18. 5.11(110号) - 北海道開発局

18.5.11(通巻 110 号)
本号の掲載記事
○ 景観の日が制定されました
○ 平成 18 年度住宅・建築関連先導技術開発助成事業の採択課題が決定されました
○ 観光客の利用拠点の景観形成について 〜世界自然遺産「知床」圏域の都市景観形成調査より〜
○ まちづくり事例紹介(海洋深層水を活用したまちづくり 〜岩内町〜)
○ コラム(メールニュース担当2年目の抱負)
この度、景観法を所管する国土交通省、農林水産省及び環境省では、景観法の基本理念の普及、良好
な景観形成に関する国民の意識啓発を目的として、景観法の施行日である6月1日を「景観の日」に制
定し、同日を中心に各種の普及啓発活動を重点的に実施していくことにいたしました。
こうした動きを踏まえて、良好な景観づくりを国民的な広がりのもとに持続的な運動として展開して
いくことを目的として「日本の景観を良くする国民運動推進会議(事務局:(財)都市づくりパブリッ
クデザインセンター、
(財)日本建築センター)
」が設立され、来る6月1日の景観の日に、以下のとお
り第一回全国大会が開催されることとなりました。
○日
時
平成 18 年6月1日(木)13:00〜17:00(予定)
○場
所
シェーンバッハ・サボー(東京都千代田区平河町2−7−5
○主
催
日本の景観を良くする国民運動推進会議
○特 別 協 力
砂防会館内)
国土交通省、農林水産省、環境省
○後援(予定)
総務省、文化庁、全国知事会、全国市長会、全国町村会、全国都道府県議会議長会、
全国市議会議長会、全国町村議会議長会、
(社)日本都市計画学会、(社)日本建築
学会、(社)都市住宅学会、(社)日本造園学会
○参
無料
加
費
○申 込 方 法
○問 合 せ 先
氏名、勤務先、連絡先を記入の上、5月 23 日(火)までに以下の問合せ先へFAX
またはメールにてお申し込み下さい。
「日本の景観を良くする国民運動推進会議」事務局
(財)都市づくりパブリックデザインセンター内
tel:03‑3222‑0981、fax:03‑3222‑0986
E‑mail: keikan2006@congre.co.jp
http://www.udc.or.jp/top.html
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18.5.11(通巻 110 号)
<プログラム>
1.主催者挨拶
日本の景観を良くする国民運動推進会議会長
北城
恪太郎
2.表彰式
都市景観大賞「美しいまちなみ賞」(国土交通省)
美の里づくりコンクール(農林水産省)
自然公園写真コンクール(環境省)
3.基調講演「『美しい景観』から『いい風景』へ」
進士 五十八 東京農業大学教授、日本学術会議会員
4.パネルディスカッション
・テーマ:
「魅力あるふるさとづくり」
・コーディネーター:西村 幸夫 東京大学教授
・パネリスト:
大原 謙一郎
(財)大原美術館理事長、倉敷商工会議所会頭
川端 五兵衛
近江八幡市長
セーラ・マリ・カミングス
(株)桝一市村酒造場取締役
浜
美枝
女優、農政ジャーナリスト
1.NPO活動紹介の原稿募集
掲載を希望するNPOの方は、法人名、代表者名、連絡先(電話番号・メールアドレス)
と掲載を希望する旨をまちづくり相談窓口(E‑mail:machidukuri@hkd.mlit.go.jp)へメー
ルにて送付してください。後日こちらから原稿作成のお願いのメールをします。
2.道内市町村のまちづくりに関する事例紹介の原稿募集
掲載を希望する市町村の方は、市町村名、担当部署名及び担当者氏名と掲載を希望する旨
をまちづくり相談窓口(E‑mail:machidukuri@hkd.mlit.go.jp)へメールにて送付してくだ
さい。後日こちらから原稿作成のお願いのメールをします。
3.まちづくり相談窓口と景観相談窓口を設置しています
北海道開発局 事業振興部 都市住宅課では、道内市町村担当者の方をはじめ、まちづくり
