SEMI News - SEMI.ORG

SEMIの最近の活動から
五輪発祥の地アテネで開催された21世紀最初の夏季オリンピックにおける日本選手の
素晴らしい活躍は世界を驚かせ、我々にも多くの感動と興奮を与えてくれました。同時
に世界の頂点に立つことの非情なまでの厳しさと難しさもひしひしと伝わって参りま
した。
日本の半導体業界も昨年より今年にかけ目覚しい回復を遂げつつあり、世界より日本の
優れて高い技術力が再認識されていますが、これもバブル経済の徹底した分析と謙虚な
反省に基づく産官学一体となった新生への執念と努力の賜であり、この勢いをいかに持
続し更なる発展に繋げるかが今後の最重要課題といえます。アテネ五輪は各競技者の
不屈の意志に加え、世界各国挙っての健全な競争と切磋琢磨が技の向上と記録への挑戦
にとっていかに重要であるかを鮮烈に教えてくれました。SEMIのミッションは、まさ
しくそうした健全でグローバルな競争を通じての業界の健全な発展を促進するさまざ
まな場を提供していくことであります。
こうした場の最大の一つである恒例のSEMICON Westが、今年も去る7月12から16日
の5日間サンフランシスコのモスコーニ・センターとサンノゼのコンベンションセンタ
ーで開催され、昨年後半よりの業界の活況を受け、出展者の皆様にもご満足いただける
活気に満ちた展示会となりました。特に今年は、改めて展示会の意義を問い直し、新し
いバリュー創出を追求した結果、ユーザートップによる会期を通しての日ごとの基調講
演、デバイスメーカー商談ルーム、オンサイト出展申し込み、等々の新機軸を導入し、い
ずれも好評を博しました。なお、今般やっとモスコーニ・センターに待望久しい新しい3
階建の西館が完成し、来年よりはサンノゼ会場開催はなくなり、再びモスコーニ・センタ
ーでの3日間(7月12日
(火)から14日
(木)
)開催となります。
8月11日から13日にかけては、中国江蘇省昆山市で第一回FPD China 2004が開催さ
れました。昨年8月開催予定がSARSで中止となり、一年遅れの開催となりましたが、
FPDの専門展示会としては中国で初めてであり、昆山市の強力な支援も得て日本を中心
とするご出展社の皆様から、出展して良かったとの有難いご評価をいただくことができ
ました。来年は場所を上海に移し、3月下旬に開催の予定です。中国では半導体産業に
続き、FPD産業も急速に立ち上がりつつあり、特に巨大なマーケットを背後に控え、市場
の将来性には疑問の余地がありません。SEMIとしてはFPDの展示会のみならず、スタ
ンダードその他の分野においても中国における活動を一層強化すべく、SEMI中国事務
所の拡充を着々と進めております。
9月13日からは台北市でSEMICON Taiwanが始まり、10月3日からは20週年を迎えた
恒例の国際トレードパートナーズ会議 (ITPC) を米国ハワイ島で開催いたします。功
労者の表彰やITPCの歴史を振り返る等、数々の記念行事も予定しておりますので、一人
でも多くの皆様方にご参加賜りますようお願い申し上げます。
真夏日連続40日を記録した歴史的な酷暑の夏も去り、爽やかな秋が訪れました。皆様方
のますますのご健勝とご活躍をお祈り申し上げます。
SEMIジャパン
代表 内田 傳之助
2004, 9-10
Contribution Article
「脱工業化社会論」は幻想に過ぎない
株式会社工業調査会代表取締役会長 志村 幸雄
もう大分前になるが、米国でも日本でもモノづくり、すなわち製
人)」 であると同時に、「ホモ・フ
造業は時代遅れで、先細りしていく産業だという見方が一世を
ァーベル
(Homo Fabel=工作す
風靡した。それに取って代わるのがサービス業、いやその一
る人)」 であると言われる。ベン
角を占める情報産業だというのだ。この思想的背景をなした
ジャミン・フランクリンが 「人間は
のが、米国の社会工学者、ダニエル・ベルによる 「脱工業化社
道具を作る動物(Tool making animal)
である」 と定義している
会(Post-Industrial Society)論」 である。
のも、同じような考えからだ。つまり、モノづくりの行為自体は、
思考の行為と同様に人間固有の営みであり、きわめて根源的
しかし、この種の議論が非現実的なもので短絡的であること
なものと言ってよい。製造業はその営みを組織化し、経済の
は火を見るより明らかである。2004年版 「ものづくり白書」 に
仕組みの中に取り込んだものだ。
よれば、わが国製造業が創出する付加価値額のGDPに占め
るシェアは、2002年時点で22.6%と高水準にあり、さらにそれに
日本人がモノづくりの技術を自家薬籠中のものにし得る素質を
伴う流通業、電力・ガス供給業など他産業の付加価値類増加
備えていたことも幸いした。黒船を率いて江戸幕府に開国を
分を加えると、その1.55倍の35.0%の規模に達する。
迫ったペリー提督は、今から150年も前に、「実際的及び機械
的技術に於て日本人は非常な巧緻を示している。そして彼等
実際、デジタル家電ひとつとっても、2003年時点の国内生産額は
の道具の粗末さ、機械に対する知識の不完全さを考慮すると
3兆3,341億円に達し、付加価値額は8,808億円に上った。のみ
き、彼等の手工上の技術の完全なことはすばらしいもののや
ならず、わが国経済活動全体に占めるデジタル家電関連の全生
うである。・・・人民の発明力をもっと自由に発達させるならば
産額は7兆466億円、それに関連した付加価値額は2兆7,238億
日本人は最も成功している工業国民に何時までも劣ってはゐ
円にも上る。これらの数字の中には、もちろん半導体・液晶デバ
ないことだらう」(
『日本遠征記』岩波文庫版)
と述べている。国
イスなどの部素材やそれらの製造工程で使用する機械類が含
のかたちをモノづくり能力との関連で予見した卓見である。
まれているが、この種の生産誘発効果や付加価値誘発効果は
現に今日の日本はペリーの予言通り世界有数の製造業国(ペ
製造業ならではのもので、サービス業には望むべくもない。
リーの言うmanufacturing nation)
として存在感を発揮している。
製造業が研究開発活動の中心的役割を果たしていることにも注
最後に、にもかかわらず工業化社会は衰退して情報化社会に
目したい。経済成長に対する技術革新の寄与度は通常、全要
移行するという論者には、こう答えたい。
素生産性
(Total Factor Productivity)
によって示されるが、90年
工業化社会と情報化社会、製造業とサービス業は、本来ゼロ
代以降は一時期を除いて伸び悩んでいる。しかし、少子高齢化
サムゲームや二者択一的な視点で捉えるべき性質のものでは
や生産拠点の海外移転などを考えると、同じ経済成長要因の
ない。両者はもともと相互依存的、相互補完的なものであり、
労働要因、資本要因は縮減傾向にあり、技術革新へ向けた研
一方が消滅して、他方がそれに代わるといったものではない。
究開発投資こそが積極的役割を果たすと考えられる。その点、
ダニエル・ベル流に 「脱工業化」 の結果として情報化社会が
日本の製造業は依然、健全性を維持しており、民間研究開発費
到来するというなら、それと同時に 「高度工業化社会」 がやっ
に占める製造業の割合は89.6%
(1999年)
に及んでいる。この数
て来ると言いたい。
字は米国の64.2%、英国の79.6%と比べてもかなり多目の数字
で、その分だけ製造業の自律的な成長が期待できるのである。
米国の製造業が競争力を失った1980年代末、『脱工業化社会
の幻想』
を著したスティーブン・S・コーエンらはこう述べている。
以上の事例が示すように、製造業は依然、経済成長の牽引力に
「しばしば新しい概念がわれわれの幻想をつかまえ、経験の中の
なっており、製造業を抜きにした日本経済の安定成長は考えられな
ある要素に反響し、世界観を色づけする。脱工業化社会の概念
い。「日本経済、製造業なければただの箱」と言われるゆえんだ。
はまさにそのようなものである。・・・脱工業化社会などは存在せ
ず、ある工業経済がもう1つの工業経済に代わるだけである」
ところでもう少しモノづくりの本質論に踏み込んで考えると、人
日夜、モノづくりに励んでおられるSEMIジャパン会員には、使
間は古来、「ホモ・サピエンス
(Homo Sapiens=知恵のある
命感を持って大いに頑張っていただきたい。
9-10, 2004
1
Article from SEMICONDUCTOR Manufacturing
社内生産かアウトソーシングか:後工程の不透明な未来
−SEMI機関誌
「SEMICONDUCTOR Manufacturing」記事より−
本稿は、SEMI本部発行の月刊誌「SEMICONDUCTOR Manufacturing」に
よりこれらの技術への投資を継続していますが、IDMの多くは
掲 載された「IN-HOUSE or OUTSOURCED: Final Manufacturing s
景気の停滞時に投資することに非常に慎重で、新技術を適所
Uncertain Future」の抄訳です。
に配置してこなかったのです。自社のパッケージングのすべて
を社内で行ってきた大手のIDMでさえも、これらの新技術に圧
後工程(組立工程と検査工程)
のアウトソーシング
(業務委託/業
倒されているところがあります。当社は、他社よりもシステム寄り
務代行/外注)
が従来にも増して活気づいている。独立系の後
のエンジニアリングをOEMとIDMに提供しています」 とAmkor
工程専業企業は、設計、生産技術、テストなどの専門技術を強
社のFreymanは語っている。
化し、アウトソーシングの流れを進展させている。
同社の副社長Jeffrey Luthは、「アウトソーシングは従来より戦
「アウトソーシングの流れは加速しています。この分野の世界市
略的になっています。以前は技術力のオーバーラップが必要と
場は2003年には65億ドルでしたが、2007年には130億ドルから
されていましたが、今では、IDMが自社で保有していない技術
140億ドルに膨らむと予測しています」
と、Amkor Technology社の
をアウトソーシングすることが多くなっています」 と付け加えた。
社長Bruce Freymanは述べている。
また、同社は最近、ウェーハレベルのパッケージングの後工程事
事実、エレクトロニクス産業の後工程専業企業やEMS(Electronics
業と技術のライセンス契約を日本のカシオマイクロニクス社と締
Manufacturing Services)
企業の利用率は低く、その表面を撫で
結した。
ているにすぎない。「EMS業界は潜在市場全体のまだ20%に進
米国や欧州社に比べて日本のIC企業は、アウトソーシングの導
出しているにすぎない。現在のEMSの中核は、電気通信、コンピュ
入が遅かったが、多くの後工程企業が日本企業との取引を始
ータ、ネットワーキング、ストレージ分野であるが、自動車工業、医療
めるにつれて、これらの状況も変わってきている。台湾の後工
分野および航空宇宙分野でも新興市場が生まれようとしている」
程専業企業のASE社は、最近、日本のNECエレクトロニクス社と
と、Solectron社の社長Mike Cannonは語っている。
の間で戦略的なパートナーシップを結んだ。このパートナーシ
しかし 、OEM( Original Equipment Manufacturer)
とIDM
ップには、4年間の後工程製造サービスとともに山形県東置賜
(Integrated Device Manufacturer)
から外部に委託される比率
郡高畠町にあるNECエレクトロニクス社のIC後工程事業をASE
が更に増加し得るのか、という疑問も依然としてある。エレクト
社が買収するということが含まれていた。
ロニクス製造のうち最低80%は社内製造が残るというのが業界
先進的なアウトソーシング企業は新規ビジネスを獲得するため
基準として一般に受け止められており、この割合を減らすのはか
に、世界中のOEMやIDMと絶えず対話を重ねている。「大手顧
なり難しいものがある。電気通信、コンピュータ、携帯電話など、
客に対する私の主張は、『製品にまだ触り続けるのですか』
とい
市場によってはアウトソーシングの導入率は高いが、その他大半
うことです。EMS企業はサプライチェーン全体を引き受けること
の主要産業の導入率はかなり低い。
になると思います。このためには、修理とロジスティクスが鍵を握
EMS企業の技術力が増すにつれて、今後は後工程ファウンドリ
ると思っています。顧客のために、当社はその信頼性テスト全
ーがきわめて魅力的になる可能性がある。現在は競争上の理
体を引き受けます」 とSolectron社のCannonは述べている。
由から、ウェーハレベル・パッケージング、フリップチップ、SIPなど
OEMやIDMの多くは、垂直統合型アプローチの比重を低下さ
の最先端の技術は社内製造を選んでいるが、今後は、コスト削
せようとしている。その動きにもかかわらず、後工程専業企業は
減だけでなく技術上のメリットも提供できる後工程専業企業も
新しいビジネスの獲得能力を高めるにつれて、垂直統合型への
最先端技術を獲得し、アウトソーシングのパートナーとなる。
傾斜を強めているというのが最近の見方である。「パッケージ
事実、独立系の大手専業企業は、この最先端技術の一部補足
ング企業とテスト企業の多くが垂直統合型を強化しています。
作業をアウトソーシングするように積極的に働きかけており、ファ
彼らは、コスト削減するには垂直統合が一番効率的と考えてい
ブレスIC企業や、この前の景気低迷時に新技術への投資を制
ます。このことは、OEMビジネスで続いている動きとは逆のこと
限してきたOEMとIDMは、既に予定顧客になっている。
です」 と、調査会社TechSearch International社の社長である
「IDMの多くが、フリップチップ、カメラモジュール、ダイパッケージ
Jan Vardamanは述べている。
スタック、パッケージスタック、チップスケールパッケージなどのハ
しかし、今まで、基板・システム組立に特化したEMS企業とICの
イエンドなパッケージで当社を頼みにしています。当社は従前
後工程専業企業は、お互いの縄張りには近づかないできたと
2
2004, 9-10
Article from SEMICONDUCTOR Manufacturing
観測筋は言う。
活用します」
とも彼は付け加えた。
パッケージング/テスト会社STATS社とChipPAC社は最近、合併
IC組立部分をかなりアウトソーシングしていても、テスト部分の大
することで合意し、力を合わせて高度なパッケージング/テスト技
半はこれまで社内で処理しているOEMとIDMに対して、そのテ
術を強化することにした。「業界のこの前の不振は、経営の合
スト部分も外注するように説得するのも、後工程企業が成長で
理化、サイクルタイムの短縮、コスト競争力強化に注力することの
きる一法だと関係者の多くが語っている。後工程専業企業は、
必要性をIC企業に痛感させるものでした。アウトソーシングを持
広範なプラットフォームの選択肢とテスト処理能力を顧客に提供
続的に促進させる要因は、技術の急速な変化、容赦のない価
するだけでなく、別の方法でも自社の顧客に対してかなりの便益
格圧力、および市場のグローバリゼーションです。後工程専業
を提供できる。それは、製品設計サイクルの初期段階から、設
企業は顧客に対し、個別の技術やサービスではなく統合したソ
計分割の提案、パッケージ選択とテスター選定のコンサルテー
リューションを提供することにより、最大の価値と効果をもたらす
ション、テスト費削減計画を用意することから始まる、とSTATS
ことができます」 と、STATS社のマーケティング担当副社長の
社のOsmunは言う。「ICのサイズと性能が増大するにつれて、テ
Jeff Osmunは述べている。
ストプロセス自体もIC チップのトータルコストの割合を徐々に高
サイズの縮小、機能の向上、チップ速度の高速化、システムの高
めます。設計サイクルの早い段階で顧客と連携することにより、
密度化を求める市場需要に引きずられて、IC企業はデバイスの
SATSプロバイダーはテスト方法の設計を通して、設計テスト能
物理的なレイアウト、伝熱能力、組立、テストが複雑化して行く課
力の向上、テスト時間の短縮、テスト範囲の拡大、スループットや
題に直面している。これらの要素は、チップサイズの拡大、ピン
