算数における公開授業報告書 糸満市立糸満小学校 平良 みどり 今回、 「第 3 回日本・インドネシア国際協働授業研究会」に参加して、国立パダン第 2 知的障害養護学校小学部で「算数の授業」と「インドネシアの教師との算数協働授業」 の二つの公開授業を行ったので報告する。 1.養護学校小学部での算数公開授業 「さかなつりをしよう」 〜 だれがたくさんつれたかな〜 (1)目的 「ゲーム的活動を取り入れた算数の授業をする」 (2)方法 ①設定 学校:パダン第 2 知的障害養護学校小学部 対象:2年〜 5年生までの計10名(女子4名、男子6名) 時間:40分 ②児童の実態調査 現地では、児童と直接言葉を交わしたり遊んだりする時間が30分ほど設定さ れていた。そこで、ふれあいを通してラポート 作りと簡単なアセスメントを行った。 内容は自己紹介や家族構成(人数)などの簡 単な質問であり、言語理解能力、数概念、数唱 のレベルを調べた。また、手遊びを通して模倣 のレベルも確認した。 終了後、さらに担任へ一人一人の児童の「数 量に関する能力」や「行動特性」などについて 図1 子どもたちとの手遊び 聞き取り調査を行った。 ○行動特性面で配慮が必要な児童 教室からのとび出しがある児童1名。多動傾向の児童3名。呼びかけにあま り反応しない児童1名、共通語のインドネシア語が全く通じない児童2名(パ ダン語のみを使用) ○数に関する能力 10までの数唱は、数えるテンポに速い・遅いの差はあったが9名が可能で あり、そのうち3名は20以上の数唱ができる。10までの数字を書ける児童 - 25 - は5名、10以上の数字が書ける児童は5名である。10までの数概念が定着 していない児童が2名含まれる。 ③授業計画 児童の実態を確認した後、準備した授業内容が適当であるかインドネシアの算 数教師と検討した。 今回準備した授業「さかなつりをしよう」は、児童の実態にあわせて数概念、 加法、量を比べる等の学習が可能であり、指導内容を臨機応変に変更できるよう にしたものであった。インドネシアの担任の希望から、指導内容は2回釣った魚 の数を合わせて「15までの数をだれがたくさん釣れたかを比べること」とした。 数概念が定着していない児童については、活動の中に数える場面が何度もある ことを利用し、個別目標を設定した。また、現在学習中の足し算が具体物操作に よって答えを導き出していることから、あえて足し算の数式を使わず、結果を表 したグラフを見てだれが多いか比べるようにした。 また、多動児が見通しをもって参加できるように、 「イスに座って応援しながら 待つ」 「音楽がストップしたらその場に座る」など、 望ましい行動をルールの中に盛り込んだ。 教具と掲示物は、つり竿用の磁石とクリップを除 いて、学校にある物を借用。または、現地で調達し 作成した。環境設定としては、活動的な内容が中心 となるので机を使わずに、イスのみを U 字形に配置 した。 図2 児童が作成した教具 ④教材・教具 教具や掲示物の工夫としては以下の通りである。 ○ どのような発達段階の児童でも必ず釣ることがで きるように釣り針には磁石を使った。 ○ 授業で使う魚へそれぞれ好きな色をぬってもらい、 動機付けを図った。 図3 新聞紙のいけす ○ 魚の数は、2回釣った数が合わせて 15匹を越えないようした。 ○ 言葉の理解が難しい児童のために、写真や図入 りのルールカードを作成した。 ○ 理解できない児童への指導の手だてとして、練 習問題用のヒントカードを作成した。 図4 授業の様子1 - 26 - ⑤指導の実際 ※資料の指導案参照 (3)結果と考察 児童は喜んで授業に参加していた。多動児も教室から出て行ったり離席した りすることがなく、自分のイスに座って順番を待ち、学習活動の最後まで集中 して参加することができた。また、活動の始めと終わりは曲を使ったので、児 童にも分かりやすかったようである。全体的に動きがスムーズであった。 評価は観察と練習問題(ワークシート)で行った。ワークシートは全員正解 することができていた。ワークシートには、全員に「頑張ったシール」と「丸 印」をつけた。児童はシールと丸印をもらって喜んでいた。 また、インドネシアの算数の先生の希望で10以上15以内の数の比較を行 ったが、10までの概念が身に付いてい ない児童が数名おり、ヒントカードを使 用した。 授業の最後はハンドタッチで賞賛し たが、一番反応がゆったりしていた児童 が笑顔で自分からハンドタッチをしに 来てくれた時は嬉しかった。 反省点としては、黒板にインドネシア 語で文字を書くことができなかったた 図5 授業の様子2 め、予めインドネシア語で書いた紙を黒 板に貼った。そのため、黒板が掲示物だらけになり、児童には注目すべき箇所 が分かりづらくなった。側面や別パネルの活用などの工夫が必要であった。 さらに、今回は短い時間での児童の実態調査であったことから、本時に対す る個別の指導目標を設定することができなかった。そのため、 「比べることがで きる」と「数えることができる」の2段階に分けた指導目標を設定したが、よ り充実した指導を展開するためにも個別の指導目標を準備できなかったことは 大きな反省点である。 なお、授業を参観した教師から、今回の指導内容はレベルが高いとの声があ った。パダン第 2 知的障害養護学校の現在の指導内容と児童の実態にあわせて 設定したことを伝えた。また、同じ「さかなつり」という教材を通して概念レ ベルの指導ができることを簡単な授業の流れとともに説明した。 別の参加者からは教具の作り方について質問された。その場で作り方の説明 と、磁石ではなくクリップを使った釣り針式の「釣り竿」の作り方を手元にあ るクリップ・ひも・棒を使って実演した。3分もかからず出来上がった教具を - 27 - 見て驚いていた。指導内容に合わせた教材や教具作りはインドネシアの先生方 がかなり関心を示していた。 2.インドネシア教師との協働公開授業 「ひきざん」 〜 引かれる数が10より大きい数の引き算〜 (1)目的 「インドネシアの教師とともに双方の指導法を取り入れた授業をする」 (2)方法 ① 設定 学校:パダン第二養護学校小学部 対象:2年〜 5年生計10名(女子4名、男子6名) 時間:40分 ②授業計画 今回は、インドネシア側がすでに指導案を作成していた。さらに、インドネ シアの教師側から、引かれる数が15までの引き算を要望してきた。そこで、 その指導案をベースに日本式の教具の使い方や指導法を取り入れる形で検討を 進めた。 まず、前日までの足し算の指導からいきなり引き算に変わるとなると、児童 の思考がかなり混乱すると考えられることから、既習事項(引かれる数が10 以内の引き算)をフラッシュカードなどで簡単に振り返らせることや、学習内 容をまとめる段階で、身近な具体物を活用した寸劇を取り入れて生活の中で引 き算の必要な場面に気付かせる方法を提案した。 