2014 DEC. VOL.21 国内活動報告 ブラジルチャリティ上映会&トークセッション 1 「ヴィック・ムニーズ/ごみアートの奇跡」 ブラジルのアーティストとごみ捨て場で働く人びと 7/12 2014 による作品制作の過程を追ったドキュメンタリーを上 2 2014年度会員総会/セミナ− 「アフリカでより多くの母と子の命を守る! ∼スーダン・マザーナイルプロジェクトの軌跡∼」 9/28 セミナーでは、足かけ7年におよぶスーダンでの活動 2014 を、助産師研修・施設・調査の各担当者から報告しました。 小貫大輔氏(東海大学教授/HANDSテクニカル・アドバ 当日は50名を超える、国際開発に関心を持つ方々が参加。 イザー)とで、都市スラムとアマゾンでの各々の活動 質問もたくさんいただき、とくに安全な出産に向けた母 経験をもとに、貧しさや、尊厳のある生き方をテーマに 親や村落助産師の行動変化、実際の活動の進め方などに トークセッションもおこないました。 関心が寄せられました。 1 2 Voice あつこ いつもHANDSを 支えてくれる 皆さまに聞いてみました! その他の活動 映。20年来の仲であるブラジル駐在スタッフの定森と 9/7 お花のエッセンスでストレスケア(フラワーレメディ)Part.3 9/30 ブラジル水害復興支援活動報告会 ̶大きな支援をありがとう! 水害復興支援の今までとこれから̶ 10/4-5 グローバルフェスタ2014(ブース出展) の、健康と平和な暮らしに貢献できる時代 いきり実現できる社会です。自分のビジョ がくるであろうと、熱い思いを夢みていま ンをはっきり持ち、その夢の実現に努力し した。そして今、やっと日本でも「女性の てください。 輝く未来」という発想が安倍首相から提案 とうこう 厚子 東光 フィッシュ Founder and Trustee, Fish Family Foundation Founder, Japanese Women's Leadership Initiative HANDS名誉顧問 成功の前には失敗はつきものですが、失 されました。ひいては多くの日本女性が、 敗を恐れず、失敗から学べば、次のチャン 国内だけでなく、世界中の女性や子どもた スに必ず役立つ、前向きな良い経験になる ちのために、輝く未来を作る担い手になっ はずです。 【フィールドレポート】 GO TO THE パプアニューギニア ジブチ 母子健康手帳 国内活動報告 Voice ほか www.hands.or.jp 女性が輝く未来へ 安倍政権が掲げる「ウーマノミクス」で働く女性が注目され たり、女性の教育権利を訴えるマララ・ユスフザイさんがノー ベル平和賞を受賞したりと、国内外で女性の活躍が目立ちま す。先頭を切る人たちのみならず、あらゆる女性が輝ける未 来へ―、HANDS の母子保健事業の信念はそこにあります。 家族を支える働きもののパプアニューギニア女性 パプアニューギニア 命の価値をつたえていく パプアニューギニアで新プロジェクトを開始しました。長いあいだ男性優位 の社会で生活をしてきた女性たちが、適切な保健医療サービスを受け、安心 して暮らせる社会づくりをめざします。 て欲しいと心から願っています。 私自身も、US JAPAN COUNCIL の理事に 日本と米国で多くの女性の自立を支援し 設立に携わりながら、 就任し、日米の架け橋はもとより、次世代 てきた厚子さん。2012 年には東北緊急援 へき地の村へ医療を届ける いずれは日本の女性た の育成に力を注ぎ、なおかつ、東北支援も 助基金ボストンの創設者として、日本の外 熱帯雨林の手つかずの自然が島の財産 ちが、世界中の途上国 続けています。女性が輝く未来とは、自分 務大臣表彰を受賞されました。いつも温か でもある反面、道路などのインフラ整備 の女性や子どもたち の夢を仕事でも 社会貢献でも、自由に思 く背中を押してくださる大先輩です。 中を押してくださる大先輩です。 は遅れ、近くの保健医療施設まで、徒歩 2000 年に HANDS の 妊産婦の死亡が多いワケ 妊 アマゾン水害支援クラウドファンディング達成のご報告 告 (2014年6月∼ 9月) 「男性看護師にお産を取り上げられる こ ことは恥ずかしいし怖い。