クレジットカードショッピング市場に関する調査結果 2014

2015 年 1 月 28 日
クレジットカードショッピング市場に関する調査結果 2014
【調査要綱】
矢野経済研究所では、次の調査要綱にてクレジットカードショッピング市場の調査を実施した。
1.調査期間:2014 年 7 月~12 月
2.調査対象:国内の主要クレジットカード発行会社、スマートフォン決済ソリューション提供事業者等
3.調査方法:当社専門研究員による直接面談、電話・e-mail によるヒアリングを併用
<クレジットカードショッピング市場とは>
本調査におけるクレジットカードショッピング市場は、国内のクレジットカード会員が国内外にてクレジットカードを
使用したショッピング取扱高ベースで算出した。
【調査結果サマリー】
‹ 2013 年度のクレジットカードショッピング市場規模は約 42 兆円、前年度比 108.7%と拡大基調
2013 年度のクレジットカードショッピング市場規模(クレジットカードショッピング取扱高ベース)は約 42
兆円(前年度比 108.7%)であった。消費者のクレジットカード利用に対する抵抗感が下がり、さまざまな店
舗での利用機会が増加したことや、EC(電子商取引)市場などでのクレジットカードの利用領域が拡大し
たことに加え、カード会社各社によるクレジットカードの稼動率向上への取り組みにより、拡大基調が続い
ている。
‹ スマートフォン決済ソリューションビジネスが拡大
スマートフォンの普及を背景に、スマートフォンやタブレットなどを従来端末よりも比較的低価格で簡易
なクレジットカード決済端末として利用できるソリューションを提供するビジネスが拡大している。いずれの
サービスでも、スキンジャケット型やドングル型のハードウェアをスマートフォンやタブレットと接続し利用す
るが、生命保険や損害保険の外交員や宅配便業者、飲食店チェーンやレストランでのテーブル決済など
で需要が高まっている。従来、クレジットカード決済サービス未導入であった中小企業や個人事業主の間
で導入が増えていくと考える。
‹ 加盟店の裾野の広がりやキャッシュレス化の推進を背景に、
2018 年度のクレジットカードショッピング市場規模は約 63 兆円に達すると予測
2020 年の東京オリンピックに向けて加盟店の裾野が広がることやキャッシュレス化の浸透により、クレジ
ットカードショッピング取扱高は堅調に拡大するとみる。加えて、公共料金や学費、寄付金など非消費分
野におけるクレジットカード決済が拡大し、2018 年度のクレジットカードショッピング市場規模(クレジットカ
ードショッピング取扱高ベース)は、約 63 兆円に達すると予測する。
◆ 資料体裁
資料名:「2014 年版 クレジットカード市場の実態と展望」
発刊日:2014 年 12 月 16 日
体 裁:A4 判 589 頁
定 価:120,000 円(税別)
‹ 株式会社 矢野経済研究所
所在地:東京都中野区本町2-46-2 代表取締役社長:水越 孝
設 立:1958年3月 年間レポート発刊:約250タイトル URL: http://www.yano.co.jp/
本件に関するお問合せ先(当社 HP からも承っております http://www.yano.co.jp/)
㈱矢野経済研究所 マーケティング本部 広報チーム TEL:03-5371-6912 E-mail:press@yano.co.jp
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2015 年 1 月 28 日
【調査結果の概要】
1. 市場概況
2013 年度のクレジットカードショッピング市場規模(クレジットカードショッピング取扱高ベース)は約 42
兆円であった。消費者のクレジットカード利用に対する抵抗感が下がり、食品スーパーや量販店などさま
ざまな店舗での利用機会が増加したことに加え、カード会社各社のクレジットカードの稼動率向上への取
り組みや EC(電子商取引)市場での利用の拡大により、前年度比 108.7%と堅調に拡大した。
一方、クレジットカード会社のキャッシング事業をみると、キャッシング残高はこれまで減少が続いてきた
が、減少の幅は縮小してきている。一部で過払い問題が再燃している側面はあるものの、キャッシング取
扱高は既に増加に転じており、キャッシング事業は好転しつつあると考える。
2. 注目すべき動向
2-1. 優良カード会員の囲い込みに向けた取り組みが続く
貸金業法改正以降、クレジットカード会社各社はカード高額利用者に対する個別優待サービスや、加
