Secure Car News An SBD 2015 年 2 月号 Information Service Secure Car Newsletter SBD の最新ニュースレターでは世界各国の自動車セキュリティニュース以外に、最新の自動車 セキュリティ技術と窃盗犯による盗難手口の最新動向についてお届けします。 自動車メーカー大手 GM が米国で展開する全ての新車両にスマートキー搭載を検討しています。 コネクテッドサービスやデバイスの普及は車両および車両データの盗難リスクを高めます。 SBD では最新の車両盗難状況を取り上げています。 2 月号の記事一覧 GM が米国で展開 する全ての新車両 にスマートキー 搭載を検討 Land Rover Defender 盗難防止装置 ホイール盗難 : 最新動向と盗難手口 オーストラリアへの 盗難車輸入増加の懸念 IBC と NMVTRC が最新 盗難車ランキングを発表 セキュリティシステムに 対するユーザー知識の 重要性 An SBD Secure Car News Information Service GM が米国で展開する全ての新車両にスマートキー搭載を検討 ここ 10 年間におけるスマートキーの普及は、他の自 動車技術の普及と同じような道筋をたどっており、今 では高級車のみならず様々な車両に搭載されています。 こうして今ではスマートキーの利便性が大衆車両でも 体験することができるようになり、発展途上市場にお いてもスマートキーシステムを搭載した A および B セ グメント車両が販売されています。 General Motors 社 CEO の Mary Barra 氏はこうした状 況を踏まえた上で、自社の製品ライン向けにプッシュ ボタンスタートを検討していることを明らかにしてお り、搭載にかなり強い意志を示しています。 GM 車両の多くにスマートキーは搭載されていますが、 低価格モデルおよび軽トラックには標準的なイグニ ション装置とリモートキーレスエントリのみが搭載さ れています。 ションスイッチの問題で数々のリコールを行っていま す。 スマートキーシステムはプッシュボタンと電子ロック 制御を兼ね備えているので、このイグニションに懸念 のあるユーザーおよび消費者にとっては良いソリュー ションと言えます。 しかし今あるリスクを取り去るには、盗難に対するセ キュリティを確保した上で、最適なシステムの実装お よび最小限に抑える為の人間工学的考察が必要です。 2019 年には米国で販売される新しい乗用車におけ るスマートキーシステム搭載率が 50% を超え、そ の割合は欧州や中国市場を上回ると SBD は見てい ます。 では今回の GM の搭載戦略の変更にはどのような要因 があったのでしょうか? ユーザーおよび市場ニーズ以外に挙げられるのはイグ ニションスイッチ問題です。GM は2014 年にイグニ NCC グループと Zubie が共同で車載 USB ドングルのサイバー セキュリティ強化へ 近頃発表されたプレスリリースで Zubie の CEO は下記 の通り話しています。 「先月、車両用セキュリティを専門としている Argus Security により当社製品の脆弱性に対する指摘を受け ましたが、当社ではその問題に対し迅速に対応を行い、 開発プロセスを見直しセキュリティ対策を強化してい ます。現時点でこの問題に関するお客様の被害は報告 されていません。 弊社では自社製品のセキュリティを重要視しており、 日頃よりテレマティクス市場動向を注視し潜在的な脅 威に対する対策に努めています。また、セキュリティ に対する継続的な取り組みの一環としてシステム全体 のセキュリティテストを行いユーザーおよび製品のセ キュリティを確保しています。弊社では自動車サイ バーセキュリティ分野を専門とする NCC グループと 連携し全ての自社製品に対して徹底した製品検査を 行っています。」 NCC グループの技術部長である Ollie Whitehouse 氏は、 「弊社の自動車分野で培ってきた経験と知識を基に Zubie の技術者と協力して開発プロセスの見直し、 ユーザーのセキュリティ要件の継続的サポートを行っ ています。」と述べています。 2014 年 10 月に SBD はグローバル情報セキュリ ティ会社 NCC グループと戦略的提携をしており、 自動車サイバーセキュリティ分野への事業展開をし ています。 www.sbdjapan.co.jp Page 2 An SBD Secure Car News Information Service Land Rover Defender 盗難防止 装置 英国では、多発しているLand Rover Defenderの盗難対 策として「Rat Trap」が開発されています。 同装置は、トランスファーボックスに固定され、アウ トプットシャフトをロックし車両を動かなくするよう に設計されています。ユーザーはメカニカルキーで起 動や解除を行います。 同装置は約590ポンド(約 10 万円)での販売が計画さ れています。 盗難防止装置「Rat Trap」は、窃盗犯が車両の盗難 時に解除する必要があるセキュリティの一つとして 機能します。 同装置はドライブトレイン内に統合され車両下部か らしかアクセスができないため、装置を取り外しセ キュリティを解除することも難しくなっています。 