2015 年 6 月 19 日 酒類市場に関する調査結果 2015 【 調査要綱 】 矢野経済研究所では、次の調査要綱にて国内の酒類市場の調査を実施した。 1.調査期間:2015 年 3 月~5 月 2.調査対象:酒類メーカー各社、卸 3.調査方法:当社専門研究員による直接面接取材と、アンケート調査、電話等による間接調査併用 <酒類市場とは> 本調査における酒類市場とは、ビール類(ビール、発泡酒、新ジャンル)、清酒、甲類焼酎、乙類焼酎、ウイスキ ー、ワイン、低アルコール飲料、その他の 10 カテゴリーを対象として、算出した。 <低アルコール飲料とは> 本調査における低アルコール飲料とは、醸造酒や蒸留酒、リキュールを果汁、茶、水、炭酸水などで割り、アル コール度数 10%未満にした商品で、チューハイ、ハイボール、サワー、カクテルなどのアルコール飲料をさす。 【 調査結果サマリー 】 ◆ 2014 年度の酒類市場は 3 兆 6,054 億円(前年度比 99.3%)の見込み 国内の酒類市場規模(メーカー出荷金額ベース)は、2013 年度が前年度比 100.2%の 3 兆 6,301 億 円、2014 年度は同 99.3%の 3 兆 6,054 億円の見込みである。2013 年度は市場が拡大したものの、 2014 年 2~3 月にかけて消費増税前の駆け込み需要があったためであり、実質的にはマイナス成長と みる。2014 年度は、駆け込み需要の影響が 4~6 月頃まで残ったことで消費が低迷し、夏場も天候不 順に見舞われたことで全体の動きが鈍かったため、微減を見込む。 ◆ 酒類各カテゴリーから「健康・機能系」商品が発売され話題に、 健康をキーにした商品訴求が広がりを見せている 糖質やカロリー、プリン体、甘味料などをカットした商品が、ビール類(ビール、発泡酒、新ジャンル)や 清酒、低アルコール飲料など多くの酒類カテゴリーから登場し、消費者の支持を得ている。ビール類では、 発泡酒で糖質ゼロ・プリン体ゼロを訴求した商品をビールメーカー各社が投入し、市場拡大の要因になっ たと考える。ノンアルコールビールテイスト飲料からはトクホ飲料 ※1 や機能性表示食品 ※2 が登場するな ど、健康をキーにした商品訴求が広がりを見せている。 ◆ 資料体裁 資料名:「2015 年版 酒類市場の現状分析と将来展望」 発刊日:2015 年 6 月 4 日 体 裁:A4 判 490 頁 定 価:110,000 円(税別) ◆ 株式会社 矢野経済研究所 所在地:東京都中野区本町 2-46-2 代表取締役社長:水越 孝 設 立:1958 年 3 月 年間レポート発刊:約 250 タイトル URL:http://www.yano.co.jp/ 本件に関するお問合せ先(当社 HP からも承っております http://www.yano.co.jp/) ㈱矢野経済研究所 マーケティング本部 広報チーム TEL:03-5371-6912 E-mail:press@yano.co.jp 本資料における著作権やその他本資料にかかる一切の権利は、株式会社矢野経済研究所に帰属します。 本資料内容を転載引用等されるにあたっては、上記広報チーム迄お問合せ下さい。 Copyright © 2015 Yano Research Institute Ltd. 2015 年 6 月 19 日 【 調査結果の概要 】 1. 酒類市場全体の概況 国内の酒類市場は、メーカー出荷金額ベースで 2013 年度が前年度比 100.2%の 3 兆 6,301 億円、 2014 年度が同 99.3%の 3 兆 6,054 億円の見込みである。 2013 年度は市場が拡大したものの、これは 2014 年 2~3 月にかけて消費増税前の駆け込み需要が あったためであり、この要因を除いた実質的な成長ではマイナスと言ってよい。2014 年度については駆け 込み需要の影響が 4~6 月頃まで残ったことで消費が低迷し、夏場も天候不順に見舞われるなど、その 後も全体の動きは鈍かったため、微減を見込む。 カテゴリー別に市場をみると、ビール、新ジャンルビール、清酒、甲類焼酎、乙類焼酎の 5 カテゴリーが 縮小する見込みである。ビール類では、プレミアムビールやクラフトビールの人気拡大や、縮小を続けて いた発泡酒市場において新商品が発売されたことで拡大に転じるなど明るい話題があった一方で、新 ジャンルビールが登場以来初のマイナスとなった。 