結果的には、インドネシア側の希望で寸劇は導入部分(既習事項の確認)に 入れることになった。マンゴスチンの売り買いを教師二人の寸劇にし、残った マンゴスチンの数を立式し計算で求めさせる。 展開は、児童に数字を言わせて問題を作り、黒板に師範するために自作した 教具(黒板用大型スティック)で操作の仕方を確認後、個別に各自の机で操作 活動を行う流れにした。個別用教具としては、インドネシアの教師が準備した 木製スティック(数え棒)を計算時に利用することになった。 ③授業の実際 (※)資料の指導案を参照 (インドネシア語) (3)結果と考察 ① 授業について 教師による演技と身近な果物を使っての - 28 - 図6 寸劇から問題を作る 問題提示に児童が集中した。インドネシア側の教師は寸劇の経験はないと言っ ていたが、調子を合わせてかなりいい演技をしていた。 個人で課題解決するための教具として、木製スティック(数え棒)をインド ネシアの教師がたくさん準備していたので、児童はそれを使って熱心に問題に 取り組んでいた。 自力で課題に取り組む場面では、計算以前に数の概念形の指導を丁寧に行う 必要がある児童もいた。特に一部の児童については操作活動自体が課題となっ ていた。 黒板用大型スティックは操作の様子が見 えて良かった。しかし、問題全部を児童に黒 板で解かせてしまったため、他の児童が解く のを待つ場面ができた。その結果、離席やい たずらが見られた。いくつもの問題に取り組 ませる場合、理解に時間のかかる児童や多動 児を数名抱えるクラスの実態から、あまり手 持ちぶさたにならないような配慮が必要で 図7 チーム・ティーチング あった。 また、70分授業だったため授業を途中で切り上げた。そのため、中途半端 に終わった感じになった。 ②指導案について 今回、インドネシアの教師が指導案を作成していたので、短い打ち合わせでも 授業の流れが共通理解できた。ただ、提案された指導案がインドネシア語であっ たため、通訳者のエカさんに読んでもらいながらも細かいところが把握できず、 上記のような時間配分ミスにつながった。 また、70分授業で組み立ててあったことを、当日授業終了後知った。時間オ ーバーで中途半端に終わった、と思っていたら、インドネシア側としては予定通 りだった。授業は、決められた時間の中で「導入・展開・まとめ」とメリハリの ある授業を展開する方が望ましい。今回のように、2時間扱いの途中で切るので あれば、児童の思考や活動がとぎれないように、どこで切るかを工夫しなければ ならないが、インドネシア語で書かれた指導案のためもあり、気付かなかったの は授業者としての大きなミスであった。 さらに、インドネシア側の授業者は協働授業のために完成した指導案を用意し ていたため、検討の時点で流れの変更や指導の工夫、教具の提案が難しかった。 完成した指導案に手を加えることにより、作成者の案を否定してしまうことにな らないか心配であった。また、こちらからの提案に対しても明確な返事や意見を - 29 - もらうことができなかった。 協働授業においては、単元名、指導目標などの大筋の流れだけを前もって準備 する方が望ましいかもしれない。指導の工夫や教具案についてはそれぞれに準備 し、検討段階でお互いに出し合い、指導案を完成させることが協働授業の趣旨に 添っていると思う。 ③授業の打ち合わせについて 打ち合わせ時間は、お互いの授業者の協働授業につ いての理解が不十分であったため、協働授業とはどの ようなものかについて話し合うだけでかなり時間を 要してしまった。 また、インドネシアの教師側はチーム・ティーチン グについて、指導をそれぞれで分担し、その部分を担 図8 打ち合わせの様子 当することと考えていた。担当する部分でないときは、 授業中もう一人の教師は教室から出て行き、教室内に はいないものと捉えていた。そのため、チーム・ティーチングについて時間をか けて説明しなければならなかった。打ち合わせの時間が2日間にわたり計3時間 程あったにかかわらず、授業の詳細まで詰めることはできなかった。 例えば、寸劇は学習内容を身近な事象に置き換える意味で、まとめ部分での練 習問題の提示、又は、本時のメインとなる問題提示の効果的な方法として提案し たが、既習学習を振り返る場面に取り入れることとなった。本来、既習事項の振 り返りは、本時のねらう学習内容の基礎的・基本的事項をフラッシュカードや簡 単な具体物を使って手短に行うべきであるが、寸劇を入れることにより、かなり 大げさな復習となってしまった。寸劇を取り入れる意義や効果的な場面について 説明がたりなかった結果である。 また、打ち合わせで提案した黒板用大型スティックについては、はっきりと使 用の確認ができず持参しなかったところ、授業直前に使いたいと要求され、段ボ ールを材料に急ぎで作る状況になった。 今回、インドネシア側の教師も私同様にかなり不安な状態で協働授業に望んだ ことであろう。 以上のことからも前もってインドネシアの授業者が協働授業を理解するための 資料を作成する必要があると思う。それにより、打ち合わせではすぐに授業の検 討に入れ、短い時間内で内容の濃い打ち合わせが可能となる。さらに、協働授業 の検討の流れをマニュアル化するとよりスムーズになるのではないかと考える。 以下、今回の反省点に基づき打ち合わせで話し合うべき事項を挙げてみた。 - 30 - ・ お互いの役割確認(T1・T2) ・ 授業のねらい ・ 授業の流れと時間配分 ・ 問題提示の仕方 ・ 効果的な教具の取り入れ方 ・ 板書計画 ・ 個別の指導目標の設定と手だての工夫 ・ 評価について 3.おわりに このプロジェクトに参加して、印象的だったことはインドネシアの先生方の熱心さ であった。障害児教育や授業について積極的に話しかけてきた。 行動を共にしてきた通訳のエカさんは、筑波大学のプロジェクトにより短期間でイ ンドネシアの障害児教育界は大きく変わったと述べていた。参加者の様子からもその 関心の高さが窺えた。 参加者からは、日本の障害児教育全般についての質問が多かった。特に、小学校の 特殊学級と通常学級との交流学習や特殊学級と養護学校との違いについて問われた。 また、教師の指導力や質の高さにも驚かされた。インドネシア側授業者の Mul Mulyadi 先生は指導についてしっかりとした考えがあり、公開授業では自分の指導に自信を持 って、テンポのある堂々とした授業を行っていた。 今回、公開授業を通して「良い授業とは」について話し合う各グループの様子を拝 見したが、皆、意見を出し合い熱心に討議していた。この方法は、自分の指導につい て考える良い機会だと思う。 