨウグモ FM y 73.Leucauge magnifica オオシロカネグモ 74.Leucauge subblanda コシロカネグモ y F 75.Leucauge subgemmea キララシロカネグモ y FM F 76.Metleucauge yunohamensis メガネドヨウグモ F Fy y Fmy 77.Pachygnatha quadrimaculata ヨツボシヒメアシナガグモF M M 78.Pachygnatha tenera ヒメアシナガグモ F M 79.Tetragnatha caudicula トガリアシナガグモ 80.Tetragnatha maxillosa ヤサガタアシナガグモ F FM 81.Tetragnatha praedonia アシナガグモ Fy 82.Tetragnatha squamata ウロコアシナガグモ FM Fy Fy y Nephilidae ジョロウグモ科 83.Nephila clavata y ジョロウグモ FM Araneidae コガネグモ科 84.Acusilas coccineus ハツリグモ y 85.Araneus mitificus ビジョオニグモ 86.Araneus pentagrammicus アオオニグモ 87.Araneus semilunaris マルヅメオニグモ 88.Araneus tsurusakii カラオニグモ F 89.Araneus uyemurai ヤマオニグモ y 90.Araneus ventricosus オニグモ 91.Araniella yaginumai ムツボシオニグモ 92.Argiope boesenbergi チュウガタコガネグモ y 93.Argiope bruennichi ナガコガネグモ y e 94.Argiope minuta コガタコガネグモ y Fye 95.Chorizopes nipponicus ヤマトカナエグモ e 96.Cyclosa argenteoalba ギンメッキゴミグモ FMy Fy 97.Cyclosa octotuberculata ゴミグモ f 98.Cyclosa sedeculata ヨツデゴミグモ M y Ff y y y f F y F y F Fye FMye y 99.Cyrtarachne nagasakiensis シロオビトリノフンダマシ 100.Eriophora sachalinensis カラフトオニグモ Ff 101.Hypsosinga sanguinea シロスジショウジョウグモFMy 102.Neoscona adianta ドヨウオニグモ y 103.Neoscona melloteei ワキグロサツマノミダマシ y y 104.Neoscona punctigera コゲチャオニグモ M 105.Neoscona scylla ヤマシロオニグモ fy y y my y 103 106.Neoscona scylloides サツマノミダマシ y 107.Ordgarius sexspinosus ムツトゲイセキグモ y 108.Poltys illepidus ゲホウグモ y y Lycosidae コモリグモ科 109.Arctosa ebicha エビチャコモリグモ F 110.Arctosa fujiii フジイコモリグモ 111.Arctosa ipsa ヒノマルコモリグモ 112.Hygrolycosa umidicola シッチコモリグモ 113.Lycosa coelestis ハラクロコモリグモ 114.Pardosa astrigera ウヅキコモリグモ Fy FMe 115.Pardosa laura ハリゲコモリグモ My 116.Pirata clercki クラークコモリグモ FM 117.Pirata meridionalis ミナミコモリグモ 118.Pirata piratoides イモコモリグモ 119.Pirata tanakai コガタコモリグモ FM 120.Trochosa ruricola アライトコモリグモ Fy FM FM FMye FM FMe My F F F F y Pisauridae キシダグモ科 121.Dolomedes stellatus キクメハシリグモ y m 122.Dolomedes sulfureus イオウイロハシリグモ f y F y 123.Pisaura lama アズマキシダグモ M y y FM Oxyopidae ササグモ科 124.Oxyopes licenti クリチャササグモ 125.Oxyopes sertatus ササグモ F Ctenidae シボグモ科 126.Anahita fauna シボグモ y Fy Agelenidae タナグモ科 127.Agelena silvatica クサグモ y y 128.Allagelena opulenta コクサグモ y y e FM Cybaeidae ナミハグモ科 129.Cybaeus nipponicus F カチドキナミハグモ Hahniidae ハタケグモ科 130.Hahnia corticicola ハタケグモ F F FM F F FM Dictynidae ハグモ科 131.Dictyna felis ネコハグモ Amaurobiidae ガケジグモ科 132.Coelotes kitazawai アズマヤチグモ 133.Paracoelotes luctuosus メガネヤチグモ 104 F F Fy Ff Liocranidae ウエムラグモ科 134.Agroeca montana ミヤマタンボグモ 135.Itatsina praticola イタチグモ F My Mfy Clubionidae フクログモ科 136.Clubiona kurilensis ヒメフクログモ 137.Clubiona lena トビイロフクログモ 138.Clubiona pseudogermanica カギフクログモ 139.Clubiona rostrata マイコフクログモ 140.Clubiona tsurusakii ツルサキフクログモ 141.Clubiona vigil ムナアカフクログモ F M F F FM M y y Corinnidae ネコグモ科 142.Orthobula crucifera オトヒメグモ M 143.Otacilia komurai コムラウラシマグモ 144.Phrurolithus coreanus キレオビウラシマグモ M 145.Phrurolithus nipponicus ウラシマグモ 146.Phrurolithus pennatus ヤバネウラシマグモ 147.Trachelas japonicus ネコグモ F Fmy Fmy FM F M FM FM Gnaphosidae ワシグモ科 148.Drassodes