労働者の個人所得税納付及び事業者の源泉徴収義務

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労働者の個人所得税納付及び事業者の源泉徴収義務
法務法人地平・ミャンマーチーム
今号では、ミャンマー税法上の労働者の個人所得税及び事業者の源泉徴収義務と関連して見ることにします。
所得税は、個人及び法人を含めたミャンマーの居住者と一部の非居住者の所得に対して課税するようにした
1974年の所得税法(The Income-tax Law 1974)の適用を受けており、最近、改定された連邦所得税法(2014
Union Tax Law)において個人所得税の課税標準を定めています。これ以外にも、所得税規則(Income Tax
Rules)や所得税規定(Income Tax Regulations)により所得税納付に関する事項を細部にわたって管理されており、
毎会計年度ごとに新しく発表する財務部Notificationと政府予算法(State Budget Laws)などを参考にする必要が
あります。
 個人所得税の納付
(1) 課税対象
課税対象は、居住ミャンマー人や居住者である外国人が外貨の形態で所得を稼いだ場合、所得発生地域
とは関係なく全世界で稼いだ外貨所得の全部であり、非居住外国人の場合は、ミャンマー内の源泉所得に
なります。
この際、ミャンマー上の居住外国人とは、①1つの所得年度以内においてミャンマー滞在期間が183日以上
の個人、②ミャンマー会社法またはその他関連のミャンマー法に基づいて設立された会社のうち、その全
部もしくは一部の株主が外国人である会社、③会社以外の組合のうち、その構成員の全部もしくは一部が
外国人であり、当該組合関連の支配運営の意思決定手続きのすべてがミャンマー内部において行われる
組合を意味し、上記の居住外国人を除いた者は非居住外国人になります。
1
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(2) 課税標準
ミャンマー所得税法上、毎年の課税標準の所得が2,000,000チャット以上の居住外国人及び内国人は、次
のような課税区間別の累進税率が適用されます。
課税標準(控除後)
From (Kyats)
税率
To (Kyats)
1
1
2,000,000
0%
2
2,000,001
5,000,000
5%
3
5,000,001
10,000,000
10 %
4
10,000,001
20,000,000
15 %
5
20,000,001
30,000,000
20 %
6
30,000,001 以上
25 %
(3) 事業者の労働者の個人所得税の源泉徴収義務
事業者は、労働者に給与支給の際、労働者の所得から源泉徴収をした後、7日以内に納付する必要があり、
6月30日まで所得申告をした後、確定税額と比較して、これに対して追徴または還付を受けることになります。
(4) 所得控除
所得控除の類型及び控除率は次の通りです。
控除の類型
控除率
基本控除
年間所得の 20%。但し、総控除額は 10,000,000チャットを超過することはできない。
配偶者控除
500,000 チャット
子女控除
1 人当たり 300,000 チャット(但し、所得がない場合に限る)
社会保障基金
社会保障基金の積立額
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上述で見たミャンマー税法上の労働者の個人所得税及び事業者の源泉徴収義務と関連して次の事例を通して
事業者が留意すべき事項について見ることにします。
[事例] ミャンマーで事業を営んでいるA社において、1年間勤務したBはA社を退職した後、5ヵ月後にA社へB
の勤務期間の所得税の納付証明を要請しました。A社は、Bの在職期間の間、所得税名目でBから1,000ドルを
源泉徴収しましたが、実際の所得税の予想金額は900ドルであり、A社は所得税を毎月納付するのは煩雑であ
るため、年末に一括で納付する計画をもっていました。しかし、BはA社がBの要請に対する答弁を怠り、A社が
Bの所得税を納付していないと主張しながらA社を国税庁に告発しました。この場合における事業者であるA社
が取るべき措置は何でしょうか。
ミャンマーにおいて事業を営む事業者は、労働者の所得税を源泉徴収(7日以内)し、国税庁に納付しなければ
なりません。特に、労働者が離職する場合、労働者は従前の事業者に対して(総合)所得税申告をするため、所
得税納付証明書を要求する場合が度々あります。従って、A社は、Bの個人所得税を速やかに国税庁に納付し、
関連した証憑を労働者に提供しなければなりません。また、給与は全額支給が原則であり、予想される所得税
金額を超過した金額を給与から控除する場合は、賃金支給法を違反する余地があるため、Aは差額100ドルをB
に還付する義務を負担することになります。
最近、ミャンマーでは、主要な工団において賃金引上げなどストライキが引き続き発生しており、労働人権の向
上に対する認識が高まるにつれ、事業者が税法及び労働法などを遵守しないという理由で労働者が事業者を
告発する事例が増加しているので、ミヤンマーで事業を営む事業者は格別の注意を払う必要があります。
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