中国化粧品市場に関する調査結果 2012

2012 年 5 月 28 日
中国化粧品市場に関する調査結果 2012
【調査要綱】
矢野経済研究所では、次の調査要綱にて中国化粧品市場の調査を実施した。
1.調査期間:2012 年 1 月~4 月
2.調査対象:化粧品メーカー、小売店、政府関連部門等
3.調査方法:当社専門研究員による直接面談、電話および店頭調査
【調査結果サマリー】
‹ 2011 年見込みの中国化粧品市場は前年比 10.8%増の 1,122 億元
中国化粧品市場は、経済成長に伴う国民の可処分所得の増加や、美容意識の高まりなどを背景に、
2007年以降、年 10%以上の伸び率で急拡大している。2011 年見込みの同市場規模は、前年比 10.8%
増の 1,122 億元(ブランドメーカー出荷金額ベース)である。
中国経済の成長が輸出主導の高成長路線から内需主導への転換が進んでいることから 2012 年以降
も同市場は 10%以上の高成長を続けると予測する。今後の注目ポイントとしては、商品面ではスキンケア
分野での美白化粧品・自然派化粧品の台頭とメイクアップ市場の拡大、価格面では個人消費の拡大が
著しい内陸部の 3・4 級都市の消費者や消費の中心になると期待される「80 后(バーリンホー)世代」を新
たなターゲットとした、ミドルクラス・マスクラス(中心価格帯が 200 元未満の化粧品ブランド)の市場の拡大、
流通面では化粧品専門店、薬局、ネット通販などの台頭によるマルチチャネル化の進展、広告宣伝・販
促面ではインターネットやビル内・屋外広告などの新しい手法の拡大がある。
◆ 資料体裁
資料名:「中国化粧品・トイレタリーマーケティング総鑑 2012 年版」
発刊日:2012 年 5 月 17 日
体 裁:A4判 732 頁
定 価:157,500 円(本体価格 150,000 円 消費税等 7,500 円)
‹ 株式会社 矢野経済研究所
所在地:東京都中野区本町2-46-2 代表取締役社長:水越 孝
設 立:1958年3月 年間レポート発刊:約250タイトル URL: http://www.yano.co.jp/
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2012 年 5 月 28 日
【 調査結果の概要 】
1. 市場概況
中国化粧品市場は、経済成長に伴う国民の可処分所得の増加や、美容意識の高まりを背景に、2007
年以降、年 10%以上の伸び率で急拡大している。中国経済においては、2008 年におきた世界金融危機
の影響も軽微で、内需を拡大しながら、好景気を維持している。2011 年の同市場規模は、前年比 10.8%
増の 1,122 億元(ブランドメーカー出荷金額ベース)の見込みである。
製品カテゴリー別の動向としては、以下が挙げられる。
1-1.
スキンケア:‘美白’‘自然派’がキーワードに
スキンケアでは、保湿に加え、美白志向と自然派志向が高くなっている。各メーカーは、美白や効果を
訴求した機能性化粧品のラインアップを充実させており、美白化粧品と自然派化粧品の人気が上昇して
いる。
1-2.
メイクアップ:‘ミネラルメイクアップ’‘BB クリーム’がヒット商品に
中国では消費者が原料の安全性を重視する傾向にあり、ミネラルパウダーを使用したメイクアップ化粧
品が流行している。また、ナチュラルメイクが流行し、BB クリームも人気を集めた。
1-3.
ヘアケア:高付加価値製品(シャンプー)も人気に
中国では、フケに悩みを持つ消費者が多いため、フケ取りシャンプーの人気が高く、ヘアケア文化が
成熟していないことから、リンスインシャンプーが人気になっていることも特徴となっているが、近年は日系
メーカーの高付加価値製品も沿岸部を中心に人気を集めている。
2. 中国で成功するためのマーケティング戦略~キーワードはブランディング~
日系メーカーが、中国に進出して直面する現実は、「日本で売れていても中国では無名」「高額な広告
宣伝費」「圧倒的な価格差」「厳しい入店条件」「オーバースペック」などである。中国市場は、これらの特徴
ゆえに、短期的に大きな投資を強いられる場合がある。メーカーとしては、収支を合わせようと販路の拡大
を優先する、また値下げをして売上を取ることもある。しかし、長期的な視点で、中国マーケットに商品や
企業を根付かせるためには、中国市場の特徴を知り、中国の消費者のブランドロイヤルティを確保するこ
とが不可欠である。つまり、キーワードはブランディングである。ブランディングと一言で言うが、その意味
には様々な事柄が含まれている。
1)
2)
3)
4)
5)
訴求ポイントは‘美白’‘安全・安心’‘高品質’‘東アジア発’
旗艦店や有名商業施設への出店、有力小売業との取引の重要性
認知度の向上(PR・販促・広告宣伝)
一級都市でブランドを構築してから地方都市へ
代理商・OEM メーカーの活用
可処分所得が増え続ける中国の消費者に対して、如何に自社の魅力的な商品を買ってもらうか。路面
店で店舗を構えることは費用、ハードルが高く、百貨店の入店条件は極めて厳しい状況である。直ぐに採
算を合わせるのは難しい。そこで諦めるか、それとも歯を食いしばって自社ブランドの認知度を広めてい
けるか。各メーカーの競争は激化しており、その市場で短期間に成功することは難しく、時間がかかるが、
中国は経済成長が続き富裕層が増えている魅力的な市場であることは間違いなく、それだけに成功した
場合のインパクトも大きい。
中国市場において成功している日本企業に共通することは「中長期的視野にたった事業戦略の構築」
「我慢強さ」「意気込み」である。販売当初売れなかった場合、どの様にして認知度を広めていくか、消費
者に受け入れられる商品開発をしていくかを常に検証してきている。中国市場で成功するという信念を持
ち続け、事業戦略の計画、実行、検証を重ねていく事が必要である。
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2012 年 5 月 28 日
図 1. 中国化粧品市場規模推移
(単位:百万元)
1 4 0 ,0 0 0
1 2 4 ,9 0 0
1 2 0 ,0 0 0
1 1 2 ,2 0 0
1 0 1 ,3 0 0
1 0 0 ,0 0 0
9 0 ,8 0 0
8 2 ,5 0 0
8 0 ,0 0 0
7 4 ,6 0 0
6 0 ,0 0 0
4 0 ,0 0 0
2 0 ,0 0 0
0
2007年
2008年
2009年
2010年
2011年 (見 )
2012年 (予 )
矢野経済研究所推計
注 1:ブランドメーカー出荷金額ベース
注 2: (見)は見込値、(予)は予測値
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