や景観に関する取組みや活動を行っている方などのご相談に応じています。
<まちづくり相談窓口・景観相談窓口>
国土交通省 北海道開発局 事業振興部 都市住宅課
(札幌市北区北8条西2丁目 札幌第1合同庁舎 16 階)
tel:011‑709‑2311(内線 5866、5867、5878)、fax:011‑738‑0235
E‑mail:machidukuri@hkd.mlit.go.jp
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18.5.11(通巻 110 号)
平成 18 年度住宅・建築関連先導技術開発助成事業
の採択課題が決定されました
環境問題等の緊急に対応すべき政策課題について、先導的技術の導入により効果的に対応するため、
こうした技術開発を行う民間事業者等に対して国が支援(技術開発に要する費用の1/2以内(限度
額:国費 1.8 億円/年・件、3年以内))を行い、当該技術の開発と実用化を図る「住宅・建築関連先
導技術開発助成事業」について、平成 18 年1月 23 日(月)から2月 28 日(火)までの間に、技術開発課
題を公募したところ、28 件の応募があり、25 課題の採択が決定されました。
1.住宅等におけるエネルギーの効率的な利用に資する技術開発(応募件数:10 件、採択件数9件)
(採択された技術開発課題の例)
○新エネルギー技術と蓄電を組み合わせた住宅用エネルギーシステムの開発
・応
募
者:(独)建築研究所、(株)パワーシステム
・交付予定額(国費):1,300 万円
・概
要:住宅におけるエネルギー使用の効率向上を目的として、太陽光や風力等
の自然エネルギー利用発電や燃料電池等の新エネルギー技術と蓄電を
組み合わせた住宅用エネルギーシステムを開発し、新エネルギー技術の
効果的活用を図る。
2.住宅等に係る省資源、廃棄物削減に資する技術開発(応募件数7件、採択件数7件)
(採択された技術開発課題の例)
○環境配慮型セメントを用いたコンクリート充填鋼管造に関する施工技術の開発
・応
募
者:清水建設(株) 他 21 社
・交付予定額(国費):1,100 万円
・概
要:耐久性上の理由から現在建築分野で普及が滞っている環境配慮型セメン
ト(エコセメント)の有効利用先として、コンクリートが鋼管で被覆さ
れ劣化しにくいという特徴を持つコンクリート充填鋼管造(CFT造)
への適用を図るため、材料・施工上の諸性能を明らかにし実用的な施工
計画及び管理手法を確立する。
3.住宅等の耐震性の向上に資する技術開発(応募件数:11 件、採択件数:9件)
(採択された技術開発課題の例)
○低強度コンクリートに適用可能な耐震補強技術の開発
・応
募
者:(株)大林組、横浜国立大学(田才晃教授)
・交付予定額(国費):1,170 万円
・概
要:既存鉄筋コンクリート建物を耐震補強する際に、コンクリート強度が低
く、既存技術の適用範囲では対応できない場合がある。このような場合
でも適用できる耐震補強技術を開発する。
<詳細については、国土交通省のホームページをご覧下さい。>
http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha06/07/070428̲.html
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18.5.11(通巻 110 号)
観光客の利用拠点の景観形成について
〜世界自然遺産「知床」圏域の都市景観形成調査より〜
観光客の利用拠点の景観が、観光客のその地域に対するイメージを大きく左右します。そのため、利
用拠点の景観形成は非常に重要です。
北海道開発局都市住宅課では、委員会を開催して、昨年7月に世界自然遺産に登録された「知床」に
おける観光客の利用拠点(斜里町・羅臼町の市街地)の景観形成のあり方を検討しました。この委員会
で各委員から出された主な意見をご紹介します。
我々があるまちに行ったときに、どんなまちなのかという最初の印象は非常に重要である。そのため、
