IFCのインクルーシブ・ビジネス支援

資料2-5
IFCのインクルーシブ・ビジネス支援
2011年11月
国際金融公社(IFC)東京事務所 副所長
寺見
興生
IFCとは?
世界銀行グループの中で民間向け投融資を担当
国際復興開発銀行
IBRD
International Bank
for Reconstruction
and Development
設立:1945年
国際開発協会
IDA
International
Development
Association
設立:1960年
国際金融公社
IFC
International
Finance Corporation
多数国間投資保証機関
MIGA
Multilateral
Investment and
Guarantee Agency
設立:1956年
設立:1988年
役割:
制度・法律・規制改革の
促進
制度・法律・規制改革の
促進
民間セクターによる開発の
促進
民間投資における政治
的(非商業)リスクの軽減
顧客:
一人当たりの国民所得
が1,025~6,055米ドル
の加盟国政府
一人当たりの国民所得
が1,025米ドル以下の最
貧国政府
加盟国の民間企業(多国籍
企業、地場企業)
加盟国に本部を置く多国
籍民間企業
- 技術支援
- 融資
- 政策助言
- 技術支援
- 無利子融資
- 政策助言
- 出資・準出資投資
- 長期融資
- リスクマネジメント
- アドバイザリー・サービス
- 政治リスク保険
商品
サービス:
共通の使命: 途上国の経済開発と貧困削減
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世界に広がる活動拠点
計100以上の投融資業務を行うカントリー・オフィスと
アドバイザリーサービスを提供するファシリティ・オフィスを配置
IFCでは、近年ローカリゼーション(現地化)を進めており、職員(3,500人)の過半数がフィールド・オフィスに在籍しています。
また、案件執行に関わる多くの機能を、各地域のハブ・オフィス(上図☆)で行っています。
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インクルーシブ・ビジネス・モデルとは、
ビジネスとして成立し、かつ規模を拡大できる事業モデル

IFCはBOP層を広く定義:
収入のみならず、基本的な商品やサー
ビス、経済的な機会へのアクセスの欠
如も基準として含める
“インクルーシブ・ビジネス・モデル”:
BOP層に財・サービスを提供しながら、ビジ
ネスとして成立し、かつ規模を拡大できる事
業モデル

インクルーシブ・ビジネス・モデルは、経
済ピラミッドの下層部にいる40億人の
人々が抱える様々なアクセスの欠如に
対処できる可能性がある
 CSRや慈善事業ではなく、本業として利
益を生み出すビジネス
 補助金に頼らずに開発効果を持続的に
もたらし、その範囲を拡大する
 投融資対象として、リスクや実行可能性
について一定の基準をクリア
出典:『次なる40億人 - 経済ピラミッドの底辺の市場規模とビジネス戦略』
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IFCは様々なインクルーシブ・ビジネス・モデルでBOP層を支援

IFCはインクルーシブ・ビジネス・モデルを用いて
BOP層を消費者、生産者、流通業者、あるいは小売
業者としてバリューチェーンに組み込む独自の支援
をしている

インクルーシブ・ビジネスは金融セクター、インフ
ラセクター、その他のセクターのIFCの多くの顧客に
とって重要な事業となっており、将来的に成長が見
込める分野である

