2012 年 5 月 20 日(第 7 号) 東海大学文学部 ヨーロッパ文明学科ニュースレター 2012年春号 ♥学生たちの春のヨーロッパ留学体験記♥ ドイツ・フンボルト大学(ベルリン) by 橋本尚子(ヨーロッパ文明学科2年生) 私は、3月3日から31日までの約1ヶ月間、ドイツのフンボルト大学に短期留学をしました。大学でドイツ語を第二外 国語として履修しており、以前から留学には興味があった為、今回参加することにしました。 授業は週5日行われ、文法、会話、発音、地理などを学びました。ただテキストを読むだけではなく、実際に街へ出 て様々なドイツ語に触れてみたり、紙芝居発表も行われ、楽しく新鮮な授業でした。もちろん授業は全てドイツ語で行 われますが、とても分かりやすく、和気あいあいとした授業でした。 授業後・週末は、ベルリン大聖堂や、ポツダム、ベルリン交響楽団のコンサート、1泊2日のドレスデン旅行など、ド イツの観光地を巡りました。特にドレスデンは現代的なベルリン市内とは異なり、中世風の町並みで過去にタイムスリ ップしたような感じがしました。観光以外にもカレーパーティーや、DVD観賞会など、ドイツ人学生たちと触れ合え、 多くの友達ができ、とても楽しい時間を過ごす事ができました。 今回の留学で、語学だけでなく、文化や歴史など様々な角度からドイツを知ることができ、とても貴重な体験となり ました。この留学で得た知識や、たくさんの絆を今後も大切にしていきたいと思います。 ベルリンのフンボルト大学にて ドイツ人学生たちとパーティー フランス・ブルゴーニュ大学(ディジョン) by 本井美穂(ヨーロッパ文明学科2年生) 私はこの春休みの1か月間、フランスのブルゴーニュ大学に留学しました。私たち東海大生は15人弱で寮に入ったの ですが、様々な国の人たちがいるので多くの留学生と友達になれ、寮での生活も、学校も楽しく過ごすことが出来まし た。行く前は不安がありましたが、実際行ってみたら帰りたくなくなるほど毎日を楽しく過ごしました。 学校では、月曜日~金曜日まで授業があります。しかし午前中に終わる日もあるので、午後からあちこち出かけるこ とも出来ます。更に土日もちょっとした旅行を計画することができます。前もって行く場所を調べておいたり、その他 にも行ってみて偶然体験できることもあったりするので、楽しみはいくらでもあると思います。さらに寮の隣にサッカ ー場があり、実際にプロの試合を見ることができました。現地のチームの応援にも参加でき、とても貴重な体験でした。 料理や生活面でも、実際に行かなければ体験できないことが沢山り、本当に自分の視野を広げることができます。 私たちの留学では、ブルゴーニュのワイン工場の見学ツアーもありました。その会社には東海大学の先輩が働いてい るので、普通では見られない所も見せてもらう事が出来ます。試飲でも、普通では飲めない物もいただくことが出来ま した。まさしく「東海スペシャル」でした。 フランス滞在最後の3日間はパリに滞在しました。なので、単なる留学とはいえ、フランスを満喫できること間違い なしです! 興味がある方は、是非、迷うことなく参加することをお勧めします!! ディジョンの大公宮殿 フランス語クラスの仲間たち ヨーロッパ・美の巡礼に参加して by 小松果奈美(ヨーロッパ文明学科2年生) 私は3月5日から15日まで、イタリア・オーストリア・ドイツに行ってきました。これはヨーロッパ文明学科 でも授業をされている永井繁樹先生(ヨーロッパ美術史の研究者)が主催される「ヨーロッパ・美の巡礼」という 旅行で、毎年ヨーロッパの美術・芸術に関するテーマを決めて実際に現地を訪問し、自分自身の目でそうした美術 ・芸術に触れるというものです。今回の参加者は約30名でした。 ツアーは「美の巡礼」というだけあって、毎日訪問先の街の美術館を中心 にまわりました。しかし旅のプログラムにはたっぷり自由行動の時間も組み 込んであるので、この旅行に一緒に参加した友人と2人でヴェネチア、ウィ ーン、ミュンヘンを自分たちのペースで歩き、興味がわく所があったら寄っ て見てみたり、疲れたらカフェに入ったりするなど、ヨーロッパをゆったり 楽しみました。あちこちで鑑賞した美術はもちろんですが、それ以外で私が とても気に入ったのが、ウィーンの路面電車でした。キップ一枚買うとあと は乗り放題です。