私にとって「良い授業」とは、児童がそれぞれに達成感を味わえる授業だと考える。 そのためには、児童の実態を把握し、授業での個別目標をしっかりもって望むことが 大切である。例えば、授業で一人ひとりの何を育てるかを明確にすると、その児童に 必要な指導の手だてを考えることができる。それによってどの児童にも達成感を味わ わせられる。その結果、楽しい授業へとつながり、さらには学ぶ意欲や自主性にまで つながるであろうと考えるからだ。 その「良い授業」を目差して日々努力したい。 最後に、このようなインドネシアの障害児教育に触れる機会をつくって頂いた筑波 大学教育開発国際協力センター長・中田英雄教授に心から感謝申しあげます。また、 ともに研究会に参加した、インドネシア並びに日本チームの皆様にもお礼を申しあげ ます。 - 31 - 算数科指導案 指導者:平良みどり 1.単元名 「さかなつりをしよう」∼だれがたくさんつれたかな∼ 2.単元設定理由 算数科の教科指導では、 「将来の社会参加や自立に向け、実際の生活の中で具体的な活動で指導 し、生活に必要な知識を得たり、他の場面でも活用したりすること、そして、生活にいきる技能を 高めることが大切である。 」とされている。 知的発達に遅れのある子どもには、実際的・具体的な内容の方が学習しやすい。 ゲーム、買い物、お菓子作り、パーティーでのお菓子の配分などの活動を通して、子ども自らが 学習内容を理解し、定着させていくことができると考える。さらに、このような学習によって得た 知識や技能は実際の生活の場で応用されやすくなるであろう。 本単元「さかなつりゲーム」は、①魚を釣る→②数える、といった活動を繰り返しながら、釣っ た魚の数の多さを競い合うゲームである。ゲームに夢中になればなるほど「数えること」 「加える こと」 「比べること」が必要となり、必然性の中で学ぶことができる単元である。 また、子どもたちの大好きな遊び的な活動であるため、子どもたちの興味・関心が高まり、学習 意欲を持続させることができるであろう。 つまり、ゲームを楽しみながら基礎的な数概や数の大小、簡単な加法、表やグラフについて学ぶ ことができる。そして、他者との関わり方やルールを守るといったソーシャルスキルも合わせて学 習できる単元であると考え、本単元を設定した。 3.指導目標 (1)釣ったさかなを数えることができる。 (2)数字を比較して数の大小がわかる。 (3)釣った魚の数を表にすることができる。 (4)ルールを守って楽しくゲームができる。 4.指導計画(7時間) (1)さかなつりをしよう「好きなさかなを作って、さかなつりをしよう」 ・・・1 (2)表を読みとる「だれがたくさん釣れたかな」 ・・・3(本時5/2) 「だれが何匹多いかな」 「だれが何匹少ないかな」 (4)いろいろな棒グラフを読もう ・・・1 5.個別の指導目標 氏 名 A B C D E F G H I J 数量に関する実態 単元の目標 支援・手だて 6.本時について (1)本時の目標 ① だれが一番たくさん釣れたか、グラフで知ることができる ② 順番を守ってゲームをすることができる (2)準備 魚カード・クリップ・磁石・凧糸・かご(10)フープ5 ネームカード・カセットデッキ・曲・ワークシート・シール (3)本時の展開 学 習 活 動 導 1. 算数スキル どっちが多いか答える 教 師 の 支 援 評価(方法) ○2つの数や具体物をみせ、どちらが多い か答えさせ、数や量的な大小を捉えさせ る。 入 2. めあてを知る 10 3. ルールを確認する ○ めあてを確認する ○ ルールは絵カードを使い分かりやすく 提示する。 4.魚を釣る(一人2回釣る) ○ 5つのいけす(フープ)から 魚を釣る それぞれ釣らせる。 展 (音楽が鳴っている間) ↓ 数える ↓ 釣れた数を発表する ↓ 開 25 グラフに釣れた魚の数だ けシールを貼る 5.誰が多いかグラフで確認 する ま 6.学習のまとめ と め 7.練習問題(※) 5 分 8.次時の予定を知る。 (※)時間があればおこなう。 ○ グラフの見方を説明する。 縦軸→つれた魚の数 横軸→名前 だれがたくさん 釣れたか、グラフ で知ることがで きたか ( 観察 ) 順番を守って ゲームをするこ とができたか ( 観察 ) ○ グラフにすると数の多い少ないが分か りやすいことを確認する。 ○ 例題で読み取りの練習をする。 (1問) (ワークシート) ワークシートの記入例を用意する。 (ヒントカード) ○その場で○をつけ賞賛する。 評価 ○ だれが一番多いか、グラフで知ることができたか ○ 順番を守ってゲームをすることができたか 板書計画(室内環境) 魚つりをしよう めあて: だれがたくさんつれたか調べよう 順番を守ろう ルール 名前を呼ばれた 15 ら「はい」と返 事をします。 音楽が鳴ってい 10 る間魚をつりま す。 5 音楽が止まった ら終わりです。 名前 名前 名前 0 ・・・・・ カセット デッキ 教具 他 フープ (いけす) イス 座って順番を まちます。 練習問題 なまえ( ) 三人で釣りゲームをしました。一番多く釣れたのはだれですか? 名前に○をつけましょう。 15 10 5 0 ムルムルヤディ先生 みどり先生 ジュディー先生 Rencana Pembelajaran Matematika Guru:TAIRA Midori 1.Topik「Ayo Memancing Ikan」-Siapa yang paling banyak dapat ikan?2.Latar Belakang penentuan topik Dalam pendidikan matematika disebutkan bahwa“ Agar anak nantinya dapat berpartisipasi dalam masyarakat dan hidup mandiri,, sangat penting untuk mendidik anak melalui aktifitas-aktifitas dalam seting kehidupan nyata dan dari pengalaman aktifitas itu mempelajari sesuatu yang diperlukan dalam hidup. Tidak hanya itu, anak diharapkan bisa mengaplikasikannya dalam situasi kehidupan yang lain. Penting juga untuk meningkatkan keterampilan yang dibutuhkan dalam kehidupan sehari-hari. Bagi