品質の向上、テスト費用の削減、市場投入時間の迅速化を図
数の増加、テスト時間の延長につながり、コストとサイクルタイム
ることができます」。
にマイナスに作用することがある。
Amkor社では、「テストからの収益は、2002年から2003年にかけ
「技術や必要生産能力に対応するために、OEMやIDMが費用
て40%増加しました」 とFreymanは語った。「当社は、これまで
を全面的に負担する代わりに、彼らは専業企業の助力に頼っ
の4、5年間でかなりの資本をテスト技術に投資してきました。そ
て、ダイスタックやSIPなどの複雑な統合技術を推進することが
のおかげで、当社のテスト技術に対する関係者の信頼感は高
できます」と彼は述べている。
まっています」。
「専業企業は、技術の促進力として、設計サイクルの初期段階か
「顧客は売上利益率の向上を望んでいます。どのようにして、
らIC企業と緊密に連携し、パッケージ設計の最適化、テスト時
我々は売上利益率と経営プラットフォームを改善しますか?」 と
間の短縮、性能基準を満たし、市場投入時間の厳しい期限設
Celestica社のJohn Perriは問いかける。「当社が行う投資は多数
定に対応するコスト効果の高いパッケージを提供することがで
の顧客によって償却されます。顧客はもっとも競争力のあるソリ
きます」。Osmunが重ねて言うには、IC企業も製造拠点を主要
ューションをそこから得ようとします。当社は相互のやり取りで
な場所に備えるという市場の圧力にさらされているこという。「IC
生じるコストを最小限に抑えて、OEMとEMSが同一分野に重複
企業の多くは、コストとサイクルタイムのメリットを備えた場所にし
投資することを排除する必要があります。OEMとEMSはシーム
っかりした設備を持つ専業企業に頼ることになると思います」 と
レスでなければなりません」。
彼は語る。
自動車工業、航空宇宙、軍事関係が将来の成長機会がある市
もちろん、先進的なIC企業の多くは、社内に大規模な後工程能
場分野であるとも彼は語った。これらのセクターはすでにある
力を維持している。元の親会社のLucent社とAT&T社から優
程度アウトソーシングを行っているものの、独立系の後工程専業
れた後工程部門を継承したIC企業のAgere Systems社は、自
企業がこれらの市場に供給するには、特別な証明書や特殊な
社の後工程作業の大半をシンガポールとタイで行っていると、同
条件を満たす必要がある場合が多いとPerriは言う。しかし、
社の後工程担当副社長のJohn Pittmanは述べている。「当社
「将来EMS企業がこれらの市場から、コンピュータや電気通信
は工場全体でサイクルタイムを改善しており、通常は、組立・テス
と同じ恩恵を受けるのは確かなことです。当社は新しい市場
トを48時間、プローブを36時間、合計3.5日間で行います。また、
に期待していますし、新しい市場は従来の顧客同様に当社に
プローブ、組立、テストの工程を同じ場所に設置すると数多くの
多くを期待しています」 と付け加えた。
メリットがあります」 と彼は述べている。それでも、「当社は後
工程が好きだからといって後工程を行うことはありません。当社
著者紹介:Bernard Levine
は、顧客に対する対応は他社より優れていると思いますが、そ
Electronic Newsの前編集主幹。表面実装技術の黎明期か
の鍵は、柔軟性とサイクルタイムです。柔軟性の増加とサイクル
ら、コンポーネントパッケージング、組立、およびテスト上の課題を取
タイムの改善、そしてコスト減が見込まれる場合は専業企業を
材対象にしてきた。連絡先はblevine777@msn.com
9-10, 2004
3
Market Statistics
SEMIマーケット・レポート
−2004年半期市場は好調推移、前年同期比134.1%増の201億3,700万ドル−
グローバルネット株式会社 代表取締役 武野 泰彦
■ エレクトニクス産業を支援するチーム作り
ている
(図3)
。2004年6月の受注額が前年同月比136%増、前
アテネオリンピックは、日本に16個もの金メダルをもたらして幕を閉
月比0.8%増の37億3,500万ドルであった。出荷額が今年度最
じた。日本の東京オリンピック以来の好調は、スポーツに対する
高の37億5,000万ドルでB/Bレシオが0.99であった。2004年1月
日本の取り組みが変わったことだと言われている。選手の育成
から6月までの半期合計を見ると、受注額が前年同期比134.1%
に対する各競技団体の取り組み、個人に対するコーチ、
トレーナ、
増の201億3,700万ドルと前年の2倍以上になった。2000年が過
メンタル面のトレーナ等、スポーツを科学的に取り組むチーム作
去最高となり269億1,800万ドルと過去最高であったが、それに
り等が、大きな要因だといわれている。日本の選手が、期待に
肉薄している
(図4)
。日本市場は2000年半期受注合計額が50
対する重圧に負けることなく自分の能力を出す姿には頼もしい強
億4,400万ドル、販売額が40億1,400万ドルで、B/Bレシオは1.25
さが感じられる。日本のエレクトロニクス産業はこのような体制作
であった
(図5)
。2001年は前年同期比32%減の34億2,900万ド
りができているのだろうか?国立大学の独立法人化、コンソーシ
ル、B/Bレシオが0.66、2002年同期の受注額は前年比55%減
アムの在り方、企業の新事業開発、ベンチャー企業への支援、
の15億4,100万ドル、2003年は前年同期比65%増の25億4,300
世界最高の支援体制を作ることができているのだろうか。
万ドルと増加し、2004年の同期受注額は前年同期の65%増の
■ 5月、6月において地域別でトップになった台湾市場
41億9,700万ドル、販売額は2000年を上回る41億2,900万ドル
半導体関連株は不調であるが、Worlwdide SEMSのデータは
となり好調である。米国市場の2000年半期受注額は72億1,600
好調である。2004年5月の受注額が37億500万ドルとなり、前年
万ドル、販売額は56億5,600万ドルでB/Bレシオが1.30であっ
同月比142.6%増、前月比5.8%増であった。出荷額が25億
た
(図6)。2003年の半期受注額は前年同期比21.9%減の20
6,400万ドルでB/Bレシオが1.4となった
(図1)
。地域別に受注額
億4,900万ドル、B/Bレシオは0.83と最悪であった。しかし、
を見ると、台湾が5月からトップシェアに踊り出て6月も維持して
2004年の受注額は前年同期比60.8%増の32億9,500万ドル、
いる
(図2)
。日本も好調であるが2位の20%のシェアとなった。
B/Bレシオは1.25と拡大基調になっている。回復に入った台湾
また、韓国の受注が拡大していおり、米国に次いで4位となっ
市場は、2003年半期の受注額が前年同期比68.5%減の6億
6,000
2.00
Booking(受注額)
Billings(販売額)
B/Bレシオ
5,000
1.60
1.40
4,000
100万ドル
1.80
ROW
中国
7%
日本
20%
12%
1.20
1.00
3,000
0.80
2,000
0.60
0.40
1,000
0.20
0
1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 3 5
月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月
2000年
2001年
2002年
2003年
2004年
0.00
北米
17%
台湾
21%
韓国
14%
欧州
9%
2000年1月から2004年2月
図1
世界半導体製造装置市場月別推移(SEMI/SEAJ)
北米
日本
図3 2004年6月の世界CVD装置受注市場地域別シェア
(SEMI/SEAJ)
Booking(受注額)
Billings(販売額)
B/Bレシオ
900
800
700
台湾
100万ドル
600
ROW
500
400
韓国
300
200
欧州
100
0
1月
2月
3月
4月
5月
6月
中国
2004年
図2 2004年の月別地域別半導体製造装置受注推移(SEMI/SEAJ)
4
図4 世界半期別
(1月〜6月)
半導体製造装置市場推移
(SEMI/SEAJ)
2004, 9-10
Market Statistics
7,700万ドルでB/Bレシオが0.70と最低の市場であった。しかし、
でB/Bレシオが1.13、2004年は27.8%増の17億2,200万ドルで
2004年は約4.9倍の32億9,700万ドルになり、B/Bレシオが1.25
B/Bレシオが1.05と市場は小さいながらも拡大している
(図10)
。
と今後も拡大傾向が続くと予想される
(図7)
。
■ 新しい半導体製造装置市場の登場
韓国は2003年から好調で、2003年半期の受注合計額が前年
北米最大の半導体製造装置・材料の展示会であるSEMICON
同期比84%増の13億5,400万ドル、B/Bレシオが0.80であった
West 2004が去る7月12日から開催された。SEMICON West
(図8)
。2004年半期の受注合計額は前年同期比94%増の26
2004においての関心の的は、65nm以降のプロセスを睨んだ新
億2,700万ドル、販売額が前年同期比53%増の25億5,900万ド
しい装置や材料であった。注目される新しい装置としては、ナ
ルでB/Bレシオは1.03と、順調に拡大している。中国を含むROW
ノインプリントの装置やALD(Atomic Layer Deposition)装置。
の2003年半期受注額は32%減の10億9,700万ドルであったが、
また 、High-kや 強 誘 電 体 用 途 の Atomic Vapor Deposition
2004年の受注額は、前年同期比289%増の42億6,400万ドルと
(AVD)装置であった。CMP装置ではコスト低減を考えた第3
飛躍的に拡大した
(図9)
。販売額も前年同期比271%増の51億
世代の装置が登場した。今後の新しいプロセス市場を睨んだ
4,200万ドルと、地域別において最高の販売額と受注額になって
競争が展開し始めた。
いる。欧州の2003年半期受注額も44.5%増の13億4,700万ドル
Booking(受注額)
Billings(販売額)
B/Bレシオ
図5 日本半期別
(1〜6月)
半導体製造装置市場推移
(SEMI/SEAJ)
Booking(受注額)
Billings(販売額)
B/Bレシオ
図6 北米の半期別(1〜6月)半導体製造装置市場推移(SEMI/SEAJ)
Booking(受注額)
Billings(販売額)
B/Bレシオ
図7 台湾の半期別(1〜6月)半導体製造装置市場推移(SEMI/SEAJ)
9-10, 2004
Booking(受注額)
Billings(販売額)
B/Bレシオ
図8 韓国の半期別(1〜6月)半導体製造装置市場推移(SEMI/SEAJ)
Booking(受注額)
Billings(販売額)
B/Bレシオ
図9 ROW半期別(1〜6月)半導体製造装置市場推移(SEMI/SEAJ)
Booking(受注額)
Billings(販売額)
B/Bレシオ
図10 欧州の半期別(1〜6月)半導体製造装置市場推移(SEMI/SEAJ)
5
Show Reports
SEMICON West 2004 報告
−モスコーニセンター増築により2005年から1ヵ所開催へ−
去る7月12日
(月)
〜16日
(金)
の5日間にわたり、SEMICON West
2004が開催された。前工程を中心とした展示をサンフランシス
コ・モスコーニセンターにて12日〜14日、後工程を中心とした展
示会をサンノゼ・コンベンションセンターにて14日〜16日の日程で、
例年通り2会場の開催となった。両会場合わせ1,581社(昨年
1,522社)
から3,643小間(昨年3,658小間)
の出展をいただき、盛
況であった。
今年のハイライトのひとつである基調講演は、12日がIntel社フェ
ローの Paolo Gargini氏、13日がMicron Technology社 会長兼
CEOのSteven Appleton氏、14日がAmkor Technology社 社長
兼COOの Bruce Freyman氏とSynopsys社 会長兼CEOの Aart
また、SEMIが主導するEHS推進運動であるGlobal Careでは、
De Geus氏がそれぞれ行った。Gargini氏は 「微細化は2030
同会員を中心に60名が参加したフォーラムで、会員のEHS改善
年頃の1.6ナノまで進展する。また、ムーアの法則は今後10年か
事例等の情報が共有された。
ら15年は引き続き意味を持つ」 と語り、Appleton氏は 「メモリ
本 年 秋にモスコーニセンターの 西 館 が 完 工 することから、
製造では、最新の製造装置を活用したラインがコスト面で最も
SEMICON West 2005は7月12日〜14日の3日間、同センターの
有利になる。技術を一世代スキップしても、その投資額の変化
全館(北、南、西)
を使用して行われる。これにより、1997年から
は極めて少しである」 と述べた。
続いていた2ヵ所開催は解消される。
FPD China 2004 報告
−中国大陸で初のFPD専門展示会−
FPD China 2004が、SEMIと中国電子商工会議所の協力によ
り、去る8月11日
(水)
〜13日
(金)
の3日間にわたり、中国江蘇省昆
山市の昆山科技文化博覧センターで開催された。FPD製造装
置・部品材料の専門展示会は、中国大陸では初の開催となる。
昆山市は、上海と蘇州のちょうど中間に位置し、多くの家電・IT
関連企業が進出している新興工業都市である。展示会に先立
って市の招待により、関係者を招いてのゴルフ大会と晩餐会が
催された。晩餐会には市助役の銭解徳氏が出席して参加者を
氏も講演し、薄型TVによる需要の伸び、特に北京オリンピック
歓迎した。また同氏は、翌日の出展社レセプションにも出席して、
効果への期待を語った。
参加者一人ひとりに地元昆山市への投資を積極的に呼びかけ
展示会には、57社110小間の出展があり、3日間合計で2,540名
るなど、企業誘致に熱心な自治体の姿勢を伺わせていた。
の来場者を迎えることができ、初回としてはまずまずの好スター
併催イベントとしては、マーケットセミナー、生産技術セミナーLCD
トといえた。うち日本企業は、16社あった。会場で出展社にお
編、同PDP/OLED編、チュートリアルセミナーLCD編、同PDP編の
話を伺ってみると、期待した見込客の来場は充分得られたとの
5セッションが行われた。特に初日の特別セッションとなるマー
ことで、来場者の質への満足度は概ね高かった。海外から進
ケットセミナーは、展示会場の隣に位置する昆山市庁舎の多機
出したパネルメーカが顧客としては大きく、大陸独自の客先はま
能ホールで行われ、基調講演では中国情報産業省の季国平氏
だまだこれからとのことであった。もっとも、出展社の多くはその
が、国としてIT産業の保護育成する方針であることを語った。ま
ことは折込み済みで、出展目的は果たされたという声が多く、こ
た、今年度SEMIの会長に就任した東京エレクトロンの東哲郎
の先数年にかける期待が熱く語られた。
6
2004, 9-10
SEMI Standards
SEMIスタンダード活動に参加して
大日商事株式会社 300Ф関連製品部門 大山 幸次
■はじめに
の参加者は、会議の進行ルールへの理解不足や、英語力不足
私がSEMIスタンダード活動に最初に参加したのは1994年の夏
から会議についていけないのが現実であった。しかしフェイス
頃、当時の製造装置委員会であった。ウェーハキャリアは当社
toフェイスの会議やビデオ会議などを年5、6回行うことにより、各
の主力製品であり、SEMIスタンダードへの参加は業務上の技
委員は標準化プロセスへの理解を深め、また読解・表現力を
術動向等の情報を得るための手段であった。参加当初は会社
含めた英語力を少しずつ向上させていった。
にとって有益な情報が得られないかという興味だけで、自分か
(2)
プレゼンテーション能力向上
らの発言や情報のインプットなどは立場上不可能であった。し
300mm標準は新しい概念のため、スタンダード開発中からユー