serratidens トラフワシグモ 149.Gnaphosa kompirensis メキリグモ M y FM Sparassidae アシダカグモ科 150.Sinopoda forcipata コアシダカグモ y F Philodromidae エビグモ科 151.Philodromus auricomus キンイロエビグモ 152.Philodromus spinitarsis キハダエビグモ 153.Philodromus subaureolus アサヒエビグモ 154.Thanatus miniaceus ヤドカリグモ 155.Tibellus tenellus シャコグモ Fy y y y fm FM y y My Fy y y Thomisidae カニグモ科 156.Bassaniana decorata キハダカニグモ My 157.Diaea subdola コハナグモ 158.Ebelingia kumadai クマダハナグモ FM 159.Ebrechtella tricuspidata ハナグモ Fy y y 160.Lysiteles coronatus アマギエビスグモ F y y 161.Oxytate striatipes ワカバグモ FM Fy m 162.Ozyptila matsumotoi マツモトオチバカニグモ FM FM 163.Ozyptila nipponica ニッポンオチバカニグモ FM f FM m F 105 164.Pistius undulatus ガザミグモ y 165.Thomisus labefactus アズチグモ y My 166.Tmarus piger トラフカニグモ y Fy 167.Tmarus rimosus セマルトラフカニグモ 168.Xysticus croceus ヤミイロカニグモ Fe F FMy FM Salticidae ハエトリグモ科 169.Asianellus festivus F ヤマジハエトリ 170.Carrhotus xanthogramma ネコハエトリ FM 171.Evarcha albaria マミジロハエトリ Mf 172.Harmochirus insulanus ウデブトハエトリ y 173.Helicius cylindratus コジャバラハエトリ 174.Laufeia aenea エキスハエトリ F 175.Marpissa pulla ヨダンハエトリ M 176.Mendoza canestrinii オスクロハエトリ 177.Myrmarachne formicaria タイリクアリグモ Fy Fy M y FM F FM y My M 178.Myrmarachne inermichelis ヤサアリグモ y F 179.Myrmarachne japonica アリグモ 180.Phintella abnormis チャイロアサヒハエトリ y 181.Plexippoides annulipedis マダラスジハエトリ 182.Plexippoides doenitzi デーニッツハエトリ F 183.Plexippus setipes ミスジハエトリ F 184.Pseudicius vulpes イナズマハエトリ F M 185.Rhene albigera ヒメカラスハエトリ F FM 186.Rhene atrata カラスハエトリ y 187.Sibianor pullus キレワハエトリ 188.Siler cupreus アオオビハエトリ 189.Sitticus penicillatus シラホシコゲチャハエトリ 106 y FM FM FM Fy Fy My y M F FM f M My F F y KISHIDAIA, No.92, Aug. 2007 文献による静岡県産クモ類目録 新 海 明・谷 川 明 男 静岡県から報告されたクモ類の記録は,筆者らが知るかぎりでは92編である. ここでは,これらの記録を集めて静岡県産のクモ類目録を作成した.この結果,静 岡県産クモ類は46科433種となった. 読者の中には,ここで報告したリストに載っていないクモを,静岡県への採集旅 行の際に見たという方もおられると思う.しかし,この目録はあくまですでに発表 された文献に基づいてまとめたものである.もし,発表済みであるにもかかわらず, ここに掲載されていないクモの種類があれば,文献情報ともども著者らにまでご連 絡いただければ幸いである. 目録の作成にあたっては,2007年7月13日までに発表された静岡県での採集記 録や観察記録などのクモ類のデータを収集した.ただし,静岡県産クモ類の種名の リストアップを目的としたので,同一種について扱っている文献を網羅はしていな い.出典のもとになった文献は種名のあとに番号で示した.この番号は引用文献の ものと一致している.引用した文献中で種名が特定できないもの,たとえば××グ モの一種,××sp.,××グモ?などとされているものについては,すべて目録か ら除外した. 科名・属名・種名・和名ならびに配列は,すべて谷川(2007)日本産クモ類目 録Ver.2007R2(http://www.asahi-net.or.jp/~dp7a-tnkw/japan.pdf)によっ た. 目 録 Atypidae ジグモ科 Atypus karschi ジグモ 43, 55, 57, 60 Calommata signata ワスレナグモ 52, 53, 57, 59 Antrodiaetidae カネコトタテグモ科 Antrodiaetus roretzi カネコトタテグモ 57, 59, 82, 88 Ctenizidae トタテグモ科 Conothele fragaria キノボリトタテグモ 43, 56, 57, 58, 59 Latouchia typica キシノウエトタテグモ 58 Sicariidae イトグモ科 Loxosceles rufescens イトグモ 57 Scytodidae ヤマシログモ科 107 Dictis striatipes ヤマシログモ 57, 75 Scytodes thoracica ユカタヤマシログモ 56, 57 Leptonetidae マシラグモ科 Falcileptoneta caeca フジマシラグモ 57, 88 Falcileptoneta japonica ヤマトマシラグモ 57 Falcileptoneta striata ヨコフマシラグモ 57, 59 Falcileptoneta striata fujisana フジヨコフマシラグモ 57, 60, 88 Masirana abensis アベマシラグモ 7 Masirana kyokoae スルガマシラグモ 57, 88 Masirana nippara ニッパラマシラグモ 88 Masirana silvicola モリズミマシラグモ 7 