夫も嫌がる」 皆さまのご協力で、目標金額を達成することができました。支援金を活用し、 「生まれたばかりの赤ちゃんを男性の 農作物の種子や苗の配付、苗床づくりなどの復興活動が進行中です。 800以上の言語が存在し、多数の少数 READYFOR?「歴史的大水害を受けたアマゾンで農民と森を守る農業を復活!」 ご支援ありがとうございます (2014.7 ∼ 2014.10) ※敬称略 ■新規会員: 【法人】ライオン株式会社 【個人】今井彩 神谷美奈子 小林真代 齋藤優子 武田真由子 橋本直子 長谷川宏 林亜紀子 谷川宏 林亜紀子 ■継続会員: 【法人】医療法人社団レニア会アルテミス ウイメンズホスピタル 株式会社フジタプランニング ユニ・チャーム株式会社 株式会社アネシス ム株式会社 株式会社アネシス 【個人】淺野いずみ 有川志野 井出悦子 井出りえ 上野悦子 太田章 太田慶子 大津淑子 奥田鹿恵子 小原明子 柏原秀紀 加藤淳史 加藤龍也 門元記子 柏原秀紀 加藤淳史 加藤龍也 門元記子 神谷保彦 菊池可奈子 小林育子 小林房代 榊美映 更家悠介 志澤道子 篠原都 清水育子 菅原康俊 鈴木英介 反町吉秀 高木史江 高田智子 高松知文 高村寿子 寺田美和 中野久美子 中村安秀 永吉道子 西原昌子 西原三佳 根岸親 野口光一 板東あけみ 樋口ゆり子 渕向透 松井眸 松本由美子 三村紀美子 宮家佐知子 八木志津子 横田一三 横田緑 和田知代 ■寄付(新規マンスリーサポーターを含む): 【法人】医療法人社団レニア会 NPO法人SESSION with EARTH 【個人】SHAKE HANDS(ボランティアグループ) パプアの女性と子供の命を守る会 朝枝優子 上原さつき 江 朝日 掛橋正雄 狩野聡 菊池郁子 久保園高明 黒川ふみ 定森徹 治部達夫 関真幸 高木史江 高橋恵美子 武谷典子 谷本明子 西原昌子 西原三佳 長谷川宏 堀井修 南舞衣 横田雅史 吉川正宏 ようになり、自分の打った予防注射で に医療機材と薬品を積んで訪れるモバ 子どもたちの病気が減ると思うと、本 イル・クリニック(移動式診療)という り制度が整っていない地域では、ほとん 当に嬉しくやりがいを感じます。でも、 政府の都合で車両やガソリンが手配で きず村へ行けない日々が続くと、やる 気をキープさせることが難しいです。」 妊婦さんやお母さんに健診や予防接 す す。上のような性別を意識した伝統的な 種を身近に感じてもらうためにも、この 風 風習も根強く残り、女性や赤ちゃんたち サービスを定期的に届けられるように 性医療者や保健ボランティアを増やし、 を を必要な保健医療サービスから遠ざけ することが必要です。一方、住民にサー やりがいをもって働けるようにするこ る要因ともなっています。 ビスを受けるよう促すには、つなぎ役と とも活動の目標です。 さらには、どこの医療施設でも医療ス なる人材(保健ボランティア)も必要 タッフの半数以上は男性で、村で活躍す で す。HANDSは 行 政 と 連 携 し て、こ れ るリーダーたちも男性ばかり。そのため、 ら人材や環境を整えていきます。 えず、妊娠・出産に危険が伴います。 特定非営利活動法人HANDS 〒113-0033 東京都文京区本郷3-20-7 山の手ビル Tel:03-5805-8565 Fax:03-5805-8667 E-mail:info@hands.or.jp ん。このような村々に、月に一度、車両 い いるこの国には、多様な文化が存在しま PDF版「Go to the People」も発行しています。印刷物からの切り替えにご協力くださる方はご連絡ください(info@hands.or.jp TEL.03-5805-8565) www.hands.or.jp 「医療の届かなかった村に届けられる ど実施されていません。 産前健診や施設での分娩がなかなか増 HANDSは2000年に設立され、アフリカ、アジア、中南米の各国で、保健医療の国際協力にとりくむNGOです。 