anak yang mengalami keterlambatan perkembangan mental, pembelajaran yang riil dan kongkrit lebih mudah diterima oleh anak. Melalui kegiatan seperti permainan, belanja, pembuatan kue, pembagian kue di pesta, anak dengan kemampuannya sendiri memahami substansi pembelajaran dan mudah mengingatnya. Selain itu, dengan pembelajaran demikian pengetahuan dan ketrampilan yang diperoleh akan lebih mudah untuk diaplikasikan dalam kehidupan sehari-hari. Topik kali ini, “Permainan Memancing Ikan”, merupakan sebuah permainan yang memperlombakan banyaknya ikan yang dipancing dengan mengulang-ulang kegiatan 1. memancing→2. menghitung ikan. Semakin anak asyik dengan permainan ini, ketrampilan “berhitung”,”menjumlahkan”, dan “membandingkan” semakin dibutuhkan, dan dari kebutuhan ini anak akan bisa belajar. Selain itu, karena topik ini adalah kegiatan permainan yang sangat disukai anak-anak, minat dan perhatian anak akan semakin meningkat, dengan demikian motivasi belajar anak dapat terus terjaga. Dipilihnya topik ini anak dapat belajar sambil menikmati permainan yang disukainya, seperti mengenal konsep dasar berhitung, hitungan besar-kecil, penjumlahan sederhana, tabel dan grafik. Kemudian, dengan pertimbangan anak juga dapat belajar ketrampilan sosial (social skill) seperti bagaimana cara bergaul dengan orang lain dan mematuhi peraturan. 3.Tujuan Pembelajaran (1) Mampu menghitung jumlah ikan yang dipancing. (2) Mampu membandingkan jumlah besar dan kecil. (3) Mampu membaca berbagai macam grafik batang. (4) Dapat menikmati permainan dengan tetap mematuhi aturan permainan. 4.Rencana kegiatan(5jam) (1) Ayo memancing ikan “Ayo membuat gambar ikan yang disukasi dan mari memancing ”・・1 (2) Membaca tabel “Siapa paling banyak memancing ikan?” ・・・3(kali ini 2/5) “Siapakah yang paling banyak mendapat ikan ?” “Siapakah yang paling sedikit mendapat ikan?” (3) Ayo membaca bermacam-macam grafik batang ・・・1 1 5.Target bimbingan per-individu Nama Pengetahuan yang dimiliki Target pembelajaran anak berhubungan dengan jumlah A Tindakan B C D E F G H I J 6.Kegiatan inti (1)Target ① Dapat mengerti dari grafik batang, siapa yang paling banyak memancing ikan. ② Dapat bermain dengan tetap mematuhi aturan permainannya. (2)Persiapan Kartu bergambar ikan, klip, magnet , benang, keranjang (10), hula hop(5) kartu nama, tape kaset, lagu, LKS, dan stiker, Spido merah 2 (3) Urutan kegiatan Kegiatan Tindakan Guru Pembukaan 1. Kemampuan berhitung ○ Memperlihatkan dua angka 10 menit Menjawab mana lebih banyak atau benda dan menanyakan 2. Mengetahui target mana yang lebih besar nilainya, memastikan angka dan 3. Menegaskan aturan besar-kecilnya nilai angka. ○ Menegaskan target. ○ Menjelaskan aturan dengan kartu gambar. 