ゲートとなるまちの責任は大変大きく、そこで良い印象が与えることができると知床全体が良い印象を持
ってもらえる。もう一つ重要なことは、入口の集落、街並み、都市は来訪者の利用拠点であるということ。
つまり、泊まるところ、食事をしたり土産物を買ったりするところということ。知床への入口として、知
床に対するイメージが固められる非常に重要なところであるのと同時に、居心地良く楽しい空間であるこ
とが求められている。見た目の印象ということもさることながら、そこで、歩く、宿泊する、食事する、
土産物屋に行くときに、
「ああ、いいところへ来た」と来訪者が感じるような楽しいところでなければな
らない。
一方、地元として考えると、観光客にお金を落としてもらい、地域活性化に向けてビジネスチャンスを
しっかりとつくるための街並み整備をどのようにしていくか、という視点も重要。
それらをバランスよくどのように景観整備を行っていけばよいのか検討することが非常に重要である。
景観の捉え方に、五つの視点があるのではないかと考えている。
一つ目は、景観は総合的にとらえることができるということ。道路も、公園も、住宅街も、商店街も、
周辺の自然も、全部を含めて景観としてとらえることが必要だろうということ。
二つ目は、人間は見るという行為があるが、人間は移動するので、景観を連続してとらえるという連続
性。道路に沿って連続していくのであれば、車からの視点や、徒歩の視点、バイクや馬の視点もある。ま
た、海からの視点もある。
三つ目は、景観というのは公共性を持っているということ。街並み景観としてとらえたときには、自分
の家だから好きなことをしてもよいということではなくて、周辺と共通項を持って考えていかなければい
けない。そういう公共的視点で街並み景観を考えなければならない。公共事業だけが公共的視点を持つわ
けではなくて、一般の方々も、商店街の方々も公共的視点で街並み景観を考えて頂きたい。
四つ目は、その地域の気候風土を読み取った建物を建てるなど、その地域の風土をつくり上げていく地
域性が重要。その地域の方々にもその重要性を認識して頂きたい。それがその地域「らしさ」の形成につ
ながっていくことに加えて、自分たちの地域の「風景を見るまなざし」につながっていくのではないかと
思う。そういう地域性を大事にして頂きたい。
五つ目は、時間をかけて景観を育てていかなければいけないということ。安易な意味の流行を追っては
いけない。蓄積されていくような景観をつくるべきである。そのような視点で、まちづくりを行っていた
だきたいし、建物をつくっていただきたい。
そのような考え方を、地元の人々と行政と、施工していく企業の方で共有化していくという共通基盤づ
くりが重要。共通に認識を持っていただきたい。それが教育であり、地域の文化に変わっていくのではな
いかと考えている。
そういう文化のあるところが、
「地域らしさ」のある景観を育てていく。
那覇空港では、沖縄の音楽を流すなど、空港に降り立ったときに沖縄らしさが感じられるような演出を
行っている。知床らしさをどのようにして見せることができるかということが課題であり、歓迎の気持ち
をどのようにしてゲート地区で感じていただけるかということが非常に重要だと感じる。
そのまちの歴史・文化を踏まえた景観整備をすることが重要。漁業のまちであれば、それを観光客に感
じていだけるようなことを考えることが必要。かつて玉石の文化があったということであれば、それを活
用した景観整備を考えてみてもよいのではないか。
また、地域活性化等のための景観整備の必要性を、地元の商店街等の方に認識していただくことが非常
に重要である。
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18.5.11(通巻 110 号)
景観の構成要素には、長期間にずっと存在していくものと、短期間で変わっていくものがある。まちを
つくっているもの、環境や景観をつくっているものには、存在している期間の長さの違いがある。