現地の人びとが主役となっておこなう保健の仕組みづくりと人材育成を支援しています。 (ヤイボス診療所看護師) 民 民族が小コミュニティを作り暮らして 渡辺正美 i-kifu きしゃぽんリサイクル募金 JustGiving Yahoo!ネット募金 住宅エコポイント イベントなどでの募金 ∼世界の人びとが自らの健康を守れる社会をめざして∼ エリザベス・トゥルーニさん で半日以上かかる村も少なくありませ 医療サービスがあります。しかしあま 目 目に触れさせてはいけない」 応援してくださったすべての皆さまに、心よりお礼申し上げます。 ▼ 達成金 1,116,000円 女性看護師が輝けるように パプアニューギニア 事業3つの柱 女性同士だからこそ聞けることや気 づけること、伝えられるアドバイスが あります。エリザベスさんのような女 HANDSプログラム・オフィサー (パプアニューギニア事業担当) 寺田美和 ①モバイル・クリニックの実施支援 ②女性を含む保健ボランティアの育成支援 ③保健ボランティアによる村での保健活動支援 モバイル・クリニックに集まる母子たち GO TO THE ジブ チ 助産師が力を発揮できる場をつくる ジブチでは高い妊産婦死亡率を下げるため、専門職の助産師の能力強化が進 められています。活動を共に行う関係者も多くが女性たち。新たな挑戦も始まり、 意欲的に取り組む頼もしい姿が見られます。 Project Info 母子保健サービス改善プロジェクト(JICA技術協力 プロジェクト) 実施期間:2013年3月∼ 2015年3月 母子健康手帳 母子健康手帳は戦後の日本で生まれ、母子の健康増進に貢献してきたツール。 HANDSは、途上国でも母子健康手帳を活用し、母子をとりまく現状の問題を改 善したいと励む人たちや活動をさまざまな形で支援しています。 研修は、終わった後が大事 アンゴラ 保健施設で働く助産師は、産前健診・ 国境を越えて、母子に貢献 洒落たデザインのポルトガル語版母子健康手帳が完成! 分娩介助・産後健診の母子保健ケアの提 アンゴラは経済発展がめざましい国。しかし27年間続いた 供に必要な知識や技術を基礎教育や卒 内戦の影響もあり、母子保健の状況は劣悪です。そこで現地 後の研修で身に付け、ブラッシュアップ 政府からの要望を受け、JICAの支援で母子健康手帳が開発さ しています。今回のプロジェクトでも、 れました。このプロジェクトに、HANDSはスタッフ4名を派 緊急産科・新生児ケアの研修を、全助産 遣して技術的な支援をおこないました。 師170人余りに実施しています。しかし ブラジルの支援を受けて完成した手帳のデザインは、可愛 研修だけでは不十分です。研修後に、現 いイラストが多用され、利用者にも好評でした。最後に開催 場で経験を積み、指導を受けることで、 したワークショップには保健大臣も出席し、アンゴラでの母 質の高いケアが安定して提供され、妊産 子健康手帳のさらなる普及にむけた意気込みが現地担当者か ジブチ側のプロジェクト責任者、担当者をはじめ、助産師長、助産師、日本人チームメンバーまで全員が女性 婦は安心して施設を利用できるように アンゴラの担当者と完成の記念撮影 ら述べられるなど、熱気を肌で感じる会となりました。 なります。助産師長は経験豊富なベテラ Project Info ンですが、一定の基準で助産師を評価・ ジョジナ・マシェル病院及びその他保健機関の人材育成と一次医療の再活性化を通じた保健システム 指導したことがありません。そこで、プ 強化プロジェクト(JICA技術協力プロジェクト) ロジェクトでは研修フォローアップに 実施期間:2011年10月∼ 2014年10月 立ち会って助産師長を監督指導し、助産 ワークショップでは歌や寸劇で手帳が紹介され、 ニュース報道でも取り上げられました 師のケアを適切に評価し指導がスムー ズにおこなわれるよう支援しています。 現場の指導者としての成長 助産師長(右)への研修フォローアップの監督 指導。