かし、そのような状況は徐々に変化し、今やSEMI活動を通して
ザーに理解を得るべくセミナーやワークショップを数多く行った。
多くの友人を得、多方面で鍛えられ、また、人間的にも幅が広が
資料は発表者自身が作成し、その後委員全員で内容の検討を
ったと感じている。
行い、完成度を高めてから発表された。
■10年前のSEMI標準化活動
(3)
国際的理解と協調の推進
200mm以下までの装置インターフェース関連の標準化作業は、
海外の委員との交渉では、英会話能力はもとより日頃のコミュニ
当時ほとんどが北米主導であった。日本側から北米の会議へ
ケーションが特に重要である。国内では 「After 5 タスクフォー
参加することはまれで、日本の委員の多くはスタンダードが和訳さ
ス」 と称してノミニケーションを行う一方、海外では、委員会終
れて初めて内容を知るという状況であった。さらに200mm口径
了後にBBQパーティを開催、委員同士の意見交換が盛んに行
までのキャリアは、デバイスメーカーの工場立上げ後に標準化
われ親睦が深められた。最近では、スタンダード会議で久しぶ
する、いわゆる 「後追い型スタンダード」 であった。各半導体
りに会う海外の委員と懐かしさと親愛を込めて抱擁することも
メーカーは独自の自動搬送仕様を採用しており、ユーザーごとにキ
自然にできるようになった。
ャリア形状が異なった。同サイズのキャリアでも互換性がなく、
(4)
説得力とリーダーシップ
寸法規定もロードポート設計に反映できる内容ではなかった。
タスクフォースや委員会では、各社からさまざまな要求や提案が
■300mmウェーハ用装置インターフェース標準化
出されるが、それらは簡単には取り上げられない。スタンダード
300mmウェーハの標準化は、移行前にユーザーとサプライヤが
開発では、その提案者が各委員を説得し、賛同を得てタスクフ
SEMIスタンダードを遵守するという国際的な意思統一が実現
ォースを設立、文書開発を進めて行かなければならない。その過
し、装置、材料メーカー等の要求も充分考慮され、日米欧の半
程で世界各地域
(北米、欧州等)
との協調と理解を図り、最終的
導体デバイスメーカーがGlobal Joint Guidance に合意して国際標
に投票によりその文書をスタンダードとして成立させる。そういった
準として完成度の高いものとなった。しかしながら、机上で開発
活動を通して、真の説得力とリーダーシップが身につくように思う。
された 「スタンダード先行型」 300mm標準は、記述内容に不備
■まとめ
が多く、実装に当たってその矛盾と誤解をなくすための努力が
以上述べてきたように、委員会やタスクフォース活動では、異種
必要となった。そこでスタンダードへのフィードバックと正しい理
の装置、搬送システム、材料、デバイスメーカーからの要求事項
解 を 促 進 する目 的 で 、「FOUP-Load port Interoperability
やさまざまな情報のインプットがあり、その中にはその時点での
Implementation Recommendation」 を作成し、それが大いに役立
生きた技術トレンドが含まれている。貴重なビジネスチャンスが
っている。これらの詳細は、「グローバルスタンダードへの挑戦」
秘められているのである。またさらに、国際会議運営技術、海外
(注1)
に詳しく述べられているので購読をお薦めする。
との交渉力、協調性、説得力、リーダーシップ、それらに必要な
■SEMIスタンダード活動のメリット
英語力が養成される。SEMIスタンダード活動は、ビジネススク
スタンダード開発が主な目的である一方、SEMIスタンダード活動
ールにも勝るビジネススキルと国際交渉力養成の機会を提供し
全体を通して得られたメリットも多い。以下にいくつか述べる。
ているといえる。この活動への多数の参加者を望んでいる。
(1)
交渉力のアップ
300mm標準化活動が始まると、装置・材料の各サプライヤが日
注1:参考文献 「グローバルスタンダードへの挑戦 - 300mm半
本からも会議に参加するようになったが、当初私を含めた日本
導体工場へ向けた標準化の歴史 -」 SEMIジャパン発行
9-10, 2004
7
SEMI Standards
JIG IDタスクフォースの活動報告
−JIG(治具)ID ホワイトペーパー発行−
株式会社キーエンスPOP事業部 角淵 弘一
■ はじめに
■ JIG ID タスクフォースの活動状況
半導体デバイスはますます使用範囲が広まり、自動車や航空
セミコン・ジャパン 2004に併設開催されたトレーサビリティ委員
機のように人命に関わる機械にも非常に多く使用されていま
会において、JIG ID タスクフォースの結成が承認されました。
す。その傾向は、今後も高まることはあっても低下することは
以降、中島氏(TOWA)
、井出氏(アピックヤマダ)
、礒氏(第一
ないものといえます。そのような背景によって、半導体デバイ
精工)
、中村氏(安川電機)
、荻原氏(HA)
と私が主なメンバー
スに対する品質要求は比例的に高まってきました。そして、こ
として月1回のペースで7回タスクフォースを開催しています。タス
のような高い品質要求を実現するためにいくつかの新しいス
クフォースでは、はじめにJIG IDについての要求や運用例をホ
タンダードが必要となってきました。日本地区トレーサビリティ委
ワイトペーパーとしてまとめ、告知した後にスタンダードドキュメン
員会では、このような要請に対して、世界に先駆けて取り組ん
トを作成していく方針として進めています。そのホワイトペーパ
でいます。その1つの課題として、JIG IDの標準化がありま
ーは6月に完成し、同月のトレーサビリティ委員会で発表されま
す。JIG IDタスクフォースは、6月にホワイトペーパーというドキ
した。また同委員会で、スタンダードドキュメントを作成していく
ュメントをまとめましたので、ここでは、その活動とホワイトペー
ことが即時承認されました。
パーを紹介いたします。
■ JIG ID ホワイトペーパー
■ JIG ID スタンダードの目的
JIG ID ホワイトペーパーの概要を紹介します。ホワイトペーパーの
JIG IDは、半導体製造工程で使用される治具になんらかの
本文から一部(4章、6章)
を抜粋して紹介します。
IDを取り付けて、半導体デバイス製造時に使用した治具の使
−以下ホワイトペーパー本文より抜粋−
用履歴を管理することを実現し、半導体デバイス自身の品質ト
4章.JIG IDの要求事項
レーサビリティをより高度なものとすることを目的としています。例
上述したように、今や、JIGのトレーサビリティは、品質保証のた
えば、樹脂封止用モールド金型にIDを取り付けます。モールド
めに欠くことのできないものであり、各JIGにIDを持たせることに
金型は、半導体デバイスの品質に直結した治具です。この金
より、
トレーサビリティが実現できる。それでは、JIG IDにはど
型には、使用条件があり、寿命管理が必要です。またメンテナ
のような情報が必要とされるのかを記述する。
ンスの必要もあります。現在進めているスタンダードでは、これ
例えば、JIG IDが封止用モールド金型に取り付けられる場合、
らの情報管理レベルの向上に大きく寄与することを狙っていま
JIG IDには、金型自身を区別するユニークな情報とその金型
す。それらを実現することで、半導体デバイスの品質トレーサビ
の使用状況を現す可変情報が必要とされる。それらを実現す
リティが大きく向上するものと考えています。
るためには、以下の要求事項がある。
◇ハードウェアに対する主な要求
・金属部への取り付けが可能であること
・耐熱性が高いこと
・耐衝撃性が高いこと
・小型であること
・堅牢性が高いこと
・ローコストであること
◇データに対する主な要求
データの記録方法
・書き換え不可能なデータへの対応:バーコード、2次元コード
・書き換え可能なデータへの対応:RF-ID
図1 JIGID のイメージ図
8
JIG自身を表現する情報は固定であり、使用中に書き換えを許
2004, 9-10
SEMI Standards
可すべきではない。一方、JIGの使用データなどのコンディショ
・金型対応装置
:8文字(固定データ)
ンを現すデータは、使用中に書き換えられる必要がある。
・金型メーカー名
:8文字(固定データ)
・ショット数
:8文字(可変データ)
・その他
:32文字(可変データ)
データのアクセス権限の区分け
デバイスメーカー・装置サプライヤー・JIGサプライヤーなどがJIG
IDを使用することができる。使用方法によって、JIG IDのデー
④J I G I Dを導入する効果
タに対して、読み取りや書き込みの権限を制限することが考え
Ë)JIG IDは以前から導入されているケースが多いが、その情
報量は少なく、生産に関する情報のほとんどは装置側に持
られる。
たせることになっている。したがって、金型が他の生産拠点
◇ユーザインターフェイスに対する主な要求
に移動した場合、そのトレースは困難である。そこでJIG ID
・作業者がJIGのIDであることが見て分かること
にRF-IDを使用することで情報量を多くさせることとした。し
・作業者がJIG ID内のデータの一部が見て分かること
かし、規格化された仕様がないため、メーカー独自のIDが
バーコードや2次元コードでは、そのコードを印字する時に、
使用されており、使用者側の対応が大変である。それでも、
人が見て分かるようにデータの全てまたは一部をラベル
(Tag)
使用金型を明確にし、品質管理レベルを向上することが期
に文字として印字することが一般的である。しかし、RF-ID
待できるため、JIG IDの導入は必要である。
の場合は電子データであるため、書き込まれたデータをこの
ように人が見ることはできない。
Ì)JIG ID導入以前は、装置に金型を装着した時、それらが
一致しているかをオペレータがマニュアルで確認していた。
6章.JIG IDの使用例
JIG IDを導入することで、自動的に金型の種類を判別し、
JIG IDの使用例を記述する。
装置とのマッチングを確認することで、オペレーションミスを
①J I G I Dを取り付ける対象
なくすことを狙う。
ここでは、封止用モールド金型にJIG IDを取り付けることを一
例で取り上げる。
Í)JIG ID導入以前は、金型のショット数管理は、マニュアルで
②J I G I D の方式
行っていた。JIG IDを導入することで、装置に金型を装着
RF-ID
した時に金型から累積ショット数を読み出すことが可能とな
③J I G I D のデータの内容
る。クリーニングなどのメンテナンス時期を逃す問題や寿命
・金型シリアル番号
:8文字(固定データ)
ショット数をオーバーして生産することを自動的に防止し、こ
・金型種類
:8文字(固定データ)
れらに起因する品質劣化を防ぐことが可能となる。
・金型製造年月日
:6文字(固定データ)
・金型対応製品コード
:16文字(固定データ)
⑤J I G I D 導入のシステム環境
モールド装置は、ネットワークにつながっているものもいないもの
も存在する。このJIG IDによるトレーサビリティシステムは、それら
装置のいずれに対しても導入できるものを前提としている。ま
た 、JIG IDの 情 報 は す で に 成 立 して い る SEMI T12
Specification for Tracing Jigs and Implements などの上位のシ
ステムにつなげることで、
トレーサビリティシステムを実現する必
要がある。
■ 今後の見通し
JIG IDタスクフォースでは、イエローバロットを今年12月のセミコ
ン・ジャパンのサイクルに投入し、早期成立するように進めてい
きたいと考えています。ぜひ、ご関心のある方の積極的な参加
図2 封止用モールド成形機
9-10, 2004
をお待ちしております。
9
IC Industry
ひずみシリコンチャネルを用いたトランジスタ開発に向けた基板技術
半導体MIRAIプロジェクト/超先端電子技術開発機構 杉山 直治
■はじめに
の具体的な構造例を紹介する。下地基板としてそのまま利用で
シリコン薄膜結晶層に応力ひずみの加わった『ひずみシリコン』
きるSiGeの結晶基板は工業的には生産されていないため、通
をチャネル部に用いるMOSFETが注目を集めている。本稿で
常のSi基板上にSiGe結晶層を積層することで代用する。このと
は、ひずみシリコントランジスタの構造および注目点、さらには開
き、Si基板上に数μm以上の厚いSiGe結晶層を積層するバル
発に向けた基板材料技術の現状を中心に紹介する。
クタイプの仮想基板と、埋め込み酸化膜を挿入して薄いSiGe結
■ひずみシリコントランジスタとは
晶層と組み合わせるSGOI
(SiGe on Insulator)
タイプに分類で
シリコン結晶部にひずみを印可する方法として、熱膨張係数等
きる。ひずみSi層を形成するための下地結晶層とひずみSi層、
の異なる材料を組み合わせ、部分的な応力を加える方法と、
さらにその上にFET素子を作成した例の模式図を図1に示す。
Si結晶にひずみを与えるための結晶層を下地基板として用意
図1aは通常のSi基板上に、比較的厚いSiGe結晶層を積層して
し、その上全面にひずみSiを積層する方法とがある。基板全
格子緩和層を得るバルク型の仮想基板の例を示す。バルクタ
面にひずみSiを形成する方法では、Si結晶にひずみを与えるた
イプひずみSi基板の作成のポイントは、Si基板と格子緩和SiGe
めに格子定数がわずかにSiより大きな結晶を用意する必要が
層の格子不整合を転位の導入により解消しながら、かつ転位
あるが、その代表例がSiGe結晶である。Si結晶層に加えられ
を基板表面にまで貫通せずに基板内部にとどめておくこととい
た応力ひずみの大きさに応じて、バンド構造の変化に伴うキャ
える。具体的な層構造として、まずSiGe結晶層の厚さを数μm
リアの有効質量の低下、散乱因子の低減などの効果によりキ
と厚くすること、さらにはSi基板上に所望のGe組成のSiGe層を
ャリアの移動度が増大する。具体的には、Ge組成15〜30%の
直接積層せずに、徐々に組成を増加する傾斜組成層を挿入す
SiGe結晶層を下地に用いることにより、電子・正孔ともに1.2倍
ることが貫通低密度低減に有効であることがわかってきている。
から2倍以上の移動度の増大が得られることが確認されてい
バルクタイプのひずみSi基板はすでに商業ベースでの供給がい
る。また、2003年度版のITRS(International Technology Road
くつかのウエファーメーカーより行われており、素子の先行試作
Map)
における、先端FETにおけるチャネル移動度の要求値に
評価も少しずつ進んでいる。
よると、従来のSiチャネルに比べて30%移動度が向上したもの
一方図1bに示すように、Si基板と緩和SiGe層の間に埋め込み酸
がHP90nmの世代で実現されると期待されている。これは素子
化膜を挿入し、SOI構造と融合した構成を用いたひずみSOI基
構造的に部分ひずみを加える方法で達成できると想定されて
板も報告されている。この構造では、ひずみSiチャネルによる移
いる。一方、HP65nm以降の世代ではより大きな移動度増大率
動度の増大と、SOI構造による素子容量の低減を同時に得るこ
を得るために、より大きなひずみ印加が要求されるため、SiGe
とが可能である。作成方法の詳細については次節で説明する。
結晶層を用いる方法の確立が必要と考えられる。
さらに、最近話題となっている局所ひずみを印可する構造につ
次に、SiGe結晶層を下地に用いるひずみSiチャネルトランジスタ
いて簡単に紹介する。図2はソース/ドレイン部分にSiGe結晶を
用い、チャネル部に対して両端から圧縮ひずみ
を印加する例を示す。チャネルに一軸性の圧縮
ひずみを加えたことにより、正孔において30%の
埋め込み SiO2
図1
10
図2
2004, 9-10
IC Industry
移動度向上が報告されている。このほかにSiN膜や、シリサイド
形成される過程で、SGOI層厚さが薄くなると同時に、Ge濃度
膜による応力印加の方法もいくつか報告されている。これらの
が濃縮されることが報告されている。またこのとき、SGOI層内
方法はすでに実用化に近いものもあるが、印可できるひずみ量
にとどまるGe原子の総量は保存される
(厚さが半分になれば濃
に限界がある点、さらには実際の素子構造に大きく依存するこ
