vietnam legal update

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ベトナム最新法律情報
2013年2月
事業登録における事業目的と
コードの取扱
日本では会社の定款に事業目的を記載する必要がありますが、会社法制定前は商
号専用権制度との関係から、登記実務上、事業目的の明確性・具体性が厳格に求め
られていました。会社法の施行により商号専用権制度が廃止されたことに伴い、その
要件は緩和され、また事業目的の最後に「前各号に附帯関連する一切の事業」とい
う文言を入れることが一般化しているため、事業目的の範囲が問題になるケースは
少なくなっています。他方、ベトナムでは、企業は自らが行おうとする事業目的(事業
の種類)を当局に登録する必要があり、企業が行うことのできる事業活動は、登録
されて事業登録証や投資許可証に記載された事業目的に限られると考えられていま
す。したがって、企業の事業目的をどのように記載するかは重要です。この点について
のルールを定めているのが2010年4月15日付の法令第43-2010-ND-CP号(以下「法令
43号」)でしたが、2013年1月9日付で、これの一部を改正する法令第05-2013-ND-CP号
(以下「法令05号」)が公布され、2013年2月25日から施行されました。本号ではこれ
に関連して、事業登録における事業目的とコードの記載について概説します。
事業セクタコードの記載
法令43号は、企業の事業目的を、決定第10-2007-QD-TT号(以下「決定10号」)及び
決定337-2007-QD-BKH号(以下「決定337号」)にしたがって最大12桁の数字で定め
られた事業セクタコードで特定しなければならないとしています。法令43号では、こ
れらの事業セクタコードの特定を求める目的は統計的な情報の収集にあるとしてい
ますが、同法令は同時に事業目的の登録のための申請書類においても企業がその
事業セクタコードを特定し、記載することを要求しています。
このことは、時として企業にとって重大な障害となることがありました。企業が行おう
としている事業に対応した事業セクタコードが定められていない場合や、その事業と
対応しそうな事業セクタコードの表現とが適切に合致していない場合がありうるから
です。
法令05号による改正前の法令43号は、このような事態が起こった場
合、当局が計画投資省に対して通知を行う義務を課し、それによって
計画投資省が新たな事業セクタコードを設定することができるよう
にする制度を用意していました。しかし、改正前の法令43号では、当
局は計画投資省によって新たな事業セクタコードが設定されるまで
企業の事業目的の登録ができないことになっていました。そのため、
企業の登録手続に際して大幅な遅滞が生じる可能性がありました。
この点、法令05号による改正後の法令43号は、かかる遅滞を解消す
べく、当局から計画投資省への報告をするに留まらず、当局に事業セ
クタコードなしで企業の事業目的を登録することを認めることとしま
した。かかる改正によって、対応する事業セクタコードがない場合で
あっても、スムーズな登録手続きが行われることが期待されます。
CPCコード
ベトナムで外国投資家が、投資証明書を取得する際には、各当局に
よって取り扱いは異なりうるものの、投資証明書の申請書類に、上
述の事業セクタコードに加えて、各サービス毎に国連中央生産分類
(CPC)コードも記載する必要がある場合があるため、これについ
ても確認が必要です。このCPCコードは、ベトナムが世界貿易機関
(WTO)に加盟する際にした、サービス分野に関して外国投資家に対
して一定の市場開放をする旨のコミットメント(以下「WTOコミットメン
ト」)の中で使われているものです。
外国投資家が行うプロジェクトがWTOコミットメントで市場開放が認
められた事業分野のものであれば、当局はそれにしたがって当該事
業目的を認めることになります。他方、もしプロジェクトがWTOコミット
メントで言及されていない事業分野に該当する場合には、当局はそ
の他の国内法を参照してそれにしたがってライセンスの有無を検討
することになりますが、国内法でも外国投資家の参入について特に
定めがない事業分野の場合の対応は、当局により異なっています。
この場合、実務上多くの当局は、特に国内法上制限が課されていな
い以上外国投資家の当該事業目的を認めても問題がないと考えてラ
イセンスを与えますが、一部の当局では、政府がWTOコミットメントで
市場開放を約束していない以上外国投資家の参入は認められない
という考えを取ることがあります。
また、CPCコードと事業セクタコードの分類は、必ずしも同一のもので
はないため、事業目的の内容によっては一方ではひとつのコードに
含まれるのに、他方では複数のコードに亘ったり、CPCコードに該当
があっても事業セクタコードに該当するものがないということもあり
えます。そのような場合にも、上述のように事業登録手続が遅滞する
場合がありましたが、今般の法令05号の改正により当局による事業
セクタコードなしでの企業の事業目的の登録が認められたため、問
題が解消されることが期待されます。
なお、国連が定めているこのCPCコードにはいくつかのバージョン
がありますが、ベトナムのWTOコミットメントにおいて使われているの
は、ベトナムが加盟に向けて交渉を行っていた時点で使われていた
暫定版(Provisional Central Product Classification)です。そ
の内容は、現在の最新版である2.0版などとは若干異なる箇所があ
り、同じ番号でも分類されている事業の内容が異なっていることもあ
りますので、WTOコミットメントの内容を確認する際には、CPCの暫定
版を参照することが必要です。
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