Telemidae ヤギヌマグモ科 Telema nipponica ヤマトヤギヌマグモ 57, 60, 88 Pholcidae ユウレイグモ科 Belisana akebona アケボノユウレイグモ 43, 46, 57, 59, 60, 88 Crossopriza lyoni オダカユウレイグモ 47 Pholcus crypticolens ユウレイグモ 43, 52, 57, 60, 88 Pholcus opilionoides タイリクユウレイグモ 57 Pholcus phalangioides イエユウレイグモ 56, 57 Spermophora senoculata シモングモ 57, 59, 73 Segestriidae エンマグモ科 Ariadna lateralis ミヤグモ 55, 57 Segestria nipponica コマツエンマグモ 57, 59 Oonopidae タマゴグモ科 Gamasomorpha cataphracta ダニグモ 57, 59, 60 Ischnothyreus narutomii ナルトミダニグモ 57, 59 Orchestina okitui オキツハネグモ 57, 59 Mimetidae センショウグモ科 Ero japonica センショウグモ 43, 56, 57, 60, 71, 88, 92 Oecobiidae チリグモ科 Oecobius navus チリグモ 57, 59 Uroctea compactilis ヒラタグモ 43, 55, 57, 75 Uloboridae ウズグモ科 Hyptiotes affinis オウギグモ 43, 57, 69, 92 Miagrammopes orientalis マネキグモ 43, 56, 57, 73, 74, 75 Octonoba sinensis トウキョウウズグモ 57, 75, 75 108 Octonoba sybotides Octonoba varians Philoponella prominens カタハリウズグモ 43, 55, 57, 62, 71, ウズグモ 72, 75, 92 43, 55, 57, 60, 62, マツガエウズグモ 70, 71, 72, 92 71, 72 Nesticidae ホラヒメグモ科 Nesticella brevipes コホラヒメグモ 57, 59, 60, 88 Nesticella mogera チビホラヒメグモ 57 Nesticus uenoi フジホラヒメグモ 38, 57, 88 Theridiidae ヒメグモ科 Achaearanea angulithorax ツリガネヒメグモ 43, 56, 57, 60, 71, Achaearanea culicivola カグヤヒメグモ 72, 88, 92 43, 52, 57 Achaearanea ferrumequina ヒザブトヒメグモ 57 Achaearanea japonica ニホンヒメグモ 43, 55, 57, 62, 74, Achaearanea kompirensis コンピラヒメグモ 75, 88, 92 57 Achaearanea ryukyu リュウキュウヒメグモ 52 Achaearanea tabulata オオツリガネヒメグモ 44 Anelosimus crassipes アシブトヒメグモ 49, 57, 62, 70, 71, Argyrodes bonadea 72, 75 シロカネイソウロウグモ 56, 57, 62, 72, 73 Argyrodes cylindratus トビジロイソウロウグモ 43, 56, 57 Argyrodes kumadai チリイソウロウグモ 1, 43, 52, 55, 57 Argyrodes miniaceus アカイソウロウグモ 36, 52, 55, 57, 75, 90 Ariamnes cylindrogaster オナガグモ 43, 56, 57, 72, 88, 92 Chrosiothes sudabides ヨツコブヒメグモ 57, 59, 88 Chrysso albipes ギボシヒメグモ 57, 60, 75 Chrysso argyrodiformis オダカグモ 57, 68 Chrysso foliata ホシミドリヒメグモ 43, 57, 60, 88, 92 Chrysso pulcherrima ミナミオダカグモ 52 Chrysso scintillans コガネヒメグモ 43, 56, 57, 60 Coleosoma blandum サヤヒメグモ 50, 57, 59, 85 Coleosoma octomaculatum ヤホシサヤヒメグモ 52, 57, 71, 72, 90 Coscinida japonica トガリクサチヒメグモ 40, 90 Dipoena punctisparsa シモフリミジングモ 43, 52, 57, 88 Enoplognatha abrupta カレハヒメグモ 52, 55, 57, 57, 70, 109 Enoplognatha caricis ヤマトコノハグモ 73, 75 56, 57, 88 Episinus affinis ヒシガタグモ 43, 52, 57 Episinus nubilus ムラクモヒシガタグモ 57, 88 Keijia mneon サトヒメグモ 54, 71, 90 Keijia sterninotata ムナボシヒメグモ 52, 57, 75 Moneta caudifera ハラナガヒシガタグモ 43, 57, 72, 92 Neospintharus fur フタオイソウロウグモ 43, 56, 57, 75 Neospintharus nipponicus ツノナガイソウロウグモ 9, 90 Paidiscura subpallens ハイイロヒメグモ 50, 52, 57 Parasteatoda tepidariorum オオヒメグモ 43, 49, 55, 57, 62, 69, 70, 71, 73, 74, Phoroncidia altiventris ハラダカツクネグモ 75, 88, 92 39 Phoroncidia pilula ツクネグモ 43, 57, 75, 92 Phycosoma amamiensis アマミミジングモ 41, 43, 90 Phycosoma flavomarginatum キベリミジングモ 57, 59 Phycosoma japonicum ヤマトミジングモ 44 Phycosoma mustelinum カニミジングモ 43, 56, 57, 59, 60, 92 Rhomphaea labiata ヒゲナガヤリグモ 52 Rhomphaea sagana ヤリグモ 43, 56, 57, 60, 69, Rugathodes