度は2倍になる)
ことが確認されている。この方法により、Ge組
とからスケーリングに対するフレキシビリティーが低い
(スケーリ
成30%程度のSGOI基板を得ることが可能となる。
ングごとに素子設計とひずみ設計を行う必要がある)
などの課
さらに、酸化濃縮法では初期基板としてSIMOX法で作成した
題を抱えている。
SGOI基板だけではなく、通常のSOI基板にSiGe薄膜結晶層を
■ひずみSOI基板の作成方法
エピタキシャル成長したものを利用することも可能である。高温
①SGOI基板作成法
熱酸化時のGe原子の拡散は早いため、エピタキシャル成長層
先に述べた通り、ひずみSOI基板の作成は、埋め込み酸化膜
中のGe原子はSOI層に拡散し、深さ方向で濃度の均一なSiGe
上に直接格子緩和したSiGe層の積層構造(SiGe on Insulator:
層ができあがるとともに、先の例と同様にGe濃度の濃縮が可
SGOI構造)
を作成し、さらにひずみSi層を再成長することにより
能となる。以上、2種類の初期基板を用いて酸化濃縮法を適
得られるため、SGOI基板の作成技術が基本となる。SGOI基
用するいずれの場合においても、酸化濃縮工程完了後に表面
板の作成法は、従来のSOI基板策技術を引き継いで発展して
の熱酸化膜を除去し、ひずみSi層を再成長することにより、ひず
きている。まずはSIMOX(Separation by Implanted Oxygen)
みSOI基板を完成させることができる。
法の応用について述べる。Si基板に加速した酸素イオンを注
■ひずみSOI基板開発の現状
入した後、高温アニールを施すSIMOXプロセスを、そのまま
SGOIタイプのひずみ
SiGeをエピタキシャル成長した基板に適用することでSGOI層を
SOI基板はすでに各
得ることが可能である。しかしながらこの方法ではGe組成が
研究機関、ウエファ
10%を超える場合に、SiGe結晶層の融点の関係から高温アニ
ーメーカーなど で
ールの温度条件に制約が加わるために適用できない。より高
200mmサイズの試
いGe濃度のSGOI基板が必要な場合は、後に述べる酸化濃縮
作が進められ、少量
法との組み合わせが有効である。
ながらサンプルウエ
SGOI基板を作成するもう一つの代表的手法として貼り合わせ法
ファーの評価も始ま
があげられる。ここではSi基板上にバルクタイプ基板と同様に厚く
っている。図3は半
かつ格子緩和したSiGe層を形成した上で、表面を熱酸化した支
導体MIRAIプロジェ
持基板に貼り合わせ、SiGe層を埋め込み酸化膜上に積層した構
クトにおいて試作した200mmサイズのひずみSOI基板の表面写
造を得ることが可能である。従来の張り合わせ法によるSOI基板
真を示す。通常のSOI基板上にGe組成15%のSiGe薄膜結晶
作成の場合と同様に、裏面除去の方法としていくつかのプロセス
層をエピタキシャル成長し、さらに酸化濃縮法を施してGe組成
が試みられている。この方法ではGe組成に対する制約は、先に
35%のSGOI基板を形成後にひずみSi層を再成長している。ひ
挙げたSIMOXと比べ軽減される。SIMOX法、貼り合わせ法、い
ずみSi層の厚さおよびひずみ分布、SGOI層の厚さおよび組成
ずれの方法で作成したSGOI基板でも、その上にひずみSi層を再
の分布、いずれも良好な均一性の基板が得られており、微細
成長することでひずみSOI基板を得ることが可能である。
加工が可能な最先端クリーンルームに投入できるレベルのウエ
②酸化濃縮法
ファーが得られている。
SIMOX法で作成した、Ge濃度が10%以下のSGOI層を用い、
■まとめ
図3
SGOI層厚さを薄くし、かつGe濃度を向上させる方法として酸
『ひずみシリコン』
をチャネル部に用いたMOSFETの基板材料技
化濃縮法が提案されている。ここでは、SiGeを高温で酸化した
術について、その特徴および注目点、さらには開発の現状を紹
場合Si原子が選択的に酸素と結合する結果、Ge原子は酸化
介した。SiGe結晶を仮想基板に用いたひずみSi、ひずみSOI基
膜に取り込まれずにSiGe結晶中にはじき出される性質、および
板はチャンネル層に大きなひずみを印可することにより、チャネル
埋め込み酸化膜層がGe原子の拡散の障壁となりGe原子が表
移動度の大幅な増大が可能となる。従来のSOIの特性をも兼
面熱酸化膜と埋め込み酸化膜にはさまれたSiGe結晶層中にと
ね備える、ひずみSOI基板は酸化濃縮法などの技術の発展より、
どまる性質を利用している。すなわち、SIMOX法で形成した
現在200mmサイズのウエファーが試作される段階にある。
SGOI層をさらに高温で熱酸化すると、基板表面に熱酸化膜が
9-10, 2004
(本研究はNEDOから委託され実施した。
)
11
MEMS
Asia Pacific MEMS Commercialization Forum 2004 参加報告
グローバル・エマージング・テクノロジー・インスティテュート
(GETI)マネージング・ディレクター
東北大学 未来科学技術共同研究センター 客員助教授 和賀 三和子
Asia Pacific MEMS Commercialization Forum 2004が、去る6月24
プライヤーとして独自の市場を見る目を磨くべきだと述べた。さ
日〜25日に台湾の工業技術研究院(ITRI)
で開催された。主催者は
らに、MEMSは資本集約的なビジネスなので、少ない資本で事
ITRIと、MANCEF
(Micro and Nanotechnology Commercialization
業を行うか、ある程度成長した段階で資本を使うのが賢明だ
Education Foundation)
、NATEA(North America Taiwan
と述べた。投資回収(ROI: return on investment)
の要求が高
Engineer Association)
の3団体。米国を中心とする海外からの招待講
まるほどに、事業リスクも高くなるからである。さらに、センサー
演者、ゲスト、出展企業関係者を含む約170名が参加した。
(現地参加
部品単体より、機能モジュールを販売する戦略を勧めた。
者の多くはITRI研究者)
。2日間にわたるプログラムでは、米国の起業家
Roger Grace氏は、25年に及ぶコンサルティング経験にもとづいて
によるMEMS実用化の先行事例や課題、台湾側からMEMS産業発展
MEMS実用化の障壁を指摘した。こうした障壁はすでに各方
に向けた取り組みの紹介などが行われた。
面で指摘されてきたが、あえて繰り返すと、
■ 講演要旨
・キラーアプリケーションの欠如
プレゼンテーションは大きく、
・ロードマップや業界スタンダードから帰納される、よく定義
1)
米国人実業家やコンサルタントによるMEMS実用化の先行
事例紹介や課題の提示
された方向性の欠如
・分野横断的な知識が求められること
2)台湾のMEMS産業政策、ファンドリーサービス戦略
・パッケージとテストのコストが全体の70%を占めること
3)欧州・日本の現状紹介
・資本形成の機会がないこと
4)
出展企業による技術紹介
・バブルが次々にはじけたこと
(バイオMEMS、光通信)
に分けられる。このうち、1)
と2)
について報告する。
・成功事例が少ないこと
今回の会議には、1980年代半ばにMEMSベンチャー企業の先
などがMEMSの速やかな実用化を阻害する要因として立ちふさ
駆けとなったNovaSensorを創業した関係者が数名集合した。な
がっている。Roger氏は、従来のMEMSデバイス
(圧力センサー、
かでも、Kurt Petersen氏は1982年に Silicon as a Mechanical
加速度センサー、光/ディスプレイ関係、ジャイロ、RFなど)
の発明
Material という記念碑的名論文を発表し、その後のMEMS産業
から商業化までの時間が平均で24〜25年にも及ぶことを指摘し
の発展に多大な貢献をした実業家である。同氏は現在Cepheid
た上で、実用化を加速する方策として、顧客ニーズを早期にくみ
社の社長兼CTOを務めており、会議ではDNA検査装置と社業
上げて、費用効果性にすぐれた独自のソリューションを提供するこ
の概要を紹介した。Cepheid社は1995年に設立、2000年に上場、
と、設計初期の段階で新機能提供からパッケージング、テストまで
その後、炭疽菌テロの発生で急遽設置されることになった郵便
も含めて総合的に付加価値を高める努力を払うこと、競合技術
物仕分けシステム用バイオテロ検出装置の副納入業者となった。
に対抗して大きな差異化を図ること、業界全体の標準化、信頼
こうした追い風を受けて、2004年には約4,000万ドルの売上高を
性向上、ロードマップ作成活動に協力することなどを提案した。
見込んでいる。Petersen氏は、バイオMEMS分野は
「バイオ」部分
台湾側からは国立台湾大学のCK Lee教授が、1995年から始
に注力すれば成長するだろうと発言した。言い換えると、MEMS
まった台湾におけるMEMS産業振興プログラムを総括した。台
チップの部分だけに注力しても大きな商売にはならないので、
湾では経済部(日本でいえば経済産業省)
が1999年に各国の
Whole Systemを実用化するのが重要だと強調した。
有識者を招いて開いた「MEMS産業発展策略会議」が産業技
Petersen氏と一緒にNovaSensorを創業したJoe Mallon氏は、
術政策の方向を決めるマイルストーンとなった。台湾にはICフ
MEMS技術を用いたセンサービジネスについて語った。同氏に
ァンドリー事業の確固たる基盤があるので、そのインフラを上手
よると、センサービジネスは年5〜15%の成長が見込めるし、年
く活用して、
「世界のMEMSファンドリー」たるポジションを目指す
商2,000万ドル以上に成長するので魅力的である反面、参入障
という基本戦略が決まった。ITRIでの
(先進国の後追い)技術
壁が低く5,000万ドル以上の年商を達成することが難しいという
開発と民間への技術移転、その他の緊密な産官学協調関係
側面もある。センサービジネスを成功させるためには、顧客の
の結果、数百億円の投資がMEMSファンドリー企業に投じられ
顧客(エンドユーザー)
の市場をよく理解することと、複数の顧客
た。ほとんどのファンドリーサービス企業は独自のデバイス開発
の物の見方(パースペクティブ)
から学べる立場にあるOEMサ
も行っている。現在はITRIのある新竹地区近郊にMEMS企業
12
2004, 9-10
MEMS
が集積しているが、今後は台南サイエンスパークにMEMSの設
非営利団体である。シリコンバレー、南カリフォルニア、セントルイ
計、パッケージング、インテグレーションを行う企業を集積させて
ス、ニューヨーク地区に支部を持ち、会員は1,000人を超える。
いく考えである。政策サイドでは、世界の趨勢に倣ってナノテク
こうした人材が最新の技術動向を台湾にいる同胞に伝え、事業
ノロジーとバイオテクノロジーに一層注力していく。
機会をともに探っている。新竹サイエンスパークがもともと米国で
Stanley Huang氏はITRIのMEMS活動を概説した。ITRIでの
活躍する台湾系エンジニア起業家を受け入れるために設置さ
MEMS予算と人材は年々増加している
(2003年:110人、760万
れたものであることを考えると、シリコンバレーのベンチャー企業
ドル⇒2005年:132人、1020万ドル)
。先進諸国で提案された
と台湾(新竹地区)
のメーカーが協力して事業拡大を図る構図
技術を一通り学び、実用化の時期が来たときに民間に移転で
は納得がいく。新竹はシリコンバレーの隣町のように感じられた。
きるように備えている。CMOS-MEMS集積化にも力を入れ始め
台湾のMEMSファンドリービジネスに関しては、センサーなどで
ている。一例として挙げたのは容量型圧力センサーで、CMOS
キャッシュフローを確保しつつRFやパッケージング技術などで
マイクロマシニングで作製したセンサーと信号増幅およびノイズ
費用効果性にすぐれたソリューションを提供しようという戦略が
リダクション回路をシングルチップに集積する。別の例として集
感じられた。しかし、その一方で、潜在顧客側からは知的財産
積化フローセンサーも開発中。こうした実用化を想定した技術
権の侵害のおそれについて懸念が表明された。ファンドリーに
開発と技術移転、企業へのサポートなどを通じて一層の産業
提供した設計情報が流用されることはないのか。侵害が判明
振興を図り、現在の新竹地区に加えて、台南地区に設ける新
したときに、台湾の法律制度の中でどのような救済措置がある
しいクラスター
(設計、パッケージング、テスト)
で2010年までに
のか。このあたりは明確な答えが得られなかった。実際、一部
10社のMEMSデザインハウスを集積させ、1,500万ドル以上の
のファンドリーは他社のIPを回避しつつデバイスを製造すること
売上高を目指すという意欲的な計画を立てている。
の難しさを繰り返し述べていた。顧客企業は、自社のノウハウ
最後にTSMCのIvan Wu氏がCMOS-MEMSに関して興味深
を秘匿したまま、部分的に外部ファンドリーを活用する工夫が
い発表を行った。CMOS-MEMSとは、CMOSと半導体製造技
必要と思われる。
術をもちいたマイクロマシニングを組み合わせてマイクロ構造体、
最後に、Walsin Lihwaの一事業部としてMEMSファンドリー
マイクロセンサー、マイクロアクチュエーター、エレクトロニクスを
サービスとデバイス開発を行ってきたユニットは、今年4月に
ワンチップに集積する技術である。ICファンドリーにとって
Touch Micro-system Technology( tMt)
としてスピンオフした。
CMOS-MEMSはさまざまな技術的、経営的課題を投げかける。
Walsinが70%出資し、残りの30%を新会社の経営陣などが出
CMOS-MEMSはプロセス開発、デバイス開発、パッケージング、
資している。従業員は80人。MEMSビジネスを開始した当初
テスト、製造技術開発に多大な経営資源を投下する必要があ
(2001年頃)
は、コンセプトから量産まで2年近くかかったが、
る上、新製品の市場投入までの期間が3〜5年と長いので、一
現在は3ヵ月に短縮したという。12社のパートナー企業と仕事
貫した研究開発および生産体制を持つ総合半導体メーカーにし
をしており、ファンドリーサービスへの問い合わせの8割程度
か取り組めない。CMOS-MEMSは製品限定的な技術であるし、
は、プロジェクト評価の段階でコストやプロセスの観点から断
MEMS産業のサプライチェーン構造は半導体産業にくらべて未
らざるを得ない状況だという。同社はMEMSファンドリーで8
発達である。Wu氏は、MEMSは今後、RF通信、ディスプレイ、
インチラインを持つ数少ない企業の1つであり、パートナー企
マイクロ流体/バイオ分野で商業的な応用が進むと考えられる
業との12件のプロジェクトのほとんどで8インチウエハを利用し
が、現時点ではICファンドリーのビジネスモデルはMEMS産業の
ていると述べていた。
発展にとって完全に適合していると
Investment
(US$)
Company
Start-up
はいえないと締めくくった。
■ 所感
今回の会議はシリコンバレーと台湾
の結びつきの強さを改めて実感させ
るものだった。主催団体の1つであ
るNATEAは、米国で活躍する台湾
出身のエンジニアや科学者間の情
報交換を促し、台湾企業とのビジネ
ス強化や台湾への帰国を支援する
9-10, 2004
Technology
OCTG
1999〜
2000/01 Ready
>$50M
4-6" III-V/Quartz IC/MEMS
foundry
APM
2001〜
2002/06 Ready
〜$50M
6" Si
MEMS foundry & IDM
〜$50M
6-8" Si
MEMS foundry
$21M
4" Si/Glass, 6" Si
MEMS foundry & IDM
tMt(Walsin)2000〜
2001/09 Ready
NeoStones 2002〜
2003/01 Ready
表1
Product
- III-V MEMS OEM/ODM
- SAW - AWG - III-V IC
- MEMS OEM/ODM
- Optical/RF Comm.