IFCは顧客企業に融資(長期債、劣後債)や投資を通
じた支援を行っている(アドバイザリー・サービス
との連携を含む)
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2010年度、IFCはインクルーシブ・ビジネス案件に
約9億ドル(約720億円、IFC投融資総額の7%)を投融資
産業別インクルーシブ・ビジネス
投融資金額内訳(2010年度)
 インフラが全体の44%を占
め、最も大きい
 インクルーシブ・ビジネス
案件の40%はIDA(国際開
発協会)の対象である最貧
国のもの
金融業
製造業、農業、
236万ドル
468 M サービス業
(25%)
288万ドル(31%)
インフラ
407 万ドル
(44%)27 M
 国別では、ラテンアメリカ
の案件が、全体の約半分を
占める
*注: 上記のデータは初期的な分析によるものであり、現在精細な
分析を行っている最中である
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インクルーシブ・ビジネス・モデル
支援対象の幅広さと開発効果で大きな潜在性を有す *
Jain: 3万の農家供給者か
ら果物や野菜を調達;
2011年までに、1,000人の
農民にJAINGAP認証済
MiTienda: 1,300の 零
細・中小企業に対応、
200店舗へのトレーニン
グの提供
Apollo Reach: 12万
人の BOP 患者を治療
(年間)
ECOM: 1万4千 戸の小
規模農家に貸出
IDEA Cellular: 地方
部で1100万人の新規
顧客
Manila Water
Company:
160万人が新
たに水道網に
接続
FINO: 1200万人の新規
顧客(金融)
Cemar: 23万人の
新規顧客(電力)
UNIMINUTO: 3万2千人
の BOP 層学生に教育機
会を提供(2009年)
█ 投融資
█ 技術支援
█ 総合的支援
Tribanco:400万枚のクレ
ジットカード発行; 15万以上
の零細・中小企業への金融
サービスの提供
Anhanguera: 76万人
の学生に高等教育を提
供(2009年)
(投融資+技術支援)
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Dialog Telekom: 300万
人の新規顧客(携帯)
SABCO: 流通を担
う2,200人の新た
な起業家
ZAIN: 34万人の新規顧客
(2009年); 6,600人 の村
落電話オペレーター
* ケーススタディの詳細は全てウェブサイトで
ご覧いただけます(英語):
www.ifc.org/inclusivebusiness
インクルーシブ・ビジネスの成功例
農業関連産業
農業関連産業
クリーンウォーター
Jain Irrigation
ECOM
Water Health International (WHI)
Jainは小規模農家に対し、生産性や農
産物の質を高めるためマイクロ灌漑シ
ステム(MIS)や種子などの投入資材
を提供している。また、農家が投入資
材を購入する為に金融サービスへのア
クセスを促進し、適切なMIS導入方法
や使用方法について販売者、政府関係
者を指導している。
IFCの投資:6,000万ドル(約50億円)の長
期融資、1,450万ドル(約12億円)の資本参
加
農産物の売買を行うECOMは、中央ア
メリカの小規模農家からコーヒーを仕
入れる際に技術支援を行うことで、農
家が品質に関する認証を得ることを可
能にした。それにより彼らが生産する
質の高いコーヒー豆を、プレミア価格
で購入している。5年前には1%だっ
たこの高品質豆の売上は、現在では
ECOMの10%を占める。
IFCの投資: 8,000万ドル(約65億円)の融
資
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WHIは低電圧紫外線を使い、必要最小
限のエネルギー量で水を浄化する技術
を低コストで実現し, インドだけでも
100万人以上の人々に清潔で安全な水
を低価格で提供している。設計・製品
製造・資金調達・サービスなど、浄水
と水供給のプロセスは地方行政組織
(Panchayat)と地域社会が関与し、
さらに地元住民を雇用してシステムの
運営・管理をしている。
IFCの投資:1,500万ドル(約12億円)の融
資
日本企業によるインクルーシブ・ビジネスへの支援
Manila Water Company
PT Summit OTO Finance
(住友商事の連結子会社)
(三菱商事を含むコンソーシアムの出資)
インドネシアのOTOは主にジャワ島やスマトラ
島で、小規模ビジネスや一般大衆層の交通手段と
して必要不可欠なオートバイの販売金融を促進す
るため、低・中所得の消費者・零細企業に小額
ローンを提供しており、現在は農村地域まで範囲
を拡大している。OTOはマイクロファイナンス
の手法を使って、金融サービスへのアクセスを持
たなかった多くの人々へサービスを提供してい
る。
フィリピンのマニラウォーターは民営化を受け
て、業務改善を実施し、接続件数を大幅に増や
し、新たに160万人に及ぶ低所得者層への水道網
の普及を果たした。地域社会が自発的に料金支払
いの連帯責任を担うことで当事者意識が高まり、
高い支払い率を達成し、 利益を生むことに成功
している。日本からは三菱商事が資本参加してい
る。
IFCの投資:4,500万ドル(約37億円)の融資
IFCの投資: 6,000万ドル(約50億円)の融資と
1,500万ドル(約12億円)の資本参加
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インクルーシブビジネスに関する最新の研究成果(1):
「インクルーシブ・ビジネスの成功例(日本語訳)」
• 「インクルーシブ・ビジネスの成功例」では、IFCが支援
したインクルーシブ・ビジネスの成功モデルの詳細に
つき、事例を紹介しています。
• 主な成功事例として、下記の企業等を紹介しています。
• Apollo Hospitals (インド・病院)
• Coca-Cola Sabco(アフリカ・飲料)
• ECOM(アフリカ/南米・コーヒー栽培)
• FINO(インド・金融機関向けITソリューション)
• Jain Irrigation(インド・灌漑システム、食品)
• マニラ・ウォーター(フィリピン・水事業)
• Mi Tienda(メキシコ・小売)
レポートのダウンロードはこちら
http://www.ifc.org/ifcext/tokyo.nsf/Content/BOP_Inclusive_Business
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インクルーシブビジネスに関する最新の研究成果(2)
: Accelerating Inclusive Business Opportunities
• “Accelerating Inclusive Business Opportunities”で
は七つのビジネスモデルを検証
1) BOP層への商品提供
2) 知見を有する顧客に対する信用供与
3) 遠隔地への電気・ガス供給
4) 小規模農家からの調達
5) 低廉な教育提供
6) 低廉な住宅供給
7) 電子取引プラットフォーム の提供
• “Inclusive Business Models: Guide to the Inclusive
Business Models in IFC’s Portfolio (Case Studies)”
ではIFCが支援した31の企業に関するケーススタディ
レポートのダウンロードはこちら
http://www.ifc.org/ifcext/advisoryservices.nsf/Content/BOP_Inclusive_Business
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支援依頼・お問い合わせ
• 支援依頼及びご相談につきましては、直接東京事務所までお問い合わせ下さい。
• IFCの支援依頼にあたって、定型の標準申請書というものはありません。
• 具体的な支援相談に際しては、プロジェクトの概要、所用資金・資金計画などを提
出いただき、可能な支援方法やビジネス・プランについて協議を行い、IFCの予備
審査のプロセスに進みます。
IFC(国際金融公社) 東京事務所
副所長: 寺見 興生
kterami@ifc.org
アナリスト: 杉田 道子
msugita@ifc.org
千代田区内幸町2-2-2 富国生命ビル10階
Tel: 03-3597-6657
http://www.ifc.org
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