nigrolimbatus タカネヒメグモ 72, 75, 92 60 Spheropistha melanosoma クロマルイソウロウグモ 56, 57 Steatoda albomaculata ゴマダラヒメグモ 44 Steatoda cingulata ハンゲツオスナキグモ 56, 57 Steatoda erigoniformis ナナホシヒメグモ 52 Stemmops nipponicus スネグロオチバヒメグモ 37, 43, 57, 59, 60, Takayus chikunii バラギヒメグモ 86, 88 43, 57, 59, 60 Takayus latifolius ヒロハヒメグモ 44 Takayus lyricus シモフリヒメグモ 43, 44, 89 Takayus subadultus コケヒメグモ 43 Takayus takayensis タカユヒメグモ 43, 57, 59 Takayus yunohamensis ユノハマヒメグモ 43, 56, 57, 60 Yaginumena castrata ボカシミジングモ 43, 57, 60, 88, 92 Yaginumena mutilata コアカクロミジングモ 43 110 Theridiosomatidae カラカラグモ科 Ogulnius pullus ヤマジグモ 43, 57, 59, 60 Theridiosoma epeiroides カラカラグモ 43, 56, 57, 60, 69, 71, 72 Anapidae ヨリメグモ科 Comaroma maculosa ヨロイヒメグモ 57, 59 Conculus lyugadinus ヨリメグモ 43, 57, 59, 60, 92 Mysmenidae コツブグモ科 Mysmenella jobi ナンブコツブグモ 43, 57, 59, 60, 88, 92 Pimoidae ピモサラグモ科 Weintrauboa contortipes アシヨレグモ 57, 59 Linyphiidae サラグモ科 Aprifrontalia mascula コサラグモ 57, 59, 60 Arcuphantes digitatus ロクショヤミサラグモ 51 Arcuphantes fujiensis フジヤミサラグモ 57, 60, 88 Arcuphantes kobayashii コバヤシヤミサラグモ 12 Arcuphantes tamaensis タマヤミサラグモ 57 Asperthorax communis ザラアカムネグモ 57, 59, 60 Bathyphantes gracilis テナガグモ 44 Bathyphantes robustus クロテナガグモ 57, 59, 60 Bathyphantes tateyamaensis タテヤマテナガグモ 45, 52 Bathyphantes yodoensis ヨドテナガグモ 57 Caviphantes samensis ホラヌカグモ 57 Cresmatoneta nipponensis アリサラグモ 57, 88 Diplocephaloides saganus ハラジロムナキグモ 57, 59 Doenitzius peniculus デーニッツサラグモ 57, 60 Doenitzius pruvus コデーニッツサラグモ 57 Entelecara dabudongensis コウライホテイヌカグモ 61 Erigone koshiensis カワリノコギリグモ 44 Erigone prominens ノコギリヒザグモ 52, 57, 59 Gnathonarium exsiccatum ニセアカムネグモ 57, 59 Gonatium arimaense アリマケズネグモ 57, 59 Gonatium japonicum ヤマトケズネグモ 57, 59 Herbiphantes cericeus キヌキリグモ 57, 60 Lepthyphantes concavus クボミケシグモ 57, 59 Lepthyphantes japonicus ヤセサラグモ 57, 59 Meioneta nigra クロケシグモ 44 111 Nematogmus rutilus コアカサナダグモ 44 Nematogmus sanguinolentus チビアカサラグモ 57, 59 Neriene albolimbata ヤガスリサラグモ 57, 59, 71 Neriene angulifera ハンモックサラグモ 11, 57, 88 Neriene brongersmai チビサラグモ 57, 88 Neriene clathrata コウシサラグモ 57 Neriene fusca クスミサラグモ 43, 57, 59, 60, 88, 92 Neriene herbosa シバサラグモ 57, 59, 60 Neriene japonica ツリサラグモ 43, 57, 60, 88 Neriene limbatinella フタスジサラグモ 43, 57, 60 Neriene longipedella アシナガサラグモ 11, 43, 55, 57, 59, Neriene marginella コシロブチサラグモ 60, 92 11 Neriene montana ヤマジサラグモ 57, 59 Neriene nigripectoris ムネグロサラグモ 43, 57, 60, 88, 92 Neriene oidedicata ヘリジロサラグモ 43, 52, 57, 59, 71, Neriene radiata シロブチサラグモ 72, 75, 88 56, 57, 59, 60, 88, 92 Neserigone nigriterminorum ハシグロナンキングモ 43, 57, 59, 88 Nippononeta minuta コケシグモ 57, 59 Nippononeta obliqua ナナメケシグモ 52, 57, 59 Nippononeta projecta ツノケシグモ 57, 59, 60 Nippononeta ungulata ツメケシグモ 57, 59 Oia imadatei イマダテテングヌカグモ 57, 59 Orientopus yodoensis アバタムナキグモ 44 Ostearius melanopygius スソグロサラグモ 57, 59 Paikiniana vulgaris コテングヌカグモ 44 Parhypomma naraense ナラヌカグモ 44 Porrhomma montanum エゾヤマサラグモ 57, 88 Pseudomicrargus latitegulatus ヒロテゴマグモ 57, 59, 88 Solenysa melloteei アリマネグモ 57, 59 Strandella