ミャンマーの労働者の解雇や退職の際における留意事項

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ミャンマーの労働者の解雇や退職の際における留意事項
法務法人地平・ミャンマーチーム
今号は、ミャンマーで労働者の解雇や退職時において留意すべき点について見ることにします。
事例1:使用者が労働者を解雇する場合、退職補償金(severance payment)を支給しなくてもいい場合がありま
すか。
ミャンマーの労働関連法令は、労働者の解雇事由について明確に規定していません。ただ、ミャンマーの労働
省が提供する標準労働契約書には解雇事由について次のような例を明示しています。
- 窃盗
- 賄賂の授受及び腐敗の連累
- 財産に対して故意的な損失または危険の招来
- 許可なしに禁じられた場所への出入り
- 許可なしの銃器搬入
- 職場での賭博
- 暴行や傷害
- 飲酒及び非常識な講堂
- 刑事事件の起訴
- 3日以上の無断欠勤
したがって、上記の理由で使用者が労働者を解雇する場合は、退職補償金(severance payment)を支給する必
要はありません。
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事例2:労働者の退職時、事後の紛争防止のため、使用者が確認しなければならない書類にはどのようなもの
がありますか。
使用者は、退職労働者から(i)基本給与、賞与、時間外手当、年次有給休暇手当及び退職補償金を含めた労
働者が支給を受ける権利があるすべての金銭的な恩典が滞納されていないという内容の確認書、(ii)勤務期間
中において差別などを含めた不合理な待遇を受けたことがないということを確認する書類、(iii)退職金同意書な
どをもらっておくことが望ましいです。この場合、使用者は労働者との滞納賃金及び退職補償金に関する紛争を
ある程度防止でき、仮に紛争が発生したとしても、使用者にとって有利な証拠として作用することになります。
事例3:労働者の転職を制限する約定には効力がありますか。
ミャンマーの労働関連の法令上、転職禁止の約定の有無効についての規定はありませんが、使用者と労働者
の間での転職を禁止する約定は、当該労働者の職業の自由を著しく侵害するため、無効として判断される可能
性が高いです。これに対して、一定期間において転職を禁止する代わりに、同期間の間に該当する賃金を会社
が支給する方式で転職禁止を約定する場合、これについていは有効となる可能性が高いです。一方、使用者と
しては、労働者に特別な研修などの教育を提供して一定期間の勤務義務を賦課したり、労働者がこの義務に対
して違反した場合、当該教育費を会社に返還する内容の約定を交わし、労働者に対して転職による経済的負
担を大きくすることで労働者の転職を制限する方案も考慮できるかと思われます。
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