街の中心部を一周するので、電車の中から主な観光地を見 学することができました。 ツアーに参加する前は、初の海外旅行なのに自由行動なんて大丈夫なのか と、とても不安でしたが、ツアー後半からは早く自由行動の時間にならない かな、なんて考えるようになっていました。日本に帰ってからも次の海外旅 行はどこに行こうかということばかり考えています。 ドイツ・ノイシュバイシュタイン城にて 今年(2012年)の夏の「ヨーロッパ実地研修」は?! フランス・スペイン文明紀行 ~サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼路をたどる旅~ ヨーロッパのキリスト教文化の源流である「ロマネスク文化」に接し、西欧キリ スト教文明統一の精神的シンボルの一つでもあったスペインの「サンティアゴ・デ ・コンポステラ巡礼」 (星の道)をたどります。 南フランスの城塞都市カルカッソンヌやトゥールーズ、奇跡の泉で知られたルル ドなどをへてピレネー山脈を越えてスペインに入ります(日程に余裕があれば、南 仏プロヴァンスのアルルやアヴィニヨンなどにも寄ります )。そして「サンティア ゴ巡礼」の本格的な道をすすみ、パンプローナ、ブルゴス、レオンといった巡礼路 にそった街を中世の巡礼たちと同じように訪れ、サンティアゴ・デ・コンポステー ラにいたります。スペインではこのあと首都のマドリードにも滞在します(巡礼路 の移動はバスになります)。 ※さらに来年以降の予定 2013 年度「地中海歴史紀行 -古典古代とルネサンス~ヨーロッパ文明の源流を求めて~」 2014 年度「イギリス・スコットランド・アイルランド ~ケルト文化をたどる旅」 2015 年度「中東欧の三都紀行~ゴシック・バロック期から近代の神聖ローマ帝国を求めて」 教員スタッフの春の研究調査活動 北イタリア・ロマネスク美術取材旅行 by 金沢百枝(准教授) 春、シチリアから船でイタリア本土へ渡り、南イタリアを一周してきました。ちょうど、長靴の形をしたイタリア半島の「靴 底」から「土踏まず」を通って、 「踵」まで行ったようなあんばいです。 わたしの研究している中世の聖堂はたいてい鄙びたところにありますから、大都市の観光地をめぐる旅と違って、不思議な出 会いがあります。ある夕方、聖堂での撮影を終えて、帰路についたとき、間違えて入った農道で美しい情景に出会いました。一 面の花畑に羊の群れがいて、みな黙々と花を食べているのです。羊の首についた鈴の音がカランコロンと響きます。ぴょんぴょ ん跳ねる子羊の可愛いことと言ったらありません。でも、 「花を食べて育った子羊はそれはまた美味しいんですよ」と聞くと、 美味しそうに見えてきます。翌日、花で育ったかどうかはわかりませんが、 「子羊とジャガイモの煮込み」をいただきました。 肉じゃがのようなやさしい味。イタリア人にとって南イタリアはお菓子処だそうで、名物が多い。今回は、ナポリで「スフォリ アテッレ」というお菓子を食べました。貝殻をかたどったパイ生地はさくさく。なかにはとろっとしたクリームが入っています。 洗濯物はためく路地裏の広場で食べていると、教会堂の窓をゴールにしているサッカー少年たちがいました。 南フランス・歴史的文化遺産調査 by 中川久嗣(教授) 2012年3月、南フランスのドローム県(Drôme)を中心に、歴史的な文化遺産を訪れました。ドロームは、かつてはドフィネ州 に入れられていましたが、文化的には南仏色が強く、いまでも「ドローム・プロヴァンサル」 (プロヴァンスのドローム)と言われる ところです。 今回は、とりわけドロームの中部~北部を細かく調査しました。このあたりは東へ行くとそのままフレンチ・アルプスにかかる地 方なので、山がちな場所にシャトーや中世の聖堂などが点在しています。下の写真は、そんな例のひとつで、ソワイアン(Soyans) のシャトー(城)と教会です。切り立った断崖の上にこの二つが隣り合わせにして建っています。シャトー(写真左)の方は、ほと んど廃墟と化していますが、その歴史はもともとは10世紀の城塞までさかのぼります。16世紀にはフランス国王アンリ2世の愛妾デ ィアーヌ・ド・ポワチエが買い取っています(本人が滞在したとは思われませんが) 。18世紀に火災で破壊されました。 その隣には、やはり断崖の上にサン・マルセル教会があります(写真右) 。12世紀に建てられ、17世紀に鐘塔が付け加えられまし た。