4.Memancing ikan ○ Mengarahkan agar (1 orang 2kali kesempatan) memancing ikan dari 5 kolam Kegiatan 25 menit Memancing ikan (hop) (Selama musik menyala) ↓ Menghitung ikan ↓ Melaporkan jumlah ikan ↓ Menempel stiker di grafik sesuai dgn jumlah 5.Memastikan siapa paling ○ Menjelaskan secara menbaca banyak memancing ikan. grafik Garis vertikal→jumlah ikan Garis horizontal→nama pemancing Kesimpulan 6.Kesimpulan 5meni 7.Latihan soal(*) 8.Mengetahui rencana untuk pertemuan berikutnya Nilai Mengertikah anak tentang siapa yang paling banyak memancing ikan dengan membaca tabel (pengamatan) Mampukah anak bermain dengan tetap mematuhi aturan -Pengamatan- ○ Menegaskan bahwa dengan grafik lebih mudah mengetahui jumlah banyak (LKS) dan sedikit ○ Latihan baca tabel dengan LKS(1soal) Menyiapkan contoh isian LKS ○ Langsung menilai LKS dan langsung memberi reward di tempat . * Pelaksanaan menyueseaikan keadaan Penilaian ○ Dapatkah anak mengerti dari tabel siapa yang paling banyak memancing ikan. ○ Mampukah anak bermain dengan mematuhi peraturan. ○ Rencana pergunaan papan tulis (gambaran ruang kelas) 3 Ayo memancing ikan Target: Periksa siapa yang paling banyak memancing ikan Patuhi peraturan Aturan 15 Jawab “Ya” ketika namanya dipanggil. 10 Selama lagu berbunyi terus memancing ikan 0 nama nama Jika musik berhenti, harus berhenti Duduk di kursi, menunggu giliran. Tape kaset Alat dll Hop (kolam ikan) kursi 4 Kunci Jawaban 3 orang memancing ikan. Siapa yang paling banyak dapat ikan? Lingkari nama orang yang paling banyak ikannya. 15 10 5 Mul Mulyadi Midori Juli 5 インドネシア国パダン市における個別指導の公開授業 科学技術振興機構 竹内 康二 Ⅰ.目的 多くのインドネシアの養護学校では、個別のニーズに応じて実施する個別指導の時間が設定さ れていないため、自閉症児など集団場面での指導が難しい子どもへの対応が課題となっている。 そこで、本国際協働授業研究プロジェクトでは、障害児に対する個別指導の実際を参加者に示し、 紹介することを目的とした。また、個別指導の参観者に対して自閉症に関する知識をアンケート調 査した。 Ⅱ.方法 1.個別指導対象児 対象となった子どもは、7歳の男児であった。右半身に軽度の麻痺があり、また学校教員のアセ スメントによるとADHDと自閉症の傾向が見られるとのことであった。 2.セッティング 2006年8月10日、パダン第二養護学校特別教室において障害児に対する個別指導及びアンケ ート調査を実施した。 3.手続き 個別指導の時間は約40分間であった。授業の開始前に、参加者にはインドネシア語の指導案 を配布し、あらかじめ授業の内容を伝えておいた(資料1)。大まかな内容としては、行動管理、コミ ュニケーション、概念形成などに関するものであった。通訳の方にはときどき、子どもの発したことば の内容を教えてもらった。 個別指導の直前に、アンケート調査用紙(資料2、日本語訳は図1)を配布し、個別指導終了直 後に回収した。 Ⅲ.結果 指導中の子どもの状態に応じて指導案の内容とは多少異なる内容の指導となった(資料3)。対 象児は個別指導でほとんどの時間を着席して課題に取り組むことができた(図2)。また、自発的な 要求などのコミュニケーションが、個別指導の場面で多く見られた。個別指導終了後の質疑では、 問題行動に対する対処についていくつかの質問があった。 140名(男性37名、女性103名)からアンケートを回収することができた。アンケートの結果、20問 すべての平均正答率は72%であった。質問項目別の正答率を図3に示した。 - 42 - アンケート 1.年齢を教えてください ( 歳) 2.性別を教えてください □男性 □女性 3.自閉症の指導の経験を教えてください ( 年 ヶ月) 4.次の項目について当てはまるものに? をつけて下さい 1 自閉症の原因は、脳の機能障害である。 □Yes □No 2 自閉症児は5歳になっても言葉を話さなければ、一生話すことはできない。 □Yes □No 3 自閉症は単一の障害であり、個人個人の行動上の差はほとんどない。 □Yes □No 4 自閉症の障害の最も中心にあるのは、コミュニケーション障害である。 □Yes □No 5 自閉症児は普通、成人になると自閉症の特徴がなくなる。 □Yes □No 6 自閉症児が問題行動を起こしたときは、厳しく怒ると、問題が改善する。 □Yes □No 7 自閉症児に新しい行動を教える場合、うまく出来た場合に十分ほめるのがよい。 □Yes □No 8 こだわりが強い、特定のものに執着する、興味が狭いなどの障害も自閉症の大きな特徴 □Yes である。 □No 9 自閉症児が行う常同行動は、強く叱るのがよい。 □Yes □No 10 自閉症児は2,3歳のときアイコンタクトができないことが多い。 □Yes □No 11 自閉症児は友達と一緒に遊ぶのが得意である。 □Yes □No 12 自閉症児に適切な予告をすることで問題を未然に防ぐことができる。 □Yes □No 13 自閉症児は通常とあまり変わらない感覚を持っていることが多い。 □Yes □No 14 自閉症児はその場の雰囲気を読み取って行動することが得意である。 □Yes □No 15 問題行動をなくすためには、それと両立できない適切な行動を学習させる必要がある。 □Yes □No 16 多くの自閉症児は、聴覚刺激に比べて、視覚刺激のもとで行動することが得意である。 □Yes □No 自閉症児の指導においては、それぞれの学習を完成させながら、段階的に順番を追って 17 □Yes 進めていく必要がある。 □No 18 自閉症児の問題行動は自己刺激的なものでコミュニケーションの意図はない □Yes □No 19 自閉症児はできることとできないことの差があまりない □Yes □No 20 自閉症児の言語発達は音声模倣の獲得によって大きく促進される □Yes □No 図1 アンケートの日本語訳 図2 個別指導の様子 - 43 - (%) 0 20 40 60 80 100 質問1 質問2 質問3 質問4 質問5 質問6 質問7 質問8 質問9 質問10 質問11 質問12 質問13 質問14 質問15 質問16 質問17 質問18 質問19 質問20 インドネシア教員 図3 インドネシア教員の質問項目別正答率 Ⅳ.考察 個別指導の参観者は全国の養護学校教員であるため、個別指導の実際を紹介できたことには大 きな意義があると思われる。個別指導終了後に、参観者から多くの質問がよせられたことからも、参 観者が個別指導に強い興味を持っていることがわかる。また、個別指導の次の日には、約40分間 のセミナーを行い、自閉症児に対する指導の様子(ビデオ映像)を示しながら、指導のポイントを伝 えた。このように個別指導の理論と実践をセットで提供することで、参観者の理解を促すことができ たと考えられる。時間的制限のため、セミナー終了後に質問を受け付けることができなかったことが 反省点である。 アンケート調査からは、質問18と19の正答率(24%、27%)が特に低く、質問9と13の正答率 (53%、42%)がチャンスレベル程度であることがわかった。このことから、インドネシア教員は自閉 症児の特徴である問題行動や常同行動、感覚障害、能力の偏りについて理解が低いことが示唆さ れた。 - 44 - Ⅴ.結論 本プロジェクトでは、障害児に対する個別指導の実際を参加者に示し、個別指導の参観者に対 して自閉症に関する知識をアンケート調査した。そして次の結論を得ることができた。①インドネシ アでは自閉症について関心が高まっており、自閉症児の個別指導を紹介することは現地のニーズ に応じるものであった。②アンケート調査から、インドネシア教員は自閉症児の問題行動や常同行 動、感覚障害、能力の偏りについて理解が低いことが示唆された。今後、個に応じた教育をインド ネシア教員に理解してもらうためにも、より多くの教員に個別指導の実践を紹介すべきだと思われ る。 - 45 - 資料1 10 August 2006 Rencana pendidikan individu Koji Takeuchi Ⅰ.Siswa: anak laki-laki(7 tahun). Ⅱ.Seting Ⅲ.Target tiap kegiatan dan bentuk kegiatan untuk mencapai target tersebut 1. kontrol waktu dengan menggunakan foto (1) Tujuan: Anak mampu mengetahui aktifitas yang berikutnya akan dilakukan, kemudian mampu berinisiatif melakukannya. (2) kegiatan: Mengambil foto aktifitas yang akan dilakukan dan menyerahkan pada guru. 2.Saling tukar alat dan foto (1) Tujuan: menyediakan berbagai kartu dan foto, lalu dengan menggunakan kartu yang ada,anak mampu berinisiatf menyampaikan keinginannya.(2) Kegiatan: Menyerahkan foto kepada guru dan meminta sesuai apa yang tergambar difoto dengan mengucapkan “ minta~” 3.Menempel stiker (1) Tujuan: Membuat satu kesempatan untuk bisa memberikan pujian terhadap anak.(2) kegiatan: menempel stiker pada gambar lingkaran di kertas. (umumnya autis suka menyusun angka atau huruf) 4. Balon tiup (1)Tujuan: Melakukan aktifitas secara berurutan(2) Kegiatan: Ketika guru meniup - 46 - balon, anak menunggu, duduk di kursinya. Dan setelah anak melakukan tos dengan guru, bergantian anak meniup balon. 5.Pengelompokan kartu (1)Tujuan: Pembelajaran konsep dasar. (2) kegiatan: memasukkan kartu bergambar ke dalam kotak sesuai dengan kelompoknya. 