2012 年 1 月 30 日 国内靴・履物市場に関する調査結果 2011 【調査要綱】 矢野経済研究所では、次の調査要綱にて国内靴・履物市場の調査を実施した。 1. 調査期間:2011 年 10 月~12 月 2. 調査対象:靴・履物、及び、靴資材など靴業界に携わるメーカー、卸、小売業、ならびに、周辺関連業者、輸出 入業者 3. 調査方法:当社専門研究員による直接面談、郵送アンケート、官公庁及び業界団体等の各種統計 データによる文献調査を併用 <靴・履物とは> 本調査における靴・履物とは,貿易統計及び工業統計における「革靴」、「ゴム靴」、「ケミカルシューズ」、 「サンダル」等、靴・履物に分類される分野の製品を対象とする。 【調査結果サマリー】 2010 年度の国内靴・履物市場規模は前年度比 98.5%の 1 兆 3,245 億円、 2008 年度から 3 期連続で減少 2010 年度の国内靴・履物の市場規模は、小売金額ベースで前年度比 98.5%の1兆 3,245 億円であっ た。デフレ基調が残り個人消費の回復は緩やかなため、高額商品への購買意欲が依然鈍い。2010 年秋 頃から高額消費の戻りが一部で見受けられたが、2009 年度と同水準にまで市場を押し上げるに至らず、 2010 年度の市場規模はマイナスとなった。 ◆ アイテム別ではスポーツシューズが好調を維持するも、 2011 年度の国内靴・履物市場規模は前年度比 99.0%と予測 2010 年度のアイテム別市場規模をみると、スポーツシューズは前年度比 101.0%の 4,985 億円と引き続 き微増傾向を維持している。一方で、紳士靴は同 97.8%と 2008 年度から 3 年連続で減少し、婦人靴も同 98.4%と依然マイナス傾向が続いている。 2011 年度の国内靴・履物市場規模は、前年度比 99.0%の 1 兆 3,115 億円と予測する。 ◆ 資料体裁 資料名:「靴・履物産業年鑑 2011 年版」 発刊日:2011 年 12 月 29 日 体 裁:A4 判 480 頁 定 価:126,000 円(本体価格 120,000 円 消費税等 6,000 円) 株式会社 矢野経済研究所 所在地:東京都中野区本町2-46-2 代表取締役社長:水越 孝 設 立:1958年3月 年間レポート発刊:約250タイトル URL: http://www.yano.co.jp/ 本件に関するお問合せ先(当社 HP からも承っております http://www.yano.co.jp/) ㈱矢野経済研究所 営業本部 広報チーム TEL:03-5371-6912 E-mail:press@yano.co.jp 本資料における著作権やその他本資料にかかる一切の権利は、株式会社矢野経済研究所に帰属します。 本資料内容を転載引用等されるにあたっては、上記広報チーム迄お問合せ下さい。 Copyright © 2012 Yano Research Institute Ltd. 2012 年 1 月 30 日 【 調査結果の概要 】 1.市場概況 国内市場における 2010 年度の靴・履物市場は、小売金額ベースで 1 兆 3,245 億円(前年度比 98.5%) と推計し、2008 年度から 3 期連続で市場規模は減少している。(図表 1 参照)。 「リーマンショック」の影響が長引きデフレ基調が残り、個人消費の回復が緩やかなため、高額商品へ の購買意欲が依然鈍い。2010 年秋頃から高額商品の消費に動きがでてきたとはいえ、前年同水準にま で市場を押し上げるような勢いではないことから、2010 年度の国内靴・履物市場規模はマイナス推移とな った。 2011 年度については、春商戦は 3 月に発生した東日本大震災の影響を除けば順調であり、夏場も軽 装の意識が高まったことでサンダルの売れ行きが好調となった。ただ、秋冬物は、残暑が長引いて秋物 の動きが鈍くなったこと、冬の本格的な寒さの到来が遅れたことからロングブーツが特に不振であった。こ の秋冬の動行如何では、2010 年度よりも厳しい状況になることが考えられ、2011 年度も引き続きマイナス 推移の1兆 3,115 億円(前年度比 99.0%)と予測とする。 図表 1. 靴・履物小売市場規模推移・予測 (単位:億円) 16,000 14,530 14,410 14,235 13,985 14,000 13,785 14,240 13,935 14,470 14,060 13,445 13,245 13,115 10年度 11年度(予 12,000 10,000 8,000 6,000 4,000 2,000 0 市場規模 前年度比 00年度 01年度 02年度 03年度 04年度 05年度 06年度 07年度 2000年度 14,530 - 2001年度 14,410 99.2 2002年度 14,235 98.8 2003年度 13,985 98.2 2004年度 13,785 98.6 2005年度 13,935 101.1 2006年度 14,240 102.2 2007年度 14,470 101.6 08年度 2008年度 14,060 97.2 09年度 2009年度 13,445 95.6 (単位:億円、%) 2010年度 2011年度(予 13,245 13,115 98.5 99.0 矢野経済研究所推計 注 1: 小売金額ベース 注 2: (予)は予測値 Copyright © 2012 Yano Research Institute Ltd. 2012 年 1 月 30 日 2.