内部は二つのベイからなる単一身廊で、東側には半円形の後陣がルビオン渓谷を見下ろしています。 土谷直人教授 最近の活躍 2011 年度、土谷直人教授は、専門テーマのひとつであるポーランド文学研究の一環として、 ポーランド文人の足跡を尋ねるべく、イタリアのパドヴァ、ヴェネツィア研究調査旅行に行 かれました。ポーランドの文学者たちがイタリアを訪れることで創作活動の刺激を受けてい たことなど、新しい知見からの研究が期待されます。 土谷直人教授は、昨年より日本スラヴ研究会会長に就任され、また日本芸術文化機構スラ ヴ専門委員にも就任されています。 新任教員の紹介/柳原伸洋先生 2012年4月から、ヨーロッパ文明学科の新任教員として、柳原伸洋先生(講師)が着任されました。柳原先生 の専門分野はドイツ現代史で、とりわけドイツ・ヨーロッパの空襲の歴史(防空・実相・記憶)を調べ、20世紀 の戦争と社会の関係について明らかにしようとされています。 「空襲は、従来の戦争の時空間を変化させました。つまり、地形に左右されない航空機は、前線から離れた都市 部にまで戦場を一気に拡大し、戦時と平時も曖昧にしました。この空襲による20世紀の社会変容を、ドイツ・ヨ ーロッパと、最近は日本の事例にも広げて追っています。 また、身の回りにあるドイツ製品(自動車、食品、衣料、建 築など)から、その背景にあるドイツ近現代の政治・文化・軍 事の歴史の理解を目指したいと思っています。さらに製品が成 立した過程を学ぶことは、イノベーションの歴史(成功と失敗) を知ることでもあります。これによって、逆に身の回りの生活 を、発見と創発によって豊かにする可能性を、一緒に模索して いきたいと思います。」 (柳原先生の言葉) 柳原先生はまた、サブカルチャー及び歴史ライター(歴史コ ミュニケーター)として、ドイツ史の興味深さを広める活動も されています。 写真右側は、柳原先生が「伸井太一」のペンネームで書かれ た最新刊『ニセドイツ3』(社会評論社、2012年) 。 ヨーロッパ文明学科・オープンキャンパスのお知らせ 6月17日(日)体験授業「ドイツ製品の歴史」(担当:柳原伸洋講師) バウムクーヘンやベンツの歴史について解説する。 7月22日(日)体験授業(担当:土谷直人教授) 8月10日(金)・11日(土)パネル展示(担当:平野葉一教授) 11月3日(土)学科説明・ブース対応による各種相談受付(担当:金沢百枝准教授) 金沢百枝『イタリア古寺巡礼・ミラノ→ヴェネツィア』 金沢百枝『イタリア古寺巡礼・フィレンツェ→アッシジ 』 (小澤実氏との共著)新潮社・とんぼの本、1600円(税別 ) (小澤実氏との共著)新潮社・とんぼの本、1600円(税別) イタリアのミラノ、ヴェネツ ィア、ラヴェンナといった有名 な街から、アプスの隠れ里まで、 中世キリスト教のロマネスク聖 堂を中心に紹介しています。イ タリア中世のロマネスク芸術は 見るものに何とも言い難い微笑 みと心の安らぎを与えてくれま す。ロマネスクの宇宙に触れる こ との でき る貴重 な案内 書で す。 シリーズ第二弾。トスカナ、 マルケ、ウンブリアというイタ リア中部の3つの地方の教会を 訪問。心が洗われるようなキリ スト教の聖堂から、すばらしい 郷土料理まで、イタリアの歴史 と文化に触れたい人にはぜひお 勧めの一冊です。 東海大学文学部・ヨーロッパ文明学科(お問い合わせ・資料請求などは下記まで) 〒 259-1292 神奈川県平塚市北金目 4-1-1 東海大学湘南校舎 TEL 0463-58-1211(代表)内線 3067 europe-civil@tsc.u-tokai.ac.jp(学科事務室:山口) 発行責任者:中川久嗣(なかがわ・ひさし:ヨーロッパ文明学科主任)nakagawa@keyaki.cc.u-tokai.ac.jp http://www.u-tokai.ac.jp/ (東海大学大学オフィシャルサイト) http://www.hum.u-tokai.ac.jp/ (東海大学文学部サイト) http://www.hum.u-tokai.ac.jp/europa/ (学科制作サイト) ※ヨーロッパ文明学科の教員による出張講義などのご要望にもお応えいたします。お問い合わせは中川まで。
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