- Micro sensors etc.
- MEMS OEM/ODM
- Optical Communication
- Micro sensors etc.
- MEMS Sensor
- Optical MEMS etc.
台湾の主なMEMSファンドリー
(Source: ERSO/ITR)
13
FPD Industry
有機EL黎明期のころ その2
千歳科学技術大学 光科学部 物質光科学科 助教授
本稿は、SEMI News, 2004年7-8月号 P.18・19に掲載された
「有機EL黎明期のころ その1」の続きです
安達 千波矢
が広い
(白色のpowder)
、そして蒸着における良好な製膜性、の
3点とした。そして、最終的にオキサジアゾールを見出した。そ
れからは、堰をきったように、ホール輸送層発光型9)、そして有機
■ 1988
物では初めての電荷と一重項励起子の閉じ込めに成功し、有
世界で初めて、有機ダブルヘテロ構造(Organic double hetero-
機ダブルへテロ構造の実証へと次々と繋がって行った10)。この
structure)、発光層を電子輸送層とホール輸送層で積層したデ
デバイスの陰の立て役者は、TPDのホール輸送機能に匹敵す
バイス構造を報告した 。当時、筒井助教授の強力な後押し
るような明確な電子輸送機能を発揮したオキサジアゾール電子
もあって、論文を年内に投稿するよう追いまくられ、論文の受理
輸送材料(OXD)
である
(Fig.4)
。この材料がなければ新しいデ
が同じ年の12月14日であった。Tangの論文を読んでから約2ヶ
バイス構造のアイデアの実証はできなかった。徹夜明けの土曜
月でやってしまったことになる。
日の昼近く、光輝くNSDのEL発光を見た。今でも昨日のことの
この論文を提出したものの、それからが大きな苦悩の日々であ
ように思い出される。これだと思った数少ない瞬間である。現
った。JJAPに提出した論文は、あくまでも概念的なアイデアしか
在の有機ELの基本的な素子構造の分類がこのときにほぼ確
実現されていない論文であった。PVは電子を効率よく輸送す
立された。
5,6)
るため、もしかすると電子とホールがバランスよく注入できていた
かもしれないが、いわゆる長波長物質であり、発光層で生成さ
れた励起子がPV側に拡散してしまう。バンドギャップの広い電
子輸送材料を一日も早く見つけないことにはどうしようもないと
Fig.4: Oxadiazole誘導体
(電子輸送物質)
焦りの日々であった。悶々とした気持ちを抱えながらも、3月末に
■ 1989
は応用物理学会での発表が迫っていた 。追い打ちをかける
この年は、有機ELの可能性を求め、企業からの研究生が多数
ように、2月末から突然デバイスが発光しなくなった。今まで光
研究室に集まった特異な年である。三洋電機の浜田祐次さ
っていたデバイスが何度やっても光らない。
。
。一体何が起きた
ん、TDKの井上鉄次さん、スタンレー電気の川上康之さん、興
のかさっぱり分からなかった。たぶん、このような経験は有機EL
人の林理一郎さんほか、短期間では多数の企業からの研究者
の研究をされている方なら何度か遭遇しているのではないかと
が集まっていた。有機ELが大学の研究室だけで進めるような
思う。結局、蒸着速度で膜のmorphologyが大きく変化し、それ
技術ではなく、実用化を視野に入れた研究が始まる息吹を感
によってデバイスの性能が大きく変化していることが分かった。
じた。"有機ELは面白い" と感じているメンバーがこれだけ集
学会直前のことであった。
まると、研究室の毎日は非常に刺激的であり、"研究+α" が
応用物理学会で発表した直後に、パイオニア調査部の今井さ
生まれたような気がした。研究は、3つの基本構造を武器に高
んが、是非、有機ELの共同研究を行いたいと九大の研究室に
効率青色発光の実現11)、特に、ダブルヘテロ構造の詳細な検討
7,8)
来られた。今でもよく覚えているが、今井さんに有機ELを見せ
たときはちょっと顔色が曇ったように感じた。クライオスタットの奥
の方でオレンジ色にぼーっと光る様子をどのように感じたのだ
ろうか。しかし、それから暫くして、脇本健夫さんが九大に半年
間研究生として在籍され、企業的センスでの研究の進め方など
大学の一研究室では得られないさまざまなことを教えてくれた。
いろいろと企業からの見学者も増える中、心は焦る一方であっ
た。そんな中、齋藤先生から "君に20万円あげるから好きな試
薬を買いなさい" と言われ、約100種類に及ぶ電子輸送材料
の候補を試した。その時の探索指針は、電子輸送性のために
はヘテロ環を含むこと
(極々弱い電子吸引性)、バンドギャップ
14
Fig.5: 有機ELの基本デバイス構造
2004, 9-10
FPD Industry
かし、当時研究室には、齋藤先生、筒井先生をはじめ、いろいろ
な意味で意欲的な学生と企業の研究者が沢山在籍しており、
良い意味での火花が散っていた。そして、コーヒーと煙草でエ
ネルギーを補給しながら、研究で最も大切なDiscussionの場が、
先生以外に学生レベルでもconferenceルームと実験室外のベ
ランダで展開されていた。もしかすると、その当時の研究の最
も大切なbackgroundだったのかもしれない。
有機ELは単なる有機エレクトロニクスの学問的な研究としての
面白さだけではなく、産業界、そして私たちの生活スタイルまで
をも変える可能性がある一代スペクタクルになっている。きっと、
有機ELは有機物の多様性の一面を覗かせているにすぎない。
有機半導体デバイス物理の確立を進めながら、今後はさらに多
Fig.6: 有機ダブルヘテロ構造の実証
(C. Adachi, et al. APL, 57, 531(1990)
)
様な有機電子デバイスへの展開を進める必要がある。10年
後?有機ELは、有機電子・光デバイスの単なる入り口に過ぎな
を進め、5nmへの励起子の閉じ込めに成功した 。なお、時を
かったと言えるような日を迎えないといけないと強く感じる。
経て、2000年には、三重項励起子の2.5nm膜厚への閉じ込め
参考資料
5. "Electroluminescence in organic films with three-layer structure", C. Adachi,
S. Tokito, T. Tsutsui and S. Saito, Jpn. J. Appl. Phys., 27, L269 (1988).
6. "Organic electroluminescent device with a three-layer structure", C. Adachi,
S. Tokito, T. Tsutsui and S. Saito, Jpn. J. Appl. Phys., 27, L713 (1988).
7. "3層構造を有する有機薄膜の電界発光特性" 安達千波矢・時任静士・
筒井哲夫・齋藤省吾、第35回応用物理学関係連合講演会,、S63.4.
8. "有機3層構造による電界発光素子" 安達千波矢・時任静士・筒井
哲夫・齋藤省吾、第35回応用物理学関係連合講演会、S63.4.
9. "Organic electroluminescent device having a hole conductor as an emitting
layer", C. Adachi, T. Tsutsui and S. Saito, Appl. Phys. Lett., 55, 1489 (1989).
10. "Confinement of charge carriers and molecular excitons within 5nm-thick emitter layer
in organic electroluminescent devices with a double heterostructure", C. Adachi, T.
Tsutsui and S. Saito, Appl. Phys. Lett., 57, 531 (1990).
11. Blue light-emitting organic electroluminescent devices", C. Adachi, T.
Tsutsui and S. Saito, Appl. Phys. Lett., 56, 799 (1990).
12. "High-efficiency organic electrophosphorescent devices with tris (2phenylpyridine) Iridium doped into electron-transporting materials". Appl.
Phys. Lett., 77, 904 (2000).
12. "有機EL素子における光子の放出確率の制御" 安達千波矢・筒井
哲夫・齋藤省吾、第51回応用物理学会学術講演会、H2.9
(盛岡)
13. "Effect of confined radiation field on spontaneous-emission lifetime in vacuudeposited fluorescent dye films", T. Tsutsui, C. Adachi and S. Saito, Chem.
Phys. Lett., 182, 143 (1991).
14. "リン光物質を発光層に持つ電界発光素子" 森川通孝・安達千波矢・
筒井哲夫・齋藤省吾 第51回応用物理学会学術講演会、H2.9
(盛岡)
15. "電界発光機能を有する有機薄膜" 安達千波矢 先端技術学生論
文
(日本工業新聞社)
(1989)
10)
も成功している 。
11)
ダブルへテロ構造の実現で有機ELの研究が一段落したため、
研究のベクトルを次のデバイスへと移していった。この年は、
micro-cavityやphotonic crystalを用いたレーザーの可能性が
報告され、私たちも有機ELにおけるmicro-cavity効果12,13)、リン
光デバイス14)、ダブルへテロ構造とEu希土類を利用した有機レ
ーザーダイオードの可能性15)の模索を開始した年でもある。
■ After 1990
1990年以降は、企業研究者の本格参入で、大学研究者の想像
を超える内容とスピードで水面下での熾烈な開発競争が進め
られた。有機物の安定性に対する不安感を抱えながらも、多く
の果敢な研究者によって広範囲に材料・デバイスの研究開発
が進められ、材料技術、生産技術、周辺技術が固められるにつ
れ、有機半導体としてのサイエンスの確立とともに生産技術の面
においても大きな進展が見られた。100nmの超薄膜を実用デ
バイスにすることの困難さは、素人にも容易に想像できる話であ
り、それを乗り越えて実用化に至った日本の生産技術力は凄い
と感じる。有機ELのデバイスとしての素性の良さは、やればや
るだけ研究が進展するところでも分かるが、企業研究者が実用
※本稿は
(社)
応用物理学会の「Molecular Electronics and
化を視野に入れて妥協の許されない真剣な研究開発を行った
Bioelectronics, 14, 205
(2003)
」に掲載されたものです。
ことが、この分野の大きな牽引力になったと感じる。
■ Future
1980年代後半の当時の九大齋藤研は実験設備も決して十分
とはいえなかった研究環境である。近くのDIYショップで安い
部品を調達してごちゃごちゃと手作りをしていた時代である。し
9-10, 2004
FPD International 2004
10月20日
(水)
〜22日
(金)パシフィコ横浜にて開催
日経BP社主催のFPDおよび製造装置・部品・材料の総合展示会
です。SEMIは2005年よりFPD International を共催します。
FPD時代の到来。SEMIは、21世紀の一大産業へ向けて飛躍的
な成長が期待されるFPD産業を、あらゆる角度から支援します。
15
Topics
開発秘話:ポジ型フォトレジスト
東京応化科学技術振興財団 事務局長 浅海 慎五
1. はじめに
光すると欠けが発生し易く、密着露光にむかない。②密着性
ICの製造が始まってから現在まで、ムーアの法則に沿った微細
が弱いのでウェットエッチングでのサイドエッチングが大きい。③
化が進んでいるが、この間フォトレジストはその解像度に応じて
現像液にアルカリ金属を含んでいるため、ウェーハの汚染の原
選択使用されている。その中で、ゴム系フォトレジストは、ICの
因になる、等々があった。
製造開始当初からウェットエッチングとの組合せで使用され、こ
密着露光では、マスクは、数十回ごとに洗浄したり使い捨てし
れにより、ICの製造プロセスの確立がなされた。ゴム系フォトレ
たため、ICデバイスの微細化によってマスクの製作費用が高騰
ジストは、解像限界が2μmのため、3μm(64 kbit DRAM)
ま
し、ICの原価に対するマスク代を無視できなくなり、マスクとウ
で何とか使用された。続くポジ型フォトレジストは、ゴム系フォト
ェーハを密着しないプロキシミティー露光や投影露光が検討さ
レジストに代わって3μmからg線(436nm)投影露光との組合せ
れた。しかし、プロキシミティー露光や投影露光はゴム系フォト
で使用され、さらにレジストと投影露光の相互改良によってi線
レジストを使用すると露光中の酸素による影響で現像後の残膜
の波長(365nm)
より細かい0.25μmまで使用されている。現在
率が低下する問題があり、歩留まりの低下をまねいた。そして
の微細化は実用的には65nmに達しているが、これらはほとん
色々な欠点があったが、解像度が良くて酸素の影響のないポ
ど化学増幅型レジストによって行われている。
ジ型フォトレジストへの移行の必要性が出てきた。
ゴム系フォトレジストからポジ型フォトレジストへの切替えは、解
昭和50年代の中頃になると、投影露光装置やドライエッチング
像性の向上のためとプロキシミティー露光や投影露光の進歩に
装置の商品化で微細化の加速とともにポジ型フォトレジスト化
伴い、密着露光におけるマスクとウェーハの密着に伴うマスク
への流れが加速した。
損傷によるICの歩留まり低下の欠点を補う形で一気に進んだ。
一方、現像液は、昭和50年頃、有機化合物でありながら水酸化
当社のOFPR-800はそのタイミングにうまく合い、当社の飛躍の
ナトリウムに匹敵する強アルカリのテトラメチルアンモニウムヒドロキ
きっかけとなったので紹介する。
シド
(TMAH)
がIBMから技術開示されて、アルカリ金属による汚
2. ポジ型フォトレジスト開発の背景
染の問題は解消された。当社も独自にTMAHを使用した現像液
当社がポジ型フォトレジストの開発を始めた昭和47年頃は、ゴ
をNMD-3の商品名で上市した。現在もIC製造工程で標準濃度
ム系フォトレジストが主流で、ポジ型フォトレジストはマスクの製
になっている2.38%は、H社のマスク製作用が起源である。
作やアルミニウム配線など一部の工程のみで使用されていた。
3. OFPR-800の開発
また、当時の半導体用ポジ型フォトレジストといえば、Shipley
当社はポジ型化への進捗をにらみながらShipley社の特許に抵
社(米国)
のAZ-1350で、現像液には珪酸ナトリウム水溶液が使
触しない方法でOFPR-2やOFPR-77など、種々のポジ型フォト
用されていた。
レジストを開発していた。その間、超LSI研究組合の終盤には、
ポジ型フォトレジストはノボラック樹脂と感光剤(ポリフェノールの
64kbit DRAMの製造プロセスの開発で、ポジ型フォトレジスト
ナフトキノンジアジドスルフォン酸エステル)
で構成されており、
の採用が現実のものとなっていたが、認定のフォトレジストは
Shipley社は当時最もポピュラーな感光剤の2,3,4-トリヒドロキシ
Shipley社のAZ-1350であった。
ベンゾフェノン‐ナフトキノンジアジドスルフォン酸エステルを電子
そんな折、金属配線回路を作成するのに有利なリフトオフ法に
部品の加工に限定して特許を取得しており、当社はそれに抵
有効な「クロロベンゼン浸漬法」が学会で発表された。クロロ
触しないようにポジ型フォトレジストの開発を始めていた。
ベンゼン浸漬法とは、ウェーハに塗布したポジ型フォトレジスト
開発を始めた当初は、半導体製造工程のポジ型フォトレジストの
をクロロベンゼンに浸漬法してから露光、現像するとT字型の断
本格的使用には半信半疑だったが、昭和50年に超LSI構想によ
面形状が得られるもので、AZ-1350は可能だったが、当社のフ