アイテム別市場規模(金額ベース) 2-1.紳士靴市場 2010 年度の紳士靴の市場規模は、2,250 億円、前年度比 97.8%となった。 「リーマンショック」後の個人消費の回復は鈍く、高級紳士靴の顧客の戻りは低調である。また、ビジネ ススタイルのカジュアル化の影響で、ビジネスシューズからカジュアルシューズへのシフトが徐々に進んで いる。また、靴小売チェーンが、自社ブランド商品で機能性の高い、低価格なビジネスシューズを提供し、 ヒットしている。これらの影響から購入単価がなかなか上がらないことも、市場規模マイナスの要因となって いる。 2011 年は、節電対応でカジュアル化が進行したことで、夏場を中心にドレスシューズの需要は厳しくな った。代わって、ドライビングシューズやスリッポンタイプのシューズ、ビジネスとカジュアルの中間に位置 するドレススニーカーと呼ばれるようなタイプに、より注目が集まっている。 2-2.婦人靴市場 2010 年度の婦人靴の市場規模は、3,670 億円、前年度比 98.4%となった。 このところ、春商戦の苦戦を冬場のブーツで取り返すといった構図が続いていた婦人靴市場だが、 2010 年の夏は猛暑となったことから春夏アイテムは好調であった。しかし、残暑が長引き秋物が苦戦した ことで通年の市場は縮小した。 2011 年は、東京を中心に震災時に帰宅困難を経験した層が、普段から歩き易い靴を求める動きがある。 そのため、ヒールが低いフラットシューズを好む傾向が、より顕著となっている。 2-3.スポーツシューズ市場 2010 年度のスポーツシューズ市場規模は、4,985 億円と前年度比 101.0%になった。 スポーツシューズ市場では、近場での「ご近所ラン」から市民マラソンまで含めたランニングブームが定 着しており、タイムを上げたい、より長い距離に挑みたいと考える中級レベル層の拡大がランニングシュー ズの好調を支えている。また、同様の傾向はアウトドアシューズにもみられ、都市近郊の山登りに挑んで いた層が、より高い山に挑み、より自然に親しみたいと考え、市場を支えている。 なお、近年注目されているトーニングシューズは、2011 年も引き続き伸長している。 2-4.ベビー・子供靴市場 2010 年度のベビー・子供靴の市場規模は、890 億円と前年度比 98.9%となった。 子供靴市場は、子供の靴選びに対して関心を持つ親が増加していることから、少子化のなかでも堅調 に推移してきた。近年の好調の要因は、早く走ることを打ち出したジュニアシューズであった。市場を開拓 してきた靴メーカー商品が、販売累計 3,000 万足を超える大ヒットブランドに成長したことで、他社が類似 商品を発売し、市場がより盛り上がる形になった。今後も、子供靴市場では子供の遊びやライフスタイル に合わせた商品展開を各社が行い、ヒット商品が生まれることで市場が堅調に推移していくものとみる。 表 1. 靴・履物市場 アイテム別小売市場規模推移 2005年度 平成17 2006年度 前年比 平成18 構成比 紳士靴 2,565 99.6 4,480 100.2 2,610 4,570 102.0 4,460 820 100.0 その他 1,500 104.2 合 計 13,935 101.1 4,730 2,630 99.6 103.5 840 102.4 1,600 106.7 4,340 14,240 102.2 4,850 100.8 97.3 102.5 850 101.2 1,800 112.5 14,470 101.6 2,450 前年比 平成21 93.2 2,300 4,100 94.5 4,930 101.6 3,730 102.4 1,710 95.0 4,935 14,060 97.2 91.0 100.1 900 103.4 1,580 92.4 2,250 13,445 95.6 3,670 97.8 98.4 4,985 101.0 2,220 98.9 1,450 91.8 13,245 98.5 3,560 97.0 27.1 5,035 101.0 880 98.9 1,420 97.9 38.4 6.7 6.7 10.9 100.0 98.7 16.9 37.6 890 前年比 構成比 27.7 11.8 100.0 平成23 17.0 6.7 12.2 100.0 93.9 前年比 構成比 36.7 6.2 12.4 平成22 27.7 35.1 870 前年比 17.1 29.2 (単位:億円、%) 2011年度予測 2010年度 構成比 17.4 5.9 100.0 2009年度 構成比 33.5 11.2 100.0 平成20 30.0 5.9 10.8 前年比 18.2 33.2 5.9 100.0 101.8 2008年度 構成比 31.3 32.8 子供靴 平成19 18.3 32.1 スポーツシューズ 前年比 構成比 18.4 婦人靴 2007年度 10.8 13,115 99.0 100.0 矢野経済研究所推計 注 3.小売金額ベース 注 4.予測は予測値 注 5.本調査におけるスポーツシューズとは、スポーツシューズメーカー、靴・履物メーカーがスポーツシューズとして出荷し ている商品を指す 注 6.その他には、長靴、作業靴等が含まれる Copyright © 2012 Yano Research Institute Ltd.
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