6.Kartu doraemon (1) Tujuan: Menjawab pertanyaan guru (2) kegiatan: anak diminta melihat gambar,kemudian menjawab pertanyaan “ini siapa?” “sedang mengapa?”sesuai dengan apa yang ada di foto 7.Penjumlahan (1)Berhitung penjumlahan yang mudah (2)Kegiatan: Menempel stiker pada lingkaran, kemudian menuliskan angka sesuai dengan jumlah stiker. * jam istirahat (1) Tujuan: beristirahat dalam waktu sudah ditentukan (2) Kegiatan: mengatur waktu, istirahat, dan jika alarm berbunyi melanjutkan aktifitas berikutnya. - 47 - 資料2 Angket Pengetahuan Autis 1.berapakah usia anda (……tahun) 2.Jenis kelamin: □laki □perempuan 3.Apakah Anda memiliki pengalaman mengajar autis? Jika ya berapa lama ( tahun bulan) 4.berilah tanda ? sesuai pendapat anda pada pertanyaan- penyataan berikut ini 1 2 3 4 5 6 7 8 9 Penyebab autis adalah kerusakan pada fungsi otak. □Yes Seorang autis yang telah berusia 5 tahun namun belum bisa berbicara, maka □Yes seumur hidupya ia tidak akan bisa berbicara Autisme merupakan kecacatan tunggal, perbedaan dalam tingkah laku pada setiap □Yes individunya hampir bisa dikatakan tidak ada. Inti permsalahan autis ada pada keterbatasan komunikasi. □Yes Karakter atau tingkah laku khusus pada anak autis akan hilang jika ia sudah □Yes menjadi dewasa Jika ada tindakan bermasalah yang diperbuat anak autis, dengan memarahinya □Yes maka masalah tersebut akan terselesaikan/ membaik. Ketika mengajarkan sebuah prilaku baru pada anak autis, bila anak berhasil □Yes melakukannya,anak diberi penghargaan secukupnya Terpaku pada satu benda dan tidak mau beralih pada hal lain, minat yang sempit □Yes adalah contoh karakter khusus seorang autis. Memarahi anak autis secara tegas ketika ia melakukan prilaku yang monoton □Yes adalah tindakan yang baik □No □No □No □No □No □No □No □No □No 10 Anak autis usia 2-3 tahun banyak yang tidak dapat melakukan kontak mata □Yes □No 11 Anak autis memiliki kemampuan yang baik dalam bermain bersama teman. □Yes □No 12 13 14 15 16 17 18 Dengan memberi peringatan dengan kadar yang tepat pada anak autis dapat □Yes mengantisipasi munculnya masalah. Perasaan yang dimiliki anak autis tidak begitu banyak berubah sama kondisi □Yes biasanya. Anak memiliki kemampuan membaca situasi dan kemudian menentukan tindakan □Yes apa yang harus ia lakukan. Untuk menghilangan kebiasaan buruk anak, guru/ terapis diharuskan □Yes mengajarkan prilaku yang tepat yang berbeda/ bertolak belakang dengan prilaku Anak autis pada umumnya akan lebih mudah untuk melakukan aktifitas sesuatu/ □Yes bertindak sesuatu dengan stimulasi visual dibandingkan dengan pendengarannya Pelaksanaan pengajaran/ terapi bagi anak autis haruslah dilakukan bertahap/ □Yes bertingkat Prilaku bermasalah seorang anak autis hanyalah sebuah bentuk habit individu dan □Yes tidak memiliki isyarat yang bermakna mengkomunikasikan sesuatu pada 19 Sedikit perbedaan yang dimiliki anak dalam hal "apa yang ia bisa dan tidak bisa" 20 □No □No □No □No □No □No □No □Yes □No Bahasa anak autis berkembang karena kemampuannya dalam hal meniru bunyi □Yes dan suara. □No - 48 - 資料3 実際の指導内容 1.箱と教材によるスケジュールの管理 (1)目的:子どもが活動の内容を知り、スムーズに課題遂行する。(2)標的行動:子ども自ら教材の入 った箱を持ってくる。また、終わった教材を箱にしまって片付ける。 2.シャボン玉 (1)目的:活動を順番に行う。(2)標的行動:先生がシャボン玉を吹くときは、子どもはイスに座って待 つ。先生と子どもが手を合わせて交代したら、子どもがシャボン玉を吹く。 3.シール貼り (1)目的:活動の合間に、子どもを誉める機会を設定する。(2)標的行動:子どもの洋服の胸の位置 にシールを貼る。 