良い点をほめつつ、改善点を指摘する ジブチ初の母親学級 母親学級を行う予定の部屋で、保健省職員、 病院長、助産師長とともに(アリサビエ県) 妊娠の危険な兆候や栄養、予防接種など 研修フォローアップには、助産師長の より充実した母子保健ケアへの動き を妊産婦が学ぶ場として活用されてい 技術や知識だけでなく性格なども影響 は、他にも芽生えています。プロジェク ます。ジブチの保健施設では必要な設備 するため、型にはめることが難しく、丁 トでは、他国の母子保健サービスを学ぶ や物品が整っていないことが多いので 寧な監督指導が欠かせません。自信が持 ためモロッコでの研修もサポートして すが、助産師は話し合いを重ねた結果、 てないからと、研修フォローアップで常 います。その成果として、派遣された助 設備のアレンジを工夫したり、既存の にプロジェクトの立ち会いを求めたり、 産師が中心となり、新たに母親学級の活 ツールを活用したりと知恵を絞って準 助産師をじっと評価することに我慢が 動が始まろうとしているところです。母 備に取り組んでいます。 できず、どんどん手伝ってしまったり…。 親学級は日本生まれの活動ですが、今日 一方で、独自に指導結果を残している助 モロッコの保健施設で広くおこなわれ、 わかっているのは自分だから」という声 母子健康手帳の増刷を官民連携で支援 ベトナムでは、保健省主導で全国標準版の母子健康手帳の 探り、実際に増刷分の資金について目標額を調達することが 全国展開をめざし、2011年からJICAの技術協力プロジェクト できました。企業の母子向け啓発ツールへの出稿や技術的な が実施されています。その一環で、手帳の増刷に必要な資金 貢献への関心は高く、今後もベトナム保健省と企業とが手を 調達について、日本の経験を参考にしながら官民連携の体制 携え、全国の母子への配布拡大が期待されています。 を試行することになり、HANDSスタッフがそのコンサルティ ングを担当しました(2014年7月∼ 9月)。 在日本と在ベトナムの民間企業からの協力・連携可能性を さまざまな 妊 婦 さん が 来 所 する 保 健 施 設 助産師はそれぞれの妊婦さんに合わせた適切なケアが求められる責任の多い仕事です。 も聞こえるなど、指導者としての意識が 日本 JICA母子健康手帳全国展開プロジェクト(母子健康手帳増刷のための資金調達 調整) アフリカでの母子健康手帳への応援を呼びかけ 2014年7月23日 国際母子手帳シンポジウム Ensuring the Quality of Life of Mothers and Children in Africa: Role of MCH Handbook ケニアの母子健康手帳普及に尽 力 し た ミ リ ア ム・ウ ェ レ 博 士(Dr. 助産師長の間に育ちつつあります。 Project Info HANDSシニアプログラム・オフィサー (ジブチ事業担当) 溝上芳恵 産師長もいて、こちらが感心させられる ことも多いです。 「現場の助産師を一番 ベトナム 19歳 の 若さで、2人目の出 産。 2人とも病院で出産し産後健診 に来訪。 と子どもたちのエンパワメントツールとなることが示され、 会場との活発な意見交換もおこなわれました。 Miriam K. Were /第1回野口英世ア フリカ賞受賞者/ケニアコミュニ ティヘルス戦略親善大使)をお招き し、シンポジウムを開催。ウェレ博 士から約120名の参加者に、アフリ カの母子健康手帳の導入状況や有 ソマリア難民キャンプに暮らす 35歳の女性。11人目の出産直後。 研修フォローアップの様子。妊婦健診での血圧 測定の様子を助産師長(中央)がチェック 初めての産前健 診で 母子手帳 を 購 入し た(1冊90円)29歳 の 女性。初産。 用性、ビジョンなどが語られました。 またケニアで保健アドバイザーを担当されたJICAの杉下智 彦氏からは、手帳が母親自身のヘルスケアを促す点や、女性 講演者のJICA杉下智彦氏(左)とウェレ博士(中央)、 司会の池上清子氏/日本大学大学院(右)
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