ドイツで多発するホイール 盗難 ドイツのVolkswagen Groupディーラーで先日、多数の ホイール盗難が発生しました。 今でもホイールは窃盗犯の標的になりやすく、特に 欧州ではその傾向が強く見られます。また、先日ブ ルガリアやイタリアで発生した盗難では、冬用タイ ヤを装着した車両が標的となるケースが多く見られ ました。 Volkswagen、Audi、Seat に装着されていた 40 以上も のホイールが 1 夜のうちに盗まれました。盗まれたホ イールの数から、この盗難は場当たり的な盗難ではな く組織的犯罪グループによるものだと見られています。 盗まれたホイールが全て高価な合金ホイールだったわ けではなく、スチールホイールも対象となっていたこ とからタイヤ自体も盗難目的の一つであったと推測さ れています。 Project Overlordが車輪盗難防 止および追跡機能装置を提供 米国の Project Overlord は現在、ホイールのセキュリ ティの向上と盗難時の追跡を可能にする装置を開発し ています。 同装置の技術的な詳細はまだ発表されていませんが、 Project Overlord は同装置をタイヤ内に搭載し、盗難 発生時には警察への通知、安全なサーバーを介して車 両ユーザーのスマートフォンにホイール位置を送信す ることを示唆しています。 この技術開発に向けた資金調達は、IndieGoGo サイト のクラウドファンディングで実施されています。 同装置は、盗難ホイールの回収を容易にする以外に、 車両自体が盗難された際に盗難車追跡(SVT)装置 としても機能することができます。 www.sbdjapan.co.jp Page 3 An SBD Secure Car News Information Service オーストラリアへの盗難車輸入増加の懸念 オーストラリアの自動車盗難対策審議会(NMVTRC) は、同国の新車および中古車の輸入に関する法規制が 緩和される計画を指摘し、盗難車両の輸入が増加する 懸念を示しています。 ループによる盗難車の不正取引が増加することを NMVTRC では懸念しています。 NMVTRC では特にアジア諸国からオーストラリアへ の盗難車および不法改造車の輸入が増える可能性を危 惧しています。 現在オーストラリアでは、港より輸入される車両の 盗難履歴を特定する検査は行われていません。 オーストラリアでこの法規制緩和が実施された場合、 どのような問題が発生するかはニュージーランドを例 にとると明らかです。 一方、輸出元各国の警察が輸出前に検査できるのは 輸送コンテナの 0.01% にも満たず、オーストラリ アで法規制が緩和された場合、盗難車輸入防止対策 はほんの一部しか機能しなくなると考えられます。 ニュージーランドでは現在、新車および中古車の輸入 に対する規制がなく、多数の盗難車や不法車が輸入さ れているとされています。ニュージーランド警察の調 べによると、こうした車両の多くは日本から輸入され ており組織的犯罪グループが関与していると見られて います。 日本からの盗難車や不法車の輸出台数が増加している ことは、日本中古車輸出業協同組合も認めています。 オーストラリアでの自動車基準法の見直しが実施され た場合、同国への輸入車台数は 70 万台を超えると予 測されます。 輸入台数が増加することで、国際的な組織的犯罪グ アイルランド共和国の車両盗難件数が増加 アイルランド共和国における盗難件数は、2008 年か ら 2013 年の間は対前年比で減少傾向にありましたが、 2014 年前半期には増加傾向に転じています。 増加は 1% のみで、数値だけで見ると大きな変化では ありませんが、転換期となったことは重大な事実です。 同国の車両盗難の約 50% を占めるダブリンでは、車 両盗難件数は同期間に 9% も増加しています。 首都で見られたこの増加傾向は近いうちに他の地域で も見られると推測され、将来的には国全体の車両盗難 件数が増加することが予想されるとダブリン警察の巡 査長は話しています。 こうした車両盗難の増加傾向は他の西ヨーロッパ諸 国でも見られています。 SBD は、このような盗難件数の増加は、車両犯罪が 国を超えたものであり、多くの場合は組織的犯罪グ ループが関与しているためだと考えています。 www.sbdjapan.co.jp Page 4 An SBD Secure Car News Information Service IBC が 2014 年度カナダ盗難車ランキングを発表 IBC(カナダ保険協会)が、カナダにおける 2014 年度 乗用車および軽トラック盗難車ランキングを発表しま した。 2014年 年式 乗用車名 1 2007 Ford F-350 9 2 2006 Ford F-350 5 3 2007 Ford F-250 8 4 2003 Cadillac Escalade ― 5 2005 Ford F-350 ― 6 1999 Honda Civic 2dr Coupe ― 7 2004 Ford F-350 ― 8 2006 Ford F-250 ― 9 2000 Honda Civic SiR 2dr 1 10 2003 Ford F-350 ― 2013年 各モデルをモデルイヤーごとに分類している同ランキ ングでは、2014 年度の盗難車ランキングの上位 10 車 種の内 7 車種を Ford の軽トラック F シリーズ が占め いています。 