例えば、トンネルや道路や擁壁など土木のものは長期間ずっと存在しており、余り小手先のことをしな
い方が良い。周囲の風景と調和しているか、風景を壊さない、風景のなかで目立たせないような形で周囲
の景観を壊さないように考えていくことが重要ではないか。
また、店に掲げるポスター、メニューや店を飾る花など、土木のものより存在する期間が短いものは、
どんどん変わっていくので、そのようなものは色彩として派手さがあってもよく、流行を追ったものであ
っても良いと思う。うまく使いわけるべきである。
40 年〜50 年も存在する土木建造物に、周囲の景観と調和しない絵を描いてしまう例が多い。その構造
物が、どれくらいの期間そこに存在することになるのか、という視点でデザインを考えると、地域らしさ
が表現されたものになると考える。
逆に考えると、長期間存在するものには、できるだけ手を入れるべきではないと考える。例えば、知床
地域の建物は、周囲の景観を壊さないように素材を選んでいただきたい。
しかし、駅前の商店街においては、賑わいを演出する視点も必要であり、知床の玄関口であることとう
まく調和したデザインをすべきである。今の景観を考えると、その点がうまく整理されていない。
個人的には、世界自然遺産の玄関口は、飽きられず、周囲の景観を壊さないようなデザインを施してほ
しいと考える。存在する期間を踏まえた景観整備を行ってほしい。
観光客に喜んでいただくためには、特産物の開発や、その特産物を販売する施設を整備することも重要。
今後、旅行者の形態が、団体旅行型から個人旅行型に変化していくものと考えており、それを踏まえる
と、個人客が滞在できる空間等を整備する必要があるものと考える。宿泊施設の経営者が問題意識を持っ
て取り組むべき。このまま放置しておくと、旅行者にとって観光地としての魅力が感じられなくなってし
まうことが想定される。
例えば、個人客をもてなすことが可能で、特徴のある小規模のホテルを建設するようなことを検討して
もよいのではないか。
また、この委員会の委員長を務めていただいた堀 繁東京大学アジア生物資源環境研究センター教授
から、景観整備について講演していただきました。
【写真1】
写真2は国宝である清水の舞台で
あるが、この写真を見て清水の舞台
であるとわかるのは、写真3のよう
に清水の舞台を見ることができる場
が整備されているからであり、それ
ぞれ向かい側で写真をとっている姿
を見るだけで、案内看板がなくとも
そこに行ってみたいという気持ちに
なる。
私たちは、見えるものを等しく見ていない。例えば、写真1を見たと
き、港の他に、山や空や建物が見えているにも関わらず、港町の景観だ
と感じてしまう。これは、人間は、何を見ているのかという認識の手が
かりになるような「見たいもの」で「見やすい大きさ」のものを中心に
見るからである。
また、写真1のような景観を見ることができるのは、見たいものが見
やすい大きさで見ることができる場(視点場)の整備されているからで
あり、この整備が重要である。
【写真2】
5
【写真3】
18.5.11(通巻 110 号)
見たいものを見る時に、邪魔なものがない方がよい。写真4のように、見
たいもの(この場合はお城)がすばらしくても、電線などで邪魔されると良
い景観だと感じなくなる。
写真5のようにつま先下がりで視方向に立
ち上がりがないのが、最良の視点の場であ
る。
【写真4】
【写真5】
車優先の道路よりも、歩行者を大事にしている、ホスピタリティ表現豊か
な道路である方が、人は歩きたくなる。例えば、写真6は、歩道を道路の中央に設置し、車道を両端に設置
した道路であり、歩行者に対してホスピタリティ表現豊かな例である。
写真7は、道路整備に合わせて、沿道の商店(奥左のテイクアウトカウン
ターと右のまんじゅう屋)をリニューアル
した。その結果、道路自体も歩行者が楽し
める場になった。と同時に、金が商店に落
ちることとなった。地域活性化につながる
ようにするためには、ビジネスチャンスを
【写真6】