って研究組合が組織化され、64 kbit DRAMの開発に向けて研
ォトレジストでは実現できなかった。
究がスタートし、ポジ型レジストの使用が現実味を帯びてきた。
当時ポジ型フォトレジストの開発を担当していた小峰(現 常務
ポジ型フォトレジストはゴム系フォトレジストに比べて解像度が良
取締役)
は、Shipley社の特許があと3ヵ月ほどで切れることに気
いが、当時のIC製造プロセスに適応できない欠点を持ってい
付き、独自に2,3,4-トリヒドロキベンゾフェノンの合成をした。ま
た。①その膜は硬くて脆いため、ウェーハとマスクを密着して露
たそのベンゾフェノンとナフトキノンジアジドスルフォン酸をエス
16
2004, 9-10
Topics
テルとして合成し、ノボラック樹脂と混ぜて感光剤にするとT字
うにレジストの設計をし直した。そして表皮剥れや膜残りも一気
型の断面形状を再現することができた。
に解決することができた。このようにしてできたのがOFPR-800
しかし、耐熱性がAZ-1350に比べて10℃ほど劣り、耐熱性の
である。AZ-1350など他社のポジ型フォトレジストが段差のある
良い新たなノボラック樹脂が必要になった。以前から我々は軟
アルミニウム基板上での密着性、表皮剥れや薄膜残りを改善
化点の高いノボラック樹脂を探していたが、ノボラック樹脂メー
できずにいる中で、OFPR-800は着々と64 k bit DRAM製造用
カーから
「製造に失敗した」
として高分子量で高軟化点の樹脂
フォトレジストとして採用されていった。また、他のレジストとの大
をこの2ヵ月ほど前に受け取っていた。この樹脂を使いこなすこ
きな違いは分子量の大きな樹脂と高軟化性のノボラック樹脂を
とと、感光剤も独自の製法によって試作を始めると、今までにな
使用したため、
ドライエッチング耐性が一段と向上したことも採
い特性のポジ型フォトレジストを作ることができた。運が良いと
用に向けての大きな特徴であった。
はこのことである。
4. 肝を冷やしたナイロン事件
AZ-1350は現像液が低温では感度が高く、高温では感度が低
一年ほど安定して拡大を続けたある日、T社から製造工程での
くなる傾向がある。それに対して現像温度20〜30℃の範囲で
歩留まりが急落し、原因がレジストにあるらしいとの連絡を受け
現像液の温度による感度変化の少なく、25℃で最も感度が高い
た。OFPR-800需要が急速に立上がって在庫が取れなかった
レジストに仕上がった。また、他社レジストで問題だった段差の
状況から、ようやく少し取れるようになった矢先のことであった。
あるアルミニウム基板上での密着性が改善されたという結果を
ウェーハに塗布して顕微鏡で観察すると0.5〜数μmの丸い異
受取ることができ、最も使いやすいレジストと認められた。しかし
物(パーティクル)
がウェーハ全面で確認された。パーティクルが
要求は厳しく、いくつかの問題点も指摘された。①表皮剥れ
(現
微細であるため大量の製品をろ過してフィルター上の粉末を集
像時にフォトレジストの表層が剥れる現象。剥がれた表皮がシ
めて分析してみると、ポリアミド
(いわゆるナイロン)
だった。ポリ
リコン基板に付着すると、次工程のドライエッチングにエッチング
アミドとノボラック樹脂では接点がないのでびっくりしたが、調
不良の原因になる)
。②段差の境界部分での薄膜残り
(段差の
査の結果、原料のノボラック樹脂が原因していることが分かっ
境界部分はレジストの膜厚が厚くなるため現像されずに残った
た。早速、原料メーカーに問い合わせると、粉砕機をノボラッ
レジストの薄膜が残り、エッチング不良の原因になる)
。
ク樹脂とポリアミドに共用したとのことだった。
当時、当社には投影露光機もスプレイ現像装置もなかったの
ナイロンの分子量測定用の溶剤としてクレゾールが使用される。
で、これらの現象の再現が大変だった。思考錯誤の結果、ウ
原料のノボラック樹脂は10 %程度未反応のクレゾールを含ん
ェーハを斜めに立て掛けて現像液を垂れ流す方法で表皮剥
でおり、粉砕中に発生する熱で、残存するポリアミドがノボラッ
がれを再現することができた。SEM像を観察すると、剥れた表
ク樹脂に溶け込んだものと推定された。当社のOFPR-800は製
皮の膜厚は露光用光源の定在波の1周期分(0.13μm)
と推定
造工程でクレゾールが除去されるため、クレゾールを介してお互
された。段差のあるウェーハを用いて薄膜残りの再現を試みた
いに相溶性を維持していたノボラック樹脂とポリアミドが、相溶
が、密着露光装置では再現できなかった。そこで小峰は、表
性を維持できなくなり、製品として倉庫で保管されている間にポ
皮剥れをなくすために、現像時間の60秒間内で、定在波に相
リアミドの分子同士が集まり粒子に成長したものである。原因
当する0.13μm膜、すなわち、未露光部の表皮膜が溶解するよ
が分かるまでは危機的な状態であったが、ユーザー様には早
期に原因と対策を報告しご理解いただき対策を実行したこと
によりこの危機を乗り越えることができ、ほとんどの半導体メー
カーで採用され、一時期フォトレジストのデファクトスタンダードの
位置を確立した。
5. OFPR-800開発のタイミング
OFPR-800は決して解像性の良いレジストではないが、64 kbit
OFPR-800
当時の標準レジスト
DRAMのデバイス寸法がステッパの解像限界より大きかったの
で、全く問題なく使用することができた。そしてその後、投影露
レジストの耐エッチング性の比較(レジスト剥離前)
基板:SiO2,500nm
ガス:CClF3
出力:150W
圧力:66.7Pa
基板温度:100℃
装置OAPM‐300
9-10, 2004
光の性能向上とも相まって1M bit DRAMまで約10年近くポジ
型フォトレジストの主流の座を占めることができた。また現在こ
のレジストはLCDのTFT用形成のために、これらの知見を生か
して若干の改良を加えた上でG線レジストの原形となっている。
17
Topics
ナノインプリント技術の開発動向
兵庫県立大学 高度産業科学技術研究所
松井 真二
ナノインプリントは、光デイスク製作では良く知られているエンボ
ス技術を発展させ、その解像性を高めた技術であり、凹凸のパ
ターンを形成したモールドを、基板上のポリマー等へ押し付け
パターンを転写するものである。1, 2)この技術を光素子や半導
体素子あるいは、ナノ構造材料形成等新たな応用へ展開しよ
うとする試みであり、10nmレベルのナノ構造体を、安価に大量
生産でき、かつ高精度化が可能となりうる技術として近年注目
を浴びている。1995年にプリンストン大学のChou教授が、ポリ
マーのガラス転移温度付近で昇温、冷却過程により、写真1に
示す10nmパターン転写が可能であるナノインプリント技術を発
表した。3,4)熱サイクルプロセスであるため、熱ナノインプリントと
も呼ばれている。その後、オランダのフィリップス研究所(1996
(a)SiO2/Siモールドパターン (b)PMMAへの転写パターン
写真1 熱ナノインプリントで使用されたモールドパターンと
PMMAへ転写された10nm直径、60nm高さの突起状パターン
(出典:S. Y. Chou et al., J. Vac. Sci. Technol., B15, 2897
(1997)
)
年)、米国テキサス大学のWilson教授が紫外光硬化樹脂を用
いた、光(UV)
ナノインプリント技術を発表した。5,6)UVナノインプ
リント技術が発表される2年前の1993年に、ハーバード大学の
Whitesides教授がマイクロコンタクトプリント技術を発表している。
これは、ソフトリソグラフィと呼ばれる技術で、レジストパター
7,8,9)
ン等の原版をPDMS(ポリジメチルシロキサン)
に型取りし、マス
クとするものである。現状技術として、熱ナノインプリント、UVナ
ノインプリント、ソフトリソグラフィ、これら3つの技術が実用上重
要である。図1および表1に各種ナノインプリント方式のプロセス
および解像度等の比較を示す。
ソフトリソグラフィは、レジストパターンをPDMSで型取りし、PDMS
モールドを用いて、基板上に触媒、DNA、蛋白等をスタンプする
ものであり、DNAチップ等の作製に用いられている。さらに、型
取りされたPDMSそのものをマイクロ流路作製等に幅広く応用
されている。PDMSモールドはゴム状で柔らかく、フィルム等の
フレキシブル基板へも対応でき、電子ペーパへの金電極作製等
にも応用されている。転写パターンの最小線幅は、PDMSを用
いた場合50nm程度である。位置精度等の転写パターン精度
図1
各種ナノインプリント方式のプロセス
解像度
ソフトリソグ 50 nm
ライ
熱ナノイン 10 nm
プリント
UVナノイン 10 nm
プリント
表1
プロセス
温度
室温
重ね合わせ
精度
―
100-200 ℃
0.5 μm
室温
0.1μm
基板形状
モールド
曲面
PDMS
平面
シリコン等
平面
石英
各種ナノインプリント方式の比較
は、ゴム状のPDMSモールドを用いているためμm以上であり、
熱ナノインプリントは、簡便な装置で、大面積に10nmオーダの
それほど良くない。転写精度は期待できないが、PDMSモール
構造を形成できる量産技術としての可能性を有している。さら
ドそのものを熱およびUVナノインプリントのモールドとして用い
に、熱ナノインプリントの転写均一性を測定した例で、4インチ
ることも可能である。
ウエハー上で、30nmの精度が確認されている。しかし、熱ナ
熱ナノインプリントを用いて、シリコン、GaAsデバイス、磁気デバ
ノインプリントは、熱サイクルプロセスであると共に、シリコンモ
イス、光デバイスなどの各種デバイスの作製が報告されている。
ールド等の不透明モールドを用いているため、重ね合わせ精
モールドと基板は、光学顕微鏡により位置合わせを行い、専用
度が0.5μm程度であり、高精度位置精度、重ね合わせ精度を
のカセットにより固定するという方法で、ゲートやホールパター
要求する半導体デバイス製造への適用は困難である。熱ナノ
ンなどの4層をインプリント形成、MOSトランジスタを作製して
インプリントは、高密度メモリーデイスクや光デバイス、回折格
いるが、位置合わせ精度は、0.5μm程度である。このように、
子等の光学部品作製のように、モールドと基板間の位置合わ
18
2004, 9-10
Topics
せがそれほど厳しくなく、単層インプリントのみで済むデバイス
作製に有用である。
UVナノインプリントは、室温プロセスで、石英基板表面にパタ
ーンの凹凸をつけた透明モールドを用いる。低粘性の光硬化
樹脂をレジストとして用いているため、石英モールドのレジスト
へのプレス圧は、熱ナノインプリントが5-10MPaであるのに対し
て、0.1 MPa以下と極めて小さい。これらの特徴のために、位
置合わせ精度および重ね合わせ精度は、基本的に現状の光
ステッパと同程度であると期待できる。パターン転写には紫外
光が用いられるが、その解像度は光の波長に依存せず、石英
モールドのパターンサイズにより決まる。Chou教授らのグルー
写真2 段差基板上のUVナノインプリント転写パターン
プは、UVナノインプリントで5nmパターン転写に成功している。 (出典:M. Colburn, et al., Solid State Technology, July, 67
(2001)
)
このように、UVナノインプリントは、パターン転写精度、解像度を
共に満足する技術であり、半導体デバイス製造への適用が期
(3σ)
のフィールドつなぎ精度を得ている。
待される。2003年のITRSのリソグラフィロードマップから、32nm
以上のように、ナノインプリント技術および装置の研究開発は実
ノ−ドのリソグラフィツールとしてナノインプリントがEUV、EPLと
用段階にきている。すでに、重ね合わせを必要としない高密度
共に掲載されている。
パターンドメデイア、さらに、光部品として、サブ波長偏向板、導光
熱ナノインプリントおよびUVナノインプリントは、ナノ構造転写技
板、光導波路等へ熱ナノインプリントが実用展開されている。こ
術として見たときには、装置コストはかなり廉価になるものと期待
れまで、ナノテクノロジーの必須技術であるナノパターン形成は、
され、マスクに対応するモールドも1対1であるが、バルクのマス
電子ビーム描画装置を保有する限られた研究機関でしかでき
クであることから、比較的容易に製作できるものと考えられる。
なかった。しかし、安価かつ高性能転写を実現するナノインプ
ナノインプリントの装置メーカとしては、米国ではChou教授の関
リント装置を購入することにより、どこの大学、研究機関、企業等
係するベンチャー会社であるNanonex Corp.(N.J.)
(熱ナノイ
においても、ナノパターン形成を行うことができるようになる。こ
ンプリント)、NanoOpt Corp.(N. J.)
(ナノインプリントを用いた
のように、ナノインプリント技術はナノテクノロジー研究および産業
光部品等の受注製造販売)
、Wilson教授の関係するベンチャー
発展に重要かつ不可欠となりつつある。ナノインプリントプロセ
会社であるMolecular Imprints Inc.(Texas)
( 光ナノインプリン
スを企業の量産プロセスに導入することにより、微細化による製
ト)、ヨーロッパでは、EV Group(Austria)
(熱および光ナノイン
品性能の向上、コスト削減に結びつくと期待される。
プリント)、Obducat AB(Sweden)
( 熱ナノインプリント)、SUSS
引用文献
MicroTec AG( Germany)
( 熱 ナノインプリント)、JENOPTK
Mikrotechnik(Germany)
(熱ナノインプリント)、アジアでは、韓
国のNND(NANO & DEVICE)Co.(熱および光ナノインプリン
ト)、日本のSCIVAX Co.(つくば、茨城県)
( 熱ナノインプリン
ト)、日立(株)
(水戸、茨城県)
(熱ナノインプリント)、明昌機構
(株)
(兵庫県氷上町)
(熱ナノインプリント)
がナノインプリント装
置を製造している。特に注目されるのが、Molecular Nanoimprint
Inc.であり、次世代半導体リソグラフィツールとしてUVナノイン
プリント装置の開発性能評価を行っている。Step and Flash
Imprint Lithographyと呼んでおり、写真2が段差基板上での
UVナノインプリント転写例である。これまでに、最小線幅30nm
のパターン転写を報告している。MotorolaにMolecular Imprint
Inc.のUVナノインプリント装置が2002年末に納入され、半導体
1)
古室昌徳、MATERIAL STAGE vol. 1, No. 11, pp. 34-37(2002).
2)
微細加工技術(応用編)
(社)高分子学会編、ポリマーフロンテイア21
シリーズ
(18)
pp. 147-182
(2003)
.
3)
S. Y. Chou, P. R. Krauss, and P. J. Renstrom, Appl. Phys.
Lett., 67, 3114
(1995)
.
4)
S. Y. Chou, P. R. Krauss, W. L. Guo, and L. Zhuang, J. Vac.
Sci. Technol., B15, 2897
(1997)
.
5)
J. Haisma, M. Verheijen, and K. Heuvel, J. Vac. Sci. Technol.,
B14, 4124
(1996)
.
6)
T. Bailey, B. J. Chooi, M. Colburn, M. Meissi, S. Shaya, J. G.
Ekerdt, S. V. Screenivasan, and C. G. Willson, J. Vac. Sci.
Technol., B18, 3572
(2000)
.
7)
A. Kumar and G. M. Whitesides, Appl. Phys. Lett., 63, 2002(1993).
8)
T. K. Whidden, D. F. Ferry, M. N. Kozicki, E. Kim, A. Kumar, J.
リソグラフィ評価が行われている。フィールドサイズ25mmx25mm
Witbur, and G. M. Whitesides, Nanotechnology, 7, 447
(1996)
.