quadrimaculata ヨツボシサラグモ 42, 48, 56, 57, 59, Tmeticus bipunctis ヌカグモ 60, 71, 71, 72 57, 59 Tojinium japonicum ヤマトトウジヌカグモ 52 Turinyphia yunohamensis ユノハマサラグモ 43, 57, 59 Ummeliata feminea トウキョウアカムネグモ 57, 59 112 Ummeliata insecticeps セスジアカムネグモ 56, 57, 59, 71, 88 Ummeliata osakaensis オオサカアカムネグモ 44 Tetragnathidae アシナガグモ科 Diphya okumae オオクマヒメドヨウグモ 29 Leucauge blanda チュウガタシロカネグモ 49, 57, 62, 69, 74, 75 Leucauge magnifica オオシロカネグモ 43, 55, 57, 92 Leucauge subblanda コシロカネグモ 43, 55, 57, 60, 70, 71, 71, 72, 73, 75, Leucauge subgemmea キララシロカネグモ 88, 92 43, 52, 57, 88 Menosira ornata キンヨウグモ 43, 63 Meta japonica サンロウドヨウグモ 57, 88 Meta reticuloides ヤマジドヨウグモ 43, 57, 59, 60, 92 Metleucauge chikunii チクニドヨウグモ 43, 92 Metleucauge kompirensis タニマノドヨウグモ 26, 43, 57, 92 Metleucauge yunohamensis メガネドヨウグモ 26, 43, 57, 60, 69, Pachygnatha quadrimaculata 69, 71, 71, 72 ヨツボシヒメアシナガグモ 56, 57 Pachygnatha tenera ヒメアシナガグモ 57, 59 Tetragnatha caudicula トガリアシナガグモ 57 Tetragnatha lauta キヌアシナガグモ 59 Tetragnatha maxillosa ヤサガタアシナガグモ 49, 52, 55, 57, 71, Tetragnatha pinicola ミドリアシナガグモ 73, 74, 75, 75, 88 57, 88 Tetragnatha praedonia アシナガグモ 43, 49, 55, 57, 62, 69, 69, 70, 71, 71, ウロコアシナガグモ 73, 74, 75, 88, 92 43, 57, 60, 69, 71, Tetragnatha vermiformis シコクアシナガグモ 73, 88, 92, 92 57, 59 Tylorida striata キイロハラダカグモ 44, 64 Tetragnatha squamata Nephilidae ジョロウグモ科 Nephila clavata L. Koch 1878 ジョロウグモ 43, 55, 57, 69, 74, 75, 75, 88, 92 Araneidae コガネグモ科 Acusilas coccineus ハツリグモ 43, 55, 57, 75 Alenatea fuscocolorata ヤミイロオニグモ 49, 57, 60, 71, 71, 113 72, 88 43, 65, 78, 81 Arachnura logio キジロオヒキグモ Araneus acusisetus オオクマヤミイロオニグモ 33, 92 Araneus ejusmodi ヌサオニグモ 49, 55, 57, 70, 71, Araneus ishisawai イシサワオニグモ 74, 75 43, 56, 57, 60, 92, 92 Araneus macacus ヤエンオニグモ 57, 62, 88 Araneus mitificus ビジョオニグモ 57, 75 Araneus nojimai マメオニグモ 33, 56, 57 Araneus ogatai オガタオニグモ 33 Araneus pentagrammicus アオオニグモ 43, 55, 57, 62, 92 Araneus semilunaris マルヅメオニグモ 43, 52, 57, 59 Araneus seminiger コケオニグモ 43, 67 Araneus stella ツノオニグモ 57, 88 Araneus tsurusakii カラオニグモ 33 Araneus uyemurai ヤマオニグモ 55, 57, 88 Araneus ventricosus オニグモ 43, 52, 55, 57, 69, Araneus viridiventris 70, 71, 72, 74 ハラビロミドリオニグモ 43, 57 Araniella yaginumai ムツボシオニグモ 57, 60, 71, 72, 88 Argiope aetheroides ムシバミコガネグモ 28 Argiope amoena コガネグモ 43, 49, 55, 57, 70, Argiope boesenbergi チュウガタコガネグモ 71, 73, 74, 75, 75 43, 56, 56, 57, 70 Argiope bruennichi ナガコガネグモ 43, 55, 57, 62, 69, 71, 73, 74, 75, 75, コガタコガネグモ 88 43, 55, 57, 71, 73, Chorizopes nipponicus ヤマトカナエグモ 74, 75 43, 57, 59, 92 Cyclosa argenteoalba ギンメッキゴミグモ 43, 55, 57, 69, 71, Cyclosa atrata カラスゴミグモ 72, 74, 88, 92, 92 55, 57, 88, 92 Cyclosa ginnaga ギンナガゴミグモ 27, 56, 57, 60 Cyclosa hamulata カギヅメカラスゴミグモ 27 Cyclosa japonica ヤマトゴミグモ 43 Cyclosa laticauda キジロゴミグモ 57, 73 Argiope minuta 114 Cyclosa monticola ヤマゴミグモ 57 Cyclosa octotuberculata ゴミグモ 43, 49, 55, 57, 70, Cyclosa omonaga シマゴミグモ 71, 73, 75, 75 57, 62, 77 Cyclosa sedeculata ヨツデゴミグモ 43, 55, 57, 60, 69, 69, 71, 72, 73, 75, Cyclosa vallata マルゴミグモ 75, 92 57, 