International Resources Committee Within the context of the annual SIGGRAPH conferences, International Resources produces audio podcasts and written transcripts of works shown at the Art and Design Galleries, and Emerging Technologies. Presented in different languages, these allow the works to become accessible to our international visitors, as well as anybody who is unable to attend the conferences. Hosted on various sites (including SIGGRAPH.org and iTunes), the files also serve as archival reference for future interest and investigation. We hope you enjoy this description of fabulous technology works. ----- SIGGRAPH2011: Art Gallery: 'Tracing Home' Japanese Produced by: Sandro Alberti [salberti@siggraph.org] Translated and recorded by: Miho Aoki [mihoalaska@gmail.com] Sam Morrison [scoreymjp@gmail.com] Matthew Cox Tomorrow will get better ‘明日は良くなる’は黒鉛を用いた描画であり、自然や人間を禍根とする災害で破壊された家々 をレーザーカットペーパーで表現したシリーズである。 これらの描画は、Cox が「収集」しス ケッチの題材としてきた家々の儚き肖像だ。Cox はゴシック的フィルム・ノワールにも通ずる物 語の登場人物として、家々を描写した。今回のシリーズでは、そこにいる誰もが予期しなかった 「早すぎる埋葬」とも言うべき処遇をうけ、埋立て直前にある家の最期の時が示されている。 Cox は、家とその住人との関係が、家という領域の中で起こる日々の出来事を通じて発展し、ま た、展開していくことを示唆している。ある悲劇的な出来事が家の物理的安定を脅かすと、それ が結果的にはその家の住人の情緒不安定をもたらす。かくして、家は世代を越え生き残る堅固な 構造物などではなく、「生き」そして「死ぬ」という潜在性を秘めている。ちょうどその住人が 「生き」て「死ぬ」存在であるように。 Anya Belkina Emerson College MOSTON 描画と 3D モデリングの過程に劇場と映画の要素を結合させるのが、Belkina の作品だ。高さ 12 フィートの高さから吊り下げられた、この MOSTON というインフレータブル・スカルプチャー は、モスクワとボストンという地理的に離れた 2 つの場所の cyberfusion を具体化している。ア ートワーク・プリントと映像マッピングから成るその表面設計は、2 つの都市における視覚的・ 歴史的共通点を探求するものだ。これらの共通点は、現在のインスタント・グローバル・ネット ワーク時代において、より容易に調査や文書化・共有化が成されるようになった。 MOSTONの立体的なフォームは、巷でよく知られ、入れ子人形とも呼ばれるロシアのマトリョ ーシカを参考にしている。マトリョーシカはBelkinaの住む二つの街が同心円状に展開すること を象徴し、また同時に、多文化的バックグラウンドを持つ人々が「家(Home)」の概念を層状 に構築していくことを表している。Belkinaは今回の表現に関し、大型プロジェクトであること が必須要素だとしている。その理由は、単に本人の母国が誇大妄想的冒険追求にかけて驚異的実 績を誇る世界一大きな国であるからだけではない。「我が家(Home)が一番」を表現しようと する意図も根底にあるのだ。 David Bowen University of Minnesota tele-present wind tele-present wind は、自然でメカニカルなシステムを結合している。この作品は、ギャラリーに 展示された薄い、乾燥した植物の茎に接する X/Y 傾斜装置のフィールドで構成されている。そ の乾いた植物茎は外にインストールされた加速度計につながっており、風が吹くと、外の茎が揺 れを引き起こす。すると、ギャラリー・スペースの茎も一斉に外の風の動きに応じてリアルタイ ムで揺れ動く。 彼の作品は不完全且つ明らかなデータの転置を呈示する。本人はこう語ってい る。「或る意味、無駄になることもあるけれど、この装置は自然の形態やシステム、機能を刺激 し、模倣をすることを試みるものだ。そのメカニズムが自然のシステムの複製に失敗したとき、 結果は完全にユニークなものになる。この予測不可能なものを、私は魅力に感じている。これら の成果は、自然の形や機能、メカニズムと私自身のコラボレーションだ。