4.アンパンマンカード (1)目的:同一マッチングのルールを理解する。(2)標的行動:同じキャラクターのカードを、小さな箱 に分類する。 5.絵カードの分類 (1)目的:基本的な概念の学習。(2)標的行動:絵カードを対応する箱(「くだもの」「くるま」)に入れ る。 6.御用学習 (1)目的:少し離れたところに指示されたものを取りにいく。(2)標的行動:指示された絵カード(「くだ もの」「くるま」)をとって持ち帰る。 7.タイマーの使用 (1)目的:タイマーのアラーム音で課題の終了を知る。(2)標的行動:タイマーをセットして、 アラームがなったら教材を片付け、課題を終了する。 - 49 - 平成18年12月10日 インドネシア国パダン市におけ る個別指導の公開授業 科学技術振興機構 竹内 康二 目的 • 多くのインドネシアの養護学校では、個別の ニーズに応じて実施する個別指導の時間が 設定されていないため、自閉症児など集団場 面での指導が難しい子どもへの対応が課題 となっている。 • そこで、本国際協働授業研究プロジェクトで は、障害児に対する個別指導の実際を参加 者に示し、紹介することを目的とした。また、 個別指導の参観者に対して自閉症に関する 知識をアンケート調査した。 1.個別指導対象児 • 対象となった子どもは、7歳の男児であった。 右半身に軽度の麻痺があり、また学校教員 のアセスメントによるとADHDと自閉症の傾 向が見られるとのことであった。 2.セッティング • 2006年8月10日、パダン第二養護学校特 別教室において障害児に対する個別指導及 びアンケート調査を実施した。 3.手続き • 個別指導の時間は約40分間であった。授業の開始 前に、参加者にはインドネシア語の指導案を配布し、 あらかじめ授業の内容を伝えておいた(資料1)。大 まかな内容としては、行動管理、コミュニケーション、 概念形成などに関するものであった。通訳の方には ときどき、子どもの発したことばの内容を教えても らった。 • 個別指導の直前に、アンケート調査用紙(資料2、 日本語訳は図1)を配布し、個別指導終了直後に回 収した。 結果 • 指導中の子どもの状態に応じて指導案の内容とは 多少異なる内容の指導となった(資料3)。対象児は 個別指導でほとんどの時間を着席して課題に取り 組むことができた(図2)。また、自発的な要求など のコミュニケーションが、個別指導の場面で多く見ら れた。個別指導終了後の質疑では、問題行動に対 する対処についていくつかの質問があった。 • 140名(男性37名、女性103名)からアンケート を回収することができた。アンケートの結果、20問す べての平均正答率は72%であった。質問項目別の 正答率を図3に示した。 1 自閉症の原因は、脳の機能障害である。 □Yes □No 2 自閉症児は5歳になっても言葉を話さなければ、一生話すことはできない。 □Yes □No 3 自閉症は単一の障害であり、個人個人の行動上の差はほとんどない。 □Yes □No 4 自閉症の障害の最も中心にあるのは、コミュニケーション障害である。 □Yes □No 5 自閉症児は普通、成人になると自閉症の特徴がなくなる。 □Yes □No 6 自閉症児が問題行動を起こしたときは、厳しく怒ると、問題が改善する。 □Yes □No 7 自閉症児に新しい行動を教える場合、うまく出来た場合に十分ほめるのがよい。 □Yes □No 8 こだわりが強い、特定のものに執着する、興味が狭いなどの障害も自閉症の大きな特徴 □Yes である。 □No 9 自閉症児が行う常同行動は、強く叱るのがよい。 □Yes □No 10 自閉症児は2,3歳のときアイコンタクトができないことが多い。 □Yes □No 11 自閉症児は友達と一緒に遊ぶのが得意である。 □Yes □No 12 自閉症児に適切な予告をすることで問題を未然に防ぐことができる。 □Yes □No 13 自閉症児は通常とあまり変わらない感覚を持っていることが多い。 □Yes □No 14 自閉症児はその場の雰囲気を読み取って行動することが得意である。 □Yes □No 15 問題行動をなくすためには、それと両立できない適切な行動を学習させる必要がある。 □Yes □No 16 多くの自閉症児は、聴覚刺激に比べて、視覚刺激のもとで行動することが得意である。 □Yes □No 自閉症児の指導においては、それぞれの学習を完成させながら、段階的に順番を追って □Yes 進めていく必要がある。 □No 17 18 自閉症児の問題行動は自己刺激的なものでコミュニケーションの意図はない □Yes □No 19 自閉症児はできることとできないことの差があまりない □Yes □No 20 自閉症児の言語発達は音声模倣の獲得によって大きく促進される □Yes □No (%) 0 20 40 60 質問1 質問2 質問3 質問4 質問5 質問6 質問7 質問8 質問9 質問10 質問11 質問12 質問13 質問14 質問15 質問16 質問17 質問18 質問19 質問20 インドネシア教員 80 100 • アンケート調査からは、質問18と19の正答率 (24%、27%)が特に低く、質問9と13の正答 率(53%、42%)がチャンスレベル程度である ことがわかった。 • このことから、インドネシア教員は自閉症児の 特徴である問題行動や常同行動、感覚障害、 能力の偏りについて理解が低いことが示唆さ れた。 考察 • 個別指導の参観者は全国の養護学校教員であるた め、個別指導の実際を紹介できたことには大きな意 義があると思われる。 • 個別指導終了後に、参観者から多くの質問がよせら れたことからも、参観者が個別指導に強い興味を持っ ていることがわかる。 • また、個別指導の次の日には、約40分間のセミナー を行い、自閉症児に対する指導の様子(ビデオ映像) を示しながら、指導のポイントを伝えた。このように個 別指導の理論と実践をセットで提供することで、参観 者の理解を促すことができたと考えられる。 • 時間的制限のため、セミナー終了後に質問を受け付 けることができなかったことが反省点である。 結論 ①インドネシアでは自閉症について関心が高 まっており、自閉症児の個別指導を紹介する ことは現地のニーズに応じるものであった。 ②アンケート調査から、インドネシア教員は自 閉症児の問題行動や常同行動、感覚障害、 能力の偏りについて理解が低いことが示唆さ れた。 ③今後、個に応じた教育をインドネシア教員に 理解してもらうためにも、より多くの教員に個 別指導の実践を紹介すべきだと思われる。
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