62, 71, 75 Cyrtarachne bufo トリノフンダマシ 43, 57 Cyrtarachne inaequalis オオトリノフンダマシ 52, 56, 57 Cyrtarachne nagasakiensis シロオビトリノフンダマシ 34, 56, 57, 71, 73, 75 Cyrtarachne yunoharuensis アカイロトリノフンダマシ 34, 43, 57, 59 Cyrtophora exanthematica キヌアミグモ 56, 57 Cyrtophora moluccensis スズミグモ 43, 52, 55, 57, 59 Eriophora astridae サガオニグモ 56, 57, 69, 69, 71, 72 Eriophora sachalinensis カラフトオニグモ 43, 57, 59, 60 Eriovixia pseudocentrodes トガリオニグモ 31, 43, 57, 59, 92 Gasteracantha kuhli トゲグモ 56, 57, 92 Gibbaranea abscissa キザハシオニグモ 57, 59, 88 Hypsosinga pygmaea ヨツボシショウジョウグモ 55, 57 Hypsosinga sanguinea シロスジショウジョウグモ 43, 57, 60 Larinia argiopiformis コガネグモダマシ 57, 62, 69, 72, 75, 88 Larinia bonneti ボネコガネグモダマシ 32 Larinia onoi ムネグロコガネグモダマシ 44 Larinioides cornutus ナカムラオニグモ 57, 69, 72, 75 Neoscona adianta ドヨウオニグモ 30, 56, 57, 69, 72, 88 Neoscona melloteei ワキグロサツマノミダマシ30, 43, 55, 57, 62, Neoscona nautica Neoscona punctigera Neoscona scylla イエオニグモ 71, 92 43, 52, 55, 57, 62, コゲチャオニグモ 71, 73, 74, 75, 88 30, 43, 57, 69, 69, ヤマシロオニグモ 71, 75, 92 30, 43, 49, 55, 57, 70, 71, 73, 74, 75, Neoscona scylloides サツマノミダマシ 75 30, 43, 52, 55, 57, 69, 71, 73, 74, 75, 115 Neoscona subpullata ヘリジロオニグモ 75 30, 57, 62 Neoscona theisi ホシスジオニグモ 57, 59 Ordgarius sexspinosus ムツトゲイセキグモ 76 Paraplectana tsushimensis ツシマトリノフンダマシ 66 Pronous minutus コオニグモモドキ 57, 59, 60, 88 Yaginumia sia ズグロオニグモ 43, 55, 57, 88 Lycosidae コモリグモ科 Alopecosa moriutii ハタチコモリグモ 19, 23 Alopecosa virgata スジブトコモリグモ 57 Arctosa depectinata カガリビコモリグモ 44 Arctosa ebicha エビチャコモリグモ 56, 57 Arctosa fujiii フジイコモリグモ 44 Arctosa ipsa ヒノマルコモリグモ 22, 57, 71, 73 Arctosa kawabe カワベコモリグモ 19 Arctosa stigmosa クロココモリグモ 44 Arctosa yasudai ヤスダコモリグモ 25 Lycosa coelestis ハラクロコモリグモ 21, 49, 57, 75 Lycosa suzukii スズキコモリグモ 57 Pardosa agraria イナダハリゲコモリグモ 45 Pardosa astrigera ウヅキコモリグモ 55, 57, 69, 70, 71, Pardosa isago イサゴコモリグモ 72, 74, 75, 75, 88 44 Pardosa laura ハリゲコモリグモ 43, 56, 57, 72, 88 Pardosa lugubris エゾコモリグモ 56, 57 Pardosa nojimai カコウコモリグモ 24, 45 Pardosa pseudoannulata キクヅキコモリグモ 56, 57, 71 Pardosa yaginumai キシベコモリグモ 44 Pirata clercki クラークコモリグモ 43, 44, 92 Pirata piraticus カイゾクコモリグモ 57, 88 Pirata piratoides イモコモリグモ 57, 71, 71 Pirata procurvus チビコモリグモ 52, 57, 59, 88 Pirata subpiraticus キバラコモリグモ 57, 59 Pirata tanakai コガタコモリグモ 18, 20 Pirata yaginumai ナミコモリグモ 44 Trochosa ruricola アライトコモリグモ 44 Trochosa terricola カラフトコモリグモ 57, 88 116 Pisauridae キシダグモ科 Dolomedes fimbriatoides スジチャハシリグモ 69, 69, 71, 72 Dolomedes pallitarsis スジブトハシリグモ 55, 57, 69, 70, 71, Dolomedes raptor アオグロハシリグモ 71, 72, 74 43, 57, 60, 73 Dolomedes saganus スジアカハシリグモ 43, 56, 57, 60, 75, 92 Dolomedes sulfureus イオウイロハシリグモ 49, 55, 56, 57, 69, 69, 71, 72, 74, 75, Perenethis fascigera ハヤテグモ 75, 88 52, 56, 57 Pisaura lama アズマキシダグモ 49, 57, 59 Oxyopidae ササグモ科 Oxyopes koreanus コウライササグモ 43 Oxyopes licenti クリチャササグモ 44 Oxyopes sertatus ササグモ 43, 55, 57, 62, 69, 69, 71, 75, 75 Ctenidae シボグモ科 Anahita fauna シボグモ 43, 57, 69, 71, 74, 75, 75, 88 Agelenidae タナグモ科 Agelena labyrinthica イナズマクサグモ 35 Agelena silvatica