盟店と連携したサービスの向上、会員専用 Web サービスの導入など、優良顧客の囲い込みおよびメイン
カード化への策を中心に展開してきた。さらに、近年では、収益環境の改善を背景に、優良顧客の取込
みを目的として、新規会員の獲得に力にも入れており、とくに流通店舗や EC サイトなどの顧客基盤を持
つ流通系や自動車メーカ系、交通系のクレジットカード会社が会員獲得に成功している。
2-2. ポイントプログラム等を活用したショッピング事業重視の戦略を強化
クレジットカード会社各社にとって、ポイントプログラムは会員とのリレーションシップを強化するためのメ
インツールとなっており、ほとんどのカード発行会社がポイントプログラムを提供している。また、他社ポイ
ントやマイレージとの交換、ポイント有効期限の延長など自社ポイントプログラムの差別化をはかるとともに、
加盟店に対する新決済ソリューションを提供するなど、付帯サービスの向上によるカード会員の利用拡大
や加盟店サービスの強化を図っている。各社は、こうしたショッピング事業を重視した戦略を実施し、収益
拡大に向けた取り組みを強化している。
2-3. スマートフォン決済ソリューションの拡大
スマートフォンの普及を背景に、スマートフォンやタブレットなどを従来端末よりも比較的低価格で簡易
なクレジットカード決済端末として利用できるソリューションを提供するビジネスが拡大している。
いずれのサービスでも、クレジットカード情報を読み取るためにスキンジャケット型やドングル型のハー
ドウェアをスマートフォンやタブレットと接続し、利用する。スキンジャケット型を用いる「ペイメント・マイスタ
ー」や「PAYGATE」などでは、生命保険や損害保険の外交員、宅配業者、引越業者、バイク便業者、高
級ブティック店舗、ホテルなど場所は問わないが、対面決済を必要とする業種の、主に法人を想定して、
サービスの提供がなされている。また、ドングル型を用いる「Square」や「楽天スマートペイ」などでは、従来
の決済サービスを導入することができなかった中小企業や個人事業主の間で導入が増えている。加えて、
百貨店の外商、量販店の店頭、飲食店チェーンやレストランでのテーブル決済などでも需要が高まって
いる。
2-4.モバイル決済サービスの可能性
※
NFC を搭載したスマートフォンが本格的に普及しており、それに対応すべく、先進的なクレジットカー
ド会社は NFC に対応したモバイル決済サービス(モバイル・ウォレット)の提供を開始している。アメリカで
は、アップルが 2014 年 9 月に iPhone で利用できる「Apple Pay」を発表し、2014 年 10 月からアメリカで
NFC を活用したモバイル決済サービスを展開している。今後、日本国内においても、NFC 搭載型スマート
フォンによるクレジットカード決済サービスが拡大する可能性が高いと考える。
※NFC(Near Field Communication)とは、近距離無線通信の国際標準規格である。
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2015 年 1 月 28 日
3. 将来予測
クレジットカードショッピング取扱高は、2020 年の東京オリンピックに向けて、商店街や中小企業、個人
事業主などを中心に加盟店の裾野が広がることや、さまざまな消費分野におけるキャッシュレス化の浸透
により、カード会員のクレジットカード利用への抵抗感が更に低減されることなどにより、引き続き拡大する
とみる。加えて、公共料金や大学等の学費納入、各種寄付金の納付等の非消費分野におけるクレジット
カード決済も堅調に拡大すると考える。こうした利用環境の変化に伴い、2018 年度のクレジットカードショ
ッピング市場規模(クレジットカードショッピング取扱高ベース)は、約 63 兆円に達すると予測する。
図 1. クレジットカードショッピング市場規模推移と予測
70,000,000
60,000,000
50,000,000
(
取
扱
高 40,000,000
百
万 30,000,000
円
63,761,766
)
20,000,000
42,411,341
45,931,919
49,709,948
53,695,070
58,378,418
10,000,000
0
2013年度
2014年度(予測) 2015年度(予測) 2016年度(予測) 2017年度(予測) 2018年度(予測)
矢野経済研究所推計
注 1: クレジットカード発行元のショッピング取扱高ベース
注 2: (予測)は予測値
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