その他、ウイスキー、ワイン、低アルコール飲料といった近年の成長カテゴリーは、2013 年度、2014 年 度ともに好調な推移を見せ、引き続き酒類市場を牽引した。 ウイスキーに関しては、ウイスキーを題材にしたテレビドラマが 2014 年 9 月から放映されたことも参入各 社に好影響を与えた。また、サントリーホールディングスによる米国ビーム社の買収は関係者を驚かせた が、買収によりビームサントリー(米)が誕生した。ワインについては、2013 年以降、それまでの円高基調 から円安基調に変わったことで、市場にも変化の兆しが出てきている。輸入ワインは今までの低価格路線 を続けることが難しくなり、大手輸入業者を中心に商品の値上げが行われている。 図表 1. 酒類市場規模推移 (単位:億円) 50,000 40,000 99.1% 98.8% 97.6% 98.4% 98.5% 99.2% 39,068 38,588 37,674 37,072 36,501 36,225 100.2% 36,301 110.0% 99.3% 36,054 100.0% 90.0% 80.0% 70.0% 30,000 60.0% 50.0% 20,000 40.0% 30.0% 10,000 20.0% 10.0% 0 0.0% 2007年度 2008年度 2009年度 2010年度 酒類市場 年 度 2007年度 酒類市場 前年度比 39,068 99.1% 2008年度 38,588 98.8% 2009年度 37,674 97.6% 2011年度 2012年度 2013年度 前年度比 2010年度 37,072 98.4% 2011年度 36,501 98.5% 2012年度 36,225 99.2% 2014年度 (見込み) (単位:億円) 2014年度 2013年度 (見込み) 36,301 36,054 100.2% 99.3% 矢野経済研究所推計 注 1:メーカー出荷金額ベース 注 2:(見込み)は見込み値 Copyright © 2015 Yano Research Institute Ltd. 2015 年 6 月 19 日 2. 注目すべき動向~「健康・機能系」酒類商品が増加 消費者の健康志向を背景に、機能を訴求した商品が各カテゴリーから多く上市されている。 ビール類において、発泡酒ではキリンビール「淡麗グリーンラベル」やアサヒビール「スタイルフリー」のよ うに、以前から糖質オフまたは糖質ゼロを謳った商品が人気となってきた。加えて、2014 年度は糖質ゼ ロ・プリン体ゼロの商品(以下、「ゼロゼロ」商品)がビールメーカー各社から発売され、発泡酒市場拡大の 要因となった。新ジャンルビールでも糖質ゼロの商品などが多く発売されており、2015 年 1 月には、発泡 酒と同様に「ゼロゼロ」商品がキリンビールから発売されている。さらに、ノンアルコールビールテイスト飲 料では、トクホ飲料 ※1 (特定保健用食品として許可された飲料商品)及び機能性表示食品 ※2 (機能性表 示食品制度により、事業者の責任において科学的根拠に基づいた機能性を表示した食品)が発売される。 トクホ飲料としては、2015 年 5 月にサッポロビール「SAPPORO+(サッポロ プラス)」が発売され、機能性 表示食品では、キリンビールが「パーフェクトフリー」を、アサヒビールが「アサヒスタイルバランス」を共に同 年 6 月に発売する。 また、低アルコール飲料でも、以前から糖質ゼロなどを謳った商品はあったものの、2015 年に入るとビ ール類と同様にプリン体ゼロを訴求する商品が目立ってきており、リニューアル発売の際パッケージに「プ リン体ゼロ」などの表記を分かりやすく記載するようになっている。 清酒についても、メーカー各社から糖質ゼロの商品化が進められている。糖質ゼロの商品は、昨今の健 康志向の高まりを受け、健康に配慮しながらも美味しく清酒を飲みたいというニーズを取り込み、特に高 齢の飲酒層から支持されていることから、近年の清酒商品開発のトレンドの一つとなっている。 Copyright © 2015 Yano Research Institute Ltd.
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