作る道路整備などの公共整備と、ビジネス
チャンスをビジネスに代える民間整備が同時一体となって行われなければ
【写真7】
ならない。
写真8は、高い樹木で周囲を張り巡らして周囲との関係を断ち切るような
ことをせずに、高低差や境界部の立ち上がりという2つのテクニックにより
自己領域を形成したポケットパーク整備事例である。同時に、ベンチの向き
(視方向)と興味対象となる住宅とも関係が作られるようにベンチが配置さ
れている。
【写真8】
世界自然遺産「知床」圏域の都市景観形成調査の報告書は、北海道開発局のホームページ
http://www.hkd.mlit.go.jp/zigyoka/z̲jigyou/toshi/toshi̲14.html
からダウンロード可能である他、下記お問合せ先まで連絡していただければ、報告書の電子デー
タ(PDF)が保存されているCD−Rを郵送いたします。是非ご活用下さい。
<お問合せ先>
国土交通省 北海道開発局 事業振興部 都市住宅課 計画調整係
tel:011‑709‑2311(内線 5867)、fax:011‑738‑0235
E‑mail:machidukuri@hkd.mlit.go.jp
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18.5.11(通巻 110 号)
海洋深層水を活用したまちづくり
〜 岩内町 〜
<はじめに>
岩内町は、後志支庁管内の西部に位置し、日本海に面した自然に恵まれた町です。
かつては、ニシンの千石場所として栄えた漁業のまちも、昭和 52 年の二百海里規制以降、基幹産業
の漁業や水産加工は衰退の一途をたどり、往時は2万5千人を数えた人口も過疎化の波に押され現在は
1万6千人と大幅に減少しています。
そのような折、平成 11 年に実施した海域調査の結果、岩内町の沖合にも、近年、地域活性化の資源
として注目を浴びている「海洋深層水」の存在が確認されたことから、新たな資源として地域振興に活
用すべく事業を展開し進めてきました。
海洋深層水は、水深 200m以下にある太陽光が届かないところにある海水で、一般の海水に比べて清
浄性・富栄養性・低温性の特性があります。
さらに、深層水は、医薬品、医薬部外品、健康飲料、食品製造など
でさらに応用できる大きな可能性を持っていますが、その機能につい
ての研究はまだ始まったばかりです。
深層水の「ミネラル特性」や「清浄性」などが、生体にどのような
効果をもたらすのかが科学的に明らかにされようとしています。
岩内町では、海洋深層水を沖合 7.8km・水深 300mより日量 3,000
【サポートセンター全景】
t取水し、1,500tを地場産業の水産分野で、残り 1,500tを各産業
での多目的利用を計画しています。
その核となる施設が、平成 17 年2月にオープンした岩内町地場産業サポートセンターです。
地場産業サポートセンターは、「深層水の分水」から商品開発の「技術支援」や「PR支援」まで利
用者の皆様を幅広く支援することを目的としております。
ここでは、深層水を加工処理していない塩分約3%の「原水」、その原水を逆浸透膜法で加工した塩
分ほぼ0%の「脱塩水」
、と塩分約5%の「高ミネラル塩水」、電気透析法で脱塩した「高ミネラル水」、
と濃縮した塩分約8%の「濃縮塩水」の5種類を販売しています。
<現代人はミネラル不足>
合成肥料で育てられた野菜などは、昔のものに比べミネラル類が少
なくなっています。また、インスタント食品など多くの加工食品には
リン酸塩が大量に添加されているため、リンが多く含まれている一方、
調理の過程でマグネシウムをはじめ、各種のミネラルが失われていま
す。
さらに、ストレスの多い生活では、ミネラルの必要量が増大するこ
ともわかっています。これらのことから、現代人はミネラル不足に陥
りやすい生活をしているといってい
【小口分水口】
いでしょう。
海洋深層水は、水温が低いことに加え、太陽光が届かないため、植
物プランクトンが発生しません。そのため、各種のミネラルが豊富か