そしてこの組み合わせ は、適切なデータを得る上で、精巧かつ不合理な方法と言えるだろう。私はこうして採集された データを美的と感じる」。 Jacquelyn Martino IBM T.J. Watson Research Center Travel Stones Travel Stones で、ジャクリン・マルティーノは規則的且つコンピューター・イメージに基づい た画像の上に、石の上に刻まれた古代のシンボルのようなグリフを作成している。これらの石は、 文字や絵の起源を詳しく示す民族学的インストレーションとして表現されている。ここで想像さ れた文化というものの由来は、今で言う家の鍵のように、「物理的というより精神的な意味での 家」にアクセスする方法として、トラベルストーンを持ち移動する古代の人々にある。世代が変 わるにつれ、石は人々の歴史をたどるオブジェクトとして機能している。石の上に描かれた図面 に促され、古代の人々は旅で出会う人々に自らの起源を語ったように、次世代の人々にそれを語 る。語ることで、彼らは自らのアイデンティティと場所の感覚を維持し、同時に他の人々に彼ら の文化の一部を伝えていく。この作品では、アルゴリズム的生産システムを可能にすることが作 者のプロセスに不可欠だが、観客にはその点が特に明らかではない。 疑似歴史的プロダクトか らのハイテク・プロセスの視覚的分離は、我々自身の時間と場所におけるテクノロジーと文化を 容易に区別することへの疑問を投げかける。 Michael Bielicky Kamila B. Richter HFG/ZKM Karlsruhe Karlsruhe, Germany The Garden of Error and Decay 「エラーと崩壊のガーデン」は、リアルタイムで起きている世界の大惨事を詩的に視覚化したも のである。 それは、アニメのピクトグラムによって表現された一連の現在の世界災害の話を通 し、21 世紀のネットワークでつながれたメディアの現実を反映している。ツイッターで災害関 連の話題について議論するときはいつも、新しいアニメーションが現れる。 証券取引所情報も またストーリーテリングに影響を及ぼす。 ガーデンと対話するユーザーは、撮影装置を使って 災害現場を排除するか、または増やすかのチャンスを与えられている。しかしながら、出来事が 一旦実際に引き起こされると、その発展を決断するパワーを持っているのはユーザーではない。 現実のように、すべてが証券取引のようなダイナミクスによって牽引されており、これらが災害 が増殖するか、または次第に弱まっていくかを決めるのだ。この革新的な動画形式は、映画でも なく、ゲームでもなく、非線形の対話でもない。それは、リアルタイムデータに突き動かされる 物語である。 Kuai Shen Auson Kunsthochschule für Medien Köln 0h!m1gas: biomimetic stridulation environment 0h!m1gas: biomimetic stridulation environment は、社会的責任を備えた芸術形式をインストレー ションベースで探求し、持続可能な有機材料(この場合は生きたアリの群生と刺激的な種間イン タラクション)を描写したもである。作者が最初にエクアドルの家で観察したように、アリは自 然の超個体を表す(それは、アリの創発的な社会構造と自己組織性によって際立っている)。ア リはローカル・インタラクションの複雑なネットワークを用い、問題解決に向けたボトムアップ 構造を作り出す。この作品で、作者は人間とアリの社会的な類似性と違いについて探っている。 アリの群生活動は、デジタルマトリクスの中でアリの動きと音を録画録音し、監視されている。 ターンテーブルは、アリのオリジナルの摩擦音を察知し、同様のカリカリという音を発生させて アナログコードを回転させ、巣から発せられる変化に反応し変化する。このプロジェクトでは、 アリの甲高い音と DJ スクラッチという、2 つの一見全くかけ離れたコミュニケーション方法の 間に関係性を作り出した。 Heidi Kumao University of Michigan School of Art & Design Transplant ‘Translpant’と題されたこのビデオ・スカルプチャーは、第2次世界大戦時に抑留センターに監禁 されていた日本人と市民の生活を探求したものだ。カリフォルニアの埃だらけの砂漠に抑留され ながら、その監禁生活を生き延びるため彼らがどのようにして創造的なはけ口としての庭を造成 したかに迫る。ひどい状態にあったにもかかわらず、これら「キャンプ」の居住者は、美しい公 園や池、石庭を建築した。この作品は彼らの創意工夫と、自らが置かれた環境を果敢な抵抗に置 き換え、砂利を庭に変える個人の大志に敬意を表している。本作品は「2009 グッゲンハイム・ フェローシップ」がサポートする、抑留生存をテーマとした続編シリーズ「Timed Release」の 一部である。 Design Incubation Centre National University of Singapore RolyPoly Roly Poly は、2人の人間が物理的に離れていても、お互いの存在を「感じること」を可能にす るように設計されたネットワークでつながれた作品である。鏡に映し出された Roly Polys のペア の動きは、1度その岩に触れると同時に同じ程度の感覚がパートナーにも相応の反応を引き起こ す。 