クサグモ 35, 43, 49, 55, 57, コクサグモ 70, 71, 73, 74, 75 35, 43, 49, 55, 57, Allagelena opulenta 69, 72, 74, 75, 75, Tegenaria domestica イエタナグモ 88 75 Cybaeidae ナミハグモ科 Cybaeus communis ザラナミハグモ 57, 88 Cybaeus enshu エンシュウナミハグモ 8 Cybaeus maculosus クスミナミハグモ 57 Cybaeus melloteei ナミハグモ 57, 59 Cybaeus monticolus ミヤマナミハグモ 8 Cybaeus nipponicus カチドキナミハグモ 57, 60, 72, 75, 80 Desidae ウシオグモ科 Badumna insignis クロガケジグモ 64 Paratheuma shirahamaensis イソタナグモ 84 117 Hahniidae ハタケグモ科 Hahnia corticicola ハタケグモ 57, 59, 88 Dictynidae ハグモ科 Brommella punctosparsa ナシジカレハグモ 57, 59 Cicurina japonica コタナグモ 57, 59 Cicurina troglodytes ホラコタナグモ 57 Dictyna felis ネコハグモ 57, 59, 60 Dictyna foliicola ヒナハグモ 56, 57 Dictyna uncinata カギハグモ 44 Amaurobiidae ガケジグモ科 Asiacoelotes insidiosus シモフリヤチグモ 57, 71, 72, 74, 88 Asiacoelotes interunus ヒメシモフリヤチグモ 44 Coelotes antri ホラズミヤチグモ 57 Coelotes exitialis ヤチグモ 57 Coelotes hamamurai フタバヤチグモ 57 Coelotes kitazawai アズマヤチグモ 52, 57, 79, 88 Coelotes satoi チュウブヤチグモ 10 Paracoelotes luctuosus メガネヤチグモ 57 Taira flavidorsalis セスジガケジグモ 57 Tegecoelotes corasides ヤマヤチグモ 56, 57, 71, 88 Titanoecidae ヤマトガケジグモ科 Nurscia albofasciata ヤマトガケジグモ 56, 57 Miturgidae ツチフクログモ科 Cheiracanthium eutittha アシナガコマチグモ 52, 57, 59 Cheiracanthium japonicum カバキコマチグモ 43, 56, 57, 88 Cheiracanthium lascivum ヤマトコマチグモ 49, 52, 55, 57 Cheiracanthium unicum ヤサコマチグモ 57, 59 Anyphaenidae イヅツグモ科 Anyphaena ayshides ナガイヅツグモ 57, 59 Anyphaena pugil イヅツグモ 57, 59, 88 Liocranidae ウエムラグモ科 Agroeca montana ミヤマタンボグモ 45 Itatsina praticola イタチグモ 43, 52, 57, 71, 72, 75, 75 Clubionidae フクログモ科 Clubiona corrugata コフクログモ 57, 71 Clubiona deletrix マダラフクログモ 52 118 Clubiona diversa ミチノクフクログモ 44 Clubiona ikedai ハコネフクログモ 17 Clubiona inaensis イナフクログモ 43 Clubiona japonica ヤマトフクログモ 57 Clubiona japonicola ハマキフクログモ 49, 55, 57, 71, 72, 74 Clubiona jucunda ヤハズフクログモ 43, 55, 57, 74, 88, 92 Clubiona kurilensis ヒメフクログモ 57 Clubiona lena トビイロフクログモ 57, 59 Clubiona vigil ムナアカフクログモ 52, 56, 57 Clubiona yaginumai ヤギヌマフクログモ 2 Corinnidae ネコグモ科 Castianeira shaxianensis オビジガバチグモ 44 Orthobula crucifera オトヒメグモ 57, 59, 88 Otacilia komurai コムラウラシマグモ 57, 59, 88 Otacilia vulpes コガネウラシマグモ 6 Phrurolithus claripes イナズマウラシマグモ 57, 71, 72, 88 Phrurolithus coreanus キレオビウラシマグモ 43, 45 Phrurolithus nipponicus ウラシマグモ 57 Phrurolithus pennatus ヤバネウラシマグモ 43, 52, 57 Trachelas japonicus ネコグモ 57, 59, 88 Trochanteriidae ヒトエグモ科 Plator nipponicus ヒトエグモ 91 Gnaphosidae ワシグモ科 Drassodes serratidens トラフワシグモ 45, 83 Drassyllus sanmenensis エビチャヨリメケムリグモ 44 Drassyllus yaginumai ヒメヨリメケムリグモ 44 Gnaphosa kamurai カワラメキリグモ 44 Gnaphosa kompirensis メキリグモ 57, 69, 88 Hitobia asiatica シノノメトンビグモ 5 Hitobia unifascigera ヒトオビトンビグモ 57 Micaria dives ヒゲナガツヤグモ 45 Odontodrassus hondoensis ヤマトフトバワシグモ 44 Sergiolus hosiziro ホシジロトンビグモ 44 Sernokorba pallidipatellis マエトビケムリグモ 5, 56, 57 Zelotes asiaticus クロチャケムリグモ 44 Zelotes potanini ヒロズケムリグモ 44 Selenopidae アワセグモ科 119 Selenops bursarius アワセグモ 57 Sparassidae アシダカグモ科 Heteropoda venatoria アシダカグモ 49, 55, 57, 70, 71, Micrommata virescens ツユグモ 73, 74, 