つバランスよく残っているため、その特性を生かした産業・医療面で
の利活用が積極的に進められています。
注目の利用方法としては、水産分野では低温性を生かした取り組み
に利用されています。
【小口分水風景】
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18.5.11(通巻 110 号)
<深層水の活用例>
「原水」は、冷熱性、清浄性、ミネラル性に優れており、水産増養殖、低温倉庫、工場の空調、加工
場内の清掃、数の子原卵の血抜き、食料製造、パン、飲料水製造、塩製造、水族館、タラソテラピーな
どへの利用が考えられます。
実際に、当町では、蓄養施設で利用しており、サポートセンターの空調でも利用している他、水産加
工業や食品製造業・飲食店や活魚輸送業・農業関係でも利用されております。
「脱塩水」は、ほぼ真水であり、ミネラル分をあまり含まず、水
道基準に合致し、様々な製品の原料水に使用できるため、各種飲料
水や食品加工水、化粧水などへの利用が考えられます。
実際に、脱塩水を使った化粧水も販売されており、豆腐や佃煮製
造の他、飲料水などでも利用され、一般の利用者には、コーヒーや
お茶に使うとよいと評判を得ています。
「高ミネラル塩水」は、原水のほぼ1.5倍の塩分と、にがり成分を
含むため、醤油、味噌、調味料、製塩、豆腐、乾物、ラーメン、水
産加工などへの利用が考えられます。
実際に飲食店・豆腐製造や惣菜製造業者の方が利用しています。
「高ミネラル水」は、ミネラル分(マグネシウム、カルシウム等)
を豊富に含み、食品に添加することでミネラルの強化が図れるため、
酒、健康飲料、ミネラルウォーター、にがり水、農業利用等に適し、
農業の分野では評価もされており、今後の利用が期待できます。
「濃縮塩水」は、塩化カルシウムを豊富に含む塩水で、水産加工、
醤油、製塩、干物等への利用が考えられますが、まだ使用の実績が
【中口分水口】
なく、今後の利用が期待されます。
<深層水の多目的利活用>
○食品分野では、天然ミネラルをバランスよく補給でき、発酵を促進、味がまろやかになる、甘
さと香りを増幅させる、食品の弾力性が向上する等から利用が期待されます。
○水産分野では、身やせしない、活魚の出荷時期の調整や、高水準の衛生管理ができるなどの利
用が期待できます。
○医薬・医療分野では、コラーゲン強化による皮膚の保湿向上、アトピー性皮膚炎やニキビなど
の改善に役立つ、コレステロールを低下させる、血中脂肪の改善に役立つ等の利用に期待でき
ます。
○資源・エネルギー分野では、ランニングコストを低減でき、冷熱性を利用した貯蔵施設への利
用等が考えられます。
○農業分野では、農作物へのミネラルの供給、葉もの野菜への散布による発芽・発根・成長促進
作用の向上、野菜の糖度上昇や土壌の改良などの効果が注目を集めています。
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18.5.11(通巻 110 号)
<深層水の価格>
○一般用
原水
100円/20㍑
脱塩水・高ミネラル塩水
100円/5㍑
○企業用
原水(1日当たり)
〜400㍑
〜600㍑
〜800㍑
〜1㌧
超過0.5㌧毎
町内企業
210円
315円
420円
525円
210円
町外企業
252円
378円
504円
630円
315円
○企業用
脱塩水等(1日当たり)
町内・町外企業
〜40㍑
〜60㍑
〜80㍑
〜100㍑
超過50㍑毎
252円
378円
504円
630円
315円
深層水は、まだまだ未知の部分が多く、知られていない開発方法や利用方法があると考えます。当町
では、この深層水の利活用が進み、地域振興が図られることを期待しております。
(岩内町地場産業サポートセンター)
<日本海岩内海洋深層水のお問合せは下記へ>
岩内町地場産業サポートセンター
岩内郡岩内町字大浜 476‑28
tel:0135‑62‑5180、fax:0135‑62‑2170