インターネットは、膨大な量のテキストメッセージとビデオ通話のインタラクション・オ プションを提供するが、その一方で、Roly Poly はユニークで、自発的で微妙なインスタントコ ミュニケーションを提供する。何マイルも離れていても、ジェスチャーで、親密な親しみを相手 にもたらすことができる。 Julie Andreyev Simon Overstall Emily Carr University of Art + Design Wait 随伴性をもつ生物種と人間との関係性が批評の出発点であり、Wait の中で探求されている。人間 とイヌ科の動物のコミュニケーションの調査がこの対話型ビデオ装置で行われた。観客の動きの ヒントをこの装置で観測し、人間と動物間のコントロールの関係にビデオのポイントを合わせて いる。ビデオに映された犬は、観客に直接目をやり、一時停止の状態で指示を待っているように 見える。そして観客は、その犬と自分との関係を尋ねざるを得なくさせられる。このようにして、 本作品では家という空間を分かち合う人間と随伴性をもつ生物種との複雑な関係について表現し ている。 なお、Wait はカナダの Banff にある The Banff Centre の Banff New Medeia Institute と の共同プロデュースによる作品。 Jawshing Arthur Liou Indiana University The Insatiable Insatiable は、台湾の夜市で撮影された映像から成るビデオ作品であり、Things that are edible (食用であるもの)シリーズの一部である。なお、同シリーズは 16 年間の海外生活の後に、作 者の故郷である台北に居住した間に作成された。レンズベースの表現とデジタル・ポスト・プロ ダクションの両方を用いたこの作品で、作者は認識可能なイメージを意識のみが到達できる領域 に変換することを目指している。本人の自宅から半マイル離れた場所にある街灯や歩行者などの 風景が、蛇や竜、または巨大な腸にさえ見える巨大な生物の体に変換される。「私たちと食物、 そして食物文化との親密さは、何においても私が一番に選択する主題だ。この作品ではデジタ ル・ポスト・プロダクション・ツールを使い、夜市を空に広がる巨大なボディーへと転換した。 そして、結婚披露宴は宝石をちりばめたプレートに、そして母の米料理を風景へと転換した」と Liou は言う。こうして、彼は「その物自体の価値を認める饗宴」を創造するのだ。 Yunsil Heo Hyunwoo Bang School of Mechanical and Aerospace Engineering Seoul National University Memoirs Memoirs は、インタラクティブな作品である。そして これは、幸福を求め家電発明に奮闘する 人類の歴史を綴った伝記だ。作品の一部はテレビのブラウン管パネルで構成され、上にはポラロ イドカメラが付されている。アンティークな外観が、昔ながらの家電に対する郷愁の気持ちを刺 激する。この装置に近づくと、カスタムメードのポラロイドカメラが、自動的にあなたの顔を認 識し、撮影をする。写真の紙が下に落とされ、バーチャルな内部にちらばった写真の束の上に落 ちる。そのデジタル・データは地球を半周移動し、遥か極東の国にあるウェブ・サーバーへと到 着する。印刷所にフィルムを持っていくように、スタックからウェブ・アドレスのプリントされ たカードを受け取ることで、古き良き時代の追憶にふける空間が創造される。ウェブ・サーバー 上で写真を積み重ねることで、我々はこの作品を通して 1 つの伝記を共に作り、共有している。 Peter Michael Traub ItSpace ItSpace の最初のバージョンで、作者は自分の家にある日常的なものを取り上げたウェブサイト (MySpace:2007 年)に 9 つのプロフィールページを作成することによって、オンライン・ソ ーシャル・ネットワークの慣習を覆した。 各ページには物体の写真があり、その説明と共に音 楽が 1 分間流れる。そして何よりも重要なのは、その音が、そのページに載せられた物体を打っ たり共鳴させたりした音の録音から成っているということだ。各プロフィールページの「物た ち」はお互いを「友人」としており、サイトの閲覧者は新しい ItSpace を作成し、その「友人た ち」の友達になるべく招待メッセージを受ける。 ItSpace の形而下なバージョンでは、オリジナ ルの 9 つの物体が、バッキングボードに貼付けられた写真を通して物理的な世界に一部戻ってき たように表現されている。 それぞれの写真の物体にはボタンを埋め込まれていて、 観客がボタ ンを押すと、リアルタイムでその物体の音のリミックス音楽が 1~2 分間流れる。リミックスは 同じものではなく、観客は、複数のボタンを押して、リミックスのコラージュを実現することが できる。インタフェースの観点からは、インタラクティブの可能性は、押しボタンスイッチによ って制限されており、それはちょうど Facebook や MySpace などのサイト上で、インタラクシ ョンとコントロールが、コマーシャル・ソーシャル・ネットワークの領域内で厳格に制限されて いるのと似ている。作者はこう言っている。「ItSpace は私と私の家にある物体との想像上・現 実上の関係を明らかにするものだ。