でStep & Flashを行い、8インチウエハー全面に60 nmのコンタ
9)
G. M. ホワイトサイズ、J. C. ラブ(訳者:水谷亘)
:日経サイエンス、
クトホールパターンを形成している。25フィールドをつなぎ、10 nm
9-10, 2004
2001年12月号、pp.33-41
(2001)
.
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SEMI Membership
SEMI新会員企業紹介
−日本で入会された会員企業をご紹介します−
■ 会社名 1)所在地、連絡先 2)代表者 3)設立年度 4)取扱製品
5)半導体/FPD製造装置・材料関連売上高
■ アクアサイエンス株式会社
1)
〒226-0006 神奈川県横浜市緑区白山1-18-2
2)代表取締役 辰己 良昭
3)1985年
4)超音波微細穴加工をはじめ、表面処理技術はアルマイト・溶
射。接合技術では真空ロウ付け、他、真空・温度評価が可能。
1)
ジャーマンセンター Tel: 045-937-0810
5)
−
1)
http://www.aqua-sc.com/
■ 株式会社コーヨーテクノス
2)代表取締役社長 砂金 養一
1)
〒391-0213 長野県茅野市豊平373
3)2003年1月24日
1)
Tel: 0266-73-5237 ktcad@koyotechnos.co.jp
4)
レジスト・ポリマー・付着物剥離装置 PoseidonX。
1)
http://www.koyotechnos.co.jp
5)
−
2)代表取締役 土橋 賢治
■ アルテックアルト株式会社
3)1995年5月
1)
〒160-0004 東京都新宿区四谷4-4-1 YM新宿ビル4F
4)半導体ウェハー検査用プローブカード、TAB・FPD等検査用
1)
Tel: 03-5363-3004 kasagi@altech.co.jp
プローブカード、各種基板検査治具。
1)
http://ksv.jp/advanced/index.html
5)5億円
2)代表取締役社長 梅木 義則
■ 近藤工業株式会社
3)2003年12月
1)
〒105-0001 東京都港区虎ノ門2-10-1 新日鉱ビル西棟11F
4)走査型伝導度顕微鏡、ウェハーボンディング検査装置、X線
1)
Tel: 03-5549-9700 http://www.cambridgefilter.com
検査装置など半導体製造工程に必要な検査評価装置。
2)代表取締役社長 近藤 和美
5)
−
3)1953年6月
■ 株式会社アルプスエンジニアリング
4)各種エアフィルタ、各種ケミカルフィルタ、クリーン機器、CR・
1)
〒432-8006 静岡県浜松市大久保町1349番地
BCR等特殊給排気機器の設計・施工、パーティクルカウンタ
1)
Tel: 053-485-3600 support@alps-eg.com
ー含む計測機器類。
1)
http://www.alps-eg.com
5)
−
2)代表取締役 刀原 精
■ 株式会社サンエイテック
3)1975年11月5日
1)
〒277-0005千葉県柏市柏7-1-15
4)
サンドブラスト装置、真空装置、液晶関連装置、その他各種
1)
Tel: 047-166-7411 support@san-ei-tech.co.jp
産業設備。
1)
http://www.san-ei-tech.co.jp/
5)
−
2)代表取締役社長 神谷 文男
■ 財団法人北九州産業学術推進機構
3)1987年6月
1)
〒808-0135 福岡県北九州市若松区ひびきの2-1
4)
あらゆる液剤に、優れた適応性を誇るEFD社Ultraディスペン
1)
Tel: 093-695-3111 info@ksrp.or.jp http://www.ksrp.or.jp/fais
スシステムは液ダレが発生せず、液切れの良い作業が可能。
2)理事長 有馬 朗人
5)
−
3)2001年
■ シーエックスイージャパン株式会社
4)産学連携のコーディネート、中小企業総合支援、LSI設計・評
1)
〒856-0022 長崎県大村市雄ヶ原町147-40
価環境の提供、ベンチャー支援・人材育成、北九州TLO。
1)
Tel: 0957-49-6100 sales@cxe.co.jp http://www.cxe.co.jp
5)
−
2)代表取締役 岡部 晃
■ 株式会社クリエイティブテクノロジー
3)1999年10月
1)
〒213-0034 神奈川県川崎市高津区上作延507-1
4)半導体製造装置(エピタキシャル成長装置)
の販売、メンテ
1)
Tel: 044-853-1757 eguchi@ceratech.co.JP
1)
http://www.createch.co.jp
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ナンス。部品の販売、修理、開発、改造等。
5)8.2億円
2004, 9-10
SEMI Membership
■ 株式会社島野製作所
1)
info@meiritsu.co.jp http://www.meiritsu.co.jp
1)
〒116-0013 東京都荒川区西日暮里1-27-6
2)代表取締役社長 戸原 素
1)
Tel: 03-3807-2915 yamakawa@shimano-inc.com
3)1968年9月
1)
http://www.shimano-inc.com
4)半導体、FPDの製造・検査装置に必要な精密除振システム。
2)代表取締役 島野 守弘
5)
−
3)1980年8月
■ メレスグリオ株式会社
4)
スプリング・プローブ、テストコンタクター、バーインコンタクター、
1)
〒150-0002東京都渋谷区渋谷3-11-2 パインビル3F
DUTボードの設計、製造、販売。
1)
Tel: 03-3407-3614 sales@mgkk.com
5)
−
1)
http://www.mgkk.com
■ 株式会社ティーエスダイナミックス
2)代表取締役 永吉 實良
1)
〒635-9975 奈良県大和高田市野口364-1 Tel: 0745-22-6920
3)1959年6月
1)
nara@tsdynamics.com http://www.tsdynamics.com
4)レンズ、ミラー、フィルターなどの各種光学部品。精密位置決
2)代表取締役 佐藤 勤
め装置。光学測定器。映像機器。各種レーザー機器。
3)2003年6月
5)
−
4)縦型拡散、CVD炉のヒーター、
トーチヒーターの復元再生処
■ ユキ技研株式会社
理並びに廃ガス燃焼装置等のヒーター部品の製作販売。
1)
〒487-0032 愛知県春日井市高森台4-8-42 Tel: 0568-94-2801
5)
−
1)
info@yukilabo.co.jp http://www.yukilabo.co.jp
■ 東邦エンジニアリング株式会社
2)代表取締役 高木 康之
1)
〒512-8041 三重県四日市市山分町字川之下443
3)1984年9月
1)
Tel: 0593-64-3811 suzuki@tohokoki.jp http://www.tohokoki.jp
4)機械構造用アルミフレーム、超高解像度画像検査装置、計
2)代表取締役社長 鈴木 辰俊
測制御用言語ソフト、その他インライン検査機の設計、製作。
3)1983年2月
5)
−
4)CMPパッド受託加工、同加工装置製造販売。研磨性能を高
■ 株式会社リード
める高品位な溝加工。
1)
〒222-0033 神奈川県横浜市港北区新横浜2-18-13
5)3.4億円
1)
藤和不動産ビル5F
■ フィルメトリクス株式会社
2)代表取締役社長 鍋谷 忠克
1)
〒222-0033 神奈川県横浜市港北区新横浜2-7-4 フジビル4F
3)1973年4月
1)
Tel: 045-473-7109 info@filmetrics.jp http://www.filmetrics.jp
4)超精密加工用ダイヤモンド工具。
2)代表取締役 中原 俊三
5)
−
3)2003年8月
4)反射分光方式薄膜測定装置。卓上/顕微鏡対応のR&D用
途、In-Situなどインライン用途など各種ラインナップ。
5)
−
■ 福田交易株式会社
1)
〒104-0044 東京都中央区明石町11-2 Tel: 03-5565-6811
1)
eigyou@fukudaco.co.jp http://www.fukudaco.co.jp
2)代表取締役 福田 良造
SEMI会員制度について
SEMIには、半導体およびFPD産業に従事する企業や団体に
ご入会いただいています。
■ 業種による4種類の会員区分
①正会員
(Corporate Member)
半導体およびFPD関連業界に装置・材料、部品等を供給され
ている企業が該当します。
②準会員(Associate Member)
3)1940年
半導体およびFPDデバイスの設計、製造、販売に従事されて
4)
軸受、スピンドル、シール、工具、計測装置、リニアモータ、エ
いる企業が該当します。
アベアリング、精密ステージ、
ドローバ。
③賛助会員
(Allied Member)
5)6億円
研究、教育、規制機構、協会・団体等が該当します。
■ 明立精機株式会社
④関連会員
(Affiliate Member)
1)
〒221-0031 神奈川県横浜市神奈川区新浦島町1-1-25
半導体およびFPD関連業界に出版、コンサルティング、保険、
1)
テクノウェイブ100ビル16F Tel: 045-453-5731
運送等のサービスを提供している企業が該当します。
9-10, 2004
21
EHS
最近のSEMI EHS活動
東京エレクトロン株式会社 井深 成仁
折りに触れてSEMIのEHS活動について説明していますが、
・‐S6改訂タスクフォース
今回は最近のSEMI EHS活動(平成16年8月13日現在)
の主
・‐S7改訂タスクフォース
なものの概要をアップデートして説明したいと思います。以前
・‐S8改訂タスクフォース
にも触れていますが、SEMIのEHS活動はEHS Divisionでの
・‐S10改訂タスクフォース
(欧州管轄)
活動とSEMIスタンダード活動の中でのEHSに大別できます。
・‐S11改訂タスクフォース
主な活動を項目別に記すと以下のようになります。
・‐S12改訂タスクフォース
・‐S14改訂タスクフォース
1. EHS Divisionの活動について
・‐インスタレーションタスクフォース
・EHS Executive Committee
・‐EHSメトリクスタスクフォース
・ICRC(International Compliance & Regulatory Committee)
・‐High Pressure タスクフォース
・グリーン調達WG活動
・‐ロボット安全タスクフォース
・Global Care 推進活動
・‐F5改訂タスクフォース
・省エネルギー推進活動
・上記以外で米国管轄のスタンダード
(次の改訂に向けて準備
・The Akira Inoue Award
・SEMITrack
中のもの)
・‐S1(Safety Guideline for Equipment Safety Label)
・‐S4(Safety Guideline for the Segregation/Separation of Gas
2. EHSに関するスタンダード活動:
Cylinders Contained in Cabinets)
SEMI EHS Standard Committee活動
・‐S5(Safety Guideline for Flow Limiting Devices)
・日本が主体の活動
・‐S9(Electrical Test Methods for Semiconductor Manufac-
・‐FPD安全小委員会とFPDシステム安全タスクフォース
・‐省エネルギータスクフォース
・‐作業場所安全タスクフォース
・‐S13改訂タスクフォース
・上記以外で日本管轄のスタンダード
(次の改訂に向けて準備
中のもの)
・‐S16(EHS Guideline for Semiconductor Manufacturing
Equipment Disposal)
・‐S17(Safety Guideline for Unmanned Transportation
Vehicle)
・‐S18(Safety Guideline for Silane Family Gases Handling)
turing Equipment)
・‐S15(Safety Guideline for the Evaluation of Toxic and
Flammable Gas Detection Systems)
・‐S19(Safety Guideline for Training of Semiconductor
Manufacturing Equipment Installation, Maintenance
and Service Personnel)
・‐S20(Safety Guideline for Identification and Documentation of Energy Isolation Devices for Hazardous
Energy Control)
・‐S22(Safety Guideline for the Electrical Design o f
Semiconductor Manufacturing Equipment)
・‐S21(Safety Guideline for Worker Protection)
・日米欧で活動中の組織
次に、上記活動の中からトピックスを説明します。
・‐製造装置安全性小委員会:MESSC(Manufacturing
1. EHS Division 関連
Equipment Safety Sub-Committee)
ICRC(International Compliance & Regulatory Committee)
・米国が主体の活動
半導体業界のサプライヤーに関連すると思われる法規制やお
・‐外部標準コーディネーション小委員会:ESAC(External
客様からの共通的要求事項の動向調査や、適合方法の調査・
Standard Advisory Coordination Sub-Committee)
検討を行っており、7月のSEMICON Westと12月のセミコン・ジ
・‐S2改訂タスクフォース
ャパンで日米の共同会議が開催されます。日米共通の主な課
・‐S3改訂タスクフォース
題として、欧州の法規制(WEEE、ROHS、EuP、REACH、CE
22
2004, 9-10
EHS
マーキング等)
、中国の法規制動向、グリーン調達対応、省エ
「Safety Guideline for FPD Manufacturing System」 や、既に制定
ネル ギ ー 促 進 、SEMATECHの Supplier ESH Leadership
されているS21と作業場所安全タスクフォースで開発中のドキュ
Project対応等がありますが、グリーン調達対応と省エネルギー
メント#3815 「Safety Guideline for Working Environment」 を半導
促進は後に詳述します。
体業界のみならずFPD業界にも浸透させるために、日本ばかり
でなく台湾や韓国にも出向いてユーザー各社も交えての安全ワ
グリーン調達WG活動
ークショップを実施しています。#3814は、複数の製造装置、搬
ICRCの下部組織として日本で行っているものですが、米国の
送車、ロボット、ストッカー等で構成されるFPD製造システム専
Material Declaration WGと協力して活動を行うことが、先の
用の設計ガイドラインを目指しています。
SEMICON Westで合意されました。セミコン・ジャパンに向け
て、 White Paper on Use of the Joint Material Declaration
省エネルギータスクフォース
Guide(仮称) のドラフトの準備を進めていますが、SEMI会員
ドキュメント#3497 「Guide for Conservation of Energy, Utilities
企業からの希望の多い 「ユーザーのグリーン調達基準に関する
and Materials used by Semiconductor Manufacturing Equipment」 の
情報の提供」、「グリーン調達の標準的対応手順」「国や地域の
開発を行ってきましたが、先頃EHS委員会とその後の手続き審
グリーン調達法規制情報の提供」等も検討課題になってい
査を通過し、S23-1104として発行されることが決まりました。本
ます。
ガイドラインには半導体製造装置の省エネを行うための指針と
して、LCAの利用、測定の仕方、電気エネルギー表示への変
省エネルギー推進活動
換係数、目標設定と改善、レポートとモニタリング等が述べられ
ユーザーの 世 界 的 組 織 であるWSC( World Semiconductor
ています。
Council)ESH TFの省エネWGから、装置サプライヤーに対す
る省 エネ促 進 のための White Paperが 提 示され 、先 頃 の
作業場安全タスクフォース
SEMICON WestでWSC ESH TF 省エネWGとSEMIとの共同会
ドキュメント#3815 「Safety Guideline for Working Environment」
議が行われました。省エネは世界的課題であり、SEMIで先頃
の開発を行っています。インスタレーションやスタートアップ、フィ
通過した#3497D 「Guide for Conservation of Energy, Utilities and
ールドサービス等では、多くのサプライヤーやユーティリティー業
Materials used by Semiconductor Manufacturing Equipment」
者等が、装置や搬送車等の設置等で、同時期にユーザーの工
がこのWhite Paperの趣旨を充分包含するものであり、それぞ
場内で作業することになりますが、一社のみが安全に配慮する
れの装置サプライヤーが自身のロードマップを明確にして対応
だけでなく、互いの安全配慮が事故防止には不可欠です。本
していくことが確認されています。
ガイドラインでは 、SSCC( Safety Supervisor Communication
Council)
と呼ぶ協議会の活動や、共同での安全巡視を通じて、
SEMITrack
同時期に、同じ場所や隣接場所で安全に作業するための指針
半導体産業界の関連する世界各国の法規制情報を適宜アップ
を提供することを目的としています。
デートして、Webを通じての配信サービスを行うシステムです。現在
は米国連邦、欧州共同体、日本、韓国、台湾、中国のEHS関連
S13改訂タスクフォース
法規制で、製品の輸出や使用に関係するものと、各国で作業を
S13は
行う上で要求される法規制
(保護具、
トレーニング、治具、化学物
Maintenance Manuals Used with Semiconductor Manufacturing
質対応等)
が掲示されていますが、この配信サービスを受けるに
Equipment」 として制定されていますが、現在全面改訂のため
はSEMIの会費とは別に、専用の年会費が必要になります。
の検討が行われています。ドキュメント番号は#3496ですが、こ
S13-0298 「Safety Guideline for Operation and
の改訂で、名称は 「EHS Guideline for Documents Provided to
2. スタンダード関連
(日本が主体の活動について)
the Equipment User for Use with Semiconductor Manufacturing
FPD安全小委員会とFPDシステム安全タスクフォース
Equipment」 に変更される予定ですが、個々の技術的要求事
FPD安全小委員会は、FPD業界としての安全性を国際的強調
項はS2やS6、S8、S12、S14、S16等の専用ドキュメントに移され
の上で高めることを目的に活動していますが、現在FPDシステ
ることが意図されており、S13はユーザーに提出される文書に要
ム安全タスクフォースで、FPD業界専用のシステム設計用の安
求される枠組みを提供するものになる予定です。
全ガイドラインとして制定すべく開発中のドキュメント#3814
9-10, 2004
23
EHS
空調の高度制御が従業員の安全と快適を守る
Global Care参加企業のEHS活動事例から
(第2回)
SEMIが推し進めているEHS推進運動、Global Careの参加企
フィスの空調を遮断するのにどれくらいの時間が必要だったと
業の活動事例を前号から連載しておりますが、第2回はCymer
思いますか。BMSを使うと1分もかかりませんでした」 と、Cymer
の事例をご紹介します。同社では、コンピュータによる高度な換
のオペレーション&メンテナンスマネージャGreg Grahamは語った。
気・空調の制御を導入することで、EHS上の効果をあげながら、
■ EHSに留まらない効果
コスト低減や施設の用途変更の柔軟性向上も遂げることがで
Cymerは、BMSにかけた投資金額は、例えば次のような効果に
きました。
波及した。
■ CHALLENGEー 課題
・燃料費と電気料金の減額
Cymer, Inc.では事業が成長しビルが増えるにつれ、温度、湿
・レーザ冷却水の冷却エネルギーコストの減額
度、風量などを管理した可能な限り快適で安全な作業環境を
・製造設備のアップタイムの改善
従業員に提供しつつ、一方消費エネルギーは最低限に抑える
・保守診断精度の向上
ことが望まれるようになった。さらに、成長に伴ってビルの用途
・少人数の保守スタッフ
が変更される可能性もでてきた。そこで、冷暖房や換気を制御
・火災などのリスクに対する保護強化による安全性向上
するシステムには、こうした変更に対する柔軟性をもたせる必要
・損害保険料率の低下
もあった。また、システムが最少人数で操作・保守できるように
・ビルの用途変更や施設拡張に対する柔軟性
して、人件費を削減することも求められた。
■ メンバー一覧
(英社名アルファベット順)
■ RESPONSEー 対処
新しいビルを増やすとき、Cymerは最新式のデジタル・ビルディ
ング・マネージメント・システム
(BMS)
を敷設し、冷暖房や換気の
諸機能をイーサネットで分散制御している。BMSは各部屋の温
度、空調ダクトのバルブの状態といった情報に基づいて、制御
装置にプログラムされたガイドラインに従って判断を下していく。
Cymerの敷地内に分散した全ての制御装置は、インターネットを
経由してパソコンでアクセスすることが可能だ。オペレータはパ
ソコンで施設のどの場所でもモニタし、問題を診断し、必要に
応じて設定を変更できるのである。たとえば、操業時間中は、作
業エリアの温度は設定温度に非常に近い範囲に制御される。
厳しく制御することで快適さを最大限に高めながら、過剰冷暖
房によるエネルギーの無駄を防ぐのだ。通常時間外には、空調
Air Products and Chemicals, Inc.