E‑mail:sapocen@dolphin.ocn.ne.jp
北海道開発局ホームページでは「まちづくりメールニュース」のバックナンバーを
PDF形式で閲覧できます。
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18.5.11(通巻 110 号)
メールニュース担当2年目の抱負
いつもメールニュースをご愛読いただきまして誠にありがとうございます。また、人事異動などによ
り、4月からまちづくりメールニュースを見るようになった皆様、はじめまして。まちづくりメールニ
ュースの作成を担当しております、森川と申します。今後ともよろしくお願い申し上げます。
さて、私事ですが、都市住宅課に来て2年目に突入しました。昨年度は、まちづくりのことなどろく
にわからないまま、さまざまな方から教えられながら(この場を借りて厚く御礼申し上げます。)、初心
者の勢いで、まちづくりメールニュースの作成、合併市町村の戦略的まちづくり支援プログラムや知床
圏域の市街地景観のあり方を策定する調査などを行ってきました。昨年1年間を振り返って考えると、
私が行ってきたまちづくりの業務(北海道開発局都市住宅課の業務と言い換えてもいいかもしれません
が)には、
「…の取組みの支援」とか、
「…の方策についての提案」など、北海道開発局自らが実施する
のではなく、市町村などまちづくりに携わっている方々の後押しをする、応援するという意味のキーワ
ードが数多く出てくることに気がつきました。
では、まちづくりにおける国の支援や提案とはどのようなものなのでしょうか。まず、辞書を調べて
みます。
「支援」とは、
「力を貸して助けること」とあります。
「提案」とは、
「議案・考えなどを出すこ
と」とあります。まちづくりを担当して2年目の私がいうのは、おこがましいかもしれませんが、まち
づくりにおける国の支援・提案とは、おそらく、資金など国が持っている力をもって、そのまち(ひい
ては、北海道全体や日本全体)がよい方向へ向かっていただくために、まちづくりに携わる方々を助け、
考えなどを述べさせていただく、このようなことなのかな、と最近考えております。
そう考えると、まちのよい方向がわかっていないと、正しい方向に支援や提案をすることができない
ということになります。そのためには、いろいろと情報収集しながらまちづくりに関して勉強していか
なければならないのだと思います。
都市住宅課に来て、まちづくりに携わる方々や、報道関係の方々とお話をさせていただくと、「開発
局さんは、そんな仕事(業務)をしているのですか!」と驚かれたり、
「開発局さんも変わりましたね。」
と言われたりすることがあります。北海道開発局に都市住宅課ができて5年も経過したにもかかわらず、
北海道開発局において従来から行っているいわゆる「直轄事業」の他に、支援・提案をするという事業
も行っていることに関する情報発信不足を痛感するとともに、今年度の抱負として、いわゆる国の役人
のイメージである「いすにふんぞり返っていばっていて、とても偉そう」というのを払拭することを頭
に入れながら、機会があれば、こちらからも出向いて、市町村などまちづくりに携わっている方々のご
意見などを聞かせていただくとともに、まちづくりに関する情報やご意見、お叱りの言葉などを、お気
軽に寄せていただきたいと思っております。
今後ともよろしくお願い申し上げます。
最後に一言。人事異動などで都市行政や住宅行政の部署から違う部署に異動された皆様へ。まちづく
りは、人間が生きている以上は、様々な形で必ず行うものなのだと思います。違う部署に異動されても、
まちづくりのことを頭の片隅に入れながら、引き続きこのメールニュースをご愛読いただければ幸いで
す。
(森川)
窓口のご案内
北海道開発局 事業振興部 都市住宅課
E‑mail
machidukuri@hkd.mlit.go.jp
TEL
011‑709‑2311 (内)5866
FAX
011‑738‑0235
10
まちづくり相談窓口