75, 75 57 Sinopoda forcipata コアシダカグモ 43, 52, 56, 57, 71, 72, 88 Philodromidae エビグモ科 Philodromus auricomus キンイロエビグモ 57, 70 Philodromus cespitum シロエビグモ 44, 57, 88 Philodromus nigrostriatipes フシグロエビグモ 57, 72 Philodromus spinitarsis キハダエビグモ 52, 56, 57, 75 Philodromus subaureolus アサヒエビグモ 43, 49, 57, 75 Thanatus miniaceus ヤドカリグモ 56, 57, 88 Tibellus tenellus シャコグモ 49, 56, 57, 70, 71, 71, 75, 75 Thomisidae カニグモ科 Bassaniana decorata キハダカニグモ 55, 57, 71 Boliscus tuberculatus イボカニグモ 14, 44, 52 Coriarachne fulvipes コカニグモ 16, 57 Diaea subdola コハナグモ 43, 52, 57, 69, 71, Ebelingia kumadai クマダハナグモ 72, 88 43, 44 Ebrechtella tricuspidata ハナグモ 43, 55, 57, 69, 71, Heriaeus melloteei アシナガカニグモ 72, 73, 74, 75, 88 57 Lysiteles coronatus アマギエビスグモ 43, 48, 57, 71, 72 Lysiteles okumae オオクマエビスグモ 16 Oxytate striatipes ワカバグモ 43, 49, 55, 57, 69, Ozyptila nipponica 69, 72, 75, 88, 92 ニッポンオチバカニグモ 15 Pistius undulatus ガザミグモ 43, 57, 69, 72, 74, 75 Runcinia affinis シロスジグモ 52 Synema chikunii チクニエビスグモ 43 Synema globosum フノジグモ 56, 57, 88 Thomisus labefactus アズチグモ 16, 55, 57, 57, 62, 71, 73, 74, 75, 75 120 Tmarus piger トラフカニグモ 16, 43, 56, 57, 88, 92 Tmarus rimosus セマルトラフカニグモ 16, 43, 87 Tmarus yaginumai ヤギヌマノセマルトラフカニグモ 13, 16, 52 Xysticus atrimaculatus ホンクロボシカニグモ 43 Xysticus croceus ヤミイロカニグモ 16, 49, 56, 57, 71, Xysticus ephippiatus カラカニグモ 72, 73, 73, 74, 75 57, 59 Xysticus hedini クロボシカニグモ 57, 59 Xysticus kurilensis チシマカニグモ 16 Xysticus saganus オオヤミイロカニグモ 16, 57, 59, 88 Xysticus trizonatus オビボソカニグモ 43 Salticidae ハエトリグモ科 Asianellus festivus ヤマジハエトリ 57, 86 Carrhotus xanthogramma ネコハエトリ 43, 57, 71, 72, 75, 88 Euophrys kataokai カタオカハエトリ 44 Evarcha albaria マミジロハエトリ 43, 55, 57, 70, 71, Evarcha fasciata マミクロハエトリ 72, 73, 75, 88 3, 44 Hakka himeshimensis イソハエトリ 57, 73, 75 Harmochirus insulanus ウデブトハエトリ 56, 57, 71 Hasarius adansoni アダンソンハエトリ 57, 69, 70, 71, 75, Helicius yaginumai ジャバラハエトリ 75, 75 43, 44 Laufeia aenea エキスハエトリ 4, 43, 57, 59 Marpissa milleri オオハエトリ 43 Marpissa pulla ヨダンハエトリ 43 Mendoza canestrinii オスクロハエトリ 56, 57 Mendoza elongata ヤハズハエトリ 43, 56, 57 Menemerus fulvus シラヒゲハエトリ 56, 57, 71, 73, 74, 75 Myrmarachne inermichelis ヤサアリグモ 57, 59 Myrmarachne japonica アリグモ 56, 57, 75 Pancorius crassipes アシブトハエトリ 55, 57, 71, 75, 75 Phintella abnormis チャイロアサヒハエトリ 43, 56, 57 Phintella arenicolor マガネアサヒハエトリ 57, 71, 72, 88 Phintella bifurcilinea キアシハエトリ 43, 57 Phintella linea メガネアサヒハエトリ 57 Plexippoides doenitzi デーニッツハエトリ 43, 57, 59, 73, 75, 88 121 Plexippus niccensis ニッコウハエトリ 57 Plexippus paykulli チャスジハエトリ 43, 55, 57, 69, 70, 71, 71, 72, 73, 74, Plexippus setipes ミスジハエトリ 75, 75 55, 57, 73 Pseudicius vulpes イナズマハエトリ 57 Rhene atrata カラスハエトリ 49, 56, 57, 72, 74, Sibianor pullus キレワハエトリ 75, 88 57 Siler cupreus アオオビハエトリ 49, 55, 57 Sitticus penicillatus シラホシコゲチャハエトリ 44 Synagelides agoriformis アメイロハエトリ 43, 57, 88 Yaginumaella striatipes ウススジハエトリ 43, 57, 71, 71, 72 Yaginumanis sexdentatus ムツバハエトリ 57 引用文献 1.Chida, T. & Tanikawa, A. 1999. 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