Amkor Technology, Inc.
ANELVA CORPORATION
Applied Materials, Inc.
ASML
ATMI, Inc.
Axcelis Technologies, Inc.
BOC Edwards
Brewer Science Inc.
Compugraphics International Ltd
Credence Systems Corporation
Cymer, Inc.
Dainippon Screen Manufacturing Co., Ltd.
DISCO Corporation
E4 Technologies
EKC Technology, Inc. Entegris, Inc.
FSI International
GSI Lumonics
Hakuto Co., Ltd.
Hermes-Epitek Corp.
Hitachi Chemical Co., Ltd.
Hitachi Chemical Co. America, Ltd.
Hitachi Kokusai Electric Inc.
Horiba, Ltd.
INFICON
Lam Research
M+W Zander
MEMC Electronic Materials, Inc.
Metron Technology
Microbar Incorporated MKS Instruments, Inc.
Nikon Corporation
Nisene Technology Group
Novellus Systems
Photronics, Inc.
Rushbrook Consulting
SCP Global Technologies
SEH America
SEMI
STEC Inc.
SUMCO Phoenix
Teradyne, Inc.
Therma-Wave
Tokyo Electron Ltd.
Trebor International
Ultratech, Inc.
Wadsworth-Pacific Mfg. Associates, Inc.
や暖房の使用を減らすように制御をゆるめ、エネルギーの消費
をできるかぎり減らす。時間外に誰かが入室した場合は、ボタ
ンを押すだけで、自動設定を簡単に解除することができる。デ
− Global Careのご案内 −
Global Careは、SEMIの会員企業とその顧客、サプライヤが、
ジタル・ビルディング・マネージメント・システムの代わりに、一般的
EHS活動を推進するための枠組みを提供するものです。この
なマニュアル制御のシステムもある。その場合、センサの情報は
枠組みとは、職場の健康と安全、資源保全、生産者管理責任、
単にローカルに表示され、制御も局所的な空調に限られる。こ
コミュニティへの奉仕、卓越性という5つの原則です。原則の
の種の古いシステムでは、保守要員が施設内を巡回して苦情
実践は各社で柔軟に取り組んでいただくため、企業の規模に
に対応し、マニュアルで装置を調整して局所的な空調を改善し
かかわらず無理なくご参加いただけます。詳しくは、以下のウ
なければならない。また、旧式システムでは、火災、さらにはテロ
ェブサイトをご覧いただくか、または担当までお問合せください。
リストによる生物兵器攻撃の脅威に対して無防備だ。「当社で
ウェッブサイト:www.semi.org/globalcare
お問合せ:SEMIジャパン 安藤(yando@semi.org)
は最近、炭素菌曝露に備えた訓練を実施しましたが、特定のオ
24
2004, 9-10
Column
SEMI News コラム:アテネオリンピック
水野 修
アテネオリンピックが終わった。
日本出発前のインタビューで
日本選手の活躍で大いに楽しめた。
「オリンピックを楽しんできたい」
期待どおりが多々あった。期待はずれも一部にあった。惜敗
という選手のコメントを聞いたりすることがある。私のような古
もあれば、思わぬメダルもいくつかあった。総じて女子の活躍
い人間は
が目立った大会だった。
「ん?」
小柄な野口みずきのマラソン優勝は期待以上で圧巻だった。
と思ってしまう。日本代表ならばそれなりの自覚があってしかる
期待どおりの筆頭は北島康介の平泳ぎ2冠であろう。北島は
べきだ。派遣費用は一部とはいえ、国庫からも支出されている。
昨年の世界選手権で、100、200メートルともに世界新記録で優
ならば
勝し、オリンピックへの期待が一気に膨らんだ。その後、米の
「死に物狂いで頑張ってきます」
ハンセンが記録を更新し、期待と心配が交錯する状態となっ
と言うのが当然だろう。なのに、楽しむとはどういうことか。確
たが、北島は見事に期待に応えてくれた。
かにオリンピックは祭典である。それを村祭りと同じように考え
柔道60キロ級の野村忠宏のオリンピック3連覇はまさに偉業達
ているのではないか。
成だった。ただ、野村の3連覇はその直前の谷亮子の2連覇
そうではない、とスポーツライターの山崎浩子さんはいう。
の陰に隠れて気の毒だった。
オリンピック選手はみな、世界選手権のような大舞台を既に経
多少の期待はあったものの、まさかの金を勝ち取ってくれたの
験してきている。大舞台で世界のトップと競う時の重圧は想像
が男子体操団体総合である。団体総合の金はモントリオール
を絶するものだろう。その重圧をはねのけて実力を出し切るに
大会以来28年ぶりである。モントリオールまで5大会連続の金
は練習の積み重ね以外にない。納得のゆくまで練習を積み
だった日本男子体操はそれ以後長期低落傾向をたどった。
重ね、試合当日に体調と精神の高揚のピークを重ね合わせる
栄光のあとの長期低落。このあたり、今日の日本国と似ている。
ことができたとき、競技そのものが楽しくなるのだ、という。これ
しかし体操は今の日本とここからが違った。栄光を取り戻す
は世界のトップアスリートといえども容易なことではない。まし
ために長期戦略とプログラムを立て、逸材の発掘と育成に取
てオリンピックともなれば世界選手権よりもさらに大舞台であ
り組んだ。その後苦節の年月を経、やっと花が開き始めた。し
る。しかしそれを達成して競技を楽しめたとき、メダルがむこう
かしまだ大輪ではない。そこでアテネでは団体総合のみに的
からやって来る。選手たちの
を絞った。それが見事に的中した。
「楽しみたい」
繁栄は一度崩れると没落は早い。そしてその立て直しは容易
とはそういうことだ、と山崎さんはいう。
でない。一度落ち込んだものが、旧来のやり方で復活できるは
山崎さんは、かつて新体操の頂点を極めた人である。そうい
ずがない。復興には明確な目標と長期的視野に立った新しい
う経験者のみが理解できることなのだろう。そういう経験者だ
戦略が必要である。そのお手本を男子体操は見せてくれた。
からこそ選手たちの言動の裏まで実によく見えるのだろう。
それに比べ、今の日本には目標と戦略が一体有るのか無いのか。
そうか、アテネオリンピックに見た選手たちの明るさは、オリンピ
ところで、選手の中には両親の血筋と環境に恵まれたとしか
ックを楽しんでいることの現れだったのだ。楽しめていること
思えない金メダリストもいる。いわばサラブレッドである。例え
の証しだったのだ。
ば体操の塚原直也や柔道70キロ級の上野雅恵である。勿
それにしても北島の決勝前の眼は鋭かった。鷹が獲物を狙う
論、それだけで金メダルが取れるはずもなく、本人の血のにじ
ような眼だった。獲物は金メダルである。トップアスリートが極
む努力があったことは疑う余地がない。それは分かるが、な
度に精神を集中させたとき、あのような眼になるのかもしれな
にしろ私は純正の雑種。うらやむほかない。
い。その彼も楽しんだにちがいない。楽しめたにちがいない。
さて選手たちを見ていて思うことはその明るさである。一昔
それが100メートルで優勝したときの言葉に現れていた。
前に見られたような悲壮感はどこにもない。彼らは日本を代表
「気持ちえー、チョーキモチエー」
する選手である。好むと好まざるとにかかわらず日の丸を背負
金メダルをとれた嬉しさだけでなく、とことん楽しめたことが彼
っている。だが彼らにそういう意識は無さそうに見える。本当
をしてそう言わしめたのだろう。
にそうだろうか。
そして我々も楽しませてもらえた。
9-10, 2004
9月13日
(月)
〜15日
(水)
SEMICON Taiwan
台北
9月27日
(月)
〜10月2日
(土)
SEMI Expo CIS
モスクワ
10月3日
(日)
〜6日
(水)
International Trade Partners Conference
ハワイ
12月1日
(水)
〜3日
(金)
セミコン・ジャパン
幕張メッセ
セミコン・ジャパン 2004
12月1日(水)〜3日(金) 幕張メッセにて開催
2005年
2月2日
(水)
〜 4日
(金)
セミコン・ジャパンの開催が近づいてまいりました。景気回復を背景に
投資熱が膨らむ中、セミコン・ジャパンへの期待がますます高まっており
ます。10月1日からはホームページ上で展示会入場事前登録も始まります。
SEMICON Korea
ソウル
2月27日
(日)
〜3月2日
(水)
Global FPD Partners Conference
詳 細は セミコン・ジ ャパ ン のホームページ h t t p : // w w w. s e m i.o r g /
万国津梁館 沖縄
semiconjapanをご覧ください。皆様のアクセスをお待ち申し上げてお
3月15日
(火)
〜17日
(木)
SEMICON China
ります。
上海
また、お問い合わせはSEMIジャパン展示会部(Tel: 03-3222-6022
3月21日
(月)
〜23日
(水)
E-mail: jshowsinfo@semi.org)
までご連絡ください。
FPD China
上海
4月12日
(火)
〜14日
(木)
SEMICON Europa
「半導体産業向け事業継続ガイドライン」が発行されました!
ー危機に備えるマネジメントの手順ー
本書は、2003年3月にSEMI北米地区事業継続協議会が作成した
「Business
ミュンヘン
5月4日
(水)
〜6日
(金)
SEMICON Singapore
シンガポール
6月7日
(火)
・8日
(水)
Continuity Guideline for the Semiconductor Industry and its Supply
SEMI FORUM JAPAN
の第2版の日本語版です。この原書作成の契機となったのは、
Chain」
グランキューブ大阪
2001年9月11日に発生した同時連続テロ事件です。このテロに遭った
6月8日
(水)
〜10日
(金)
企業は、人的・物的に著しい被害を受けましたが、
この災害からの復旧に
台北
FPD Taiwan
は大きな相違がありました。素早く事業継続ができた企業の事前対策
7月12日
(火)
〜14日
(木)
と事後対策を調査研究し、その成果を半導体関係産業向けに提供するこ
SEMICON West
とを目的としたのが原書です。JIS-Q2001
「リスクマネジメントシステム構
築のための指針」
と合わせてご活用ください。
●
半導体産業向け事業継続ガイドライン:
A5版 132ページ 定価 3,150円
(税込) SEMI会員価格 2,100円
(税込)
購入に関する詳細はWebサイトをご覧ください。
http://www.semi.org
サンフランシスコ
10月19日
(水)
〜21日
(金)
FPD International
パシフィコ横浜
(主催:日経BP社 共催:SEMI)
12月7日
(水)
〜9日
(金)
セミコン・ジャパン
幕張メッセ
*予定は変更される場合があります。
http://www.semi.org/news
2004年
8月24日
2004年第2四半期のシリコンウェーハ出荷面積を発表
7月22日 「GFPC(Global FPD Partners Conference)2005」の開催
について
7月14日 「SEMI OneSource」サービス提供開始
7月14日 「カレル・アーバネック記念賞」受賞者発表
7月14日 SEMI会長に東京エレクトロンの東哲郎 氏が就任
SEMI ジャパン
〒102-0074
東京都千代田区九段南4-7-15
(3222)
5755
(代表)
Tel: 03
Fax: 03
(3222)
5757
SEMI OnLine:www.semi.org
E-mail:semijapan@semi.org
©2004 SEMI ジャパン
SEMI News 9-10月号 2004年9月15日発行(隔月刊)
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Sep. – Oct. 2004
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