<2013.3 月号> 株式会社フォーラムジャパン 東京都千代田区神田小川町 3-20 第 2 龍名館ビル 6F 障害者の法定雇用率が4月1日から2%に引き上げられます! 4月1日に「障害者雇用促進法」が改正され、雇用義務事業主の範囲が広がります。具体的には、 民間企業で現行1.8%の障害者法定雇用率が、2.0%に引き上げられます。これにより雇用義務 が生じる事業主の範囲が、現行の従業員56人以上から50人以上に変更となります。 現在50人前後の従業員が在籍している企業、もしくは従業員増加が見込まれる企業は、早急に対 策を進める必要があります。今月は、障害者雇用についてお伝えします。 1.障害者の法定雇用率制度とは 「障害者の雇用の促進等に関する法律」による制度で、全ての事業主は、法定雇用率以上の障害者を雇用する義務が あります。障害者雇用促進法では、事業主に対して、雇用する労働者に占める身体障害者・知的障害者の割合が一定率 (法定雇用率)以上になるよう義務づけています。 現在(3月まで)は、民間企業の法定雇用率は1.8%です。つまり、従業員56人以上の規模の企業では、障害者 1人を雇用する義務があるということです。 なお、精神障害者については、雇用の義務はありませんが、精神障害者を雇用した場合、身体障害者・知的障害者を 雇用したものとみなされてカウントされます。 2.障害者雇用率引き上げの内容 現行 平成 25 年 4 月 1 日以降 民間企業 1.8% 2.0% 国、地方公共団体等 2.1% 2.3% 都道府県等の教育委員会 2.0% 2.2% は、右表のようになります。 今回の法定雇用率の変更に伴い、障害者を雇用 しなければならない事業主の範囲が、従業員56 法定雇用率 事業主区分 平成25年4月1日から、障害者の法定雇用率 人以上の規模から従業員50人以上となります。 同時に、その事業主は、①毎年6月1日時点の障害者雇用状況をハローワークに報告しなければなりません。 さらに②障害者雇用推進者を選任するよう努めなければなりません。 3.障害者の雇用状況 企業の障害者の雇用数は年々増加し、実雇用 平成 15 年 平成 21 年 平成 24 年 障害者雇用数 247,000 人 303,000 人 382,000 人 実雇用率 1.48% 1.55% 1.69% 実雇用率 法定雇用率達成割合 56~ 99 人 1.39% 43.7% 100~299 人 1.44% 48.5% 300~499 人 1.63% 46.8% 500~999 人 1.70% 47.1% 1,000 人以上 1.90% 57.7% 率も僅かずつ上昇傾向が見られます。 平成24年に雇用された障害者38万2千人 のうち、身体障害者の雇用数が29万1千人、 知的障害者の雇用者数が7万5千人、精神障害 者の雇用者数が1万7千人という分布を見せて います。 企業規模別に雇用の状況を見ると、千人以上 の企業での実雇用率は1.90%で、法定雇用 率を達成していますが、千人未満の企業は、いずれの規模でも法定雇用率は未達となっています。 また、千人以上の企業では6割近くが法定雇用率を達成していますが、千人未満の規模の企業をみると法定雇用率 を達成している企業の割合は、半数を下回っています。 4.障害者の就職状況 ハローワークにおける障害者の職業紹介状況は、平成23年度の場合、新規求職者は148,358人、就職件数 は59,367人と、過去最高を更新しています。 障害種別にみると、身体障害者の新規求職者数67,379人に対し、就職件数は24,864人、知的障害者の 新規求職者数27,748人に対し、就職件数は14,327人、精神障害者の新規求職者数48,777人に対し、 就職件数は18,845人と、障害者の雇用は着実に前進しています。 企業からも、 「障害者の募集をしても、人材が集まらない」 、 「4月からの法定雇用率引き上げに向けて採用のメドが 立たない」という声が上がっています。 5.法定雇用率を達成できなかったら? 障害者雇用納付金制度は、法定雇用率で必要とされる雇用者数の採用が不足している場合、未達成企業から1人当た り月額5万円を「納付金」として徴収します。この「納付金」は、常用雇用労働者200人超の企業からを対象として いますが、平成27年4月からは常用雇用者100人超の企業から対象となります。 逆に、法定雇用率を達成している200人以下の中小企業で、障害者を4%以上または6人以上のいずれか多い数を 超えて雇用する事業主(平成27年4月以降は、常用労働者100人以下の事業主)に対して、超過障害者雇用1人当 たり月額21,000円が「報奨金」として支給されます。 法定雇用率未達成企業から「障害者雇用納付金」を徴収し、雇用率達成企業などに対して調整金、報奨金を支払うこ とで、バランスをとっているのです。 6.障害者雇用に際しての「助成金」 障害者雇用納付金制度に基づく助成金と一般的 な障害者雇用のための助成措置があります。障害 者雇用を進める際に比較的活用しやすい助成金と して「特定求職者雇用開発助成金」を紹介します。 「特定求職者雇用開発助成金」は、ハローワー ク等の紹介によって障害者や高齢者(60歳以上 65歳未満)、母子家庭の母等、就職が特に困難と される人を継続して雇用した事業主に対し、賃金 相当額の一部を助成する助成金です。 ~特定求職者雇用開発助成金~ ● 対象事業主 1.雇用保険の適用事業主であること 2.ハローワークなど(有料・無料職業紹介事業 者含む)の紹介で継続雇用する労働者として 雇入れること 3.雇入れ前後6ヶ月間に解雇がないこと ● 支給額 大企業・中小企業の別、一般労働者・短時間労働 者の別、重度障害かどうかの別などによって 30 万 ~240 万円までの範囲で助成金の支給を受けるこ とができます。 ※詳しくは、都道府県労働局またはハローワーク までご確認ください。
© Copyright 2024 Paperzz