Ford F シリーズ(モデルイヤー車全て)の盗難は前年 度より大幅に増加しており、アルバータ州では 50% ほど増加しています。 IBC は、盗まれた F シリーズの多くは VIN を偽造し識 別番号が変えられ、国内市場で販売されていると見て います。また、カナダで活動している犯罪組織は西ア フリカへの輸出目的で Lexus、 Audi、 BMW、 Mercedes-Benz などの高級車を標的としています。 米国や西ヨーロッパではアフリカへの輸出を目的と した高級車の車両盗難が多発しています。 NMVTRC が乗用車の最新盗難車ランキングを発表 オーストラリアの NMVTRC(自動車盗難対策審議 会)は、2013 年 7 月 1 日から 2014 年 6 月 30 日まで の乗用車と軽トラックの盗難車ランキングを発表しま した。 右の表では、今年度のデータと 2012‐13 年の同期間 との比較も示されています。 表に示されている通り Holden Commodore はいまだに 窃盗犯に人気が高く、同社の 4 世代の車両全てがトッ プテン内、そして 11 位および 12 位に位置しています。 しかし、1995 年以降に製造された同社の全世代の車 両の盗難件数は対前年比で減少傾向にあります。 NMVTRC によると、オーストラリアの乗用車の盗 難件数は 2012-13 年から 2013-14 年において 7% 減少しましたが、同期間の盗難車の回収率も 2% 減 少しています。 20132014年 乗用車名 年式 1 Holden Commodore VT 1997-2000 967 928 -4.0% 2 Holden Commodore VE 2006-2013 799 773 -3.3% 3 Toyota Hilux 2005-2011 589 655 11.2% 4 Hyundai Excel X3 1994-2000 917 621 -32.3% 5 Holden Commodore VX 2000-2002 597 570 -4.5% 6 Ford Falcon BA 2002-2005 573 540 -5.8% 7 Nissan Pulsar N15 1995-2000 329 540 64.1% 8 Holden Commodore VY 2002-2004 520 473 -9.0% 9 Ford Falcon AU 1998-2002 521 445 -14.6% Toyota Hilux 1998-2004 566 432 -23.7% 10 www.sbdjapan.co.jp 2012- 20132013年 2014年 前期比 Page 5 An SBD Secure Car News Information Service ユーザー知識の重要性を露わにしたニュージーランドでの出来事 エンドユーザーの多くは現代の車両に搭載されている 技術やそれらの正確な操作方法を認識していますが、 ユーザー教育が必要であることを自動車メーカーが再 認識する出来事も発生しています。特に、重要なセー フティ機能に対するユーザー教育は不可欠と見られて います。 2014 年 12 月にニュージーランドのアレクサンドラで、 夫婦が Mazda 3 の中に閉じ込められる事件が発生しま した。同車両はスマートキーを搭載していますが、そ のキーが操作範囲外にあると、一定時間経過後にはシ ステムが自動的に車両を施錠します。 このシステムの機能を正しく理解していれば、内部の ドアの取手にあるロックスイッチで車内から開錠する ことが可能なのは明らかです。 しかしこの夫婦はそうした知識がなかったためキーが 車外にある事で閉じ込められたと考え、手動で開錠せ ず窓を割るなど様々な方法での脱出を試みたものの、 結果的に一晩中車内に閉じ込められてしまいました。 夫婦によると、販売員は同機能の解除が手動で行える ことを正確に伝えておらず、トランスポンダーキーが 車両の操作範囲外にあると同機能の解除は不可能と考 えていました。 スマートキーシステムは正確に機能していましたが、 こうした事態を招く結果となってしまいました。 Mazda New Zealand のゼネラルマネージャーはそれ以 降、新技術の使用方法や解除方法の説明を忘れないよ う販売店に強く念を押している事を明らかにしていま す。 このような出来事は稀ですが、機能やシステムの操 作方法についてユーザーが容易に誤解してしまうこ とが分かります。そのため、車両の技術に対する ユーザーの知識に応じて、車両販売時にユーザーに 説明し知識を補填することが重要です。 セキュリティシステムに対するリバース エンジニアリングの脅威 SBD では自動車サイバーセキュリティエキスパートに よるリバースエンジニアリングの脅威評価を含むサイバー セキュリティ対策サポートを提供しています。 SBD のサイバーセキュリティ対策サポートに関するお問い合わせは、下記にて承っております。 SBD ジャパン E-mail : postbox@sbdjapan.co.jp TEL : 052-253-6201 www.sbdjapan.co.jp Page 6
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