ミャンマーの不動産制度及びコンドミニアム法の紹介

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ミャンマーの不動産制度及びコンドミニアム法の紹介
ジピョン・ミャンマーチーム
1.
外国人における不動産の長期賃借及び所有の制限
外国人は、不動産譲渡制限法(1987年)に基づき、原則的にミャンマー国内の不動産を所有したり、1年を超
える長期賃借をすることはできないが、例外的に1年以内の期間の間に使用できる権利を取得することがで
き、外国人投資法または特別経済区域法などの特別法に基づく長期間(外国人投資法に基づく許可を受
けた場合は最長70年、または特別経済区域法に基づく許可を受けた場合は75年まで)において不動産を
使用できる権利を取得することができます(制限的な使用権の取得可能)。
一方、最近制定されたコンドミニアム法は、外国人が該当するコンドミニアムを40%まで所有できるように定
めており、その内容は次のとおりです。
2.
コンドミニアム法の概要
ミャンマー内において急増する不動産開発の烈風とこれにあわせて増加している外国人の住居需要に対
応するため、2016年1月29日、ミャンマーはコンドミニアム法を公表しました。コンドミニアム法は、2012年3月
に制定案が連邦議会に提出されて以来、ほぼ4年間の議論を経て公表に至ったため、外国人投資誘致の
ために1947年以後、初めて外国人の不動産(Housing Units及び集合所有地)所有を認めています。コンド
ミニアム法の主要な内容は、次のとおりです。
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(1) コンドミニアムの意味
コンドミニアム法(以下「法」)によると、コンドミニアムとは、同法に基づいて登録された集合所有地(Collectiv
ely Owned Land)の上に建築された6階を越える高層建物を意味します。ここには、共同所有者らが共有す
る共同所有資産を含みます(第2条(a))。共同所有資産とは、コンドミニアムが建設され、共同所有資産が位
置する集合所有地(同法に基づいて登記が必要)、共同所有者らの共同利益のための附属物、附合物(個
別Housing Unitは除く)、共同所有者らの共同利益のための建設及び設置された建物、装備の教育、健康
施設、ガーデン、植木、水道施設、ゴミ処理施設、衛生施設、電力供給装備、道路及び橋梁、配水管、通
信装備を含む資産を意味します。
(2) 分譲事業者
分譲事業者は、同法に基づいて、コンドミニアムを開発できる事業許可を備えたDepartment(部署)、
Organization(団体)または個人を意味しますが、最低資本金の条件を備えて管轄Management
Committee
から事業許可(business license)を取得しなければなりません。分譲事業者は、集合所有地にコンドミニアム
を建設した後、分譲時においては、Housing Unitの所有権と集合所有地の所有権を一緒に受分譲者(区分
所有者)に移転しなければなりません。
分譲事業者は、法が定めるところによると、コンドミニアムのHousing Unitのうち、40%まで外国人に譲渡が
可能であり、希望する場合は、完工以前に分譲(いわゆる先分譲)することも可能です。
(3) コンドミニアムの建築及び集合所有地
分譲事業者は、コンドミニアムと集合所有地については、法に基づいて登録し、登録された集合所有地にのみ、
コンドミニアムを建築することができます。集合所有地は、(i)住居用の建設が可能であり、(ii)所有権の譲渡が
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可能であり、既存の所有者から所有権が移転され、管轄登録事務所に「集合所有地」として登録されなければ
なりません。コンドミニアムを建築する集合所有地は、最低20,000square feet以上が要求されます。
(4) 区分所有者
区分所有者は、分譲事業者からHousing Unitの分譲を受けたものを意味します。分譲を受ける時、譲渡契
約を登記所に登記しなければならないが、登記と一緒に公式的な所有権を取得します。区分所有者は、H
ousing Unitに対する所有権のみでなく、集合所有地に対する敷地権を一緒に取得しますが、これは韓国
の集合建物に対して受分譲者らが集合所有地に対する敷地権を取得することと似ています。この敷地権は、
Housing Unitの所有権が移転される場合、付随して移転されます。
区分所有者は、Housing Unitを使用、収益、処分する権利をもちます。即ち、ミャンマー人に譲渡、交換、
移転(assign)、放棄(relinquish)、賃貸借、抵当権の設定、割賦販売(hire)が可能であり、ミャンマー人を居住
するようにできる権利を保有します。これに加えて、外国人に賃貸借や抵当権設定が可能であり、関連法令
に従って、外国人を居住するようにすることができます。そして、40%制限規定(コンドミニアム全体の40%ま
では、外国人に譲渡可能である点については前で説明しました)を遵守し、外国人にHousing Unitを譲渡
することもできます。また、コンドミニアムを管理する管理団の総会に出席し、議決する権利を保有します。
(5) Housing Unitの譲渡・譲受
Housing Unitは、贈与、交換、売買、裁判所の判決などを原因として譲渡されることができます。この場合、
譲渡人と譲受人は、同法が定める規定に従って、30日以内に譲渡事実を登録しなければなりません。譲受
人は、ミャンマー印紙税法に従って印紙税を納付し、関連規定に従って登録手数料を負担します。
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(6) その他
完工されたコンドミニアム及び同法発行時において建設中であるコンドミニアムは、管轄Management Com
mitteeに同法第9条および第10条に基づいて(コンドミニアムで)登録を申請することができます。管轄Manag
ement Committeeは、同法による規定に基づいて登録を許可したり、拒絶することができます。
コンドミニアムの所有区分者の75%以上が管理団総会で賛成する場合、コンドミニアムの全部または一部
を再建築することができます。
3.
コンドミニアム法に対する評価
ミャンマーの政治的な状況と歴史的な理由により、ミャンマーの現不動産法制においては、整備されていな
い部分が多くある状況です。特に、外国人の土地所有権の制限、土地権利に対する公示制度の不備、建
物に対する登記制度の不在など外国人投資者の誘致に相当な障害があります。このような状況において、
コンドミニアム法の制定案は、(i)外国人の建物及び集合所有地に対する所有権を認め、(ii)土地と分離され
たた建物のみの所有権概念と区分所有者の集合所有地に対する敷地権を認め、(iii)集合所有建物に対す
る区分所有概念を導入し、初めて建物に対する登記制度を法制化したという点において一歩前進した立
法であることは明らかです。
但し、それにもかかわらず、コンドミニアム法による建物を除いた残りの建物に対しては、依然としてコンドミ
ニアム法が適用されず、外国人は原則的に開発の対象土地に対する所有権を取得することはできないが、
現コンドミニアム法のみでは、外国人の不動産開発事業者が同法に基づいて分譲事業を遂行できるかが
不明確であるとする限界があります。
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一方、現在までは、コンドミニアム法を適用して事業許可を取得した事例はないものと見られます。ミャンマ
ーは、新法が公表されても、下位規定(施行令や施行規則など)が制定されるまで、新法が適用されない場
合が多くあり、下位規定の内容と政策変化に注意する必要があります。
<終わり>
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