それを観る者や聴く者に、プロフィールページで伝えること ができなかった方法で、私が住んでいる空間を伝えることを可能にする」。 Philipp Engelhardt HfG Karlsruhe Hildapromenade 4 フィリップ・エンゲルハートの Hildapromenade4 は、彼が道で見つけたアルバムの写真の不思 議な「合間」を可視化している。 3D 技術とアニメーションを結合し、画像にある女性の世界に 観客が入っていくために、8 つのオリジナルのポラロイドイメージを使い、新しいコンテキスト 内で彼女の話を物語る。 エンゲルハートは、グラフィックな材料を使い、既存のイメージと組 み合わせて彼独特の効果を発揮させている。イメージの結合と再構成が繰り返されることで、観 客は新しいコンテキストを見ることができる。じっと観察しても、画像で目に見えるような訂正 はすぐに明らかにできない。この画像に加えられた訂正や修正は、インタフェースが重ねる現実 と考えられる。 エンゲルハートが作品の効果についてこう説明している。「Hildapromenade4 は、アルバムに集められた思い出の値を反映する。写真はハードドライブで蓄積されるにつれ、 捉えどころがない無形のものと化していく。そこで疑問となるのは、そのような非構造化された 視覚的素材をもとに、どんな物語が発見できるかということだ」。 Jack Stenner University of Florida Patrick LeMieux Duke University Open House Open House は,ジャック Stenner とパトリック LeMieux によりビジターがゲーンズビル(フロリ ダ)の「不良」の家にテレマティカリーに不法占拠することができる作品である。この 1617NW12 通りにある家は、住宅崩壊で差し押さえられている過程で、財政上の苦難に陥って いる。バーチャル・マーケットが、さもなくば住み良いこの場所を廃屋に変えている。この作品 では、個人がバーチャルで不法占拠者の役割を引き受け、権利をもはや剥奪されたこの空間の再 成を可能にさせている。ドアを開けたり、ライトをちらつかせたり、シャッターをガタガタさせ たりすることで、間接的に放置された場所を占有する。 生中継のビデオフィードバックは、人 のバーチャルな動きとリアルタイムの物理的効果を統合させている。 Open House を通し、バー チャルな不法占拠者が一時的にマーケットを反映させ、仮想のものと同様に物理的なスペースを 占めるハイブリッドの被験者になることによって、追い立てに抵抗できる。砂の上に家を建てる 愚かな者のように、我々は、構造が私たちの周りで崩れるのをただ観察する。 Andrea Zapp Manchester Metropolitan University Third Skin 作者の「Textile Media Narratives」の実験のなかで、「アナログは新しい Digital に」なる。彼女 の作品は、織物のプリントやイメージ・パターン、刺繍技術その他の物理的対象や装飾のフォー マットを通じ、共通空間のマッピングとデジタルメディアの可能性を探求している。 Third Skin では、作者は我々の近くにある社会的・計数的・都会的地区とその内部のイメージをキャプチャ ーし、それを織物やドレスのデザインに転換させた。『メディアが身体の拡張であるように、衣 服は皮膚の拡張である』というマーシャル・マクルーハンの考えをうまく利用している。写真や 監視カメラ、オンライン映像が、物語メディアとしての手作りドレスの源となり、共同且つ共有 のもの(イメージや計数的・物理的シナリオと対象物)を家庭的・内的なものへと仕上げてい る: 個々の発言と選択肢としての一回限りの衣類として。メディアの表面として、マッピングの 象徴として、そして物質とデジタルが融合する現実の比喩としての Skin がこの作品では探求さ れている。 Georgia Wall School of the Art Institute of Chicago Nick Bastis University of Chicago Reveries and Line Drawings Reveries and Line Drawings において、アーティストらは、アナログとデジタル技術の両方を用 い、蓄積された空間的空想を想起し表現する手法を呈示している。 彼らは自分達が一度も訪れ たことのない場所を、他人の記憶を元に可視化させた。レベッカ・ゾラック(シカゴ大学の美術 史家)は、Art&Soul と呼ばれる 1968 年~1972 年の間シカゴ近郊の Lawndale に存在し当時のシ カゴ現代美術館(MCA)とストリート・ギャングによって設立された実験的芸術センターを表現 した。彼女にとっては時代を越え遠く離れた場所である。一方、アンドリュー・ノーマン・ウィ ルソン(シカゴ美術館付属美術大学(SAIC)の MFA 候補)は、インターネットを通じて知り合 ったインドのバンガロールにあるプロジェクト協力者の家を表現した。 ビデオをベースとした デモンストレーションにより、物理的に存在しなくとも、テクノロジーと記憶を利用することで 空間を視覚化することができるフォームの位置付けを実現させている。
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